農経しんぽう
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  農経しんぽう  
  令和6年12月9日発行 第3532号  
     
   
     
   
  農作業安全研修を重点推進/農林水産省  
     
   農林水産省は、12月1日から令和7年2月28日を、農作業安全研修実施強化期間とし、農業機械作業の安全対策の強化を図る。6年度の重点推進テーマは「学ぼう!正しい安全知識〜機械作業の安全対策と熱中症の予防策」で、県段階、地域段階で農業者向けの農作業安全研修を開催し、「農作業安全に関する指導者」が中心となって行う農業機械作業の安全対策の講習を重点的に推進する。全ての都道府県域において研修実施回数を令和5年度よりも増やすことを推進目標としており、農作業安全研修実施強化期間研修資材などを活用し、取り組みを推進する。
 農業における就業者10万人当たりの死亡事故者数が増加傾向にあり、死亡事故要因の6〜7割が農業機械作業となっている状態が続いていることに加え、熱中症など機械事故以外の死亡者数も減少していない現状を踏まえ、農作業安全対策の6年度の新たな目標は、農作業事故死亡者数を今後3年間で直近の件数から半減(238人↓119人)することと設定した。
 過去の都道府県別の農作業事故死亡者数と都道府県の農作業安全研修の実施状況について分析すると、京都、群馬、北海道、香川など、より多くの農業者に対して研修を実施した都道府県の方が平均死亡者数の減少が大きくなっており、令和4年の研修対象人数が100〜500人の都道府県では減少人数が「平均1・1人」であるのに対し、2000人を超える都道府県の減少人数は「平均2・6人」となっている。
 農作業安全研修実施強化期間においては、「農作業安全に関する指導者」が中心となって農業機械作業の安全対策と熱中症の予防策の研修・講習等を行うことを重点的に推進し、研修・講習等については、単独で開催するだけでなく、既存の会議等に農作業安全の要素を付加することで、正しい知識の提供を行う取り組みも積極的に進める。
 その他の取り組みとして(1)広報誌やSNSを活用した注意喚起の実施(2)都道府県・地域単位の推進体制の強化(3)公道走行時の法令遵守(4)労災保険特別加入の促進(5)「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範」やGAPの周知・実践(6)農作業事故情報の収集と報告の徹底―などを実施する。
 「農作業安全に関する指導者」とは、令和3年度に一般社団法人日本農業機械化協会等が実施した研修及び令和4年度以降農林水産研修所つくば館で実施している育成研修を受講した者。令和6年2月現在、全国に約5287名の「農作業安全に関する指導者」が育成されているが、地域で実施されている研修の約55%でしか活動できていない。令和6年は、基礎研修と実践研修、熱中症対策研修の概算合計受講人数で約9万4000人と増えている。
 農林水産省では、令和6〜8年度の試行実施を経て、全ての補助事業等に対して、最低限行うべき環境負荷低減の取り組みの実践を義務化する「クロスコンプライアンス」を導入することとしており、ここには「正しい知識に基づく農作業安全に努める」ことが盛り込まれている。
 今回、作成した農作業安全研修実施強化期間研修資材は、トラクタ、コンバイン、農用運搬機、トラクタの公道走行と免許の4ページで構成。これを使用した「農作業安全に関する指導者」による研修の受講は、クロスコンプライアンスのうち「正しい知識に基づく作業安全に努める」に該当する。
 トラクタのページでは、「危険個所の確認はしていますか?」と促し、現場で転落・転倒の可能性のある危険箇所を確認し、目印をつけたり、草を刈って見やすくするなどの対策を実施しましょう、狭い道は迂回するか、幅員を確保、道路走行時はブレーキペダルを連結し、特にカーブのある道は徐行運転を心がけましょう―などと呼び掛けている。

 
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  スマート農業推進フォーラムin関東を開催/関東農政局など  
     
   農林水産省、関東農政局及び農研機構中日本農業研究センターは3日、埼玉県のさいたま新都心合同庁舎で「スマート農業推進フォーラム2024in関東」を開催した(一部Web配信)。
 今回は「園芸分野におけるスマート農業技術の社会実装に向けて」をテーマに掲げ、園芸分野のスマート農業技術実証プロジェクトで得られた成果や課題、今後実用化が期待される開発中のスマート農業技術を紹介したほか、「みどりの食料システム戦略技術カタログ」の中から、園芸分野の「AI―土壌図と土壌環境APIによる圃場管理」など2つの技術に焦点を当てて、パネルディスカッションを行った。併せて、「明日の農業を支えるスマート農業技術展示会」を開催し、クボタケミックスやササキコーポレーション、サンホープ、JA全農、やまびこなどの27者がブース展示によりスマート農業技術を紹介した。
 開会あいさつした関東農政局・安東隆局長は、「スマート農業の普及は経営効率向上だけでなく、農業のグリーン化や消費者における価格適正化の理解、新規就農の促進などの波及効果にもつながる」と述べ、スマート農業の普及にしっかり取り組んでいくと決意を述べた。また、中日本農研センターの橘田和美所長はスマート農業推進は農研機構の最重要課題の1つだと述べ、関係各位とのネットワークを強化し、さらに取り組んでいくなどと挨拶した。
 フォーラムでは、同省及び農研機構による話題提供の後、4講演を実施。そのうち(株)日本能率協会コンサルティング・柳沼草介氏は、実証プロジェクトの「需要家起点の農業支援サービスによる、加工業務用野菜のフードバリューチェーン横断型の持続的生産体系の実証」の成果を紹介。キャベツ産地リレーを構成する群馬及び茨城の生産者を対象に、需要家であるデリカフーズ(株)から収穫機・可変施肥機のシェアリングや衛星解析サービスなどの農業支援サービスを提供し、生産基盤安定化を図った。
 ザルビオフィールドマネージャー及びGPSナビキャスタで可変施肥を行ったところ肥料投下量は平均16%削減でき、収量・品質は慣行に比べ大きな変化はなかった。また、キャベツ収穫機のシェアリングでは、年間の費用負担は各産地が個別導入するより3〜4割減。作業効率は10アール当たり作業時間が慣行比8%減となり、目標であった20%減を達成できなかったが、キャベツ収穫機効率稼働のためのマニュアルを作成した。
 全体を通して、産地間をつなぐ組織として需要家の役割は重要であり、産地間シェアにより個別経営体の年間費用負担は大幅に削減できるものもあるが、稼働面積拡大等の工夫や協力体制が必要などと語った。

 
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  生産資材の供給検討/食料・農業・農村政策審議会企画部会  
     
   農林水産省は4日、東京・霞が関の農林水産省講堂で、食料・農業・農村政策審議会企画部会(第114回)を開き、食料・農業・農村基本計画の策定に向けた、我が国の食料供給(生産資材の供給、輸入の安定化)、輸出の促進(海外からの収益の拡大)、国際戦略、分野横断的事項(団体の再編整備等、国民理解の醸成、DXの推進、団体の再編整備等)について検討した。生産資材の供給については、農業機械分野の燃料・エネルギーの課題として、作業重複の低減により燃料使用量を削減する自動操舵システムの導入を拡大していく必要があると指摘した。
 生産資材の供給については、農林水産省から、肥料、農薬、種苗、飼料、燃料・エネルギー、動物用医薬品に関する資料が提出された。
 このうち、農業機械分野の燃料・エネルギーについては、引き続き、電化・水素化等の取り組みを進めることで、国際的な需給変動の影響を受けづらい構造に転換していく必要がある。既に電動化対応が可能な小型農機では刈払機など一部で実用化されており、対応機種を拡大していく必要がある。現状では電動化対応が難しい大型農機分野では、水素利用等も含め要素技術の発展を待つ必要があるが、既に導入可能な技術として、作業重複の低減により燃料使用量を削減する自動操舵システムの導入を拡大していく必要がある、と克服すべき課題を提示。
 検討の視点として、小型農機については、電動化対応機種の拡大に向けて、小型電動農機の利用試験やバッテリーなどコンポーネントの機種間の共用化などに向けた対応の必要性をはじめ、大型農機については、スマート農業技術の普及と併せて、自動操舵システムの導入を推進するとともに、電化・水素化技術等他分野の要素技術の応用可能性を検討していくことが必要ではないか―と提起された。
 肥料については、国内資源の利用拡大には、原料供給者、肥料製造事業者、農業者等の利用者それぞれの連携や機械・施設の整備が不可欠とした。

 
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  アメリカ農務省の世界食料需給見通し/農林水産政策研究所がウェビナー  
     
   農林水産政策研究所は4日、「米国農務省及びIFPRIによる世界食料需給見通し」と題したWebセミナーを開催した。米国農務省における世界食料需給見通し等のとりまとめ総責任者であるチーフエコノミストのセス・メイヤー氏による「市場と政策の最新情報」ならびに、国際食料政策研究所(IFPRI)シニア・リサーチ・フェローのキース・ウィーブ氏による「IFPRIの世界食料需給予測」の2講演が行われた。
 メイヤー氏はまず国際穀物市場価格の推移について、中国による輸入拡大などを踏まえ、2020年頃に大きく価格が上昇し、その後もウクライナ戦争など何回かの供給面のショックを経つつも、現在はコロナパンデミック以前の価格まで戻りつつあると説明。来年12月における穀物価格予測も概ね横ばいと見込まれ、市場は依然多くのリスクがあるものの、それほど懸念を持っておらず、非常に落ち着いている状況と指摘した。
 これに対して、米・小麦・トウモロコシ・大豆の世界の期末在庫推移をみると、米・大豆は増加し、小麦・トウモロコシは減少。米国の小麦生産量は長期的に下落傾向にあったが、ロシア侵攻により小麦価格が上昇したのにつれて2023年は作付け面積が増加。また、ウクライナは小麦輸出を継続、ロシアは小麦の約25%と大量輸出しており、特にロシアは穀物市場で存在感を増しているが、両国とも今後の生産と貿易、輸出摩擦などが懸念され、安定出荷できるかが鍵だと語った。
 一方、トウモロコシや大豆についてはバイオ燃料の生産や政策などにより影響されるとしつつ、近年の収量は平年レベルを超え、米国・ブラジル・アルゼンチンなどで成長が見込まれている。メイヤー氏はこの増産分について、これまでは中国が吸収してきたものの、中国の消費・輸入量の増加が鈍化しているため、各国の増産分をどうするのか、中国の次がどこになるかが非常に重要だと説明した。一方、米については小麦や大豆に比べ価格がずっと高いままであり、インドが増産し続けているため、同国の動向がポイントになるなどと語った。

 
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  天敵使って害虫防除/関東農政局・みどりの食料システム戦略勉強会  
     
   関東農政局は11月29日、みどりの食料システム戦略勉強会(第25回)をオンラインで開催した。同勉強会は、自治体、農業者・農業法人、農業団体、食品等事業者などを対象に毎月実施しているもので、今回は「化学農薬使用低減のための総合防除」をテーマにしている。農研機構植物防疫研究部門作物病害虫防除研究領域生物的病害虫防除グループ上級研究員の阿部順一朗氏が登壇し、「総合防除で野菜の化学農薬使用量の低減を目指す」と題する講演を行った。
 阿部氏はまず、害虫防除法には▽網などで侵入を防ぐ物理的防除▽品種改良や栽培方法の改善で害虫の生存や繁殖を難しくする耕種的防除▽農薬をまく化学的防除▽天敵を使う生物的防除―の4つがあるとした。今回のテーマとなっている「総合防除」とは、これら4つの防除法を矛盾しない形で適切に組み合わせ、環境に負荷が少なく、かつ病害虫の発生を経済的被害が生じるレベル以下に抑制する体系技術であると解説。最近は、害虫の薬剤抵抗性が発達していることや、生産者の農薬散布の労力を軽減させるため、特に生物的防除への関心が高まっているとした。
 続いて、普通の虫が害虫になってしまうメカニズムを考察。人間が広い場所で同じ種類の農産物を作り続ける畑やハウスなどは、虫にとってまさにお菓子の家のようなものであるとし、そこには天敵もいないので、快適そのものだと指摘。住み放題、食べ放題、産み放題の環境下で増え続け、ただの虫が害虫になってしまうのだと説明した。
 そして、自然界では天敵の存在により特定の生物が増え過ぎることはないという点に着目。この自然界の仕組みを害虫防除に応用するため天敵の生態を研究するうちに、天敵昆虫は害虫を主食とする一方で、特定の花などを補助食にしていることが多く、その花粉や蜜を食べることで発育や増殖が向上し活性化することや、巣や隠れ場所となる植物の存在がわかってきたと説明。このことから、圃場の多くは単一栽培が基本だが、天敵昆虫が活躍するためには、その昆虫が好む植物(天敵温存植物)を植えることが有効であるとし、天敵温存植物によって快適な環境を作ることによって、天敵昆虫の生存、産卵、寿命、行動の改善を図り、害虫抑制効果の向上が期待できるとした。
 事例として、鹿児島県のオクラ栽培におけるアブラムシ対策の効果検証データを提示した。天敵温存植物として、栽培時期前半はカラシナ、ハゼリソウを、後半はソバ、ソルゴーを導入したところ、土着の天敵昆虫が活性化し、アブラムシを問題にならないレベルにまで制御できたことを示すとともに、「アブラムシの防除に関しては革命的」とする生産者の声も紹介した。
 阿部氏は、現在取り組んでいる課題として、▽天敵温存植物の播種を一度で済ませられるような、より簡便な技術開発▽慣行栽培とは害虫の種類が全く異なる有機栽培への応用―などをあげた。さらに、単一栽培の畑やハウスに天敵温存植物を導入することで景観が華やぎ、魅力的な農業や農業従事者へのアメニティ効果にもつながるとして、生物的防除技術のさらなる普及促進に意欲を示した。

 
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  「ディスカバー農山漁村の宝」グランプリ決定/内閣官房、農林水産省  
     
   農林水産省及び内閣官房は11月25日、総理大臣官邸で開催された「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」(第11回選定)有識者懇談会にて地域の活性化や所得向上に取り組んでいる優良事例30地区を選定し、このうち特に優秀な事例をグランプリ及び優秀賞として決定した。
 同制度は「強い農林水産業」「美しく活力ある農山漁村」の実現に向けて、農山漁村の地域資源を引き出すことにより地域の活性化や所得向上に取り組んでいる優良な事例を選定し、全国へ発信しているもの。土作りやスマート農業、6次産業化など幅広い取り組みが評価されている。
 今回選定されたグランプリ及び優秀賞、優良事例30地区は次の通り。
 【グランプリ】北海道幌加内高等学校(北海道)
 【優秀賞】▽ビジネス・イノベーション部門=(株)エース・クリーン(北海道)、北海道積丹町におけるブルーカーボン創出プロジェクト協議会(北海道)▽コミュニティ・地産地消部門=ひろさき援農プロジェクト(青森)、群馬県立尾瀬高等学校(群馬)▽個人部門=中上光氏(島根)
 【その他優良事例30地区】▽ビジネス・イノベーション部門=Pilz(株)(秋田)、(有)玉谷製麺所(山形)、合同会社ねっか(福島)、あけぼの農園(株)(山梨)、MISAKI CREATORS(福井)、80%山のまちを元気にする協議会(岐阜)、宇陀市古民家活用地域活性化協議会(奈良)、吉縁起村協議会(岡山)、(株)神東ファーム(山口)、きりぬき(愛媛)、大正町市場協同組合(高知)、NPO法人SDGs Spiral(福岡)、(株)なかせ農園(熊本)、(株)豊後大野クラスター(大分)▽コミュニティ・地産地消部門=秋田県南旭川水系土地改良区(秋田)、(有)あわら農楽ファーム(福井)、NPO法人おかざき農遊会(愛知)、服部農園(有)(愛知)、もりやま食のまちづくりプロジェクト(滋賀)、出上農地・水保全活動組織(鳥取)、愛媛県立北宇和高等学校三間分校地域情報ビジネス部(愛媛)、糸満市地域農地・水・環境保全管理協定運営委員会(沖縄)▽個人部門=小澤善昭氏(石川)、島袋みさえ氏(沖縄)

 
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  大阪でスマート農業推進フォーラム開催/近畿農政局  
     
   近畿農政局は3日、大阪市のグランフロント大阪北館タワーにて「スマート農業推進フォーラム2024in近畿―スマート農業技術は実証から実装へ『みどりの食料システム戦略』関連技術の紹介」を開催した(一部オンライン配信)。
 主催者挨拶した近畿農政局長の相本浩志氏は、10月に施行されたスマート農業技術活用促進法の成立の背景や概要に触れ、新法への理解と活用を求めた。また、みどりの食料システム戦略の推進と併せ、既存の優れたスマート農業技術の横展開を図っていきたいと述べた。
 セミナーでは、(1)スマート農業技術活用促進法について(2)近畿農業に対応したスマート農業技術に関する研究成果の紹介(3)スマートサポートチーム(スマート農業技術活用産地支援事業)の紹介(4)みどりの技術ネットワーク地域会議―に関連した4講演が行われた。
 このうち(2)では「農研機構西日本農業研究センター等によるスマート放牧に関する取組について」をテーマに、農研機構西日本農業研究センター上級研究員の平野清氏が登壇。島根県で行われたスマート農業実証プロジェクト「荒廃農地の再生による環境保全効果と生産性の高いスマート放牧体系の実証」の取り組みを報告した。島根県大田市の三瓶山周辺は、古くから放牧による草地景観が守られ家畜生産が盛んだったが、高齢化などによる農家減少で放牧が維持できず荒廃が進んでいた。そこで同プロジェクトでは、スマート技術を活用して農地を再生し、収益性の高い生産体系を実証する取り組みを実施。まず、新型フレールモア等を活用して荒廃農地を整備し、その後、牧草作付け計画支援システムを使って、放牧期間を最大限延長できるよう草地を造成した。営農においては、GPSガイダンス等による鶏ふんの効率的散布で施肥・草地管理を進めるとともに、放牧牛位置監視システムを導入し、放牧地面積や飼養頭数の増加による労力負担を低減。併せて、自動体重計測システムを用いて放牧牛の正常な発育をモニタリングするなど高度な生産体系を実現し、農研機構が開発したスマート放牧技術と市販のスマート農業対応機器の活用効果を実証した。
 平野氏は生産者の声として「余裕ができて、経営全体へ良い波及効果が出ている」「優秀な飼養管理をしてくれる牛飼い1名に匹敵する効果」などを紹介。また、同プロジェクトの取り組みなどをまとめた『スマート放牧導入マニュアル』を紹介し、実証技術の普及に向けた情報発信にも積極的に取り組んでいるとした。
 続いて(3)では、(株)レグミン開発リーダーの近藤克文氏が「淡路島型スマート防除体系の導入・実証コンソーシアムの取組成果」を報告した。同社は、農業ロボットの研究開発や農作業受託サービスを行っており、講演では、淡路島での自動農薬散布ロボットの導入事例を取り上げた。
 2022年10月に展示会ブースで淡路島の農業コンサルティング会社から相談を受けたことをきっかけに、タマネギから小麦への転換による栽培負荷軽減や、農薬散布ロボットによる作業負担軽減を提案した。
 現地の慣行栽培体系についての情報収集、ロボットに適した作型の共有、ロボットオペレーション指導など1年にわたる準備期間を経て、2023年11月に農薬散布ロボットを納品。その際、エンジニアも派遣して立ち上げを支援した。遠隔による実用サポートなども継続的に行い、2024年5月、サポートなしでの農薬散布を実施、自立操業へとつなげた経緯を紹介した。
 そして、農薬散布ロボットは、タマネギや大豆など様々な品目への適用も可能だとし、今後の普及拡大に強い意欲をみせた。
 一方で、淡路島には急な坂道や狭い道が多く、枕地がなかったり、入口に急な段差がある圃場も多いことから、ロボットの小型化や栽培体系の整備など、さらなる改善が課題であるとした。

 
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  土壌データを見える化/横山商会  
     
   (株)横山商会(横山信太郎社長・石川県白山市横江町5377)は、土壌データを見える化する「らくらく実りくん」を開発、普及を図っている。
 同製品はハウス・畑・果樹などに専用の土壌センサーを埋め込むことで、土の中の状態を確認できるシステム。
 土の中の水分率・温度・EC値を測定し、パソコンやスマホなどでデータをチェックできるようになっている。土に埋め込むセンサーは電池を入れてから1年以上動くため、種まきから収穫までをカバーする。
 年度ごとのデータを比較することで、収穫量アップにつなげ、水分量や肥料管理の量・タイミングを見える化し、若い農業従事者への継承にも役立てる。
 クラウド版とスマホ版の2種類がある。クラウド版は子機で計測したデータを親機へ送信し、親機からWi―Fi経由でクラウドへアップロードする。子機―親機間は長距離通信(最大2〜3キロ)に対応する。
 スマホ版は本機とスマホ・タブレットを接続し、データはiOS版アプリで確認する。自動計測・リアルタイム計測機能を搭載しており、定額料金不要で運用できる。
 同社は10月9〜11日に千葉市美浜区の幕張メッセで開催された日本最大級の農業・畜産の総合展示会「農業WEEK」で「らくらく実りくん」を紹介。会場で同社エレクトロニクスソリューション1部ES1課の岩城みく氏は「これまで人の勘に頼っていたものをデータ化することで、すべての人が対処・改善を行えるようになった。多くの人に製品を知ってもらい、全国に導入していきたい」と話していた。

 
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  マリン事業が60周年/本田技研工業  
     
   本田技研工業(株)(三部敏宏社長)は、1964年に初の船外機を発売してから今年で60周年の節目を迎え、2月に同社として最大出力となる350馬力の新型船外機「BF350」を発売した。11月29日には東京都江東区の夢の島マリーナにて、同社マリン事業の取り組みと今後の方向性について説明会を実施した。現在の4ストロークエンジンによるマリン事業の取り組みや、操船支援システムなど新技術の開発、さらに将来に向けた電動推進機の開発などについての説明を行った。
 説明会では、二輪・パワープロダクツ事業本部パワープロダクツ事業統括部の福田蔵磨マリン部長が「マリン事業60年の歩み」について説明した。
 「弊社は水上を走るもの、水を汚すべからずという信念のもと、軽量・廉価な2ストロークエンジンが主流の時代に、環境にやさしい4ストロークエンジンでマリン市場に参入。1964年、初のHonda船外機となるGB30を発売して以降、様々な機械の動力として使用可能な4ストローク汎用エンジンを独自に進化させ、常に水を汚さない船外機づくりを続けてきた。現在では世界中で2〜350馬力の計25モデルを販売しており、生産台数は219万台に上り、北米・欧州を中心に生活を支える用途から、生活を豊かにする趣味やレジャー用途まで、様々な場面で愛用いただいている」と説明した。
 続いて同マリン開発部マリン研究課の佐藤貴紀アシスタントチーフエンジニアが、新型船外機BF350について説明した。
 同社として最大出力となる350馬力のV型8気筒エンジンを搭載したフラッグシップモデルであるBF350は、高出力と静粛性を両立するとともに、低燃費を実現。豊かなトルクからもたらされる高い走破性に加え、新設計のクランクシャフトを採用することで、高い静粛性・低振動を実現している。同社として初搭載のトリムサポート機能は、リモコンのボタン操作で、船外機の回転数や速度に合わせて、あらかじめ設定した船体姿勢へ自動制御することができ、より簡単で快適な操船を実現する。 佐藤氏は「今後はBF350の技術を水平展開し、2030年までに順次、新モデルの投入を予定している」と説明した。
 マリーナのロビーには展示コーナーが設けられ、BF350をはじめとする同社の船外機の全モデルが展示されるとともに、同社初の船外機GB30と、小型船舶向け電動推進機のプロトタイプが展示され、一般の来場者から注目されていた。
 説明会の後には、BF350と既存モデルであるBF250搭載艇の比較試乗が行われた。

 
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  苗箱並べ機「ベルノBW―Aシリーズ」を拡販/タイショー  
     
   (株)タイショー(矢口重行社長・茨城県水戸市元吉田町1027)が来春需の盛り上がりに期待し拡販を図っている苗箱並べ機「ベルノBW―Aシリーズ」は、集約化の進行とともに規模が大きくなり、労働負担も大きくなっている稲作農家の苗箱並べ作業を軽労化し、効率化をもたらす製品として人気を博している。
 同機は、苗箱をセットするだけで機械が自動でバックし、腰を曲げることなくきれいに育苗施設内に苗箱を並べることができる。一例では、苗箱総数2万箱、1回当たり並べ数1000箱の場合、作業時間は60分から40分と33%の効率化が果たされ、作業人員は8人から3人と、大幅な省人化も達成。その機能は各地の育苗施設から高い評価を受けている。
 電動のため静かに作業が進められ、ハウス内でも排ガスなしのクリーン作業。速度調整コントローラーを備え、安心して作業が開始できる低速から、能率重視の高速まで、作業スピードはオペレータの力量に合わせて思いのままにコントロールできる。また、コンベア部は左右にスライドし、列合わせの際の調整が簡単。ステアリングロッドをダブルに変更したことで、取り回しが良くなり、移動がよりラクになった。コンベア部は折りたたみができるため、移動や収納が便利―など、多くの特徴がある。
 シリーズは、作業能力600〜1200箱/時のBW―2A、同800〜1600箱/時のBW―3A、同900〜1800箱/時のBW―4Aの3型式。重量はそれぞれ115キロ、143キロ、220キロ。DC12ボルト/77ワットの直流モーターで駆動する。オプションとして、機械をガイドに合わせて直線に動かすことができるマーカーMK―1、苗箱を並べると同時に苗箱の下にポリマルチを敷く際に使用するポリマルチ取り付け金具JX―PM―2(BW―2A用)、同3(ほか2型式用)がある。

 
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  車速連動対応の肥料散布機3シリーズ発売/タカキタ  
     
   (株)タカキタ(藤澤龍也社長・三重県名張市夏見2828)はこのほど、肥料散布作業機「MixソーワAGシリーズ」3型式と、「GPS―Sアタッチ」を新発売した。(1)車速連動で無駄なく散布(2)クイック散布モードで狙った場所から散布可能がアピールポイントだ。
 肥料価格が高騰し高止まりしていることから、農家経営を圧迫しているため少しでも資材コストを抑えたい農家に向けて、同機は車速連動機能によって、より均一に肥料散布することができるようになり、肥料の無駄まきを抑えることができる。
 また、GPS―Sアタッチは車速連動機能がないトラクタでも、使えるようになるアタッチで、アタッチの設置方法もトラクタキャビン上などに固定してコントロールボックスとつなぐだけで簡単に設置できる。
 発売したのは、MX1601AG(散布幅は180センチ。適応トラクタ20〜40馬力)/1801AG(同180センチ、25〜50馬力)/2201AGシリーズ(同220センチ、30〜60馬力)。
 主な特徴は、(1)車速連動機能対応=トラクタの速度の変化に合わせて、あらかじめ設定された散布量となるように自動でシャッター開度を調整する車速連動機能が追加。より正確に均一に肥料が撒けるようになり、撒き過ぎによる肥料の無駄も削減する(2)タカキタ独自のクイック散布モード=通常の車速連動機能ではトラクタの動き始めの時、シャッターが開くまでにタイムラグがあり散布できない部分ができてしまう。クイック散布モードではコントロールボックスの「開」ボタンを押すことでタイムラグなく散布を開始できる。また、トラクタの速度を感知してからは通常の車速連動による散布を行う。
 (3)調量機能で、狙い通りの肥料散布=散布前に付属のブルーシートと手ばかりを使って調量することで散布量にばらつきが出やすい有機肥料も、より狙い通りの散布量での散布を実現できる(4)開閉モーターの増設=開閉モーターを2つに増設しシャッターの開閉速度が約1・8倍に上昇。車速連動機能によるシャッター開度の調整に素早く対応。
 〈希望小売価格(税込み)〉 
 ▽MX1601AGシリーズ=89万6500円▽MX1801AGシリーズ=95万7000円▽MX2201AGシリーズ=106万4800円〜107万4700円。

 
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  次世代播種機TRK4000/スズテック  
     
   (株)スズテック(鈴木直人社長・栃木県宇都宮市平出工業団地44の3)が新機構搭載の次世代播種機と位置づけ供給しているのが水稲用の全自動播種機「TRK4000」。床土↓潅水↓播種↓覆土の作業工程をこなし(潅水は播種後潅水に組み換えが可能)、播種量(催芽籾)は、340箱/時(100〜385グラム/箱)、420箱/時(95〜380グラム/箱)。
 近年の多様な播種形態に対応するため、播種ローラーの形状を一新、新形状ローラー「ハイパーロール」搭載により、薄播き、厚播きを問わず、より均一でよりきれいな播種を可能としている。また、土量調節シャッターのハンドルを引くことでシャッターが開放、離すと所定位置に戻る土量調節シャッター固定機構を追加したことにより、土の塊などの詰まりが発生した場合は、ハンドルを引くことで瞬時に詰まりを除去できるようにした。特に覆土作業はシャッター開度が狭く、土詰まりが起こりやすい傾向があるため、同機構は効果的に働く。
 さらに土反射板調節機構は、育苗箱の形状や使用培土によって箱側面への土の入りが少なかったり、こぼれ落ちる量が多かったりする場合でも簡単に調節することを可能にした。播種量の調節については従来の方式を踏襲しており、部品交換などはなく、ダイヤルを回すだけで薄播きから高密度播種(厚播き)まで自在に調節できる。
 オプションのすき間スイッチSMS1は、育苗箱上面の種籾を削減することで端の厚播きを解消、覆土後の種籾の露出や発芽時の細芽を防ぐ。育苗箱のフチに載った余分な種籾を削減し、すき間スイッチは、高密度播種など、播種量が多い時に有効だ。
 同機の主な仕様は次の通り。
 ▽機体寸法=全長5460(格納時:床土部1600、播種覆土部2250)×全幅520×全高1080ミリ▽重量=107キロ▽搬送動力=60ワット/AC100ボルト▽播種動力=30ワット/AC100ボルト▽床土量=2・4〜4・0リットル/箱(15〜25ミリ厚)▽覆土量=0・7〜1・5リットル/箱(3〜9ミリ厚)

 
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  道路沿いの草刈りに「安心トリマーくん」活躍/源平刃物工場    
     
   (株)源平刃物工場(松尾勝彌社長・兵庫県三木市細川町脇川455の121)のトリマータイプ草刈機「安心トリマーくん」が好評だ。これは同社が西日本高速道路エンジニアリング四国(株)と共同開発した製品。小石の飛散が少なく、刃割れが起こりにくいという。
 2枚の波型刃が草を挟み込むように刈り取るバリカンタイプで、作業中の飛び石の危険性が少ない設計だ。
 道路沿いの草刈り作業では小石飛散の防護措置を行うスタッフが必要なため2人一組での作業が必須だったが、同製品を使用すれば省力化が可能になった。
 また特殊鋼材を使用し、同社の熱処理技術で耐久性が向上しているので、金属や石を挟んでも折れにくく、土中の石と擦れ合っても摩耗しにくい。更に刃の着脱と交換が簡単で、刃単体で研磨作業が可能だ。
 松尾社長は「同製品を使用している四国管内の高速道路では、防護措置なしで作業をしている。また国土交通省中部地方整備局の名古屋国道事務所でも平成23年度から導入し、結果としてコストダウンにつながったと聞いている」と述べ、さらなる普及拡大に期待を向けている。
 同社は園芸、農業用機械刃物専門メーカーで、炭素工具鋼(SK鋼)や合金工具鋼(SKS鋼)をはじめ、特殊鋼の熱処理技術に定評がある。手打鎌の製造時から脈々と受け継がれる焼き入れ技術に、近代的な熱処理技術を付加した独自の技術を有し、農機にもその技術が活かされている。

 
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  1月17日にオンラインイベント/クボタ  
     
   (株)クボタ(北尾裕一社長)は、農業経営者や農業関係者とともに日本農業の現状とこれからを考える機会のひとつとしてオンラインイベント「GROUNDBREAKERS」を2025年1月17日に開催する。
 同社は、一人でも多くの生産者とつながり、交流できる場として、オンラインのコンテンツ配信イベント「GROUNDBREAKERS」を開催してきた。2021年1月以降、過去5回の開催で延べ4万を超える生産者が参加、たくさんの反響が寄せられている。
 「―日本農業の未来へ―」、このイベントを通じてより多くの人とつながり、クボタの日本農業への想いを届けるとともに、農業関係者たちが集い、「より良い農業」「より良い社会」の実現に向けて、日本農業のこれからを共に考える機会を創出することを狙いとしている。
 〈今回の主なポイント・見所〉
 万博イヤーでもある2025年。食と農の未来を考え、行動を起こしていくのにふさわしい1年である。それを受けた今回のイベントのテーマは「Arise」。農業を取り巻く環境が大きく変わる中で、未来のために立ち上がる農業者にフォーカスすることで、農業の最前線を知り、農と食に関わる人々が共に未来を考え、行動するきっかけとなるような様々なコンテンツを用意した。
 さらに同日には、クボタの新商品発表もオンライン配信。2025年の新商品を一挙に紹介するほか、スマート農業の最新取組事例や研究開発現場の潜入映像も届ける。
 〈コンテンツ概要〉
 □ハワイに新規拠点を設立し、さらなる輸出拡大に取り組む!クボタ米輸出事業
 □Socity5・0が目指す農業の姿とは?小島よしおさんと考える大阪・関西万博〜未来の食と農〜
 □2025年に皆さまと共に考えたい!興味関心にあわせて選択、視聴できる多様なコンテンツ
 □不連続な変化の先に描く、食と農の未来図とは?2025年の農業・農村を考える討論会
 □カッチャレンジャークラブと学ぶ!明日から取り組む農作業安全
 □ビジネス映像メディア「PIVOT」コラボコンテンツ!消費者から選ばれ続ける仕組みを作る「農業マーケティング最前線」
 □進化を続けるKSAS最新情報をお届け!農業経営課題の解決に向けたKSASの注目機能実演
 □土を知れば、農業が、環境が見えてくる。土壌学者・藤井一至先生出演『大地を覆う謎の物質!?「土」から考える農業と環境』
 □壁を乗り越え、自分らしく農業経営をするには?女性農業者座談会
 ▽同日13:00〜14:00開催!2025年の新商品をクボタ社員が紹介する新商品発表&「TIMELESS TECHNOLOGY」を生み出すクボタの研究開発の取材映像
 チャット機能を使ったコミュニケーション、プレゼントがあたるアンケートなどの企画も準備中。
 ▽参加方法=開催日時2025年1月17日(金)14:00〜17:00(入退場自由)。
 同日13:00〜14:00で新商品オンライン発表も開催する。 
 ▽申し込み=https://agriculture.kubota.co.jp/special/groundbreakers/

 
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  気候変動アクション環境大臣賞を受賞/誠和、佐賀市  
     
   (株)誠和(大出浩睦社長・栃木県下野市柴262の10)は、「令和6年度気候変動アクション環境大臣表彰」を佐賀市と共同受賞した。2日には東京都中央区の浜離宮朝日ホールにて表彰式が行われ、誠和の大出社長と佐賀市政策推進部バイオマス産業推進課の江島英文課長が出席し表彰された。
 気候変動アクション環境大臣賞とは、環境省が気候変動対策推進の一環として、気候変動の緩和及び気候変動への適応に顕著な功績のあった個人・団体を称えるもの。
 同社と佐賀市による取り組みである、廃棄物をバイオマス資源化する循環社会を作るエネルギーソフトウエアの開発が受賞し、表彰は共同受賞となった。
 佐賀市は清掃工場から出る二酸化炭素分離回収設備を追設することでCO2を資源化し、清掃工場周辺に農業用ハウス事業者を誘致して利活用する循環経済を作っており、地域のCO2排出量削減と農業振興を両立させている。その取り組みを日本各地に普及させるため、2022年から誠和と共に「清掃工場と農業用ハウスの連携による資源循環がもたらす環境価値と経済価値を可視化できる施設園芸エネルギーデザインシステム」を開発した。そのソフトウエアを活用し、清掃工場と農業用ハウスによる資源循環の実現可能性調査から、新たな農業用ハウスの建設まで総合的に支援するディベロッパー業務を担い、工場と農業が連携する循環社会を創造していく。
 受賞に際し佐賀市の江島課長は「誠和さんの全面的サポートのおかげで受賞できた。今後も一緒になって取り組みを広げていきたい」と語った。
 大出社長は「我々の取り組みが認められうれしい。しかし賞を取って終わりではなく、佐賀市の取り組みを日本全国に普及していくことが我々のミッション。今後も気を引き締めて頑張っていきたい」と意気込みを語った。

 
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  紙マルチ田植機モニター募集/三菱マヒンドラ農機  
     
   三菱マヒンドラ農機(株)(齋藤徹社長・島根県松江市東出雲町揖屋667の1)は、まだ紙マルチ田植機を使ったことがない有機米生産者に向けて、紙マルチ栽培の良さを実感してもらうためのトライアルモニターキャンペーンを実施する。 
 キャンペーン概要は次の通り。
 有機米の栽培に取り組んでいる担い手の方で、田植え準備から田植え、除草、育成状況、収穫、新米販売までの一連の過程の感想をSNS等で積極的に情報発信をしてもらえる農家を対象に、抽選で30名に最大3反分の「紙マルチ資材」と「紙マルチ田植機での田植え作業」を無償サポートするキャンペーン。
 ▽応募期間:2025年1月31日まで
 ▽キャンペーン詳細:https://www.mam.co.jp/campaign_taueki/

 
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  無人レンタカー店「アクスポ」展開/アクティオ  
     
   (株)アクティオ(小沼直人社長・東京都中央区日本橋3の12の2)はこのほど、建設車両の無人レンタルサービス「アクスポ」を静岡県下田市のアクティオ下田出張所に新たに開設した。365日24時間いつでも自由に利用可能な同サービスは、ユーザーの利便性を向上し、業務の効率化への貢献が期待されている。
 現在、様々な業界で人手不足が深刻化しており、業務効率化とそれに伴う労働者の就業環境改善は喫緊の課題となっている。建設業界でも長時間労働が常態化しており、2024年問題に対応するため、さらなる作業の効率化や省人化が求められている。
 「アクスポ」は、建設車両のレンタルを無人化することで、ユーザー利便性を高め、業務の効率化や生産性の向上に貢献する事業として新たに展開をしていく。 また、土日・祝日の無人出庫対応など、全国へ「アクスポ」の無人化システムを横展開していくことで、従業員の就業環境の改善も図っていく。
 アクスポを利用するには、まず展開している営業所へ問い合わせし、事前登録を行い、電話で車両を予約し利用可能になる。貸出日、返却日は24時間365日、自由な日程を選択可能。予約後にキーの受け取り権限が付与され、予約指定日時に会員カード・QRコード及び免許証をタッチし、鍵管理機から指定キーを取り出し車両レンタルができる。返却時は鍵管理機に会員カード・QRコード及び免許証をタッチしてキーを返却する。
 同社は既に、北海道函館市、茨城県石岡市、鳥取県米子市などにアクスポを出店しており、今後も全国への順次拡大を予定している。

 
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  水素燃料発電システム納入/ヤンマーエネルギーシステム  
     
   ヤンマーホールディングスのグループ会社であるヤンマーエネルギーシステム(株)は、(株)JERAの袖ケ浦火力発電所構内に水素燃料電池発電システムなど計3機を納入した。JERAと東宝(株)が推進する「24/7カーボンフリー電力」の実現に向け、水素燃料で発電するカーボンフリーな電力を供給する。
 今回、分散型電源として、100%水素燃料で運転する水素燃料電池発電システム2機と水素専焼エンジン発電システム1機を納入し、水素燃料を活用して消費電力のCO2ゼロエミッション化に貢献するカーボンフリーな電力供給を実現した。この電力は、JERAの太陽光発電システムによる再生可能エネルギーと合わせて、国内最大規模の撮影スタジオである「東宝スタジオ」(東京都世田谷区)で使用される。また、JERAが収集した電力需要データや発電量予測をもとに、ヤンマーのエネルギーマネジメントシステムで水素発電の自動制御を行い、エネルギー利用の効率化に貢献する。
 ヤンマーエネルギーシステムは、岡山県に設置した水素関連実証施設「YANMAR CLEAN ENERGY SITE」で水素燃料電池発電システムの実証を進め、2024年8月に商品化を発表した。
 同社は「今後も、本システムを通じて、お客さまの脱炭素への取り組みに貢献するエネルギーソリューションの提案を進めてまいります」としている。
 〈納入案件概要〉
 ▽納入機器=水素燃料電池発電システム「HP35FA1Z」 35キロワット×2G社製水素専焼エンジン発電システム 320キロワット×1機ヤンマーエネルギーマネジメントシステム▽納入場所=JERA袖ケ浦火力発電所構内(千葉県袖ケ浦市中袖2の1)▽稼働開始日=2024年11月29日

 
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  高圧太陽光発電に取り組む/ヤンマー  
     
   三井住友ファイナンス&リース(株)(以下「SMFL」)の戦略子会社、SMFLみらいパートナーズ(株)とヤンマーホールディングス(株)およびヤンマーエネルギーシステム(株)の3社は、バーチャルPPAの仕組みを活用し、PPAでは国内最大規模となる150メガワット(直流容量換算)の再生可能エネルギーの供給に関する基本合意契約を締結した。
 今般、SMFLみらいパートナーズとヤンマーエネルギーシステムの2社は、ヤンマーホールディングスへの再生可能エネルギーの供給を目的に、共同出資による合同会社(以下「発電事業SPC」)を設立した。
 第1期として、高圧太陽光発電所9カ所(計1・9キロワット)を取得し、発電所から生み出される追加性のある環境価値を、アグリゲーターを通じて、ヤンマーホールディングスへ2024年12月より供給する予定。今回の取り組みにおいて、SMFLみらいパートナーズは需要家が未確定の状況下においても、先行して太陽光発電所の開発に着手していたことから、ヤンマーホールディングスへ短期間で追加性のある環境価値を提供できた事例となる。
 共同3社は、2030年度までに全国で150MWの電源開発に取り組む。今後もヤンマーホールディングスが掲げる「YANMAR GREEN CHALLENGE2050」の達成を目指すとともに、ゼロカーボン社会の実現に貢献していく。
 〈ヤンマーグループの取り組み〉
 ヤンマーグループでは、持続可能な社会を目指し、「YANMAR GREEN CHALLENGE 2050」を推進している。昨今では、再生可能エネルギーによる発電所を「YANMAR ENERGY FARM(ヤンマーエナジーファーム)」として自社運営している。

 
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  乾燥機清掃を効率化、27日までキャンペーン/静岡製機  
     
   静岡製機(株)(鈴木直二郎社長・静岡県袋井市諸井1300)は、1914年に創業以来、今年で110周年を迎えた。これを感謝し、今年は様々なキャンペーンを展開してきたが、12月27日までの間は、同社主力商品である循環型乾燥機TCZシリーズを対象とした記念キャンペーンを実施中だ。
 内容は、期間中に同シリーズ乾燥機を購入し、設置・組み立てが完了した農家ユーザーには乾燥機の掃除にベストマッチのブロワーをプレゼントするというもの。
 TCZシリーズは、乾燥機を長く利用してもらうにはこまめな掃除が重要との観点から、掃除機能を充実させており、具体的には(1)中段排風路(L30石〜100石)が簡単に取り外せるため乾燥機の内部を掃除できる(2)上段傾斜板(S11〜17)、上段側板傾斜板(18石〜M30石)の傾斜板が簡単に取り外せるため乾燥機内部が掃除できる(3)流穀筒の残粒が溜まりやすい場所は簡単に取り外し可能(4)昇降機下部は工具がなくても簡単に引き出せる―構造にしており、プレゼント品となるブロワーを活用すれば、さらに効率的に掃除が行き届くことになる。
 キャンペーンは、納品組み立て完了時に記入する「保証書・据え付け・安全説明カード」を同社に提出した時点でカウント・確認する。
 同シリーズのうち、今年3月から出荷を開始したTCZ―Sシリーズ(9〜17石)は、遠赤タイプ(ES)と熱風タイプ(GS)があり、使いやすく選択可能な作業機能、新型コントロールボックス採用によるICT技術との連携、QRコードによる情報提供―などを商品コンセプトに開発したもので、同社独自の遠隔モニタリングシステム「SSDM」を標準搭載、乾燥機の運転状態をスマホなどの端末で確認できるため、収穫作業中、あるいはトラブル発生時も状態を確認でき、より効率的な乾燥調製作業を可能にする(別途通信契約が必要)。
 また、タッチパネルに表示されるQRコードを読み取ることで、同社からの刈り取りや乾燥に関する情報を入手。ディーラーに対しては、異常発生時に、QRコード読み取りで詳細な対処方法を閲覧できるようにしており、よりスピーディーなメンテナンス対応ができるなど、通信技術の活用を進めるとともに、使いやすさに加え、安全性にも様々な配慮を施している。

 
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  社員が技能士会で会長賞受賞/井関農機  
     
   11月27日に行われた愛媛県職業能力開発促進大会(愛媛県職業能力開発協会主催)において、井関農機(株)(冨安司郎社長・東京都荒川区西日暮里5の3の14)の社員が検定職種農業機械整備(農業機械整備作業)で、愛媛県技能士会長賞を代表で受賞した。
 「令和5年度後期技能検定」にて、1級資格取得者のうち優秀成績者に贈られるもの。今回は井関グループとして農業機械整備1級2名(うち1名は代表受賞)、金属塗装2級1名が受賞した。
 この大会は職業訓練及び技能検定等職業能力開発関係者が一堂に会し、相互の連携を深めるとともに、功労者等の表彰により職業能力開発の重要性を広く一般に周知することで、職業能力の一層の開発・向上と技能尊重の社会的気運の高揚を図るために、毎年開催しているもの。
 井関農機では、多様な人材が活躍できる職場づくりへの取り組みとして、幅広い知識と技能を習得する専門研修施設での研修プログラムの実施や各種技能検定取得、技能五輪全国大会出場へのサポートにも取り組んでいる。

 
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  インバーター発電機PR/デイトナ  
     
   (株)デイトナ(織田哲司社長・静岡県周智郡森町一宮4805)は、各地で開催される農林業機械の展示会でインバータ発電機のPRを進めている。8月29〜31日に山形県山形市の山形ビッグウイングで開催された「第99回やまがた農業まつり農機ショー」(山形県農機協会など主催)ではDAYGENE3600eなどを並べた。
 DAYGENE3600eは発電量3600VAの頼れるビッグサイズ。セルスタータを装備しているので、リモコン操作一つで簡単にエンジンの始動や停止ができる。リコイル式の始動が不安という人にもやさしい設計だ。
 重量はオイル・ガソリンなしの状態で34・5キロ。燃料タンクは7・2リットル。稼働時間は7時間。キャスター付きで簡単に運搬でき、約160点のリペアパーツで万一の修理時も安心だ。
 同社のインバータ発電機には、この他、発電量2700、1900、1700VAとラインアップしている様々な型式を揃えている。
 インバータ発電機は10月20、21の両日に福井県勝山市で開催された「2024森林・林業・環境機械展示実演会」(一般社団法人林業機械化協会と福井県の共催)でも出展し、アピール。数多くの来場者の関心を引いた。

 
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  米の現状説く無料POPデータを提供/アサヒパック  
     
   (株)アサヒパック(山澄正一郎社長・大阪府大阪市住吉区上住吉1の4の2)はこのほど、上昇した米の価格が下がらない要因およびそれでも米は経済的な食品であることを説明するPOPデータを、スーパーなど米を店頭で販売する小売業者に向け、無料で配布することを明らかにした。
 同社は米袋専門メーカーで、取引先向け企画として価格例を掲載したPDFデータを個別に配布していたが、掲載価格を変更することで広く活用できる、打ち替え可能なWordデータと併せて無料公開にしたもの。POPデザインは3種類あり、いずれも「米の価格が下がらない要因」とともに、「それでもお茶碗1杯約53円の米は経済的」とアピールする文言を入れている。
 同社は、米の価格上昇で、「値段が下がるまで買い控えしている」あるいは「いつもは5キロ買うが今は2キロ」という消費者の事情があり、一方、生産者側からは「ようやく持続可能な適正価格に戻った」の声が聞かれる状況下、米の現状に対する理解が少しでも得られるよう尽力していくとしており、今回のPOPデザイン無料公開もその一環になる。
 POPデータは、同社公式サイト内の専用ページからダウンロードできる。

 
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  5大ニュース発表、1位は基本法改正/JA全中  
     
   JA全中の山野徹会長は5日の定例会見で、令和6年の農業・JAグループに関する5大ニュースを発表した。改正食料・農業・農村基本法の成立や、適正な価格形成の重要性が高まったことなどをあげた。
 5大ニュースは(1)「改正『食料・農業・農村基本法』の成立」(2)「『適正な価格形成』の重要性高まる」(3)「相次ぐ自然災害の発生」(4)令和7年「国際協同組合年」への機運高まる(5)「第30回JA全国大会」を開催。
 1位の改正基本法の成立については、「食料安全保障の確保」が目的に加えられたことをはじめ、「適正な価格形成」の実現につながる記載や、「多様な農業者の位置付け」など、JAグループの声が、概ね反映されることとなったと評価した。
 2位の適正な価格形成の重要性については、「ウクライナ情勢や急激な円安により端を発した、肥料・飼料・燃料などの営農に必要不可欠な資材価格の高騰・高止まりは、依然として続いており、まさに生産現場は正念場となっている」と、厳しい状況が続いていることを述べた上で、「米の品不足は解消されたが、過年度と比較し、米の販売価格は上昇している。我々生産者やJAグループは、持続可能な生産を実現するため、コスト増加分を販売価格へ反映していかなければならない状況にあるが、販売価格が上がり続ける状況を望んでいるわけではない」と米価の上昇に言及。「私たちは、国消国産の考えのもとで、適正な価格形成の実現を目指していく」とした。

 
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  「ごはん・お米とわたし」コンクール受賞者発表/JA全中  
     
   JA全中(山野徹代表理事会長)は2日、第49回「ごはん・お米とわたし」作文・図画コンクールの各賞を決定のうえ発表した。これは小・中学生を対象に、毎日のごはんでおいしかった思い出や、家族とのコミュニケーションなど「ごはん・お米」にまつわる作文・図画を募集し、優れた作品を表彰するもので、昭和51年から開催し、JAグループが推進する「みんなのよい食プロジェクト」の一環として実施している。今回の応募点数は作文部門2万7609点、図画部門4万1104点で、審査の結果、内閣総理大臣賞(2名)、文部科学大臣賞(6名)、農林水産大臣賞(6名)、全国農業協同組合中央会会長賞(6名)、他各賞が決定した。表彰式は、来年1月11日午後2時から、都内台東区の浅草橋ヒューリックホールにて開催される。各賞の内容は次の通り。(敬称略)
 【内閣総理大臣賞】
 〇作文=当たり前のご飯のありがたさ(青森県・青森市立浦町中学校2年・若宮遙希)
 〇図画=おこめのさと(京都府・木津川市立恭仁小学校1年・山岡彩葉)
 【文部科学大臣賞】
 〇作文=ごはんだいすき、たんぼだいすき(和歌山県・那智勝浦町立市野々小学校1年・山崎媛)▽お茶わんいっぱいの幸せ(茨城県・常陸太田市立峰山小学校5年・笠原穂)▽父から教わるお米学(広島県・東広島市立八本松中学校3年・前原ひまり)
 〇図画=おすしだいすきだな(青森県・青森市立筒井南小学校2年・櫛引小京)▽田んぼのカエルさがし(大阪府・茨木市立山手台小学校5年・岩崎青志)▽炊き立てごはんと私の日常(千葉県・成田高等学校付属中学校3年・湯田さくら)
 【農林水産大臣賞】
 〇作文=おこめがくれているしあわせな時間(宮崎県・宮崎市立西池小学校2年・小山紘誠)▽大変な中で分かったこと(石川県・能登町立宇出津小学校4年・重國愛奈)▽お米から広がる可能性(茨城県・茨城大学教育学部附属中学校2年・園部柚玲彩)
 〇図画=みんなでたべるとおいしいおすし(群馬県・太田市立北の杜学園1年・吉田薫)▽きたきた稲刈りコンバイーン(長崎県・諫早市立真城小学校5年・梅崎風駕)▽今日の朝ごはん(滋賀県・愛荘町立秦荘中学校2年・藤井華)
 【全国農業協同組合中央会会長賞】
 〇作文=みんなえ顔なおにぎり作り(奈良県・桜井市立織田小学校3年・西村莉子)▽生きものマーク(東京都・東京農業大学稲花小学校4年・滝澤まほろ)▽国道五三号線を使ったお米魅力旅の提案(岡山県・岡山理科大学附属中学校1年・内田佳穂)
 〇図画=ひいばあちゃんとおにぎりつくったよ(奈良県・広陵町立広陵西小学校1年・鳥谷蒼汰)▽初めて!飯ごうのごはん(埼玉県・加須市立加須小学校5年・松本倫太朗)▽一番大きなおむすび作るぞ!(宮崎県・都農町立都農中学校3年・坂口由安)
 作文で内閣総理大臣賞を受賞した若宮遙希さんの作品(別掲)は、「物語を読むような秀作。冒頭の一文で読み手を惹きつけ、二文目から物語のページをめくっていくように、出来事が綴られる。母との短い会話や米研ぎの擬音が、当時の筆者の心情や表情、それぞれの場面の空気感を読み手に想像させる。一文を簡潔に表現したことも、ドラマのナレーションの様な効果を生む。終末、題を説明する一文で物語が完結する妙」と高く評価された。

 
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  太陽光発電と栽培テーマに研究会/農業電化協会  
     
   農業電化協会(庄子和博代表理事)は来年1月31日まで、オンデマンドによる第60回農業電化研究会を実施している。
 基調講演では、農林水産省農産局技術普及課生産資材対策室の土佐竜一室長が「農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律について(スマート農業技術活用促進法)」解説。九州電力(株)エネルギーサービス事業統括本部営業本部の榊原紀孝営業部長が「農業分野のカーボンニュートラル実現〜キーワードは電化による付加価値〜」を講演している。
 また、地区の研究発表として(1)中部電力(株)技術開発本部電力研究所バイオグループの鈴木伴英研究副主査による「日射制御可能な営農型太陽光発電の牧草栽培への活用」(2)(株)四国総合研究所電子アグリ技術部アグリバイオグループの吉田和貴研究員による「カーボンニュートラル実現に向けた葉菜類栽培への太陽電池の適用研究(第1報) ソーラーパネル下での葉菜類の栽培特性と緑色LED光の応用」が報告されている。ここでは地区研究発表の概要をみる。
 (1)については陰性植物だけでなく陽性植物でも営農型太陽光発電の展開が必要、農地法で定められた収量の確保(減収2割未満)と売電収入の両立に課題があるとの観点から、可動式の太陽光発電設備を試験圃場(牧草地)に設置し、大規模生産が可能な牧草を栽培、品質や収量への影響を評価した。牧草を選定したのは省力的な栽培管理が可能で、飼料の自給生産が求められているなどの背景があるため。
 試験は岐阜大学農場内の牧草地に太陽光発電パネルを設置、パネルの角度によって遮光率を変え、対照区との差異を見た。夏作ではスーダングラス、冬作はイタリアンライグラスを用い、1番草、2番草の収穫量と発電量を比較した。その結果、太陽追尾の可動式PV区では、積算日射量が対照区と比べ半分程度になり、収量は6割程度(2番草の再生に影響し低下)。発電量は、太陽追尾は-10度固定と比較して14%程度増加した。一方、太陽逆追尾では、積算日射量が対照区と比べ75%程度で、遮光率27%では積算日射量が60%程度になるが、収量については有意差はなかった。発電量は、遮光率27%の可動PVは太陽逆追尾可動PVの1・7倍となった。今後は、収量と発電量のバランスを見つつ、最適なパネル設置の方法を検討していく。
 (2)はソーラーシェアリングを検討する上では、ソーラーパネル下の日射量が作物の生育や収量に及ぼす影響を見極めることが非常に重要との観点から、半陰性植物のコマツナと陰性植物のミツバを使ってソーラーシェアリングへの適用可能性について調査した。試験は2項目で、「模擬ソーラーパネル下での葉菜類栽培試験」は、温室内の上方に遮光シートを用いた模擬ソーラーパネルを設置(高さ2メートル)。遮光度が異なる3試験区を作成し、各処理区の日射量、生育データを測定した。
 コマツナは遮光に応じて葉数、草丈、葉長が減少、乾物重量もそれに応じて大きく減少した。一方、ミツバは遮光によって葉数は減少したが、草丈、葉長は遮光につれ増加し、乾物重量はわずかの減少で2分の1遮光区でも減収は2割程度(農用地転用条件)に収まった。コマツナは積算日射と収量に強い正の相関がみられたが、ミツバは相関がほとんどみられず、ミツバの生育には温度など日射以外の要因が影響している可能性がある。
 もう1つの試験項目「低日射条件下での緑色光照射試験」では、日射量が減少するパネル下でも収量低下を改善できる栽培技術について検討するため、低日射条件下での緑色LED光照射が葉菜類の生育に与える影響を調べた。方法は、温室外側に遮光率40%の遮光幕をかけ、低日射条件を再現。上方1・5メートルに緑色光照射を夜間22時から24時に行う緑色LED区と、対照区での比較試験を実施、生育データをとった。コマツナでは、緑色光処理により、根の活性が高まる傾向がみられたものの、生育、収量に効果はみられなかった。ミツバは緑色光の照射で草丈が増加、地上部の乾物重量も増加した(12〜18%もの収量増加、目視でも生育の違いを確認)。
 まとめとして、(1)コマツナの場合、ソーラーシェアリングの適用は3分の1以下の遮光に抑える必要がある(2)ミツバは2分の1遮光区でも2割程度の収量減に留まり、低日照下でも緑色光の照射で15%ほどの増収効果が期待できる―ことから、ミツバは緑色光を用いることで収量を維持できる可能性があると示唆した。これらにより、陰性植物はソーラーシェアリングへの適応が可能と考えられ、緑色光を用いることで、収量を維持できる可能性が示されたとしている。今後は、実際にフレキシブルソーラーパネルを温室のビニール被膜内側に設置し、システム設計に必要な基礎データを収集する。

 
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  令和6年度実演展示会を開催/埼玉県農業機械化協会  
     
   埼玉県農業機械化協会は4日、鴻巣市の農研機構農業機械研究部門附属農場で、令和6年度農業機械実演展示会を開催した。会場では、(株)ヰセキ関東甲信越、金子農機(株)、(株)関東甲信クボタ、日本ニューホランド(株)、エム・エス・ケー農業機械(株)、ヤンマーアグリジャパン(株)による実演展示が行われ、県内の農業者をはじめ、農業大学校の学生やJA全農の職員などが多数参集。メーカー担当者らと熱心に情報交換を行っていた。
 実演会場となった圃場では、各社が順番に実演を行って展示農機をアピール。希望者には試乗も実施した。
 日本ニューホランド(株)は、汎用性の高いトラクタ「T5.140DC」を出展した。ヰセキ関東甲信越は、ロボットトラクタ「TJW1233」とディスクハロー「ID2000」を実演して、スピード感のある操作をみせた。
 金子農機は、乾燥機用集塵機、籾がら収集機、穀物乾燥機の選別オプション「草の実トレンダー」、色彩選別機を紹介。「草の実トレンダー」は5月に商標・特許を取得したとアピールした。
 エム・エス・ケー農業機械は、小橋工業(株)のローラーと(株)トプコンの自動操舵システムを搭載したマッセイファーガソン社製の大型トラクタ「MF5S125EXD6」を紹介。
 ヤンマーアグリジャパンはロボットトラクタ「YT5114R」とラジコン草刈機「YW500RC」を実演し、トラクタを無人で走らせた。
 関東甲信クボタは乗用管理機「NR23FM」とロボットトラクタ「MR1000AH」を実演した。乗用管理機は4WSで小回りが利くことなどが紹介され、多くの参加者の興味を引いた。

 
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  獣害対策装置を開発/岡山理科大  
     
   岡山理科大は11月26〜28日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された「アグリビジネス創出フェア2024」(農林水産省主催)で、山梨県の(有)ティ・エム・ワークスと共同開発している獣害対策装置「くまドン」と「鹿ソニック」を紹介した。
 「くまドン」はAI技術と高周波威嚇を組み合わせた最新のクマ対策センサー。AIがクマを検知し、高周波で撃退する仕組みだ。
 低周波音を利用し、範囲内に接近したクマやイノシシを撃退することで、人が暮らす場所と動物との住み分けができるようになる。農地やキャンプ場など様々な場所で活用でき、イノシシにも効果がある。
 AI動体検知カメラを接続することにより、赤外線センサー仕様と異なり、草の揺らぎなどでの誤検知をなくした。これにより市街地での使用を可能にした。
 2019年から北海道内で継続的な実証実験を行っており、効果を確認している。電気柵や鉄柵などと併用することでさらなる効果が期待できる。
 「鹿ソニック」は、人間には聞こえにくい音を発生させることで動物に警告する装置。照射距離50〜70メートルの「鹿ソニック」と同100〜150メートルの「ハイパー鹿ソニック」の2つのシリーズがある。
 シカと自動車、列車などとの衝突事故を減らすため、ティ・エム・ワークス社独自の高周波技術によるロードキル対策製品として開発。各地での試験採用において高評価を得た。
 現在は、鉄道や空港、高速道路など全国の様々な場所で活用されている。農業、漁業、キャンプ場、ゴルフ場、ゴミステーションなど各方面に合わせた製品へと展開。シカだけでなく鳥やクマ、イノシシ、サルなどにも活用できるように効果を実験中だ。
 農林水産省の「全国の野生鳥獣による農作物被害状況について」によると、2022年度の野生鳥獣による農作物被害額は156億円にものぼるという。そのうち約7割がシカ、イノシシ、サルによる被害となっている。また、22年度の森林の被害面積は全国で年間約5000ヘクタール。シカによる被害が約7割を占めている。
 同大研究社会連携機構特担教授の辻維周氏は「鹿ソニックは自家用車にも使える。野生生物との衝突事故を減らし、安心安全な暮らしを実現できるよう、これからも研究を続けていく」と話した。

 
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  立木取引の場を構築/林業機械化協会  
     
   一般社団法人林業機械化協会(島田泰助会長)はこのほど、一般社団法人国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会とともに取り組んできた立木取引システム(マッチング)の場の構築や整備の成果として、立木販売物件を掲載し、一般公開した。今後、順次物件を追加掲載していく予定だ。2日にWebサイトの公開を始めた。掲載物件の詳細の閲覧にはユーザー登録が必要となる。同協会では、立木取引システムの取り組みがよく分かるように「立木市場リーフレット(ver1、2)」を作成し、周知に努めている。
 今回、林業機械化協会が取り組んだ立木取引システム(マッチング)の場の構築や整備は、林野庁の補助事業である「顔の見える木材供給体制構築事業」で進められた。一般社団法人国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会とともに取り組んだ。
 立木取引システムとは、持続可能な森林経営に向けてオープンな立木価格形成を目指す取り組み。特に、皆伐された森林の大半が再造林されず、「持続可能な森林の取り扱いが確保されていない現状」の中、新しい木材取引の仕組みとして提案されたのが今回の立木市場の導入だ。
 林業機械化協会が普及啓発のため作成した「立木市場のリーフレット(ver1、2)」によると、持続性の確保に向けた新しい仕組みである木材取引は、(1)虫食いや腐れといった物件の劣化がないため、契約が成立しない場合でも売り急ぐ必要がない(2)持続性が確保された木材以外は使わないとの価値観の共有が進み立木市場での取引が拡大することで再造林率の改善に寄与(3)再造林の実施が担保されている木材が買受者にとって新しい価値・商機を提供―などのメリットがある。特にこれまで複雑でわかりにくといわれてきた木材の流通に需要者からの声に応える形が生まれることが期待されている。
 こうした立木販売を促進するために協会ではWebサイトを作成し、周知を図ろうとしている。立木取引システムについて取りまとめている同サイトでは、システムの概要をはじめとして、物件情報、出品申込、買受申込、運営機関、問い合わせの項目を設置し、マッチングの場としての機能を果たす。2日に一般公開を開始した同サイトでは、立木取引物件を掲載し、運用をスタートさせた。
 閲覧にはユーザー登録が必要。同サイトにある「お問い合わせ」のフォームからユーザー登録を希望する旨のメールを送信すると、管理者からIDとパスワードが送付される。
 URLは、https://www.rinkikyo.or.jp/ryuboku/となっている。
 問い合わせは、同協会(TEL03・5840・6217)もしくは国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会(TEL03・6240・0880)まで。

 
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  林野関係は1416億円に/令和6年度補正予算  
     
   令和6年度の林野関係補正予算は、公共、非公共と合わせて1415億9900万円となった。このほど閣議決定された。公共事業1179億8900万円、非公共事業236億1000万円という内訳の6年度補正予算は、(1)新基本計画推進集中対策(食料安全保障の強化に向けた構造転換対策)(2)「総合的なTPP等関連政策大綱」に基づく施策の実施(3)持続可能な成長に向けた農林水産施策の推進(4)防災・減災、国土強靭化と災害復旧等の推進を4つの柱として構成。
 17億円を計上した燃油・資材の森林由来資源への転換等対策として、木質バイオマスの収集・運搬の効率化、廃菌床と家畜の敷料に活用する「林畜連携」の取組支援を打ち出した他、大きな柱であるTPP等関連政策大綱に基づく施策では、一部公共を含む、459億円規模の「林業・木材産業国際競争力強化総合対策」を実施。
 路網の整備・機能強化、再造林の低コスト化、高性能林業機械の導入などを支援する「林業・木材産業の生産基盤強化」をはじめ、林業機械の自動化・遠隔操作技術の開発・実証等を進める「林業のデジタル化・イノベーションの推進」とともに、補正で初めて「建築用木材供給・利用の強化」を盛り込んだ。
 そして昨年度から一つの柱として進めている花粉症対策を昨年とほぼ同様の内容で盛り込んだのをはじめ、森林病害虫等被害拡大防止緊急対策として7億円を計上。令和4、5年に比べ1・2倍に被害が拡大している松くい虫やナラ枯れの被害木駆除を推進する。

 
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  15の研究成果発表/森林利用学会  
     
   森林利用学会(岩岡正博会長・東京農工大学)は1、2の両日、石川県下で第31回学術研究発表会・現地見学会を開催した。初日に金沢市文化ホール3階大会議室での学術研究発表会を対面とWebinar併用で行ったほか、翌2日目は、石川県小松市にあるコマツ粟津工場を見学し、ベースマシンはもとよりロングリーチグラップルやICTハーベスタなどの各種の高性能林業機械を取り扱う同社の取り組み、方針、今後の展開などの共有を図った。
 初日に行われた第31回学術研究発表会は、岩岡会長の挨拶に続いて開会、4つのセッションが設けられ、セッション1は三重大学の板谷明美氏、セッション2は森林総合研究所の中澤昌彦氏、セッション3は森林総合研究所の伊藤崇之氏、セッション4は森林総合研究所の吉田智佳史氏が進行役となる座長を務めた。
 研究発表終了後、総合討論を行い、問題を掘り下げて、現状を共有した。4つのセッションを合わせ、学生会員による発表を含めて計15の研究成果の報告が行われた。発表された研究課題は各セッションごとに次の通り。発表者の氏名は敬称略。
 【セッション1】
 ▽団地単位での合理的な配置・規格選択に基づく幹線整備量の推計(渡部優・岩手大学大学院)▽低密度植栽を行った林齢50年生ヒノキの樹幹解析と非破壊強度の測定結果(横田穣・高知大学農林海洋学部)▽森林作業効率向上に関する分析と日本における実証事例からの提言:台湾への適用可能性の検討(劉建志・高知大学大学院)▽モンゴルにおける日本の林業機械を考慮した枯死木未利用材利用可能量推計(高木幹太・宇都宮大学農学部)
 【セッション2】
 ▽大径材利用に関する研究―相対幹曲線式を用いた幹直径の推定―(竹嶋一紗・高知県森林技術センター)▽航空レーザ計測データを活用した地位指数曲線と地位指数マップの作成(大矢信次郎・長野県林業総合センター)▽タフネススマホとハンディGPSの測位精度比較(小林裕之・富山県森林研究所)▽仮想森林環境における深層学習を用いた3次元点群に対する立木検出とパラメータ推定(中込広幸・森林総合研究所)
 【セッション3】
 ▽チェーンソー用防護衣は労働災害を減少させたか(鹿島潤・森林総合研究所)▽JIS T 8125―2:2022(脚部防護服)運用時の注意事項(松本哲也・信州豊南短大・東京大学大学院)▽植栽位置誘導装置の人力植栽器具への実装(山田健・森林総合研究所)
 【セッション4】
 ▽グラップル式搬器の作業特性(櫻井倫・宮崎大学農学部)▽林業機械の連携作業の生産性評価モデル(吉村哲彦・島根大学生物資源科学部)▽山地災害リスクを考慮した路網整備適地の選定支援地図(白澤紘明・森林総合研究所)▽山岳地域の道路網における収穫材の運搬経路分析による道路規格区分を考慮した運搬効率の検討(鈴木保志・高知大学農林海洋学部)
 この後、学生優秀論文発表者の表彰式が行われた。

 
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  新製品・大排気量のチェンソー/やまびこ  
     
   (株)やまびこ(久保浩社長・東京都青梅市末広町1の7の2)は、今シーズン向け新製品として伐倒作業から伐木競技まで対応する国産の大排気量チェンソーであるECHO・CS7330P(排気量73・5立方センチ)をラインアップした。同社のチェンソーシリーズでは排気量の最も大きいチェンソー。この9月にオーストリアの首都・ウィーンで開催された世界伐木チャンピオンシップ(WLC)に日本代表として出場した横山大蔵選手(下仁田森林組合・群馬県)が競技で使用した、プロフェッショナル向けタイプだ。高出力を産み出すエンジンを搭載しており、優れた鋸断性能を発揮する。国内販売に当たるやまびこジャパン(株)(水嶋伸介社長)では、ハイエンドプロソーとして拡販、PRに努めている。
 11月5日、神奈川県横浜市内のホテルで開かれた2025年度やまびこ全国代理店会議会場では、新製品として発表された軽量&高出力のカジュアルソーの共立チェンソー「CS3420G」(排気量34・4立方センチ)と並んでCS7330Pを展示し、大排気量レンジまで対応していることをアピールした。
 やまびこチェンソーの新ラインアップに加わったCS7330Pは、排気量73・5立方センチのプロフェッショナル向け。大径木にも対応する伐倒作業用としてはもちろん、伐木競技大会用としても使用される本格派だ。  今年6月開催の第4回日本伐木チャンピオンシップ(JLC)に出場した、同社のアンバサーダーでもある今井陽樹、横山大蔵の両選手が使用して、優れた成績を残している。
 特に同大会で準優勝した横山大蔵選手は、日本代表として同チェンソーを引っ提げてウィーンでの第35回世界伐木チャンピオンシップに参戦。世界の強豪と伍して日ごろ鍛え、磨いた技術を発揮し、ECHOチェンソーの名を世界に知らしめた。
 国産の大排気量チェンソーとなるCS7330Pは、ハンドルヒーティングモデルのCS7330PHと2型式あり、いずれも同社独自の新設計「6流掃気シリンダ」をはじめ、細かい粉塵をエンジン外部に排出する「G―FORCE」などを装備し、優れた作業性能を発揮する。
 特に新設計の「6流掃気シリンダ」では、それぞれ異なる掃気角度が理想的な混合気を燃焼室内に生成し、最適な燃焼を実現。これにより、高出力と低排出ガスを両立。国内の高温・多湿という過酷な環境にあっても安定した能力を発揮する。
 また、ローターファンで発生する風力をクリーナーケースに整流して流し込むことで、ケース内の粉塵を遠心力により分離し、排出する「G―FORCS」は、これによりロングメンテナンスサイクルを可能とし、さらに濾過性能に優れた大型の蛇腹式エアクリーナの採用とあいまって、故障を未然に防いでいく。
 この他、伐倒の目安となる「ガンマーク」や「ツイストロック」「脱落防止ナット」などを装備し、現場での作業をよりしやすくしている。
 同社では、高性能、最高級を意味する「ハイエンド」プロソーとして市場への普及、浸透を図っていく考えだ。
 CS7330Pの仕様は次の通り。
 【仕様】 ▽機体寸法(長さ×幅×高さ)=477×249×323ミリ▽本体乾燥重量=6・7キロ▽エンジン排気量=73・5立方センチ▽点火方式=フライホールマグネト▽点火プラグ=NGK BPMR8Y▽始動方式=リコイルスタータ&デコンプ▽燃料タンク容量=0・80リットル▽オイルタンク容量=0・36リットル▽バーサイズ=60センチ▽バー種類=スプロケットノーズ(交換型)▽ソーチェン=73DPX84E▽3軸合成値=4・6メートル/S2
 ▽希望小売価格(税込み)=28万9300円

 
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  フェリンググラップルで高所作業も安全に/マルマテクニカ  
     
   マルマテクニカ(株)(神奈川県厚木市小野651)が供給するフェリンググラップル(2タイプグラップルソー)は、樹木の伐採、強剪定、被害木撤去、森林整備など、広い範囲の作業を安全に効率よく進める作業機として普及が進んでいる。
 同機は、トラック、バックホー、フォワーダ、クレーンなど色々の車両に取り付けることができ、専用機を使う必要がなくなるとともに、操作はグラップルと同様の感覚で行え、グラップル操作に慣れたオペレータがいれば作業をスムーズに進められる。オプションのクイックコネクターC10の使用で、通常のグラップルとの交換は最短5分で完了でき、作業進行に滞りがなくなる。
 これらの機能により、掴む・伐るが同時に行えることから、特に街路樹の上部伐採や強剪定などの高所作業の危険を回避できるのに加え、同機使用によって作業時間の短縮、作業人員の削減、使用車両の削減などのメリットを享受できる。
 主な仕様は次の通り。
 ▽型式=GMT035(同050)▽最大開き幅=850(1220)ミリ▽重量=245(395)キロ▽流量=35〜65(45〜80)リットル/分▽ガイドバー長=450(640)ミリ▽最大伐採直径=φ350(φ640)ミリ▽最小伐採直径=φ50(φ80)ミリ

 
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  軽トラ搭載型の落葉大量収集機/広洋エンジニアリング  
     
   (株)広洋エンジニアリング(久一旬弥社長・埼玉県比企郡川島町大字上大屋敷78)が取り扱う軽トラダンプ(運搬車)搭載型の芝草・雑草・落ち葉等の大量収集機BS2000は、5PSエンジンの力で落ち葉などを強力に吸引、吸入された落ち葉などは粉砕・圧送され、一度に大量に集めることができる。
 吸引作業は、作業者が肩掛けストラップが付いた吸入口(両腕や腰への負担をストラップで軽減)を落ち葉の集積場所などに向けながら吸い込み、ホースを介して運搬台上の貯留ホッパーに集積。ダンプ式運搬車の場合は、荷台を傾けることで落ち葉などを一気に放出できる。貯留ホッパー、ホース部などは分解が可能で、装置を下ろせば軽トラなどの本来の使い方に戻せる。貯留ホッパー容量は2000リットル、乾燥落ち葉130キロを収容できる。
 オプションとして、吸入物をより細かく砕ける刃付きインペラー(φ280―C)、より吸入力を強めたい場合に使う大径インペラー(φ320)、吸入ホース(φ100―6メートル、φ150―5メートル、φ200―4メートル)、排出が困難なU字溝の体積物をホースを投入するだけで走行しながら吸引できる側溝吸入ホース(φ100―3メートル、φ150―3メートル、φ200―3メートル)を用意している。
 主な仕様は次の通り。
 ▽ホッパー部寸法=1300×1300×1710ミリ▽ブロアー部寸法=513×523×586ミリ▽重量=ホッパー部50キロ、ブロアー部43キロ、ホース部16キロ▽吸入ホース長さ=φ200―4メートル▽ホッパー容量=2000リットル▽落ち葉収容重量(乾燥時)=130キロ

 
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  美浦工場に部品倉庫スペース拡充/諸岡  
     
   (株)諸岡(諸岡昇社長・茨城県龍ケ崎市庄兵衛新田町358)はこのほど、同社美浦工場(茨城県稲敷郡美浦村)の部品倉庫スペースを拡充、即納体制を強化した。本格稼働は来年1月を予定している。
 同倉庫には、国内4拠点目となる新たな部品専用スペースを新設、部品点数の増加を実現するとともに、倉庫スペースの拡充で迅速なグローバル部品供給を可能にした。これにより即納体制、即日発送への対応を強化している。
 同社は計画の中で、部品供給やサービスに関わる事業の拡大を進め、早期に全体の30%にまで高めていく方針を掲げており、2020年6月に美浦工場を新設し、国内2拠点目となる組み立て棟を設置。2024年春には大型製品のアフターメンテナンス需要の増大に応えるため、サービス工場としての機能を充実、専門的な対応ができるサービスマンを配置するなどの対策を講じてきた。
 同社は、今後もさらに顧客満足度の向上を目指すとし、この分野の体制拡充に意欲を示している。

 
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  大型マルチャーをアピール/ケービーエル  
     
   (株)ケービーエル(長坂卓社長・東京都品川区南品川2の2の10)は先の「2024森林・林業・環境機械展示実演会」において、林野の開墾や山林整備向けの大型マルチャーTFK―180を展示した。
 同製品はスペインで絶大なシェアを誇るTMC CANCELA(ティーエムシーカンセラ)社が製造しており、アジアではケービーエルが販売を手掛けている。
 TMC CANCELAのマルチャーTFKシリーズは山林整備向けの大型マルチャーで5型式を揃えており、立木の最大処理径32・5センチ。作業幅160〜250センチで切り株の処理を行う。適応馬力は下は100PSから上は180PSとなっている。
 また、TMC CANCELAの油圧ショベル用マルチャーTHE―100も展示した。
 会場では、JUHYUN(ジュヒュン)の油圧ショベル用チルトローテーターの紹介もあった。

 
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  フィンランド製フォワーダ発信/筑波重工  
     
   筑波重工(株)(小田直樹社長・盛岡事務所=岩手県盛岡市菜園1の3の6)は、、フィンランド製のフォワーダ「SAMPO ROSENLEW(サンポ・ローゼンリュー) FR28」の輸入代理店として展示や試乗、積載のデモンストレーションを林機展会場で実施し、注目を集めた。
 同製品は切り株から道端まで効率的に木材を運ぶことができる軽快なマシン。特徴として(1)強力でありながら俊敏なフレーム(2)日本の作業道に合わせた車幅(2570ミリ)(3)最大積載量10トン(4)小型でパワフル(5)全輪駆動(6)広々とした安全なコックピット―などがあげられる。主に密集した森林での活躍が期待できる。コンパクト設計になっており、フロントアクセルとリアアクセルの重量配分が最適化され、45度回転するステアリングと相まって独自の操縦性を実現した。
 油圧機械式トランスミッションを搭載しており、駆動ポンプは機械式変速機・トランスミッションの車軸が前後の台車にトラクションを分担する。

 
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  雪道、悪路に強いフォワーダ専用スパイク/川村鉄工所  
     
   (有)川村鉄工所(川村剛仁社長・秋田県南秋田郡五城目町高崎字雀舘下川原128の2)が開発したフォワーダ専用のゴムクローラスパイク(意匠登録番号1625680)は、タテ・ヨコ方向に強いフレーム構造をもち、高耐久性鋼材使用で丈夫なことから、好評を得ている。
 ゴムクローラスパイクの装着によって、外方向に向け突出したスパイク部が作業地の走行路面に食い込み、雪道や起伏の激しい場所、雨でぬかるみグリップ力が低下する作業地などでも横滑りしにくい安定した走行を生み出す。着脱は付属のボルトでゴムクローラの数カ所に固定するだけと簡単。フレーム形状が維持できている限り取り外しも簡単に行える。また、スパイク本体の凹凸がクローラにフィット、しっかり固定できるため悪路でも外れにくい構造になっている。600ミリ幅、650ミリ幅、700ミリ幅の3種類がある。
 製品問い合わせは、同社(TEL018・852・4741)まで。

 
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  多彩な作業機を搭載しアピール/福井・林機展から3  
     
   福井県勝山市で10月20、21の両日に開催された「2024森林・林業・環境機械展示実演会」(一般社団法人林業機械化協会と福井県の共催)には、80の企業や団体がそれぞれのブースで最新の林業機械やサービス、取り組みを紹介し、多くの来場者を魅了した。今週は、林業向けのベースマシンも扱うメーカー3社と林業機械のレンタルを手掛ける会社の展示内容を紹介する。
 日本キャタピラー合同会社は、Catネクストジェネレーション油圧ショベル315+KETO150EcoP・全旋回ローテーター(KARATEシステム搭載)と、同313テレスコピックアーム+KETO150Sハーベスタ(同)を実演を交えながらアピールした。
 また、尿素水不要のCat次世代油圧ショベルGCシリーズを紹介。同シリーズは作業に適した燃料節約性能とメンテナンスコスト削減を実現している。この他、使いやすさをすべての人や現場に提供するCat次世代ミニ油圧ショベルなどもPRした。
 中部森林開発研究会の協力で、水と緑の環境づくりをテーマにしたウッドチップリサイクルシステムも提案、資源の循環利用の重要性をアピールした。
 (株)クボタ建機ジャパンはクボタミニバックホーKX―57―6E(林業モデル)を紹介した。
 同製品は、標準機の安定性と後方小旋回機の狭所作業性があり、狭い場所や傾斜地などハードな林業での作業に最適。伐採、集材、積み込み作業で頼りになる1台だ。
 サービスポート2系統(比例制御)を標準装備している。グラップルの開閉・回転を同時に行うことができ、効率的でストレスのない作業を可能にした。
 グラップルをはじめ、ウインチ、回転フォークなど使用可能なアタッチメントも多彩で、幅広い作業に対応できる。
 走行油圧回路を作業機系油圧回路から独立させ、走行と作業機操作を同時にしても、速度変化が少なく、パワフルでスムーズなフロント・ドーザ&走行作業が行える。
 ヤンマー建機(株)は昨年6月に発売した後方超小旋回油圧ショベルViO80―7とSV100―7を展示した。
 ViO80―7は、ヤンマーTNVエンジンの高出力化により、掘削スピードの従来機比15%向上を実現。SV100―7は、8トンクラスの油圧ショベルに搭載していた2つの油圧ポンプを独立して制御する油圧システム「ViPPS2i」を採用したことで、燃料1リットル当たりの作業量が従来機比15%アップした。
 この他に、5トンクラスの後方超小旋回林業機ViO55―6A G&Wの試乗体験会を実施。林業の知識や同社の製品に関するクイズの答えをブースを回りながら探すクイズラリーでは、参加すると景品がもらえるとあって、来場者が熱心に挑戦していた。
 レンタルのニッケンは松くい虫に関する特別コーナーを設置し、近年、これまで被害の少なかった長野県や東北地方などで増加傾向にある松くい虫被害の実態や対策についてパネル展示で要点を来場者に示して注意喚起した。
 ブースでは、松くい虫対策に有効な機械セットである被害木を掴む小型グラップルをはじめ、運ぶフォワーダ、そして粉砕する破砕機も展示した。
 また、様々な危険作業を想定した林業研修用装置全5機種(伐倒練習用丸太固定装置、風倒木伐採装置、枝払い練習装置、キックバック装置、木材落下衝撃装置)や、職場環境の改善のための移動トイレなどを並べた。
 同社の営業本部林業部商品管理担当次長の白洲次郎氏は「林業機械もレンタルできるということをアピールしたい」と話した。

 
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  「御食国」掲げる県農業支える/兵庫県特集  
     
   兵庫県は時に「日本の縮図」などと呼ばれ、高原や島々など変化に富んだ地形が特色である。北側は降水量が多く、南側は晴天が続くなど、他府県に類を見ない自然環境を有している。恵まれた自然環境のもと、生産量で全国順位の上位を占める農林水産物が多く存在している。農産物では、全国第1位の生産量を誇る酒米の山田錦、黒大豆の丹波黒やタマネギ、イチジク、カーネーションが盛んに生産されている。「御食国(みけつくに)」を掲げる県農業を支える農機流通を担う各社を取材した
 
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  市場の概況/兵庫県特集  
     
   兵庫県の耕地面積は7万2000ヘクタールで、このうち水田は6万5900ヘクタール、畑は6080ヘクタールとなっている。耕地面積は近畿地方において突出して広く、次点は滋賀県の5万ヘクタールである(2023年)。各社のキーパーソンから聞くと、県内(本州)は米作が中心で、前述の豆類、転作としての麦生産が盛んである。従って農機はこれらの生産に係るものが大半を占める。
 一方、淡路島は南部を中心にタマネギの生産が盛んで、北部は米作である。本州と違い、淡路島は昨年とほぼ変わらない農機の需要があった。いわゆる今年夏期の米騒動、米価の上昇の影響により、本州は一部の大規模農家が恩恵を受けたようだ。
 しかしこれは一部であり、大半の兼業農家や小規模農家は農機の更新ができない状況である。ただし米価の上昇は少なからず「離農を留まる」きっかけになったとも聞く。主要3機種以外では各社とも酷暑により保冷庫の荷動きが活発だった。また、兵庫商組が取り組む「中古農機フェア」の盛況ぶりからもわかるように、中古農機の需要が一段と高まっている。
 そんな中、県の農業に対する動きはどうなのか。県は当初予算(令和6年度)で4つの重点施策を掲げた。
 農業関連では、「持続可能な農林水産業の実現」として、(1)有機農業アカデミー開設事業(2)CSA手法拡大支援事業(3)県産有機農産物学校給食活用促進事業(4)地域有機農業塾開設支援事業(5)SDGs酒米・酒生産支援事業(6)水稲オリジナル品種普及推進事業(7)ひょうごオープンファーム強化事業―といった新事業に予算または交付金を割り当てた(県HPより)。
 農機業界にとっては、(1)の整備項目として、実習用の圃場整備、ビニールハウス、専攻棟等の施設整備、機械器具等整備等があげられ、同事業に注目が集まる。

 
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  各社の対応/兵庫県特集  
     
   ヤンマーアグリジャパン(株)中部近畿支社(山崎有支社長)の兵庫県管内では、農機の買い控えや離農なども影響し、第2四半期まで厳しい農機市場に直面しつつも、米価の上昇を機に、9月末頃からは回復の兆しがあった。それでも一部の大規模農家に恩恵があったものの、兼業・小規模農家は農機更新が難しい状況にあるようだ。
 2024年4〜9月におけるトラクタ、田植機、コンバインの販売状況は前年同時期と比べて厳しい状況だった。9月以降は大規模農家による更新もあり、大型農機の荷動きが活発化してきた。
 トラクタはGKシリーズ(13〜18・5馬力)からYT2シリーズ(25〜33馬力)、YT3シリーズ(28〜57馬力)に人気が集まる。田植機はYR4J(4条植え)、YR6D(6条植え)、コンバインはYH217(2条刈)、YH571A(5条刈)といったところが管内の主流となっている。
 3機種以外では米価の上昇の影響もあってか、乾燥機が活発な荷動きをみせた。そのほか昨年からの積極的な実演が奏功し、ラジコン草刈機「YW500RC」の評判が広がり、売れ始めているという。
 同機はこのほど、みどり投資促進税制の対象機種に認定されたばかりだ。同機の導入により除草作業を省力・効率化し、化学農薬の使用低減につなげることができる。また、全長1175×全幅870×全高630ミリ、機体重量155キロとコンパクトなボディーということもあり、水田の法面や果樹園など、草刈りのしにくい場所の除草にうってつけだと注目を集めている。
 営業面では訪問および実演に注力している。兵庫県を統括する加西事務所の塚本智勝エリアマネージャーは「訪問活動は営業において欠かせません。実演は主に前述のトラクタとミニ耕うん機などをセットにして行う。田植機とコンバインはそれぞれ時期中に実演します」と話す。
 同事務所は淡路島の2拠点を除き、兵庫県(本州)の7拠点を担当している。同事務所の敷地内には中播アグリサポートセンターがあり、県下の大型農機の整備はここで一手に引き受けている。
 塚本マネージャーは「整備工賃の売上げの比重は高い。今後も整備作業の細分化による適正価格をお客様に明確に示しながら、アフターサービスの充実を図り、時期中にお客様の手を止めないよう整備の徹底を呼びかけていきたい」と力を込める。
 三菱農機販売(株)西日本支社(長島史治支社長)の近畿支店(兵庫県丹波篠山市)はこれまでの動きについて、止まらない離農や農地集積(特に中山間地域)の停滞なども影響し、主要3機種の4〜9月の販売は昨年同時期に比べて微減となった(台数ベース)。
 トラクタは13〜25馬力クラスが落ち込んだものの、30馬力クラス、特に「GAシリーズ(30〜36馬力)」と「GJE33(33馬力)」が出荷台数を伸ばした。田植機は4条植えクラスがめっきり減り、5、6条植えも減少傾向にある。一方で8条植えの荷動きが活発化しており、新製品「XPS8(8条植え)」の引き合いが増えている。
 勝井正純支店長は「ペースト施肥仕様の田植機の拡販にかなり力を入れている。そのため近畿地区ではペースト施肥仕様が売上げ(田植機)の約4割を占める。実際、同機の導入により米の食味が上がったというお話も聞く」と話す。一方、コンバインは4条刈が管内で主流となっており、Vシリーズの「435A」や「450A」といった型式に人気が集まっている。
 同支店では顧客に向けた事前の点検・整備の呼びかけを徹底しており、適期外の農機を同支店に預ける農家も多い。そのため故障する農機が年々減る傾向にあるようだ。かような状況で、大規模担い手による農機の更新は適宜あり、小・中規模農家による更新は減りつつある。従って整備事業は好調で売上げに貢献する中、全体的な農機更新はやや苦戦気味という。
 主要3機種以外では今夏の米騒動に伴い、米の貯蔵目的で保冷庫が大いに売れた。同支店の管内では地元の土木・建築や運送関連の企業が農業に進出する事例も増えている。これら企業は10ヘクタール以上の規模で農業を展開するため、これに係る農機の需要も高まっている。また豊岡市内では「オーガニックビレッジ」宣言も相まって、除草機がよく売れている。
 今後の動きについて、「従来のGSトラクタをフルモデルチェンジした新製品『XS(クロスエス)シリーズ(18・2〜25馬力)』の拡販に重きを置き、実演を随時行っていく。18・2〜25馬力は近畿管内および西日本地域に適合する馬力帯であるため、しっかりとPRしたい。XSシリーズは好評のなか受注もいただいている状況」と勝井支店長は力を込める。
 2025年1月には篠山、氷上の両営業所の合同展示会を近畿支店の敷地内で2日間にわたり開催する予定。期間中は600人の来客を見込む。3月は但馬営業所にて日高(営)との合同展示会を開催する予定である。展示会では三菱マヒンドラ農機の商品とサービス内容をしっかりと来場者に説明することを第1の目標に掲げる。そこから提案・販売につなげていく構えだ。

 
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  淡路島の動向/兵庫県特集  
     
   ヤンマーアグリジャパン(株)中部近畿支社の淡路島管内は、2024年4〜9月までの主要3機種の荷動きについて、昨年度とほぼ変わらず推移した。トラクタは30馬力、田植機は4条植え、コンバインは2、3条刈といったクラスが島内の主流となっている。
 主要3機種以外では乾燥機、籾すり機、色彩選別機のほか、秋の中・小物商品が昨年度に比べて旺盛な売れ行きをみせた。そのほか管理機がよく売れており、ラジコン草刈機「YM500RC」もまずまずの荷動きがあったようだ。
 トラクタはオールラウンドトラクタ「YT333R(33馬力)」がコンパクトかつ馬力があるとの評価で、島内において堅調な荷動きをみせている。同機は狭い場所でも楽に旋回でき、取り回しが良いため、水田・畑はもちろん、果樹園やハウス内でも使えると人気である。
 田植機は「YR4J」、コンバインは「YH217、323」といった型式に人気が集まっている。コンバインはここにきて整備受注の件数を伸ばしているという。
 近畿営業部の宮本敏一部長はあくまで個人的な感想と前置きし、「他県同様、米価上昇の気運が高まった中、この状況と、今夏のいわゆる米騒動を受けて、『自身や家族で消費する米と縁故米ぐらいはもう少し頑張って作ろうか』という米農家さんの雰囲気が高まり、離農の動きは若干だが落ち着いた印象だ」と島内の状況を話す。
 営業面では、10月に大規模担い手を中心に、11月には大規模担い手以外、兼業農家を含めた訪問を行っている。
 宮本部長は「年内は訪問活動に注力し、お客様の要望などをしっかりとヒアリングする。訪問により需要を掘り起こし、需要に応じた実演を年明けから行う予定だ。あとは前述のオールラウンドトラクタを軸に、トラクタ+作業機の個別実演をしっかりと行いたい」と力を込める。

 
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  兵庫県農業機械商業協同組合の動き/兵庫県特集  
     
   兵庫県農業機械商業協同組合(市川廣理事長・55名)は、2024年2〜10月における購買事業の売上高について、前年同時期と比べて10%増で推移した。今年度は猛暑やいわゆる米騒動の影響で、保冷庫が全体の扱いを飛躍的に牽引した。その他の商材では例年通りクローラやオイル関連の荷動きが活発だった。
 トラクタ免許(大型農耕車限定)の取得状況は、定員の約3倍の申し込みがあり、夏期(豊岡市)の42名の募集に対して109名が応募、41名が合格した。また秋期(加西市)は120名の募集に対して309名が応募、117名が合格した。中古農機査定士の資格取得者数は商系2名、系統4名の計6名だった。
 第30回兵庫県中古農業機械フェアは既報の通り出品台数は前年を超え、成約金額は8871万2300円となり盛況だった。今回は新たな試みとして、フェアのPRにYоuTubeを使った。フェア前日の7月11日の夜に配信を開始し、2428回の視聴が確認された。
 YоuTubeの活用について山内博司専務理事は「撮影を委託した業者にはドローンによる空撮もしていただいた。フェアの様子を視覚的にPRするのはとても効果的だと思う。フェアのチラシにQRコードを掲載し、そこから動画をフェア前夜に確認できたので、参加予定者のワクワク感に寄与できたと思います」と手応えを話す。
 今後の動きについては「農業従事者であるエンドユーザーの方々に中古農機全般が手に入れやすくなる機会を作りたい。前述のフェアもそのひとつです。今年はフェアに県外の方が来られました。このように中古農機市場は昨今大変注目を集めています。そのため引き続き組合員の皆様と協力しながら、良質な中古農機を購入者が十分に吟味して選択できるように集めたいところです」と力を込める。

 
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  元気な地元企業・市川農機具店/兵庫県特集  
     
   (有)市川農機具店(市川良子社長・兵庫県姫路市北条口5の83)は、姫路駅から徒歩で約15分、車で約5分、国道2号線に面する場所に所在する。交通量の多い市街地で、同社ビルの「ヤンマーコンバイン」「ヤンマー農業機械」と印字された淡赤色の看板がひときわ目立つ。
 同社は現在、農業機械や球場などのグラウンド整備に使う機械の修理・整備を主力事業とし、ヤンマー製品を中心に各種農業機械の販売を行っている。同社ビルの2階には(有)姫路ヤンマーパーツセンター(市川廣社長・以下、ヤンマーパーツ)がある。ヤンマーパーツはヤンマー・ロビンの専門店としてメーカー純正部品、その他のメーカー部品を豊富に取り扱っている。
 ヤンマーパーツには農機・建機類および特殊機械類の修理・消耗・小物部品など、約1万2000点以上が整然と並べてあり、これら部品は70%超えの即納率を誇る。農機具店とヤンマーパーツ。この2輪が効率よく回転しており、地元はもとより、他県における農業機械への円滑な供給に大いに貢献している。
 農機を売るためだけの営業は行わないという市川農機具店の市川廣取締役会長は「口コミを期待している感じです。農機などを確実に修理・整備することで、『あそこだったら農機を買っても安心』という状況が良いです。今後、農機店の在り方としては、とにかく機械を多く売って会社を大きくする。もしくは地元密着型で他社にない特徴のある経営をする。このどちらか一方でしか生き残れないと思う」と話す。
 展示会は同社近隣の倉庫で毎年2、8月にそれぞれ3日間にわたり開催し、トラクタ、田植機、コンバインおよび草刈り関連製品、小物製品などを販売する。展示会の案内はダイレクトメールを通じて行い、3日間で毎回約180軒が参加し賑わいをみせる。展示会の開催は「潰れずにまだ営業してますよという意味合いもある」と市川会長は笑う。
 今年の農機市場については「非常に厳しかった。昨年は各メーカーとも売上げを伸ばしたと思う。しかしそれは実需より補助金が大きな比重を占めたから。この先喰い需要のため、今年は売上げが落ちて当たり前。来年は米価が1万2000〜3000円ぐらいで推移して、来秋の米の予約が1袋9000円ほどで落ち着けば、営農組合さんなどは投資がしやすくなるのでは」と話す。
 また今後の農機店の役割について「弊社は、まちの修理屋さんを目指している。従って修理の案件はいくらでも受けたい。一番の理想は仕事の対価を頂いて、さらに『ありがとう』と言われることです」と力を込める。

 
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  環境と調和のとれた農業への転換を/作業機・土づくり特集  
     
   環境と調和のとれた農業の実現に向けて、土作りの重要性が高まっている。有機物等の施用や緑肥作物の導入等により土壌を改善し、生産性を高める土作りにおいて重要な資材となるのが堆肥で、輸入肥料が高騰する中、国産堆肥の有効利用が求められている。しかし、堆肥散布には大きな労力が必要で、農業者の高齢化などにより堆肥施用量は伸び悩んでいる。マニュアスプレッダなど散布機械の役割がますます重要となっている。
 
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  令和6年度補正予算・国内肥料対策に64億円/作業機・土づくり特集  
     
   農林水産省の令和6年度補正予算では、みどりの食料システム戦略緊急対策事業に38億2800万円、国内肥料資源利用拡大対策事業に63億9000万円など、堆肥利用促進の事業費を計上した。
 みどりの食料システム戦略緊急対策事業は、環境と調和のとれた食料システムの確立に向け、調達から生産、加工・流通、消費に至る環境負荷低減と持続的発展に向けたモデル的取り組みの横展開や有機農業の取り組み拡大、地域資源の循環利用を図るとともに、環境負荷低減の取り組み強化のための新たな制度設計に必要な調査等を行う。
 このうち「みどりの食料システム戦略緊急対策交付金」(32億8100万円)は、地域の特色を活かしたモデル的取り組みの横展開を図るため、(1)みどり認定農業者による環境負荷低減の取り組みの拡大・定着に向けたサポートチームの体制整備(2)技術の速やかな普及に向け複数の産地で実施する環境にやさしい栽培技術の検証等を通じたグリーンな栽培体系への転換の加速化(3)有機農産物の学校給食での利用や産地と消費地の連携等による生産から消費まで一貫した有機農業推進拠点(オーガニックビレッジ)づくり及び有機農業を広域で指導できる環境整備(4)慣行農業から有機農業への転換促進(5)環境負荷低減と収益性向上を両立した施設園芸重点支援モデルの確立(6)地域のバイオマスを活用したバイオマスプラントの導入、バイオ液肥の利用促進(7)みどり法の特定認定等を受けた生産者やその取り組みを支える事業者が行う機械・施設導入等(8)地域循環型エネルギーシステムの構築に向けた、再生可能エネルギー利用のモデル的取り組み及び未利用資源や資源作物のエネルギー利用を促進する取り組み(9)地域の資源・再生可能エネルギーを地域の農林漁業において循環利用する包括的な計画(農林漁業循環経済先導計画)の策定やその計画に基づき行う施設整備等―を支援する。
 「環境負荷低減の取り組み強化のための新たな制度設計等」(5億4700万円)では(1)環境負荷低減のクロスコンプライアンスの円滑な導入に向けた検証及びマニュアル作成の実施(2)新たな環境直接支払交付金の設計に必要な調査の実施(3)農業分野のプラスチック排出抑制に向けた計画策定、プラスチック代替資材への切り替え検討―などを支援する。
 国内肥料資源利用拡大対策事業は、堆肥等の高品質化・ペレット化など、広域流通等に必要な施設整備等を支援する。また、(1)圃場での効果検証の取り組み、成分分析、検討会開催、機械導入等(2)関係事業者間のマッチングや理解醸成等の取り組み―など国内資源の肥料利用拡大等の取り組みを支援する。

 
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  令和6年農業技術の基本指針/作業機・土づくり特集  
     
   農林水産省がまとめた令和6年農業技術の基本指針から、土作り・堆肥関連の記述をみる。「みどりの食料システム戦略」に基づき、土壌診断に基づく適正施肥や効率的施肥の推進、地域有機資源等の活用促進などにより、「環境と調和のとれた産業への転換」を目指す。
 「みどりの食料システム戦略」において2050年までに、農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現、化学農薬の使用量をリスク換算で50%低減、化学肥料の使用量の30%低減、耕地面積に占める有機農業の取り組み面積の割合を25%(100万ヘクタール)に拡大するなどの目標を掲げている。本戦略の実現に向け、みどりの食料システム法を基本とし、調達、生産、加工・流通、消費の各段階の取り組みとカーボンニュートラル等の環境負荷軽減のイノベーションを推進する。「みどりの食料システム戦略」を通じて我が国が培ってきた技術・イノベーションの活用により、ASEAN地域の生産力向上と持続性の両立、ひいては食料安全保障への貢献を目指す(日ASEANみどり協力プラン)。
 また、GAPの取り組みなどを通じた環境への負荷低減等、持続可能な農業生産や省エネルギー・省資源化、バイオマスの活用等を推進するとともに農業生産活動とのバランスを取りながら地球温暖化対策や生物多様性保全といった問題にも分野横断的に対応する。さらに、農林水産省の全ての補助事業等において、チェックシート方式により最低限行うべき環境負荷低減の取り組みの実践を要件化することで、事業を実施する際に新たな環境負荷が生じないようにし、環境にやさしく、生産性も高い農業を確立する(環境負荷低減のクロスコンプライアンス:令和6年度から試行実施)。そのため、行政機関、普及指導センター、生産者団体等の連携の強化を図りながら以下の取り組みを推進する。また、普及指導センターの重点的活動等を通じて、環境と調和のとれた農業生産に資する技術の普及を推進する。
 〈より持続性の高い農法への転換〉
 農業分野における環境負荷の低減に向けては、経済性や生産性に留意しつつ、栽培暦の点検や見直しを行い、他の産地で実践されている取り組みの導入を検討する等、より持続性の高い農法への転換に取り組むことが重要。取り組みにあたっては、栽培暦の点検を行うためのチェックポイントをまとめた「より持続性の高い農法への転換に向けて」を活用し、化学肥料・化学農薬の低減や有機農業に取り組む全国の産地の事例を取りまとめた「持続性の高い農業に関する事例集」、環境負荷低減等に貢献し、現場への普及が期待される技術を整理した「みどりの食料システム戦略」技術カタログも参考にしながら、栽培暦の見直しや新たな取り組みを推進する。
 〈化学肥料が環境に与える負荷の低減〉
 (1)土壌診断に基づく適正施肥や効率的施肥の推進
 土壌診断に基づく適正施肥の速やかな現場導入や、うね内部分施用技術等の局所施肥技術や土着菌根菌の活用によるリン酸肥料の節約など施肥低減技術の導入・実践を推進する。また、化成肥料や配合肥料を使用する場合、リン酸・加里の土壌への過剰蓄積が顕著となっている地域においては、これらの成分をあらかじめ抑制した肥料の利用を促す。また、土づくり専門家との連携及び土づくり専門家リストの活用により、土壌診断に基づく土づくりの取り組みを推進する。
 ア地域有機資源等の活用促進
 耕畜連携の体制づくりや堆肥品質の改善等を進め、堆肥の有効利用、物流性や散布性等を向上させたペレット堆肥等の普及に向けた取り組みを推進する。さらに、メタン発酵後の副産物である消化液(バイオ液肥)や二酸化炭素、余剰熱の温室利用は、「メタン発酵消化液の畑地における液肥利用―肥料効果と環境への影響」など、農業研究分野において生産コストの低減等の技術を活用したバイオマス利活用の優良事例があり、これらを活用して地域資源の循環利用を推進する。
 イ家畜排せつ物の有効利用(堆肥の高品質化と広域流通の推進)
 都道府県においては、耕種部局と畜産部局が協力して耕畜連携を推進する。更に、広域流通の促進のため、畜産農家と肥料メーカー等が連携した堆肥の需給のマッチング、加工、流通の支援に努める。また、耕種農家のニーズに対応した堆肥の生産推進のため、堆肥の完熟化、ペレット化、化学肥料等との配合など、堆肥の高品質化に関する情報提供を行う。

 
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  みどり戦略技術カタログ(Ver4・0)から/作業機・土づくり特集  
     
   農林水産省は、みどりの食料システム戦略の実現に向けて、戦略で掲げた各目標の達成に貢献し、現場への普及が期待される技術について、「みどりの食料システム戦略」技術カタログ(Ver4・0)として公表している。ここから、土作りに関連する技術をピックアップした。
    ◇
 【高窒素鶏糞を活用した水稲の減化学肥料栽培】(新潟県農業総合研究所作物研究センター)
 基肥に高窒素鶏糞を、穂肥に硫安を使用して水稲を栽培する施肥体系により、慣行栽培の穂肥技術をそのまま利用できるため、低コストで簡易に、減化学肥料栽培に取り組める。
 高窒素鶏糞の特徴をみると、密閉撹拌発酵された発酵鶏糞の窒素全量は4%以上あり、開放攪拌発酵された従来の発酵鶏糞の約2倍である。窒素の無機化は速く、栽培管理しやすい。メタン生成量も少ない。
 導入の留意点は、鶏糞散布にはブロードキャスター等の利用を推奨。特殊肥料のため厳密な施肥設計は困難。厳密な施肥量計算には、ロットごとの肥料分析が必要。
 効果は、低コストな50%減化学肥料栽培(特別栽培)が可能で、「鶏糞+硫安」の肥料資材費は慣行栽培と同等で、特別栽培の半額である。「鶏糞+硫安」は化学成分を60%削減でき、特別栽培の肥料要件も満たす。収量・品質は化学肥料100%栽培と同等で、「鶏糞+硫安」は、慣行栽培に比べて初中期の生育はやや遅れるが、穂肥の化学肥料で生育調節が図られ、登熟期の生育は同等となる。収量・品質とも差はない。
 肥料資材費の例(2022年7月時点、10アール当たり)として、慣行栽培は4122円、特別栽培は9810円、有機栽培は5390円、鶏糞+硫安は4203円。
 【ペレット肥料散布機付き除草機】(福井県農業試験場)
 水稲の有機栽培は、除草や有機質肥料の散布に多くの労力を要する。そこで、軟弱な土壌でも安定走行ができる(株)オーレック製「WEED MAN」と(株)ジョーニシ製 「サンソワーV―R10」の施肥機をベースに、施肥と同時に除草ができる肥料散布機付き除草機を開発した。除草しながら、約180キロ/10アールのペレット肥料の施用が可能。
 効果は、肥料散布と除草の作業時間を10分の1に削減(省力化)でき、ペレット散布機付き除草機の使用により、肥料散布と除草合わせ1・5時間/10アール程度に短縮できる。(慣行:除草12時間/10アール、肥料散布2時間/10アール)。導入の留意点としては、雨天時は、肥料散布機に肥料がつまるため、施肥作業ができない。価格帯は500万円程度。(株)北陸近畿クボタが販売。
 【堆肥、緑肥等有機物の施用による土づくり(緑肥を活用した水稲栽培での肥料の使用量低減)】(滋賀県農業技術振興センター環境研究部)
 地力の維持増進には、堆肥や緑肥等の有機物施用が基本であり、入手や生産、施用に労力がかかる堆肥に比べて、緑肥の施用は比較的容易に取り組みやすい。また、窒素固定するマメ科緑肥作物は、土壌にすき込むことによって窒素の無機化が起こり、肥料成分として供給されることから、肥料の使用量を低減できる。この技術は、圃場にマメ科緑肥作物であるヘアリーベッチを秋に播種し、春に生草重2トン/10アール(窒素量約13キロ/10アール)をすき込むことで早生品種の水稲栽培の基肥の代替として活用できる技術である。
 効果は、水稲栽培の基肥の使用量を約50%低減可能で、マメ科緑肥作物のヘアリーベッチを2トン/10アールすき込むことで、基肥の使用量を3〜5キロ/10アール低減できる。
 すき込む際は、ロータリ軸にヘアリーベッチが絡むのを防ぐため、フレールモアで刈り取りを行った後、トラクタですき込む。
 導入の留意点としては、ヘアリーベッチは湿害に弱く、出芽と生育を安定させるためには、排水対策の徹底が不可欠である。すき込み後、入水までの期間は3週間程度空ける。水稲に葉の黄化等の還元障害の兆候がみられた場合は、2日程度軽く干す。幼穂形成期の生育に合わせて穂肥量を調整する。普及の状況は、滋賀県内で137ヘクタール(2022年実績)。
 【麦生育期の牛ふん堆肥散布技術】(大分県農林水産研究指導センター水田農業グループ)
 現在、水田の地力低下が問題となっている地域がある。地力回復には堆肥の散布が有効であるが、二毛作が主流の地域では、従来の堆肥散布は圃場の無作付期間に行うのが一般的であるが、散布が可能な期間が非常に短い。そこで、堆肥散布が可能な期間を拡大することを目的に、生育中の麦の上から牛ふん堆肥を散布する新たな手法を開発した。
 堆肥散布後の麦への効果は、堆肥の肥料効果により、堆肥を散布しない場合と比較して約3割増収する。後作の水稲や大豆への効果は、堆肥散布1回目後作の飼料用水稲で約1割、同2回目後作の大豆で約2割増収した。中・長期的な取り組み(堆肥散布)により地力が向上し、麦および後作が増収することで、生産者の収益増が期待される。
 麦生育期の牛ふん堆肥散布方法は、麦3葉期以降に牛ふん堆肥を2トン/10アール散布するが、雑草種子の混入の可能性があるため、必ず完熟堆肥を使用する。また、用いる堆肥の品質(肥料成分)により、散布量を調節する必要がある。
 2021年産麦において県内2地域(由布市および宇佐市)で大規模な散布実証試験を実施(農林水産省「産地生産基盤パワーアップ事業」も活用)し、合計散布面積は約19ヘクタール。

 
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  国内肥料資源マッチングフォーラム/作業機・土づくり特集  
     
   既報の通り、農林水産省の補助事業により、「国内肥料資源の利用拡大に向けたマッチングフォーラム」が各地で開催されている。畜産堆肥や下水汚泥等からの肥料原料供給事業者、肥料メーカー、国内肥料利用者等が一堂に会し、その利用拡大に向けた交流会として実施しているもの。
 昨年6月に初開催したマッチングフォーラムは5年度に4回開催し、国内肥料資源の利用拡大に向けて多数の関係者による活発な交流が行われてきた。そして、6年度も9月に広島市にて「マッチングフォーラムin中国四国」、12月に札幌市にて「マッチングフォーラムin北海道」が開催されたほか、8月には大阪市にて「シンポジウムin近畿」が行われた。
 同フォーラムでは肥料原料供給者や肥料製造事業者、農業機械等メーカー、肥料販売事業者、相談窓口、その他がそれぞれブースまたはポスターを出展。それぞれの取り扱う商品やサービス、ニーズなどをアピールしたほか、ステージにて基調講演や先進事例先による取り組み事例発表、出展者数社によるショートプレゼンなどが実施され、来場者は大いに情報交換し交流を深めていた。ここでは、9月に行われた「マッチングフォーラムin中国四国」から基調講演などの概要をみる。
 9月25日に広島県立広島産業会館で開催された「マッチングフォーラムin中国四国」では、肥料原料供給者・肥料製造業者・農業機械等メーカー・その他などが30以上の小間を出展。講演会場では、元茨城県農業総合センター園芸研究所所長・小川吉雄氏が「限りある資源の循環利用と環境にやさしい農業」と題して基調講演を行った。
 小川氏はキーワードに「循環」を掲げて、(1)物質循環と農業(2)環境にやさしい農業における土壌肥料的アプローチ―の2項目について説明。
 (1)については、物質を構成している元素は決してこの地球上からなくならないことを踏まえ、農業における物質循環として窒素循環(肥料↓食料↓排泄物↓下水汚泥↓微生物↓脱窒↓大気…)を例示した。また、地球上の物質循環には無生物的に移動する大気循環・水循環と、生物の活動に従って移動する養分循環(食物連鎖)があり、養分循環の基軸は土壌が担っているが、人類は近現代、大量生産・大量消費を効率よく実現するために、従来の循環型農業から、化学肥料や農薬を大量投入して生産物と廃棄物を出す一方通行の物質移動型農業に移行。そのため、地球は多くの側面で限界を迎えており(プラネタリーバウンダリー)、国内外でSDGsや環境に対する関心が高まり、日本の「みどりの食料システム戦略」をはじめ持続的な農業を目指す施策が進められている。
 そこで、(2)環境にやさしい農業における土壌肥料的アプローチとして、物質移動・多肥集約型農業から低投入・持続型農業への移行を提案。日本が輸入している食物・飼料を農地面積に換算すると、国内農地面積の2倍以上にあたる913万ヘクタールにのぼり、日本は国内の2倍以上の農地を海外に依存していると指摘。こうした海外依存脱却を図るため、国内肥料資源の活用を示し、家畜糞堆肥の肥料効果を考慮した施肥設計が重要になると述べ、具体的に(1)堆肥の施用量は含量の高いものを基準に決める(2)含量の少ない、不足する成分は化学肥料で補う―などのポイントを語った。また、輪作体系による耕地管理システムの例を取り上げ、畜産農家も含めた経営の異なる農家間で地域輪作(交換耕作)を行い、システムとして管理することで局所的な家畜糞尿の農地還元を回避し、農機の設備も省力でき、低コスト栽培が可能になるなどと述べた。
 まとめとして、環境にやさしい農業とは土壌本来の持つ多くの機能を最大限利用する農業であり、その概要として(1)土壌を環境資源として明確に位置付け(2)土壌診断・栄養診断による適正な施肥管理(3)有機物還元容量に基づいた有用資源の積極的利用(4)混合堆肥複合肥料、指定混合肥料の開発利用促進(5)緑肥作物を利用した養分循環の再生(6)輪作体系に基づいた耕地管理のシステム化―を提示した。
 その後、先進事例先による取り組み事例紹介として、(株)垣内や、JA全農ひろしま×広島大学、(株)日本有機四国が取り組みを発表。そのうち、垣内は「有機肥料のペレット化について」紹介。垣内は堆肥などをペレット化する造粒機「粒造くん」を製造販売しており、「粒造くん」の累計販売対数は37年間で国内外に累計350台以上を出荷している。特に直近10年間では畜産関係以外からの注文が増えていると述べた。
 また、ペレット生産について、堆肥をペレット化することで▽ブロードキャスタによる均一な機械散布ができる▽肥料効果の遅効性を図れる▽遠隔地など広域への流通がしやすい―などのメリットを示し、ペレット化する造粒機の導入検討課題として、生産計画による機種選定、設置場所やイニシャルコスト・ランニングコストの検討、日常メンテナンス―などをあげた。そのうえで、同社の造粒機「粒造くん」は、▽生産能力が高い▽低温造粒▽メンテナンスが簡単▽造粒機メーカーとしてレイアウト設計から据え付けまで一貫対応可能―等の特徴があると紹介した。さらに、耕種農家からのペレット堆肥のニーズは高く、今後もペレット市場は拡大していくと考えられ、今後もニーズに合わせた商品の開発・設計を行っていきたいなどと語った。

 
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  JA全農・藤原義人氏/欧州農機視察団レポート2  
     
   この度、第77次農経しんぽう欧州農機事情視察団に参加させていただきました。これまで触れることのなかった海外の農業・農機情勢の一端を現地で見聞きできたことは、自身の見識を広げる大変有意義な機会となりました。このような場を与えていただいた関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
 11月6日から10日までの期間にヴェローナフィエレ見本市会場で開催されたEIMA(国際農業・園芸資材展)を視察しました。過去最高の来場者数を記録したというこの展示会は、展示スペース21館、出展企業1750(うち700が国外)、6万を超える車両・機器・部品が出品される中、150カ国6万3100人の外国人ゲストを含む34万6800人が来場するという、日本ではまず体感することのできない規模感で終始圧倒されました。来場者には若者や家族連れも多く、農業・園芸に関心を抱く年代層は日本と比較し、かなり若い感じがしました。
 会場の展示内容から、圧倒的なシェアと規模を誇るジョンディアや、ケース、ニューホランドといったブランドを有するCNHなど巨大欧米メーカーの存在の大きさを感じる一方で、日本のメーカーが世界の市場に食い込もうと挑戦している姿を垣間見ました。クボタブースでは「La forza dei numeri!(数の力)」をキャッチコピーに、「クボタは1974年ヨーロッパに進出して50年」、これまでの生産額・生産台数など「数」を前面に打ち出すことで、世界で評価・支持されている信頼あるメーカーであることを訴求し、欧米巨大メーカーの牙城を切り崩そうと新たな顧客獲得に奮闘していることが伺えました。
 イタリアでは、今年で創立60周年を迎えるマスキオガスパルド社を視察しました。イタリア国内に5工場を置くとともに、インド・ルーマニア・中国といった海外にも工場を設け、全世界で1年当たり6万台を生産。ジャンボという6メートル以上のパワーハローを主力製品に持つ総合作業機メーカーです。今回視察したのは、溶解加工やレーザー切断・溶接・曲げ・旋削などの機械加工により部品を生産する工場と、ロータリティラーや粉砕機の組み立てを行う主力工場でした。8時間ごと3交代による24時間生産やロボット化による省人化など、生産性向上や効率化を積極的に進めている一方で、高品質維持を目的にロータリハロー用のセントラルギアボックスは手作業にこだわり、顧客の要望に基づきカスタマイズに対応できる広大な手作業スペースを確保するなど、随所に顧客目線の姿勢を感じました。
 また、提携ディーラーなどの整備士を育成するアカデミーを設置し、現場におけるサービスレベルの維持・向上を通じて、顧客に支持され、常に選ばれるメーカーであり続けようとする取り組みは組織として参考にすべき姿勢であると感じました。
 フランスでは、パリから西に約100キロ離れたノルマンディ地方ウール県にある農機販売店ル・ゴフ&ジルを視察しました。年間売上げは700万ユーロ(約12億円)、従業員30人の会社で、取り扱う製品の主力はトラクタ(マッセイ・ファーガソン)、コンバイン(クラース)、ガーデニング用の草刈機・チェンソーなど。顧客となる生産者1人当たりの耕作規模が150〜300ヘクタール、取り扱うトラクタのメーン馬力帯は200馬力、コンバインは400〜500馬力など、日本農業との規模の違いを感じる一方で、現場で取り組んでいることや対応していることに大きな違いはなく、共感することも多くありました。
 私自身が部品事業に携わっている立場であることから、部品の仕入れや調達方法について伺ったところ、主に「KRAMP」というアマゾンやモノタロウのようなECサイトを通じて購入しているとのことで、日本の部品供給の仕組みもいずれこのような形態にシフトしていくのではないかと考えさせられました。
 最後になりますが、今回の視察を企画・帯同いただいた農経新報社の濱安様、安全かつ円滑な催行に努めていただいた阪急交通社の樺島様、視察ならびに寝食を共にさせていただいた参加メンバーの皆様に心から感謝申し上げます。今回の視察で得た知見は、今後の業務に活かし、微力ながら日本農業の発展に貢献したいと思います。ありがとうございました。
(耕種資材部農業機械課西日本広域部品センター所長)

 
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  クボタが示す「数字の力」/欧州視察から―伊仏の農業に浸る2  
     
   今回のEIMAには、日本からクボタ、ヤンマー、井関農機、マキタ、トプコン、工進、ニシガキ工業などが出展していた。例年の欧州視察では展示会場を視察団員各々自由に見てまわることが多かったが、今回は本機を扱う日本企業ブースを全員で見学することとなり、クボタ、ヤンマー、井関農機の各小間には、団員全員で伺うこととなった。
 まずクボタブースでは、クボタ・ヨーロッパのイタリア担当マーケティングマネージャーであるエリザベッタ・リボルタ氏より話を聞いた。
 クボタ・ヨーロッパ50周年を記念した黒とオレンジのコントラスト鮮やかなデザインが目を引く、限定50台のトラクタM7―174KVTが大々的に展示されている。
 コンセプトとして「数字の力」を掲げ、50年という数字の他、クボタ創業134年、これまでのトラクタ生産台数5・4ミリオン(540万台)、エンジン製造数30ミリオン(3000万台)などをブース内のモニターで表示し、クボタの価値を数字で表現。
 電動製品やロボット農機なども展示。今回のEIMAテクニカルイノベーションアワードを受賞したラウンドベーラBV6160/6190も置いて、同社が持つ持続可能性を支える技術力を含めPRした。「イタリアにおいて日本製品は信頼が高い。来場者はそれをわかった上で足を運んでくれる。その点は我々の強みだが、まだまだ認知度は低い。そこで今回、数字を使ってアピールすることにした」とリボルタ氏は述べた。
 団員からもイタリアでのクボタのシェアや高馬力帯のトラクタの他社と比べての価格差などについて質問が出た。価格については、「多くの競合他社に食い込むため、他社と価格は揃えるが、安く売ることはしない。安価にするということはそれだけ品質や技術の低下を招く」といった返答に、団員は日本とのギャップを感じているようだった。また「イタリア農業で中心となる60代前後は、最新技術に明るくないため、シンプルな機械が人気。一方で若手の農家は最先端技術の導入に意欲的」との話には日本との共通点も感じることができた。
 来場者が名前とメールアドレスを入力することで遊べるディスプレースタンド式のスロットマシーンで貰える、クボタがプラチナパートナーとして協賛する大阪万博の記念キャップを団員全員にプレゼントしていただいた。最後に、全員で写真を撮りましょうとお誘いいただき、記念撮影をしてクボタブースを後にした。
 その他、グループ会社のクバンランドやクボタジャンニフェラーリ社の出展もあった。それぞれに来場者が多く詰めかけており、活気に溢れていた。
 次回は、他の日本の出展企業についての様子を紹介していきたい。

 
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  EIMAが示す農の未来/イタリア・国際農機展レポート2  
     
   前回に引き続き、EIMA2024における日本企業の出展をみる。ヤンマーは資本提携しているインドの大手トラクタメーカーITL社とコラボし、ITL社製のSolisトラクタとともに出展。欧州で展開している中小型トラクタのYT359、YM347、SA426を作業機とともに展示した。ブースではヤンマーアグリ(株)営業統括部商品企画部トラクタ・インプルメント推進グループ海外推進担当課長・上田英樹氏に話を聞いた。上田氏によると、今回の展示は、イタリアをはじめ欧州全域に向けて、ヤンマーとITL社との協業を強くアピールすることがねらい。両社のセールスネットワーク統合について卸売及び販売担当者に説明することも目的の1つだとした。今回はそのねらいも踏まえた小間運営になっており、Solisトラクタとヤンマートラクタの両方のラインアップを展示。ITL社とセールスネットワークを統合していくことにより、Solisトラクタを加えた大きなレンジで国際市場を攻めていけるのではないか、と展望を述べた。ヤンマートラクタは欧州にて、その質の高さから農業分野に限らず、幅広い引き合いを得ている。特に冬でも雑草の草刈りをしたり、道路の除雪を行うなど、通年でトラクタ作業がある市役所関係の引き合いが多くなっているとした。キャビンタイプのYTトラクタなどは、「やや高価格ではあるものの性能がいい」と高い評価を得ているという。その評判通り、今回のEIMAでは、ひっきりなしに人が訪れ、熱心にトラクタを確認していた。上田氏は「取引が数年途絶えていたような卸売業者からも、取引を再開したいといった引き合いも来ている」と、感触の良さを語った。ヤンマートラクタが欧州で高い評価を得ていることの証左の1つとして、今回EIMAで展示していたYT359が、今年の「トラクター・オブ・ザ・イヤー2025」でファイナリストに選ばれたこともあげられる。YT359は、果樹園やブドウ園向けの40馬力以上のトラクタ部門であるTotY Specializedのファイナリスト5台に選出された。同表彰制度は欧州市場における最高のトラクタを紹介する国際的権威のある賞。1998年に創設され、最高の性能を持つトラクタを毎年選定しており、世界中の主要な農業出版物から大きな注目を集めている。YT359は今回惜しくも受賞を逃したものの、ファイナリストとして「TotY FINALIST」ロゴを活用できる。EIMAブースでも、ファイナリストになったことを示すモニュメントが展示され、輝いていた。一方、現地拠点であるヤンマーイタリア社はテーマ別展示会「EIMAコンポーネンツ」に小間を出展。同社の小間では、スペースの半分をヤンマーが誇る産業用エンジンが占め、4TN101やL100V、4TNV98Cを展示し、スペースの残り半分はモジュール型バッテリーパックを展示した。前者のエンジンはいずれも、環境に優しいHVO燃料(水素化植物油)に対応。同燃料はカーボンニュートラル化に貢献する次世代型バイオ燃料として欧州で活用が広がっている。後者のバッテリーはグループ会社であるオランダのバッテリーシステム製造会社・エレオ社による製品で、その特徴は、複数のバッテリーパックを縦に重ねるなど自在に組み合わせられること。柔軟性と汎用性に富むモジュール設計により、農機をはじめ、発電機やオフロード機など様々な機械に活用でき、その組み合わせによってシステム容量や電圧も向上する。ヤンマーイタリアの小間では、ヤンマーヨーロッパ社で東欧及び中東産業用パワートレイン部門営業マネージャーを務めるシダス・ウィラカーン氏が応対してくれた。シダス氏は「ヤンマーはエンジンに100年以上の歴史を持っており、安定した供給を誇っている。一方で、欧州では電動化に非常に力を入れているので、作業機メーカーにとって安定したバッテリーサプライヤーを見つけるのが大きな課題。そこで、ヤンマーがエンジン及び、様々な電動化のニーズに対応し提供していく。さらにバッテリーは寿命が長いので、作業機に活用した後も、家のバックアップ電源などを担うライフサイクルを考えている。今回はそうした技術を周知し、選んでもらうためのPRになる」と展示の趣旨を述べた。
 
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