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農経しんぽう |
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令和6年9月2日発行 第3519号 |
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16.3%増の2兆6389億円/7年度農林予算概算要求 |
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農林水産省が8月30日公表した令和7年度農林水産予算概算要求は、前年度比16・3%増の2兆6389億円となった。食料・農業・農村基本法の改正を踏まえ、食料安全保障の強化、環境と調和のとれた食料システムの確立、農業の持続的な発展、農村の振興等を図るため、農業の構造転換の実現に向けた施策を初動の5年間で集中的に実行するとともに、農林水産業の持続可能な成長を推進する。スマート農業推進のための事業を大幅に拡充し、「スマート農業技術活用促進集中支援プログラム」の創設に410億円、スマート農業技術の開発支援などに126億円、農業支援サービス事業体の育成支援に32億円などを要求した。 食料安全保障の強化に向けては、海外依存度の高い品目の生産拡大を推進するための「水田活用の直接支払交付金等」に3015億円。水田での麦・大豆、米粉用米等の戦略作物の本作化、畑地化による高収益作物、麦・大豆、飼料作物等の導入・定着や地域の特色を活かした魅力的な産地づくり、新市場開拓に向けた米等の低コスト生産の取り組みを支援。「米粉の利用拡大の推進」には新規に1億円。米粉の特徴を活かした商品開発・製造、米粉製品の利用拡大に向けた情報発信等の取り組みを支援。 農業生産基盤の強化に向けては、「加工・業務用野菜の国産シェア奪還」に15億円。加工・業務用野菜の周年安定供給に必要な新たな生産・流通体系の構築や作柄安定技術の導入等による国産シェア奪還に向けた取り組みを支援する。 生産資材の確保・安定供給に向けては、「肥料の国産化・安定供給」に1億円。国内肥料資源の利用拡大・広域流通に向けた堆肥等の高品質化・ペレット化等に必要な施設整備、圃場での効果実証、機械導入等の支援や肥料価格急騰対策に関する調査の実施の他、主要な肥料原料の備蓄を支援。「国産飼料の生産・利用拡大」に新規に61億円。酪農・肉用牛経営者等の連携による計画的な飼料増産や品質向上の取り組み、地域計画に基づく飼料産地作りの推進、青刈りトウモロコシの生産の推進、飼料生産組織の体制強化等を支援。 「スマート農業技術活用促進集中支援プログラム」では、「スマート農業技術等の開発・供給支援」として、果樹・野菜など、現場ニーズが高く高難度のスマート農業技術の開発を支援するとともに、農機メーカーなど民間研究開発の加速化に役立つ農研機構による基幹的・基盤的技術の研究開発や、スマート農業技術の推進に資する機械作業適性品種の開発等を支援する。「農業支援サービス事業体の育成支援」では、農業支援サービス事業体の新規参入、新規ビジネスの確立、サービス提供に必要な農業用機械の導入等を支援する。 「スマート農業技術の活用を促進するための環境整備支援」では、農地の大区画化等の他、農業農村インフラの管理の省力化・高度化やスマート農業の実装に必要な光ファイバー、無線基地局等の情報通信施設及び附帯設備の整備を支援する。 「みどりの食料システム戦略推進総合対策」には35億円を要求。みどり法の認定を受けた生産者及びその取り組みを支える事業者の施設・機械の導入、バイオマス利活用施設の整備、環境負荷低減と収益性の向上を両立した施設園芸の重点支援モデル確立を目指す。
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次期基本計画を検討/食料・農業・農村政策審議会 |
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農林水産省は8月29日、東京・霞が関の農林水産省講堂で、食料・農業・農村政策審議会、食料・農業・農村政策審議会企画部会合同会議を開き、坂本哲志農林水産大臣が、食料・農業・農村基本計画の変更について諮問。令和7年度からの次期基本計画の検討がスタートした。国民一人ひとりの「食料安全保障」、「環境と調和のとれた食料システム」、人口減少下における農業生産の方向性などを明確化し、来年3月の答申を目途に審議を進める。 当日は、坂本農相から中嶋康博会長代理に諮問文が手渡された。 会議では、農林水産省が、食料・農業・農村基本法改正のポイントの資料を説明。改正の重点として(1)国民一人ひとりの「食料安全保障」を基本理念の中心に(2)「環境と調和のとれた食料システム」を新たな基本理念に(3)人口減少下における農業生産の方向性を明確化(4)人口減少下における農村の地域コミュニティの維持を明確化(5)「食料システム」の位置付けと関係者の役割を明確化―などがあげられた。 「環境と調和のとれた食料システム」については、食品産業の健全な発展、環境への負荷の低減の促進などが位置付けられ、自然循環機能の維持増進に配慮しつつ、農薬・肥料の適正な使用の確保、家畜排せつ物等の有効利用による地力の増進、環境への負荷の低減に資する生産方式の導入などを進めていく。 人口減少下における農業生産の方向性については、人口の減少に伴う農業者の減少等が生じる状況においても、食料安全保障の確保の前提となる食料の供給機能や多面的機能が発揮され、農業の持続的発展が図られなければならない旨を明記。農業生産の方向性として、「生産性の向上」(スマート農業の促進や新品種の開発など)、「付加価値の向上」(知的財産の確保・活用など)、「環境負荷低減」を位置付けた。この中で、サービス事業体の事業活動の促進が新たに盛り込まれ、農作業受託、機械リース、人材派遣、農業経営に係る情報分析・助言等の農業経営の支援を行うサービス事業体の事業活動を促進することとした。続いて「我が国の食料安全保障をめぐる情勢」の資料が説明され、食料自給率の推移と変動要因、小麦・大豆の国内生産の増大、米の新規需要の拡大、加工・業務用野菜の国産シェア奪還、我が国の主要農産物の輸入、肥料・飼料の安定供給、農林水産物・食品の輸出促進、合理的な価格形成の在り方の検討などの状況が報告された。
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有機農業3万ha超え/みどりの食料システム戦略本部 |
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農林水産省は8月30日、東京・霞が関の農林水産省内で、第14回みどりの食料システム戦略本部を開き、みどりの食料システム戦略に基づく取り組みの進捗状況が報告された。それによると、みどりの食料システム法の認定生産者は、令和6年7月末現在で46道府県、計1万7000人以上に増加した。また、有機農業の取り組み面積は、令和5年3月末現在で、対前年度比約3700ヘクタール増加し、3万300ヘクタールに拡大している。 この他、基盤確立事業で新たに流通の合理化分野での計画が認定となるなど、81事業者の取り組みが認定されている(令和6年8月末)。 補助事業におけるクロスコンプライアンスについては、令和6年度から、事業申請時のチェックシート提出に限定して試行実施している。 環境負荷低減の取り組みの「見える化」については、生物多様性保全の取り組みの評価を追加し、令和6年3月にガイドラインと新ラベルに基づく本格運用を開始。ラベルの愛称を「みえるらべる」に決定した。販売店舗等は令和6年7月で507カ所となっている。 カーボン・クレジットの取り組みは、「水稲栽培における中干し期間の延長」について、23道府県の水田(約4600ヘクタール)における取り組みに基づく1万4996トン(CO〓換算)のクレジットが認証されている(令和6年8月末)。
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食料安保確保とロス削減を/APEC食料安保大臣会合 |
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農林水産省は、8月18日にペルーで開催された第9回APEC食料安全保障担当大臣会合の結果概要を発表した。 同会合では食料安全保障の確保等の「APEC食料安全保障担当大臣会合閣僚声明」「APEC食料安全保障担当大臣会合議長声明」及び、食品ロスの防止・削減を促進させるためのアプローチを明確にした「APEC食品ロス・廃棄の防止・削減のためのトルヒーヨ原則」が採択された。 また、日本からは気候変動問題に対応するため、前日に行われたデータに基づく政策立案の促進により食料安全保障に取り組むための日米共催のワークショップの報告を行った他、同会合のテーマの1つである食品ロスの防止・削減に対応することの重要性や「みどりの食料システム戦略」や「日ASEANみどり協力プラン」等により持続可能で強靭な農業・食料システムの構築に向けた連携の強化について主張した。 採択された閣僚声明のポイントは次の通り。 ▽食料安全保障と栄養を改善するために研究・イノベーションを支援・奨励し、効率的な農業生産性を向上▽食品ロス・廃棄を防止・削減し、農業・食料システムを強靭化するために、必要に応じて関連リスク要因を考慮した科学的アプローチを用いて能力構築への投資を促進▽APEC域内の食料安全保障を達成するために、気候変動への適応と影響の緩和に向けた農業・食料システムの改善や、生物多様性の保全、関連するデータ・情報の考慮を目的とした、戦略的な政策とアプローチを確保▽WTOを中核としたルールに基づく、無差別で、開かれ、校正で、包摂的、公平かつ透明性がある多国間貿易システムの実施に向けた取り組みを継続する。
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冷凍野菜の魅力発信/農林省が野菜の日シンポ |
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農林水産省は8月21日、令和6年度「野菜の日」Webシンポジウムを開催した。 8月31日が野菜「8(ヤ)3(サ)1(イ)」の日であることにちなみ、野菜の消費拡大の機運を醸成することを目的としたイベントで、今年は「『冷凍野菜』を生活に上手に取り入れるために」をテーマに、専門家や生産現場の担当者らが講演を行った。1日の野菜摂取目標量は350グラムとされているが、実際の摂取量の平均は280グラム程度に留まっており、国内の野菜需要量は減少している。一方、冷凍野菜は保存性や利便性の高さ、品質の良さなどが評価され、その市場は増加傾向にある。そこで今回のシンポジウムでは、冷凍技術の進展や冷凍野菜の魅力を発信することとした。 最初に行われた基調講演「冷凍野菜のサイエンス」では、食品の冷凍保存の研究を行う東京海洋大学教授の渡辺学氏が登壇。渡辺氏は、食品を長期保存するためには、食中毒や腐敗に関係する微生物を増殖させないことが必要だとし、そのためには殺菌や乾燥、発酵などの方法があるが、生鮮食品をそのままの状態で保存できるのは凍結だけであるとし、「凍結は究極の食品保存に最も近い方法だ」と述べた。そして、凍結前と同じ状態に復元することを最終目標とし、そのためには、凍結前処理・凍結・貯蔵・解凍(調理)という4つの工程全てで高いレベルの技術が必要だとした。特に青果物の場合は凍結前処理で行うブランチング(調理に満たない程度の加熱)や、各食材に適した解凍(調理)が、食感の向上やドリップロスにつながることから、この2つの工程に着目した技術開発が更なる発展に有効であると指摘した。 続いて、4つのミニ講演が行われた。このうち、冷凍野菜の製造を行う(株)ジェイエイフーズみやざきで原料調達を担当している伊豆元文博氏は、「冷凍野菜原料の安定供給のための取り組み」について解説。同社ではホウレンソウ2600トンをメーンに、ゴボウやサトイモなどを冷凍加工している。現在抱える課題として、▽高齢化や離農者が増加する中、工場の年間稼働に必要な原料をどう維持していくか▽気候変動やコスト上昇にどう対応していくか―などをあげた。 令和5年度のホウレンソウの生産者は52名、圃場面積は129ヘクタールで、このうち26・5ヘクタールを自社農場で作付けしている。収穫機の改良など機械化を進めて省人化を実現し、工場から20キロ圏内の圃場から、収穫後30分以内に冷凍加工して鮮度を保つなど、原料部門と生産部門が協力しながら、よりよい冷凍野菜の製造に努めている、などとアピールした。
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基盤確立事業計画を追加認定/農林省 |
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農林水産省は8月23日、みどりの食料システム法に基づく基盤確立事業実施計画を認定し公表した。今回認定されたのは大分県農業協同組合の1件で、これにより累計81事業者の事業計画が認定された。認定された計画の概要は次の通り。 〇大分県農業協同組合=ヒートポンプを活用した省エネ型温度管理や、天敵を活用した農薬の使用低減により、環境負荷を低減して生産したハウスミカンの流通を合理化するため、▽選果機を導入して慣行栽培のハウスミカンと区分管理し、化学農薬が付着することを防ぐこと等により、付加価値の向上を図る▽公設卸売市場等を通じて全国の消費者への流通・販売を目指す▽栽培マニュアルを普及するとともに、付加価値の向上で得られる利益を生産者に還元することで、環境負荷の低減に取り組む。
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九州のスマ農推進/九州農政局などが連絡会議 |
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九州農政局は農研機構九州沖縄農業研究センターとの共催で、8月27日、令和6年度九州スマート農業技術情報連絡会議をWeb開催した。九州管内のスマート農業実証プロジェクトが円滑に実施され、成果の発信や情報提供が効果的に行われるように開催されたもの。開会に当たり挨拶した九州農政局生産部長の満永俊典氏は、先に行われた食料・農業・農村基本法の改正、スマート農業技術活用促進法の制定などに触れ、本日はこうした状況を踏まえてスマート農業実証プロジェクトの成果並びに最新情勢を報告するとともに、相互の情報交換を通じてスマート農業の推進と実装をさらに加速化していくとし、地域のスマート農業は地域の農業と経済の発展にも大きく寄与するものであり九州農政局としてもしっかり進めていきたいと語った。 続いて議事に移り、(1)スマート農業の推進(2)これまでの実証プロジェクトで明らかになったスマート農業技術導入の経営的効果と今後の経営像(3)スマート農業の現場実装に向けた取り組み等―について、説明や質疑が行われた。(1)では、今年度の活動方針等を九州農政局及び九州農研センターが、スマート農業技術活用促進法の制定について農林水産省が説明。 また、(2)は農研機構本部・田口光弘氏が「スマート農業技術導入による経営改善と経営対応」、同・宮武恭一氏が「九州中山間におけるスマート農業技術導入モデル(鹿児島県編)」を報告。そのうち、田口氏は農業実証プロジェクトの令和元・2年度課題の経営分析結果から、露地ダイコンやミカンなどでスマート農業技術を導入した実証区が慣行区より儲かった事例などを示した。ロボ技術を中心とした省力化・作業精度向上技術は労働時間を削減できることから、その削減時間で規模拡大や適期作業等による増収、新規作物の導入などを行い収益増を目指すことが経営改善につながるとした。また、いかなる規模や部門でもデータ収集・解析が経営改善の基礎であり、データ共有が従業員間の意見交換や人材育成などにも役立つなどと語った。
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資源循環型社会へ/関東農政局がみどり戦略勉強会 |
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関東農政局は8月26日、みどりの食料システム戦略勉強会(第22回)をオンラインで開催した。これは同戦略に関係するテーマについての勉強会を毎月実施しているもので、今回から「国内資源由来肥料の利用について」をテーマにしている。その初回は「朝日アグリアの国内肥料資源活用の取組み」と題し、朝日アグリア(株)事業戦略部部長の木村亨氏が登壇した。同社は、肥料事業を中心に展開する農業資材メーカー。「資源循環型社会の実現を目指す」を企業理念に掲げ、粒状有機肥料では国内トップシェアを誇る。 木村氏は最初に、我が国の肥料市場の現状を解説した。化学肥料の主な原料である尿素、りん安、塩化加里はほぼ全量を輸入に頼っており、輸入先も特定の国に偏っている。そのため、国際市況や為替の影響を大きく受ける構造となっており、令和3年秋以降、ロシアによるウクライナ侵攻などの影響で肥料価格は高騰を繰り返している。一方、政策に目を向けると、みどりの食料システム戦略では、2050年までに化学肥料使用量を30%削減することを、食料安全保障強化政策大綱では、2030年までに堆肥・下水汚泥資源の使用量を倍増し、国内資源の肥料への利用割合を40%まで拡大することを、それぞれ目標としている。このような状況を背景に、木村氏は「今こそ、国内の肥料資源の有効活用による肥料生産のイノベーションにより、将来にわたって持続可能な農業生産への転換が必要だ」と強調した。 続けて、同社の強みとして▽有機肥料を使いやすくする粒状加工技術▽有機肥料の低価格化・安定供給を目指した未利用資源の活用▽新商品開発への挑戦―をあげ、企業理念や強みを最大限に活かす道を追求した結果、堆肥活用に行き着いたと語った。「堆肥を極める」を同社のキャッチフレーズに、新たな堆肥市場の創造と、堆肥活用肥料の全国展開を目指した取り組みを加速させている。 2020年に行われた肥料法改正も、同社の事業を後押しした。牛ふん堆肥を混合堆肥複合肥料に使用できるようになったほか、土壌改良資材を混ぜた指定混合肥料の販売が認められるなど、配合ルールが大幅に緩和されたのだ。この改正を受け、同社が2021年から販売を開始したのが、牛ふん堆肥を主体に、化成肥料と土壌改良資材等を配合した粒状の指定混合肥料。多くの地域から引き合いがあり、既に4500トンの販売実績を上げているという。 地域で発生した堆肥を原料とし、その土地に適した肥料を開発する、堆肥地域循環にも積極的に取り組む。原料調達から作物生産に至るまで、地域内での資源循環流通を埼玉、千葉、静岡など9県で実施。今後、さらなる拡大を目指す。この取り組みは、肥料を利用する耕種農家だけでなく、堆肥の供給元である畜産農家からも好評で、「定期的に堆肥を引き取ってもらえるので、堆肥の在庫が過剰にならず助かる」「堆肥を原料にした肥料が好評で普及が進んでいることは、励みになっている。朝日アグリアには、畜産農家と耕種農家との架け橋になってほしい」などの声が届いているという。 同社は今後、有機性廃棄物の中で最も量の多い”汚泥”を活用した肥料開発にも挑戦していくとし、そのためには、行政や市場との対話を通じて、安全性の確保や安心感の醸成が必要だと述べた。さらに今後の展望として「堆肥・汚泥資源を含めた地域資源の積極的な活用を図り、肥料国産化、資源循環型社会の実現を目指した事業展開を図っていく」と力強く語り、講演を締めくくった。
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福島の今を伝える/環境省・ぐぐるプロジェクト |
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環境省は8月19日、東京都千代田区のTOKYO TORCH常盤橋タワーで、「令和6年度ぐぐるプロジェクトキックオフミーティング」を開催した。ぐぐるプロジェクトとは、同省が2021年から行っている取り組みで、東京電力福島第一原子力発電所の事故に端を発した放射線の健康影響に関する風評や偏見をなくすことを目的としている。これまでに、放射線について正しい知識を学ぶラジエーションカレッジや、学んだことを発信する作品コンテストの開催、広告等での情報発信など、様々な取り組みを行ってきた。 4年目となる今年は「福島の今を知って、情報のアップデートへつなげる」を活動方針とし、新たに「ふくしまメッセンジャーズ」を立ち上げることとした。これは福島県在住または在勤・在学の10〜30代をメンバーとし、それぞれが福島の”今”を自然体で発信するなどの活動を行うもの。放射線の健康影響に関する正しい情報が伝わる機会を作り、1人でも多くの人に関心をもってもらうことを目指す。同省では専門家やクリエーター、インフルエンサーなどを福島メッセンジャーズのサポーターとして任命し、その活動を後押ししていくとしている。 今回のキックオフミーティングでは、サポーター第1号として、郡山市出身の俳優・タレントの箭内夢菜氏が登壇。3年前からぐぐるプロジェクトのナビゲーターを務めている落語家・桂三四郎氏とともに、環境省大臣官房環境保健部長の前田光哉氏からサポーター任命状を授与された。小学生の時に東日本大震災で被災した経験をもつ箭内氏は、「福島県で生まれ育った若い世代の代表と自信をもって言えるように活動を応援していきたい。福島の今を全国の人たちに知ってもらえるよう、情報アップデートをがんばっていきましょう」と呼び掛けた。
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画期的ノズル「スカッシュ」/MRT |
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(株)MRT(塚本耕也社長・大阪府八尾市老原2の119)は、農業用ファインバブル発生ノズル「スカッシュ」の特許を取得し、販売の準備を始めている。昨今、浴室のシャワーヘッドを取り換え、特殊なバブルを放出する機器が話題となっている。その効果は異なるが、スカッシュはこれの農業版といえる。同品を水道ホースに取り付け、各種作物に散水するだけで”糖度が上がる””正型果の収穫量が増える”という主に2点の効果が得られる。 現在、市販のファインバブル生成機器では、1立方センチの水の中に約6000個、多くて1億個のファインバブルを生成する。塚本社長は「1億個を出す機器は大掛かりな構造かつ高額で、農家は導入しにくい。従ってまずは簡単な構造で、しかも2億個以上を出すものを作った」と話す。 すでに”1億個未満の機器”を導入済みの農家は、作物の生育が早くなる、大きくなるといった効果を見出している。しかし”2億個以上の機器”はこれらに加えて”糖度が上がる””正型果の収穫量が増える”ことに成功した。 「ファインバブルが倍増すれば、今まで以上の成果が得られると判明したのは、大阪公立大学での委託実験(イチゴ)および島根県の農家との実験(トマト)を行った結果です」と塚本社長は話す。 具体的にはトマト農家(フルティカ)での実験で、機器を使わなかった2020年度が総収穫量1万423キロ、糖度8であったのに対し、機器を使った2021年産は同1万1908キロ、糖度12であった。 また、イチゴ(よつぼし)に関しては、2022年に大学で比較実験を行った。その結果、機器を使わなかった場合の総収穫数163(正型果数150、奇型果数13)、糖度9に対し、機器を使った場合の総収穫数は387(正型果数364、奇型果数23)と約2・3倍、糖度は11・5を超えた。「糖度が上がり正型果数が増えれば、農家の高収益化に貢献できる」と塚本社長は話す。 その後改良を経て、2024年3月に完成したスカッシュは3億個のファインバブルを生成するに至った。特筆は前述の効果のみならず、誰もが即座に使える同品のシンプルな構造と価格である。 塚本社長は「農業資材等の高騰で農家の皆様は苦労されている。できるだけ多くの農家にスカッシュを届けたいので、2万円前後の価格設定を考えている」と力を込める。問い合わせは同社(TEL072・992・5452)まで。
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10馬力コイン精米機発売/タイワ精機 |
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(株)タイワ精機(高井良一社長・富山県富山市関186)は9月から、10馬力高速コイン精米機「米ぼうやくんPRO 型番‥CAC―100U(H)」の発売を開始。同社は昨年12月に同機の5馬力タイプを発売し好評を博している。米ぼうやくんPRОは同社の独自技術により、米のデンプン層とヌカ層の間にある「うまみ層」を残す精米方式で、従来の精米機と一線を画する。 5馬力タイプが好評のなか、多くの要望を受けて、新たに10馬力高速タイプをラインアップに加えた。新製品は標準型5馬力モデルと比較して、30キロ当たりの処理時間が最大で約2分30秒に短縮されるため、大量の精米をする人や、精米業務が旺盛な店舗での待機時間を大幅に減らすことができる。 新製品の主な特徴は以下の5点である。 (1)うまみ精米=お米のうまみを残した新精米方式を採用。 (2)メンテナンス向上=搗精部分解時の工具レス化を実現。昇降機Vベルト廃止。 (3)清潔感向上=客室床材変更。フットペダルを浮かせる設計。 (4)外観リニューアル=精米所とひと目でわかるデザイン。 (5)豊富なオプション=サイクロン、10インチディスプレイ、レシート仕様、500円仕様、ビルバリ仕様、小袋受台、石抜き機出口マグネット、ガンロック、掃除機取付部品、リフレッシュ白米仕様、前板ヒーター、光触媒コーティング。 【製品仕様(ハウス付き)】 ▽型式=CAC―100UH▽寸法(オプション品含まず)=幅2160×奥行3968×高さ2787ミリ(ハウスなし‥幅1610×奥行1507×高さ2444ミリ)▽重量=約1460キロ(ハウスなし‥約600キロ) ▽張込ホッパー容量=30キロ▽白米タンク容量=30キロ▽昇降機=3インチバケットベルト式▽精白度設定=「6段階」うまみ玄米・うまみ白米・7ぶ・標準・上白・無洗米▽最小搗精量=2キロ▽音声ガイド=9種類のメッセージ ▽表示・各種設定=タッチパネル式▽能率=毎時600キロ(うまみ玄米/普通精米)、毎時400キロ(うまみ白米/無洗米)▽所要動力=7・915キロワット(単相220ボルト、三相200ボルト/220ボルト/380ボルト対応可) ▽精米方式=摩擦式▽籾殻排出=吸引ファン内蔵▽除糠方式=吸引ファン内蔵
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ハヤブサローダPR/丸久製作所 |
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(株)丸久製作所(茨城県結城市東茂呂1877)は、先週開催された岩手県全国農機展会場に新製品「ハヤブサローダ」5型式、「マイティサンローダK950」、「亜鉛メッキ仕様バケット」、「オートヒッチ用バランスウエイト」を出品、それぞれの特徴をアピールした。 「亜鉛メッキ仕様バケット」は、溶融亜鉛でバケットの素材に被膜を作ることで防錆力を高め、畜産関係をはじめとする錆が発生しやすい作業環境に適したバケット。鉄と亜鉛が化学反応により密着しているため剥がれにくく、傷により被膜の一部が剥がれて鉄が露出しても、周囲の亜鉛が溶け出し被膜を再生する。顧客の要望に応え、同社が一貫して同バケットの生産・供給を進める。出荷は7月から開始している。 「ハヤブサローダ」はK125/165/175/195/255で構成。思いやりのあるローダとして、平行昇降部を新設計し、リンクロットをアームに収納、視界性を大幅に改善したほか(1)ローダ取り外し後、ホースを収納できるようフレームにホースホルダを装備(2)グリスアップはすべてピン給脂とし横方からに統一(3)脱着スタンドを改良し着脱がより安定して行える(4)アーム内側の圧ホースがなくなりスッキリ(5)レベラーは左右どちらでも装着可能。追加レベラーキット(オプション)を装着すると、アタッチメントを交換しても調整の手間がいらない(6)掘り込み、掘削、引き出し整地などは「複動」で、地面の凹凸に沿った集草などは「フローティング」で、バルブ内蔵ディテント方式により、作業に合わせてレバーを握り替えることなく素早く切り替えでき、作業がスピーディー―などの特徴がある。 「マイティサンローダK950」は、余裕のあるリフトアーム寸法で、トラクタボディーとの間隙を十分に取り、安心して作業や脱着ができ、リフトアームの一部素材変更によってアーム強度を20%向上。レベラーは左右どちらでも装着が可能で、追加レベラーキット(オプション)を装着すると、アタッチメントを交換しても調整の手間がいらない。また、バケットヒッチの構造を見直し、さらに頑丈なヒッチとした。田畑の土の移動からツルものの残幹処理、パレット運搬、除雪作業と、幅広い作業に活躍する。 展示会場では、トラクタ後部に「オートヒッチ用バランスウエイト」を装着しPR。同製品は現在使っているオートヒッチを利用(各メーカーおよび日農工のオートヒッチ対応)、キャスター付きスタンドを標準装備しており、移動がラクにできる。適切な後部ウエートを付けることにより、転倒の危険が減り安全性が高まるとともに、トラクタへの荷重が分散されることでFタイヤ、Fアクスルが長持ち。4輪が適切に接地し、牽引力アップにもつながる。トラクタの車幅内に納まるため、作業機破損の心配がない。 250キロ(適応トラクタ18〜30PS)、300キロ(20〜30PS)、350キロ(30〜40PS)、400キロ(40〜50PS)、500キロ(50PS〜)の6種の製品を揃えている。 同社TELは0296・35・0611。
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上腕アシストスーツ/ダイドーがJR東海と改良 |
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(株)ダイドー(追田尚幸社長・大阪府河内長野市上原町250の2)は、バネやダンパーの動力を活用した上腕アシストスーツ「TASK AR」を更にブラッシュアップするため、東海旅客鉄道(株)(JR東海)と共同開発を行い、最新モデル「TASK AR Type S+」を製品化した。 共同開発の経緯として、東海旅客鉄道は鉄道に関連する工事で持続可能な人材確保のため、作業負荷軽減に取り組んでおり、”電力を使わない”コンパクトなダイドーのTASK ARシリーズに着目。一方で同シリーズを現場投入するには課題があったことから、改良が必要と判断した。そこで共同開発を行い、ブラッシュアップしていく運びとなった。 開発のポイントは2つある。1つは、スイッチのON・OFF機構。従来品は腕を上げ続ける作業以外において、アシストが作業を阻害するという課題があった。そこで必要な時だけアシストを作動させるON・OFF機構を実装した。 2つ目は、工事現場で必須のアイテムとの併用可能な設計をしたこと。具体的には以下の3点。 (1)アシスト機構を工事に従事する職人の多くが使用する胴ベルトに装着できるよう、アタッチメント化(2)オプションアタッチメントを活用することで、フルハーネス型安全帯と一体化しての着用を可能に(3)丸みのあるデザインアシストスーツの機構が電車線等に引っ掛かることに起因する転倒等の災害発生リスクを抑制するため、外骨格部分の突起をできる限り排除―など。 問い合わせは同社(TEL0721・53・7201)まで。
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管理機で快適草取り/宮丸アタッチメント |
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(株)宮丸アタッチメント研究所(宮丸雅博社長・広島県福山市明神町2の2の22)が製造・販売するプロ農家向けの草刈り・草削りアタッチメント「ブルースパイラル650」は、雑草を根こそぎ刈り取ることで草刈り作業の回数を減少できると好評だ。 青色でスパイラル(螺旋)形状の同品は外径が28センチ、作業幅が65センチで、2馬力クラスの小型管理機に取り付けて使う。同品の片側には同社が独自に考案した「6本爪」形状の先端エッジがあり、これが効果的に草に食い込み、地中2〜3センチの草の根をカットする。根こそぎ刈り取るため草が再生しにくく、煩わしい草刈り作業の頻度を減らすことができる。 刈り取った草は同品の開口部(U字)からスムーズに放出されるので内部に草が留まりにくく、草の巻き付きを抑える。そのため耕うん機を止めず、連続した草刈り作業が可能である。また同品車軸の「受け」部分には独自技術の”からまんカラー”を装着。回転する車軸をカバーしながら、からまんカラー自体は回転しない構造で、背丈の高い草や密集した草を刈っても車軸部への草の巻き付きを抑える。 さらに作業時の振動が少ないのも特徴のひとつで、持ち手から伝わる振動による疲労が少ない。同品を取り付けできる管理機は、ホンダ「F220」、クボタ「TMS300」、三菱マヒンドラ農機「MM300A」、井関農機「KM30」など。作業動画は同社のHPで閲覧できる。 草刈り現場の状況にあわせて作業幅75センチの「ブルースパイラル750(4馬力クラス対応)」、作業幅45センチの「イエロースパイラル450(2馬力以下対応)」もラインアップ。同社のスパイラルシリーズは、最寄りの農機店もしくはJAで購入できる。
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2秒で測定可能な非破壊糖度計/メカトロニクス |
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(株)メカトロニクス(立石賢二社長・長崎県佐世保市瀬戸越4の4の26)の「N―1非破壊糖度計」は、作物に当ててボタンを押すだけの簡単操作で糖度が測定できると好評だ。 マンゴー、モモ、ナシ、リンゴ、シャインマスカットなど様々な作物に対応しており、小型で軽量、2秒で測定でき屋外の使用に適している。 製品仕様は、全長181×幅52×厚さ42ミリ。重量200グラム。単3アルカリ電池2本で5000回測定可能。また、同製品には4種類の卓上測定用オプション装置があり、作物の全数検査にも威力を発揮する。 (1)ND―1卓上機。据え置き型の糖度計として使用可能で、加えて音声読み上げ機能あり。(2)ND―2卓上機。電子部品を一切使用していないので耐久性に優れており、ホコリの多い環境でも使用できる。(3)ND―3卓上機。パソコンと接続し、糖度と重量を測定可能。それらの情報を元に作物のランク仕分けも行える。収穫物のデータベース化や分析などに最適。(4)ND―4卓上機。ND―1の改良型で、測定原理をシーソー型からモーター駆動型に変更し、より繊細なタッチで作物の表面に同製品のヘッドを導くことができる。 ▽製品問い合わせ=同社(TEL0956・40・7802)
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ミニトマトの新品種/サカタのタネが新発売 |
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(株)サカタのタネ(横浜市都筑区仲町台2の7の1)は、夏の高温期でも安定した量と高品質な青果を収穫でき、食味、作業性もよいミニトマト「キャロルポポ」の種子を11月下旬から発売する。夏秋栽培に適した品種で、特徴は食味、安定した樹勢と収量性。夏の暑さでも樹勢を維持し、花粉の受精能力が落ちにくい、青果が割れにくい、果実サイズが揃うなど、安定した生産が可能。また、果肉が厚いため果実も軟らかくなりにくく、出荷時の青果品質はもちろん、流通先での棚持ちや食味の良さに寄与する。
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クボタが大阪万博パビリオンの展示内容発表 |
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(株)クボタ(北尾裕一社長)は8月28日、東京・日本橋のコングレスクエア日本橋で開催された2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)における、未来社会ショーケース事業「フューチャーライフ万博・未来の都市」での協賛12者による展示内容発表会に出席し、同社が担当する、「地球と人にやさしい、未来の”食と農業”の研究所」がコンセプトの「食と農業」に関する展示内容について明らかにした。 クボタからはKESG推進部長の習田勝之氏が登壇。「未来の都市」パビリオンの「食と農」分野でのブースのイメージや概要をスライドと動画を用いて説明した。 それによると、コンセプトは「地球と人にやさしい、未来の”食と農業”の研究所」。空間全体を使ったインタラクティブな展示体験を通して、プラネタリーコンシャスな食と農業の未来に思いを馳せ、気づきや新しい考えが芽生える場所を目指すとした。 クボタのエリアに足を踏み入れると、全幅20メートルを超える天幕スクリーンと巨大LEDモニターに、未来の食と農業のイメージが広がる。エリアの中央には未来の食と農業について考えるシミュレーションゲームを用意。様々な未来のテクノロジーや持続可能なフードシステムについて楽しく学べるようにする。無人の自動運転農機は実物に限りなく近いイメージを会場で発表する予定だ。 習田氏は「クボタは130年にわたって食料、水、環境という人が生きる上で不可欠な領域での課題解決を支えてきた。命を支えるプラットフォーマーとして様々な国、地域、立場の人たちと未来の食と農業について考え、ともに語りたい」と意気込みを披露した。 「未来の都市」パビリオンは、博覧会協会が主体の「共通展示」と協賛12者が主体の「個者展示」で構成されており、3つの展示ゾーンを巡りながら全15アトラクションを体験できる。 万博会場西側のウォーターフロントに位置し、施設面積約4800平方メートル(長さ約150メートル、幅約33メートル)、展示面積約3300平方メートルと大阪・関西万博の中でも大規模なパビリオンだ。 展示演出テーマは「幸せの都市へ」。組織や企業、業界の垣根を越え、それぞれの知見と技術力を活かし、経済発展と社会課題の解決を両立する「Society5・0が目指す未来の都市」をともに考え、描いていくことを目指す。 「Society5・0と未来の都市」「環境・エネルギー」「交通・モビリティ」「ものづくり・まちづくり」「食と農」の5つの分野に分かれており、協賛12者が独自のブースを展開する。
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コンバインの農作業安全を/クボタがWEBセミナー |
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(株)クボタ(北尾裕一社長)は8月21日、「明日から取り組める農作業安全コンバイン編」と題したWEBセミナーを開催した。同社の担当者がコンバインの特性やヒヤリハット事例、安全作業のポイントなどについて紹介した。セミナー要旨は次の通り。 クボタでは農作業安全への取り組みとして、農機の開発や展示会・研修会での推進活動などを行っている。近年ではSNSをはじめとしたWebでの情報発信も強化。2022年からは農業従事者を対象としたアンケート調査を実施しており、全国から様々な事故やヒヤリハット事例に関する情報が届いている。 安全対策を進めていく上でこうした事例を共有することは再発防止のために非常に重要だ。農作業安全の推進はトラクタを主体にしたものが多いが、秋作業に向けて今回はコンバインに着目し、農作業安全について改めて考えたい。 コンバインのヒヤリハットには様々な事例がある。作業中に起きることとして▽圃場からの出入り、畔越えなどで脱輪やバランスを崩して横転しそうになった▽田んぼから道に出るときに前部が浮き上がった▽後進中に人にぶつかりそうになった▽運転手以外の作業員が田んぼ内にいた―などの声が寄せられた。 コンバインには車体が傾きやすい特性がある。とくにクローラ式はホイル式に比べて小さな段差でも大きく傾いたり、振れたりしやすい。 対策として、あぜ道の走行では急な旋回を避け、路肩から十分な距離を取ることを徹底。転倒を避けるためには危険箇所の洗い出しが有効だ。急斜面の出入口や軟弱な路肩、水路、崖、段差、坂道といった危険箇所のマップを作成し、走行経路を再確認。路肩を草刈りすることで路肩の状態を見える化し、軟弱箇所を補強したり、危険箇所にはポールなどの目印を設置したりするのが理想だ。 圃場の出入りは前後と横の傾きに注意。10センチ以上の段差には、高さに対して4倍以上の長さのあゆみ板を使用し、圃場から出る前に籾を排出しておく。 また、コンバインは運転席からの死角が大きく、後ろが見えにくいという特性も。後進時は後方に人や障害物や段差がないかどうかをしっかり確認。バックミラーやバックモニターにも死角があるため、目視での後方確認を忘れず、低速で後進することが大切だ。補助者がいる場合は協力して確認し合おう。 手こぎ作業・手差し注油時のヒヤリハット事例には▽手刈りした稲をフィードチェーンから入れる際、稲の量が多すぎて手で押し込む時に巻き込まれるのではと怖い思いをした▽手差し注油時にベルトが手袋に当たって手が持っていかれそうになった―などがある。 対策として、▽確実に停車して刈り取り部を下げ、チェーンの外側で作業する▽巻き込み防止のために服の袖口を締めて手袋は外す―ことなどを意識しよう。 点検時も要注意。コンバインの清掃中に刃が手に当たって手袋が切れたり、カッターを掃除しているときに指を怪我したなどといった声も多く寄せられる。 点検時には保護手袋を着用し、回転部の巻き込みと刃部による切創に注意。ロックがかかる位置まで確実に開くことも重要だ。 日常点検では、特に回転部(ベルトやプーリ付近)、高温部(エンジン、マフラ、DPF付近)、バッテリー、配管経路付近に特に注意を払おう。わらくずや泥の溜まり、燃料・オイルの付着を丁寧に除去することで、順調稼働ができ、発火も防止できる。 このほかにも▽作業前に注油しながらチェーンやベルトの張りを確認し、エンジン音、回転数、異常音などをチェックしている▽チェックシートに沿って安全点検した後に営業所の地区担当者に最終点検をお願いしている▽シーズン終了時の清掃を徹底している―といった日常点検を心がけている農業従事者もいるようだ。 クボタの公式サイトでは、各機種の取扱説明書が確認できるほか、セルフメンテナンスについての説明やチェックシートなども用意している。使い慣れた機械でも今一度、再確認することを求めたい。 クボタでは農作業安全の合言葉「そとのはたけ」を作成した。作業時に特に注意すべき転倒、転落、巻き込まれ、熱中症などへの対策を次のように頭文字で分かりやすく表現。「そ」は装着!シートベルトとヘルメット。「と」は止めて!エンジン。「の」は飲んでね、お水。「は」は背後を確認。「た」はタオルは首にかけない。「け」は傾斜と路肩に注意。 安全に配慮することで生産性向上にもつながる。機械の特性を再確認し、安全安心な農作業を実現させよう。合言葉「そとのはたけ」も忘れずに。 これからコンバインの本格稼働期を迎える。今年も笑顔で大きな稔りを手にしたい。
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ヤンマーHDがCLAASインディア買収 |
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ヤンマーホールディングス(株)(山岡健人社長)は8月26日、グループ会社であるYanmar Coromanndel Agrisolutions(ヤンマーコロマンデルアグリソリューションズ)を通じて、CLAAS India(クラース インディア)の全株式を取得すると発表した。株式譲渡は2024年9月30日の完了を予定している。 同社は、インドでのコンバイン生産の実績があるクラース インディアをヤンマーグループに迎えることで、インドにおけるアグリ事業の拡大を加速させる。 ヤンマーアグリ(株)代表取締役社長 所司ケマル氏のコメント=インドは世界でも穀物生産量がトップクラスであり、アグリ事業において非常に重要な市場。今回の買収で幅広い商品ラインアップが展開できるようになり、インド国内でのヤンマーのプレゼンス向上に大きく貢献すると考えている。今後、両社の強みを活かし、より多くのお客さまにヤンマーの商品をお届けしていく。 CLAASグループCEO ヤン・ヘンドリック・モール氏のコメント=CLAASとヤンマーは、技術的な品質と、信頼性の高い製品へのこだわり、農業従事者をはじめとするステークホルダーとの関係性など、多くの共通の価値観を持っている。CLAASグループとして、インドでの農業機械市場におけるヤンマーのさらなる発展を祈っている。 CLAASは今後も自社製品のサポートを行い、インドでのエンジニアリングと調達活動を成長させていく。 〈CLAAS社について〉 CLAAS(www.claas―group.com)は1913年創業のオーナー企業であり、農業機械のリーディングカンパニー。ドイツ・ハルセヴィンケルに本社を置く、飼料作物の収穫用作業機のマーケットリーダーで、コンバインでもヨーロッパ市場を牽引している。トラクタや農業用圧縮梱包機、収穫機などが世界中で販売され、最先端のスマート農業関連製品もラインアップしている。 グローバルで1万2000人以上の従業員が働いており、2023年には61億ユーロ(約9800億円)の売上げを達成している。
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小学生が工場見学/スズテックが自治体取り組みに参画 |
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(株)スズテック(鈴木直人社長・栃木県宇都宮市平出工業団地44の3)は、宇都宮市が実施した「宮っこトライ」に協力、8月9、22日の2回、市内の小学校2校の生徒と保護者が同社の工場見学に訪れた。 宮っこトライは、市内在住・在学の小学生4年生から6年生を対象とする社会体験の一環となる企画で、市内の店舗、工場での仕事体験、工場見学、仕事の模擬体験などを行うもの。 同社では、一通りの会社説明の後、製品の製造工程、部品加工から組み立て・出荷工程、豆苗の栽培〜出荷工程を見学。参加者はそれぞれの現場で質疑応答を交えながら熱い視線を向けていた。 同社は、「夏休みのよい思い出となり、少しだけでもお米づくり・ものづくりに興味を持っていただければ幸い」とし、「今後もこうした取り組みに積極的に参加したい」と、社会貢献に意欲をみせている。(記事は同社HP参照)
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アシストスーツPR/ユーピーアールが国際物流展に出展 |
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ユーピーアール(株)(酒田義矢社長・東京都千代田区内幸町1の3の2)は、10〜13日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催される「国際物流総合展2024」に出展する。 同展示会では、レンタルパレットのみならず、物流の川上から川下までの課題を解決するソリューションを紹介する。 【主な出展製品・サービス】 ▽X―Rentalオープンプラットフォーム=日本パレットレンタル(株)と共同運用を開始した共通のサービス基盤「XーRental(クロスレンタル) オープンプラットフォーム」。 ▽スマートパレット=アクティブRFIDタグとリーダーを組み合わせたクラウド型パレット管理システム。アクティブRFIDタグを搭載したパレットやカゴ車の在庫・入出庫管理を自動化できる。 ▽パレットファインダー=AI技術を用いたパレットカウントアプリ。スマートフォンのカメラでパレットを撮影するだけで「何色のパレットが何枚あるか」を瞬時にカウントすることができる。 ▽アシストスーツ=パワードスーツ・パワーアシストスーツ・サポートジャケットなど多種のスーツがあり、現場の荷物や重量物の持ち上げ・持ち下げの際にかかる、作業者の腰・身体的負担を軽減する。女性・高齢者等を含む多様な作業者の負担を軽減し、農業・物流・介護など、様々な現場環境の改善に貢献する。 【国際物流総合展の概要】 ▽日時=9月10日(火)〜13日(金)/午前10時〜午後5時 ▽会場=東京ビッグサイト ▽同社ブース=東3ホール/3―502
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ブッシュカッターまえむき君が岩手展で注目/土樋パルス |
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土樋パルス(株)(土樋徹社長・岩手県岩手郡雫石町長山53の2)は、トラクタのフロント部で除雪作業ができる除雪装置「まえむき君」の製造・供給に加え、「ブッシュカッターまえむき君JMシリーズ」でも順調に実績を積み上げている。 「ブッシュカッターまえむき君」は、(1)SSLもしくはトラクタ用(2)ミニショベル用(3)ロボットアーム用の3タイプがあり、(1)はJM―1200/1300/1540/1700の4型式(1200はハンマータイプとフレールタイプ、そのほかはハンマータイプ)、(2)は(1)に加えてJM―800(ハンマータイプとフレールタイプ)、(3)はJM―800および同1200(いずれもフレールタイプ)の各型式で構成。 駆動はオイルモーター(油圧)で行い、草の刈り取りはアップカットで高速回転する刈刃により草を細かく粉砕するため、後片付けの手間を省く。 オプションとして、法面などを刈るためのオフセットユニットを用意。これを取り付ければ法面などのサイド刈りに対応する。 また、スライドユニットは、機体の左側に約50センチオフセットでき、道路際などでも安全に作業できる。外部油圧のない車両の場合は、タンクポンプユニットを付ければ、PTOを動力として油圧を発生させ、同機を利用できる。 同社は、先に開催された岩手県全国農機展示会に、除雪機とともにブッシュカッターを出展、参観者の関心を引いた。担当者は、草刈作業の省力化が農業に限らず各産業分野で求められていることから、シリーズのさらなる普及拡大に期待を向けていた。
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傾斜搬送用ベルトなど紹介/バンドー化学が国際物流展に出展 |
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バンドー化学(株)(植野富夫社長・兵庫県神戸市中央区港島南町4の6の6)は、10〜13日に東京ビッグサイトで開催される「国際物流総合展2024」に出展する。 同社のブースでは主に以下の5製品を展示する。 (1)水平搬送用ベルト(2)傾斜搬送用ベルト「ミスタークライマー(登録商標)」(3)スライディング搬送用ベルト(4)耐貫通用ベルト(5)簡易レーシングジョイント「ミスターPrоジッパー(同)」 同社は「物流現場では水平搬送だけでなく、傾斜やスライディングなど様々な形態があり、求められるニーズも様々となっている。当社ブースではこれらのニーズにお応えする搬送ベルトを多数展示し、実際にお手元でご覧いただきながら、ご要求に応じたベルトを提案していく」と来場を呼びかけている。 【展示会開催概要】▽会期=9月10〜13日▽時間=午前10時〜午後5時▽会場=東京ビッグサイト(東京国際展示場)東1〜8ホール ▽同社の展示ブース場所=東7ホール 7―104
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骨肉分離機チビを出展/TATSコーポレーション |
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(株)TATSコーポレーション(石井達雄社長・千葉県船橋市芝山4の11の11)は8月21〜23の3日間、都内有明の東京ビッグサイトで開催された「第26回ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」に出展し、「骨肉分離機 TR Chiby チビ」を大きくアピールした。 同機は魚の中骨や端材などを投入するだけで、スクリューにより食材の柔らかい部分(肉など)と硬い部分(骨など)を分離し、スクリーンの穴からミンチが外側に出てきて、骨や皮、うろこは先端から排出される。魚体の大小に関係なく、誰でも1〜2人で簡単に新鮮なすり身(チビ身)を作れる優れもので、国内外から問い合わせや導入が多数寄せられている。 同展では今回、チビの新しい活用法として、農産物の絞り機を提案した。同社では昨年より、宮崎県のレモン農家とともに、規格外レモンをチビで果汁を分離するテストを開始。日南産のマイヤーレモン(オレンジとレモンの交配種)をチビで絞ったところ、従来の搾汁機に比べて香りが非常に高く、さらりとした爽やかな酸味が特徴のレモン汁が出来上がった。これを受けて宮崎県日南市の外浦漁協では、古くから伝わるカツオ醤油にマイヤーレモン汁を加えた「虎節ポン酢」を商品化した。シーフードショーでは鯛中骨からのチビ身で作った「鯛の水餃子」にこの「虎節ポン酢」をかけて試食を行い、来場者から高い人気を得ていた。 また、外浦漁協では今年完成した新しい加工場で、チビ1台で農産物も水産物も絞っている。農産物ではレモンや日向夏など柑橘をはじめ、キウイやピーマンなども搾汁し、ジュースなどの原料にして6次産業化に活用しているという。 石井社長は「先日も規格外のニンジンをチビで搾汁したところ、糖度6度の甘い汁ができ、レトルトカレーにかけて非常に好評だった。知恵や工夫によってチビの使い方がますます広がって、機械の引き合いも増えている。今後も外食向けなどの業務用野菜や冷凍食品等の原料加工にさらに使えるのではないか」とチビが持つ活用の可能性と展望を熱く語った。
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脱炭素へ住友大阪セメントと材木育苗/オムニア・コンチェルト |
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住友大阪セメント(株)(諸橋央典社長・東京都港区東新橋1の9の2 汐留住友ビル20階)はセメント業界初の試みとして、栃木工場バイオマス発電所(栃木県佐野市)の排気ガス中のCO2を利用した「BECCS育苗システム構築」に向けた実証実験を(株)オムニア・コンチェルト(藤原慶太社長・東京都港区高輪3の11の3 イハラ高輪ビル6階)と共同で着手した。BECCSとは、Bio−Energy with Carbon Dioxide Capture and Storageの略。バイオマスエネルギーの利用と、二酸化炭素(CO2)を回収・貯留する技術(CCS)を組み合わせたものを指す。 会見では住友大阪セメントのセメント・コンクリート研究所長/サスティナビリティ推進室長である小堺規行常務執行役員が概要や実証に至った経緯などを説明した。住友大阪セメントは、スギの人工林の少花粉品種への転換と木材の需要逼迫への対応に向け、オムニア・コンチェルトのCO2施用をコア技術とした自動環境制御による林木育苗の栽培方法を用いた実証実験を開始。将来的には、苗木の育成や木材需要への対応の他、農林業の再生、地域の雇用創出に貢献していくなどのビジョンを掲げた。 実証内容としては、住友大阪セメントの栃木工場の電力供給を担う木質バイオマス発電所からの排ガスを浄化装置とコンプレッサーで浄化・圧縮し、CO2として木製の少花粉苗木栽培用ハウスに施用することで促成栽培を実施。CO2非施用ハウスと施用ハウスで比較し、その効果や成長の違いを検証し、排ガス利用の有効性を確認する。有効性が認められれば、BECCSに当たるネガティブエミッション技術(NETs=温室効果ガスを回収・除去する技術)の1つとみなすことができることから大気中の炭素を除去するカーボンオフセットに当たる。 この取り組みは、1つのセメント工場の使用電力を自社の木質バイオマス発電によるグリーン電力で供給できる同社独自のカーボンニュートラルに向けた新しい姿として、セメント業界としては初となる。また同社が掲げる2035年に向けた中長期ビジョン「SOCビジョン2035」に、カーボンビジネスとして位置付け、CO2や廃棄物の資源化を目指す。この取り組みはその一環。 実証に使用する環境制御や木製ハウスの技術については、オムニア・コンチェルトの藤原社長が説明。ハウスには遠隔無線制御が可能な環境制御装置を備え、ハウス内温度や湿度、CO2濃度、灌水の自動管理・制御やLEDによる長日処理、可動式太陽光パネルを搭載した遮光ブラインドの開閉なども自動管理でき、かつ太陽光パネルの発電を利用して、ハウス内機器の電力も賄うことができる。制御盤や3D遠隔監視システムについては、同社の潘博文取締役が紹介した。 住友大阪セメントは栃木工場で、CCU(=炭素回収・利用)技術を活用した人工石灰石の生産拡大を行うなど、カーボンニュートラル達成に向けた様々な施策を打ち出している。小堺常務執行役員は今回の取り組みについて、「脱炭素は1つの手段で達成されるものではなく、数百にのぼる手段を組み合わせることで達成できるか否かといった大変な難題。脱炭素に向けた取り組みを1つでも多く実行していく必要がある。またバイオマス発電所は国内に1000カ所以上あり、今回の取り組みが1つのモデルケースになれば、スケールメリットを活かすことで大きな効果を発揮し得る。今回の実証はそのための1つの重要な可能性である」と述べた。
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国産こだわり農・食つなぐ/アグリフードEXPO東京 |
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(株)日本政策金融公庫は8月21、22の両日、都内有明の東京ビッグサイトで国産農産物・食品を対象にした展示商談会第17回「アグリフードEXPO東京2024」を開催した。これは「国産にこだわり農と食をつなぐ」をテーマに掲げて、全国各地の農林水産物・食品を取り扱う事業者とその調達に意欲のあるバイヤーをつなぐ商談会となっており、今回は全国から588の事業者が出展(前年より123増)し、1万2031名(同3142名増)の食関連事業者が来場して情報交換や商談を行っていた。 初日に行われた開会式では、主催者として日本政策金融公庫代表取締役専務取締役農林水産事業本部長の倉重泰彦氏が挨拶に立ち、今回で17回目となる同EXPOについて、地域性豊かな国産農林水産物・食品の国内外への販路拡大を応援する商談会であるとし、これらの調達に意欲のあるバイヤーにも広く来場を呼び掛けているので、ぜひ活発な商談をしてほしいと期待を寄せた。 同EXPOには、全都道府県から出展があり、日本全国の自慢の地域農産物や特産グルメ、加工食品用原料、スイーツなどがズラリと出そろった。特に出展が多かったのは、出展業種別にみると、農業(耕種)222先、食品製造業者188先、農業(畜産)49先、酒類事業者39先など。地域別にみると鹿児島31件や栃木28件、長野26件、島根25件などとなり、また、令和6年能登半島地震で被災した石川県など4県の展示ブースも注目を浴びた。多くの小間が試食・試飲を実施しながら地域特産の「美味しい」を積極的にPRした。 出展の一部をみると、(株)新潟クボタグループの(株)新潟農商は、県内の契約農家と連携して自社で集荷・検査・精米した様々な品種の米を出品。輸出にも積極的に取り組んでいるといい、炊きたての「新之助」のおにぎり試食が人気を集めた。 また、会場では、食品産業における国産原材料の利用促進や日本食に関するセミナーを実施。さらに、農林水産省やJETROなどと連携した食品や日本産酒類の輸出商談会が行われたほか、専門家による課題解決支援のための相談コーナー、輸出商品展示コーナーなども設置され、それぞれ人気を集めた。
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累計出荷2433億円/日農工7月部会統計 |
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一般社団法人日本農業機械工業会(増田長盛会長)が発表した2024年7月の生産出荷実績(部会統計)によると、7月の生産金額は304億7100万円で前年同月比79・1%、出荷金額は347億3800万円で同89・3%に減った。1〜7月の累計実績は生産が2281億7900万円で88・9%、出荷が2433億2800万円で94・7%だった。機種別台数ベースの累計出荷実績はバインダ148・0%や動力脱穀機139・1%は増。トラクタ87・7%、田植機80・9%などは減。
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デジタルで農家応援/農研機構がWAGRIオープンデー |
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農研機構農業情報研究センターWAGRI推進室は8月23日、都立産業貿易センター台東浜松町館で、WAGRIオープンデー2024「デジタルで日本農業を応援します!〜好評につき、今年も農業DX横丁へようこそ〜」を開催し、データ利用会員とデータ提供会員である19の企業・団体と同機構3小間の計22小間が出展。約400名が参観した。出展した企業・団体はクボタ、住友化学、日本農薬、ウォーターセル、オプティム、ナイルワークス、セラク、高知県など。 WAGRIは、気象や農地、収量予測など農業に役立つデータやプログラムを提供する公的なクラウドサービス。ICTベンダー(販売業者)や農機メーカーは同サービスの会員になることで、様々な農業関連データやプログラムを適宜組み合わせ、農業者の生産性と収益性を向上させるWebサービスやアプリケーションを簡単に開発し、Webサイトやスマートフォンを通じて提供することができる。現在、API(開発者向けデータ等提供サービス)の数も178に増加し、農業のDX化に大きく貢献している。同室の法隆大輔上級研究員は「WAGRIは、様々な形で活用され、その方法も多岐に渡っており、それを皆様に知っていただきたい」と開催の思いを述べている。今回のオープンデーも昨年同様、会員の企業・団体がWAGRIのAPIの利用を来場者に対して売り込んでもらうと同時に、各会員のアプリケーションやサービスをエンドユーザーにアピールする場として開催した。 出展企業の展示内容をみると、クボタは農業経営課題の解決をサポートするインターネットクラウドを利用した営農・サービス支援システム「KSAS」や様々な農機がKSASと連携可能となるKSASシンプルコネクトなどを紹介。住友化学は、病害虫診断や農薬ツールボックス、水稲生育診断等のアプリをPR。セラクは、荷受けから分荷、伝票発行までをデジタル化し、青果販売業務の負担を軽減し、ヒューマンエラーを防止する農業物流支援サービス「らくらく出荷」生産者の農業経営を支援するスマートフォンアプリ「営農支援」の出荷量予測機能などを展示。日本農薬はスマートフォン用アプリを使ったAI病害虫雑草診断を紹介した。 会場では、オフィシャルツアーとして約100名が参加。各社の説明に耳を傾ける農業関連事業者で大いに賑った。
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スマ農普及を特集/農研機構が技法第16号を刊行 |
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農研機構は8月27日、「スマート農業の普及に向けて」を特集した農研機構技報第16号を刊行した。 実証試験に基づいた個別のスマート農業技術の導入効果、営農類型別に見たスマート農業の有効性、スマート農業の導入シミュレーション、普及方策を紹介している。 同技報は同機構が発信し、新しい連携の開拓や成果の実用化を加速させるため刊行しているもので、今回は日本の農業が抱える問題をスマート農業技術の導入により解決する取り組みを特集。 具体的には、▽平坦地における省力化と収量・品質改善及び中山間地域における管理作業の効率化を実現するスマート農機▽園芸作と水田作の効率的な作業計画策定を実現する営農支援システム▽スマート農業導入前後の経営収支の評価と特徴▽経営シミュレーションによる大規模家族経営の営農改善▽スマート農機の導入コストと採算規模―などを詳説している。 同技報は冊子の他、農研機構HPでも公開中。
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食と農の未来考える/生研支援センターがムーンショット目標5で対話イベント |
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生研支援センターは8月20日、都内江東区の日本科学未来館7F未来館ホール及びWebにて、対話イベント”2050年を創るムーンショット双方向対話 エピソード1「あなたが決める未来の食と農」”を開催した。 これは、国の大型研究プログラムのムーンショット目標5「2050年の農と食」において、各研究者が挑戦している8つのプロジェクトを発表し、参加者と意見交換を行いつつ、参加者が魅力を感じたプロジェクトに投資をする仮想の投資ゲームを実施したもの。同イベントには、高校生・大学生約50名を含む約200名が参加し、研究者らと活発な対話を行い、仮想の投資ゲームを通してプロジェクトへの意見やアイデアを発信した。 開会に当たり、目標5PD(プログラムディレクター)の千葉一裕氏(東京農工大学学長)が「2050年までに、未利用の生物機能のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出」と題して講話。千葉氏は食料問題の現状について、「2050年まで食料供給が持続できるのかという深刻な状況」と指摘。食料供給産業は温室効果ガス排出及び土壌劣化要因の1つであり、グローバルなフードシステムにおいては、人間が食料を食べるだけで地球にある温室効果ガスの4分の1を大きく超える量が排出されると述べ、こうした問題意識を皆が持たなければならないと説明。 人類は空気中の窒素と化石燃料(水素)を用いて肥料を作るハーバー・ボッシュ法の開発により、緑の革命と呼ばれる食料の大量生産に成功し、人口爆発が起きたものの、それとともに環境破壊が進み、地球は既に限界を超えてしまっている。2050年の食料需要は2010年の1・7倍、2030年の飲食料市場規模は2015年の1・5倍になると見込まれ、更なる増産が必要であるが、世界の飲食料市場における健康コスト・環境コスト・経済コストを合計すると、市場全体の価値より大きくなってしまい、実質マイナスになっているとした。 その要因の1つに食料ロス・食料廃棄及び農地での廃棄の問題等があると述べ、こうした農・食を巡る諸問題を乗り越えるために様々な観点で研究開発を進めており、本日は8つのテーマで研究者が発表するので、率直な意見をぶつけてほしいなどと語った。 続いて平瀬錬司氏(サステナブル・ラボ代表取締役CEO)が「インパクト投資〜未来を良くするための『ロマンとお金』」の講話を行い、儲かりそう(お金)かつ未来を良くしそう(ロマン)な企業・事業に投資するインパクト投資の概要と心得を説明。投資対象に何を選ぶかで未来は変えられると述べ、良いインパクト投資先はロマンとお金が高度に両立していることなどを示した。 その後、8件の研究者プレゼンが行われた。そのうち一部をみると、内藤健氏(農研機構)による「サイバーフィジカルシステムを利用した作物強靭化による食料リスクゼロの実現」では、温暖化や干ばつの増加により水が足りない未来を見据え、主要穀物である稲・麦・大豆を中心に、野生植物が独自に持つ環境適応遺伝子を全て導入した気候変動適応型作物を開発して、安定した食料供給を目指すと説明。将来的には野生植物の耐塩性機構を集積した海水で栽培できる作物を作り、海上フロートにて栽培を行うことで水・農地不足の問題を解決できるのではなどと語った。 一方、日本典秀氏(京都大学)は「先駆的な物理手法と未利用の生物機能を駆使した害虫被害ゼロ農業の実現」をプレゼン。病害虫雑草による作物減収は4割を超え、この被害をなくせば収穫は1・7倍になるとされ、同研究では(1)共生微生物による広域での害虫密度低下・無毒化(2)青色レーザーによる迎撃及び微小害虫の殺虫(3)オールマイティ天敵による撃ちもらした害虫の捕食―の3ステップで農薬に依存せずに害虫防除を図る方法を開発しているなどと語った。 研究者プレゼンの後、研究者と参加者による双方向対話及びポスターセッションが行われ、参加者はそれらをじっくり吟味したうえで投資先を決めて投票。投票結果をみると8つのテーマ全てにほぼ均等に投資が配分された結果となり、全ての研究の魅力が高校生・大学生含む参加者に十分に伝わったようだった。
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脱脂粉乳の活用促進など緊急提言/農業法人協 |
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公益社団法人日本農業協会(齋藤一志会長)は7月31日、一般社団法人北海道農業法人協会(藤城正興会長)と連名で、「バター低関税輸入枠追加に関する緊急提言」を農林水産省へ提出した。当日は日本農業法人協会・紺野和成専務理事及び北海道農業法人協会・川口谷仁副会長(日本農業法人協会理事)が農林水産省畜産局・松本平局長に同提言を手交した。 同提言は、6月に開催された「乳製品需給等情報交換会議」を踏まえて、国がバターの輸入枠数量4000トンの追加を決定したことを受けて反論したもの。協会酪農会員による生産基盤の回復に向けて、(1)国内生乳の需給緩和の現状下でバターの輸入枠追加という政策上の矛盾の説明(2)国主導による組織的な脱脂粉乳の国内での利活用並びに海外輸出(3)酪農業界を取り巻く課題解決のため産学官が一体となった「検証部会」の設立(4)配合飼料価格安定制度の抜本的な見直し等も含めた新たな政策立案―を提言している。
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新しいバッテリー製品発売/スチール |
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(株)スチール(中山健太郎社長・栃木県河内郡上三川町多功2570の1)は9月から、(1)STIHL初のバッテリーバキュームシュレッダーSHA56および(2)バッテリーヘッジトリマーHSA100を新発売した。(1)は草や葉を吸引し金属製シュレッダーブレードで裁断する機能と、ブロワーとしても使用できる1台2役の便利マシーン。(2)はプロ向けAPシステムで待ち望まれていたもので、大きな生け垣や多年生の生け垣などの効率的なメンテナンスをこなすパワフル機。バッテリー製品の普及に注力する同社に、また新たな弾丸(たま)が加わった。 同社は8月1日、時代を画すバッテリー新製品と位置づけるプロ向けバッテリーチェンソー「MSA300C―O」の発表会を催し、国内市場にインパクトを与えた。そのひと月後、今回は一般家庭やセミプロにも満足してもらえるバキュームシュレッダーと、プロ用のヘッジトリマーを発売、バッテリー製品の推進にさらなる新材料を積み上げた。 バキュームシュレッダーは、回転式ハンドルでバキューム、ブロワーどちらのモードでも快適に作業でき、モードの切り替えは工具を使わずに簡単にできるため、両作業を交互に行うのも苦にならない。パワフルなECモーターは無段階に風量調節でき、バキュームシュレッダーモードでは510立方メートル/時の吸引力を発揮、裁断した落ち葉などをしっかり袋詰めする。ブロワーモードでは、最大8ニュートンの吹き飛ばし力を発生させるにも関わらず低騒音で、イヤマフは不要。 同機の主な仕様は次の通り。 ▽ブロワーチューブ付き最大風速=56メートル/秒▽同風量=560立方メートル/時▽音響パワーレベル=94デジベルA▽ブロワーモード重量=3・2キロ▽バキュームモード重量=4・2キロ▽キャッチャーバッグ容量=40リットル プロ向けヘッジトリマーは、ブラシレスECモーターの高トルクにより、負荷が変化しても常に高いストローク数を維持し、長寿命と高い信頼性を確保。両面研磨された長さ60センチのブレードを装備し、素早い作業ながらきれいにカット。パワフルモーターと大きな刃の間隔(34ミリ)により、太い枝の切断もできる。また、固い枝で刃が止まった場合でもECモーターを逆回転させれば刃を動かせる。地面付近や壁際の作業では、ブレードプロテクションが刃先の磨耗を守る。 操作は直感的にでき、どの位置でも完璧なバランスを保持。ハンドルを回転させることができるため、サイドカット、ヘッドカットでも省エネ作業。防振システムによって騒音と振動を低減し、従来モデル比では、振動レベルは70%も低減。長時間作業でもイヤマフなしで快適に作業を進められる。 プロ仕様のSTIHL・APシステムバッテリーを使っており、厳しい環境を考慮した設計で、雨や水に濡れた状態でも使用できる。APシステムの全バッテリーが同機と互換性があるが、同社はAP200を推奨している。 〈主な仕様〉▽質量=3・6キロ▽ストローク数=3000rpm▽音圧レベル=82デジベルA▽音響出力レベル=90デジベルA▽振動値=前ハンドル1・5、後ハンドル1・2メートル/毎秒
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林業イノベーションを実現/林野庁小坂次長の講演 |
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林業イノベーションの実現に向けた取り組みが何故重要か―林野庁次長の小坂善太郎氏は6月21日に開催された令和6年度林業機械化協会の定時総会後に「森林・林業における近年の動向と林業イノベーションの実現に向けた取組」と題して講演し、現状を紹介するとともに改めて取り組む意義、役割を強調した。 林業のイノベーションは、労働生産性と収益性を高めていく上で必要なものだ。小坂氏によると、林業の現場では、機械化が進む一方で、立木を手作業で計測するため、多くの労力を必要とする「森林調査」をはじめ、チェンソーで実施する「伐倒作業」、人力に頼っている「苗木の運搬、植付け作業」、そして人手に頼る夏場の「下刈り」と人力作業が多い工程もまだ残っている。これらの工程の軽労化・効率化を進め、就労環境の改善と労働生産性の向上を図る対応が求められている。 このため林野庁では、森林の経営管理の集積・集約化、路網整備の推進に取り組むとともに、新技術を積極的に活用し、伐採から再造林・保育に至る収支のプラス転換を可能とする「新しい林業」の実現を目指し、各種の実証事業を進めている。 特に、林業従事者の推移、「緑の雇用」事業等により新規就業者の確保に取り組んでいる中、課題となっている所得の向上、そして他産業に比べると高い労働災害の防止対策を考えると、林業イノベーションの展開は喫緊の課題となる。 なかんずく、伐倒作業時の災害発生が最も多い「林業における死亡災害の作業別割合」、フォワーダごと道路から転落する災害もある「車両系集材作業の死亡災害の要素作業別割合」や1人で行うことが多く、発見遅れになりやすい「架線系集材作業の死亡災害の要素作業別割合」などをみると、対応を迫られる。 こうした事態を打開するため林野庁は林業イノベーションの展開方向として、「記憶から、デジタル記録の森林管理へ」「経験から、ICTによる生産管理へ」「林業の安全性・生産性の向上(生産)」「丸太オンリーからの脱却(マテリアル利用の開拓)」「収穫50↓30年に」を打ち出し、各種の取り組みを展開中だ。 スマート林業の導入実証事例としては、森林資源の把握として「地上レーザ計測による単木解析」。ICTの活用により従来方法より68%省力化されている。また、「ドローン画像による単木解析」では、航空レーザ計測の地形データと汎用ドローンによる画像解析により、単木ごとの樹種、樹高、位置などを計測し、81%の省力化と36%の費用削減を実現。 木材生産の計画・管理では、施業提案システムでICTを活用。解析したデータをもとに、施業計画などを可視化した。 そして伐採では、ICTハーベスタを活用。細りの予測から生産価格が高まる径級や長さなどを提案する「バリューバッキング機能付きハーベスタ」を活用し、収益性が向上。スマートフォンを活用した木材検収システムで出材量の把握ができるようになっている。 造林では、下刈り作業における乗用式機械の活用が図られ、この他、林業の安全性・生産性の向上に資する技術として、▽伐倒作業の遠隔操作化▽架線集材作業の自動化・遠隔操作化▽路網集材作業の自動化▽下刈り作業の自動化などが登場し、林業現場の施業のあり方を革新している。 こうした状況を説明した小坂次長は、この他に林業機械の自動化・遠隔操作化に向けた開発・実用化状況をはじめ、林業分野における衛星・通信技術の活用状況(GNSSによる自己位置情報の把握・森林内で活用可能な通信技術)や林業イノベーションを推進するために必要な組織・人材・情報が集まる場として開設した「森ハブ・プラットフォーム」の活動などを紹介した。
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林野関係は総額3478億円/7年度予算概算要求 |
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林野庁はこのほど、令和7年度林野庁関係予算概算要求をまとめた。7年度予算の概算要求額は、公共、非公共を合わせて3478億3100万円、対前年度比115・8%の規模となった。2334億7400万円(対前年度比117・8%)の公共事業と非公共事業1143億5700万円(同112・0%)となっており、森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策をはじめ、花粉症解決に向けた総合対策、森林整備事業、治山事業、農山漁村地域整備交付金などの公共事業の3つを柱として打ち出しており、カーボンニュートラルの実現、花粉症の解決を目指す。 総額3478億円規模の令和7年度林野関係予算概算要求は、重点事項として「カーボンニュートラルの実現・花粉症解決に向けた森林・林業・木材産業総合対策」を打ち出しており、3本柱の1つである「森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策」では、6年度当初予算額の144億円を上回る156億円を要求。 新たな予算措置となる「森林の集約化モデル地域実証事業」の3億円をはじめ、「林業・木材産業循環成長対策」71億円、「林業デジタル・イノベーション総合対策」3億円、「建築用木材供給・利用強化対策」12億円、「木材需要の創出・輸出力強化対策」4億円、「森林・林業担い手育成総合対策」50億円、「林業・木材産業金融対策」4億円、「森林・山村地域活性化振興対策」10億円となっている。 また、当初予算要求となった「花粉症解決に向けた総合対策」では、令和5年度補正予算での60億円には及ばないものの、35億円を計上、スギ人工林の伐採・植替え等の加速化を図るほか、スギ材の需要拡大や林業の生産性向上などを進める。
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技術指針(案)にみる造林技術 |
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林野庁造林間伐対策室(天田慎一室長)が先に「我が国における省力・低コスト造林の確実な実装を図るための道しるべが必要」として作成した「省力・低コスト造林に係る技術指針(案)」。現在、全国5カ所での「省力・低コスト造林技術の普及に向けたシンポジウム」で林業事業体、経営体に向けて説明するとともに、その後のディスカッションの場などで意見を収集し、よりよい指針を作ろうとしている。同指針(案)から造林の具体的な省力・低コスト化技術に迫った。 林野庁造林間伐対策室が作成した「省力・低コスト造林に係る技術指針(案)」は、趣旨、本指針の対象範囲、用語の定義、通常の造林技術、標準的な組み合わせとともに、具体的な省力・低コスト化技術として、次の8つを取り上げ、解説を加えている。 (1)機械による地拵え(2)機械による苗木運搬(3)コンテナ苗の植栽(4)伐採と造林の一貫作業(5)低密度植栽(6)下刈り回数の削減(7)下刈り面積の削減(8)付帯施設 指針(案)では、各技術について次のように説明している。 【機械による地拵え】 機械による地拵えは、伐採・搬出に使う林業機械等を地拵えに活用する作業であり、人力による地拵えと比べて、作業の省力・低コストを図ることが可能となる。特に平坦地や緩傾斜地にあっては、機械を林内走行させることでグラップル等による作業範囲が広くなることから省力化の効果が高い。 機械による地拵えの実施に当たっては、伐採・搬出時に使用したグラップル等を用いて作業するが、伐採作業段階からの末木枝条の筋置きや、全木集材による末木枝条の林外への持ち出しなど、地拵えの生産性向上を意識した伐倒処理を行う必要がある。なお、造林作業まで一定の期間が空く場合であっても、機械を他の伐採現場へ移動させる前には、地拵えを終わらせることが重要である。 【機械による苗木運搬】 機械による苗木運搬は、集材・搬出時に利用したフォワーダや架線系の機械を用いて行う作業であり、人肩による運搬と比較して省力化を図ることが可能となる。 苗木運搬に当たっては、伐採・搬出の完了時期と植栽時期を綿密に調整して作業計画を検討することが重要であり、植栽適期が長い等の特性を有するコンテナ苗の利用が推奨される。苗木の搬入直後に植栽できない場合には、日射を避けた現地保管や仮植を適切に行う必要がある。 【コンテナ苗の植栽】 コンテナ苗は、植栽の適期が長いことから、植栽作業の時期を平準化することが可能となるほか、植栽時の植え穴掘りの作業が裸苗植栽に比較して容易であるため、熟練者でなくとも植栽の作業の省力化が可能となる。 コンテナ苗の選定に当たっては、地上部と根鉢が十分に発達した優良な苗木を選ぶようにする。 コンテナ苗の植栽に当たっては、根鉢が崩れないよう運搬し、土壌が極端に乾燥する時期や凍結する時期を避けるようにする。また、事業地の傾斜や土壌等の条件に適した植栽器具を使用することで、植栽効率をあげることが可能となる。 シンポジウムでは、指針(案)のポイントや生産事例、実証効率、調査結果などを示している。
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専用ホームページを開設/森ハブの6年度事業 |
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林野庁が令和3年度に検討組織として設置した林業イノベーションハブセンター(通称:森ハブ)の令和6年度事業が着々と進められている。このほど専用のホームページを開設し、情報発信を進めている。 森ハブではこれまで、林野庁が技術開発の方向性を示した「林業イノベーション現場実装推進プログラム」を着実に進めるため、林業イノベーションに係る課題・技術情報の整備や、必要な支援機能の検討を実施。昨年これらの成果を踏まえ、「森ハブ・プラットフォーム」を構築し、林業イノベーションの実現を目指している。 このほど、新たに開設されたホームページでは、「林業にかかわる課題・技術情報の整備、必要な支援機能の検討を実施し、林業イノベーションの発展に取り組んでいます。『森ハブ・プラットフォーム』では、組織・人材・情報が集まる”場”を提供しています」と森ハブの役割を確認した上で、イベント、技術情報とともに、会員のすすめ、サイトマップ、問い合わせコーナーを設けて、現場と森ハブとの結びつきを果たそうとしている。 URLは、https://morihub−info.com/。 また、森ハブでは、9月20日、都内有明の東京ビッグサイト607+608会議室で一般参加型イベントとして、「森林・林業分野における”新規事業開発プロセス”を考える」を開催する。募集人員は先着順で200名、9月9日が申込締め切り日、定員になり次第、締め切る。申し込みフォームから応募する。 また、同日、森ハブ・プラットフォーム会員による情報交流会も開かれる。 問い合わせは、令和6年度の森ハブ事務局を務める一般社団法人日本森林技術協会まで。
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林業が検定職種に/林業技能向上センター |
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厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会の人材開発分科会が7月30日の会合で技能検定の対象に「林業」を加えることを了承したことを受けて8月29日付で職業能力開発促進法施行規定が改正された。国家検定である技能検定の職種に林業が追加されるとともに、一般社団法人林業技能向上センター(東京都千代田区鍛冶町1の9の16 全国森林組合連合会内・中崎和久代表理事理事長)が厚生労働大臣指定試験機関として指定された。これにより、今年度から林業の技能検定試験を実施することができることとなった。 同センターでは、平成31年4月から今日の指定に向けて関係林業団体との連携や賛助会員などの支援・声援のもとに業界試験を実施するなど準備してきた。今年度中に技能検定試験の両輪である学科試験と各1級、2級、3級と基礎級とがある実技試験の実施を目指す。 同センターでは「関係者と連携しながら、試験実施の公示をはじめとして関連作業を進める」としている。
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次世代森林産業展/東京ビッグサイトで開催 |
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新たな思考とテクノロジーで森林・林業の景色をかえると銘打った「FORESTRISE2024」第4回次世代森林産業展が9月18〜20の3日間、都内有明の東京ビッグサイト東1ホールで開かれ、会期中、「FORESTRISEセミナー」として行う22の講演と62社・団体が75小間で森林・林業の最新技術を発信する展示とで森林・林業の可能性を発信していく。 62社・団体が出展する展示コーナーでは、10月20、21の両日、福井県勝山市のスキージャム勝山で開催される「2024森林・林業・環境機械展示実演会」に出展するイワフジ工業(株)をはじめ、イー・バレイ(株)、(株)サナース、(株)ジツタ、双日マシナリー(株)、(株)竹谷商事、筑波重工(株)、DeepForestTechnologies(株)、(株)日比谷アメニス、マルマテクニカ(株)、矢崎総業(株)、ヤマハ発動機(株)が最新の林業機械、技術などを展示し、先進性をアピールする。 また、「FORESTRISEセミナー」では、初日の18日に行われる林野庁長官・青山豊久氏による基調講演「次世代の林業に向けた取組」を皮切りに全22の講演を実施。3日間で基調講演、パネルディスカッション、ショートセッションなどが繰り広げられる。主催する産経新聞社は、来場事前登録に対応するよう要請している。
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大型化・高効率化する除雪機特集 |
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8月の猛暑が続くなか雪国の農機販売店、JAの店頭の一角には除雪機がズラリと並び、いよいよ除雪機商戦が本格化してきた。降雪量の多寡で販売が大きく振幅するのが市場の特徴だが、昨シーズンは、前年までの3年連続大雪をうけスタート。しかし、東北地方や新潟では、一部地域で雪よりも雨に見舞われるなど暖冬となり、4年連続の活況を狙ったところは、店頭在庫を抱える結果となったところが多い。こうした市場背景をうけスタートした今シーズンだが、在庫増による懸念された値崩れもなく、5月からのメーカーによる価格改定も浸透し堅調なスタートを見せている。加えて24年産米の仮渡金が前年に比べ大幅に引き上げられる情報が飛び交い、農家の購買心理を明るくしているのは除雪機にとって追い風だ。
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2〜3万台で市場安定/ロータリ除雪機市場 |
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「販売店などの店頭在庫が例年よりも多い」と言われる中で、今シーズンはスタートした。ただ製造メーカーによると、受注状況は「出足は極端に鈍かったものの、7月末時点では計画比で順調に推移している」とのことで、稲刈りが始まり販売最前線としては最も多忙な期間に入るだけに、これから11月までにどう実需に結び付けるかが勝負となる。 もう1つ、いつも指摘することだが、除雪機はここ数年はマイナーチェンジが多く、画期的な新製品は投入されていない。主要農機がスマート農業へ対応するために、データ駆動型の栽培管理支援システムなどイノベーションが生まれているのとは対照的だ。 ホンダのハイブリッド型(足回りがモーター=細かい速度調整が可能、オーガ=パワフル除雪、シューターがエンジン)が投入されて20年以上経つが、それ以降は大型化・高出力化が進んだほか、機能面、デザイン面含めてワクワク感が感じられない。 ただ、高出力化・高機能化・高額商品化によって、降雪地における冬場商品として存在感を高めており、需要量もここ5年間をみると、年間2〜3万台は堅く、コンバインの1万3000台、田植機の1万9000台(いずれも2022年)を上回り、秋商戦後の貴重な戦力に位置付けられている。雪の多寡にあまり左右されない柔軟な安定した市場の形成が必要だろう。販売・サービスの周年化、売上げのヤマとタニの落差の平準化などが望まれよう。 また、昨年の除雪機特集(本紙8月28日号)で触れた三菱重工メイキエンジン(株)の(株)名光精機への事業譲渡の件は計画通り伸展し、三菱重工メイキエンジンは2024年3月29日付で三菱重工グループを離脱、名光精機の100%子会社となり、これを機に社名を三菱重工メイキエンジン(株)から新たに「(株)Willbe」に変更した。 国内の数少ないエンジン専業メーカーとして、引き続きガソリンを中心としたエンジンを造り、カーボンニュートラルに向けた代替燃料に対する製品開発も視野に入れている。 さらに「Willbe」は、ヤマハからヤマハモーターパワープロダクツの事業譲渡を受け、今後はエンジン中心の「MEiKi POWER」、発電機や除雪機などの完成品を中心とした「Earth POWER」という2つのブランドを展開していく。 同社では、もともとの三菱重工メイキエンジンは国内市場がメーンだった。それに加えて今回海外に強いヤマハの販路も継承するため、海外売上比率を向上させ、5年後の売り上げ目標を180億円としている。 カーボンニュートラルへの取り組みをはじめ、事業環境は大変厳しいが、Made in Japanの力を発揮して、新しい市場を切り拓いてほしい。 除雪機の供給体制が新たに整い、市場が活性化することに期待したい。 また、除雪機では、ロータリータイプのほか農機業界が切り拓いたのがトラクタマウント方式の除雪機である。冬場におけるトラクタの稼働率向上に貢献するものだ。これは豪雪地帯独自の仕様というべきもので、除雪幅は2〜3メートルと大きく、投雪距離は、よく言われるようにビニールハウスを飛び越える能力が求められる。大型は受注生産が多いが、ここ3年間は豪雪が続いたため「完売」を続けている。
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除雪機安全協議会の取り組み/小東代表幹事にインタビュー |
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昨今、全国的にみると降雪量は少なくなっているが、局地的に大雪が降る傾向が強くなっている。除雪作業時の事故は、地域的な人口の減少、高齢化、作業の慣れによる油断、除雪機の安全装置の無効化など、様々な要因で起きており、中には死亡事故につながるものも出てきている。製造メーカーでは安全作業啓発のため日農工に除雪機安全協議会を設置し、独自の安全規格を作成して適合する機種に「SSSマーク」を添付したり、事故防止のチラシを配布するなど安全に対する啓発活動を推進している。同協議会は6月20日に開催された総会において、小東賢太氏(本田技研工業(株)二輪・パワープロダクツ事業本部二輪・パワープロダクツ開発生産統括部完成車開発部完成車設計課チーフエンジニア)が代表幹事に就任した。今回、小東代表幹事に就任の抱負、安全啓発への取り組み、協議会の活動などについて聞いた。 ――小東代表幹事の経歴、自己紹介をお願いします。 小東 2006年に入社して以来ずっと汎用製品の完成機の開発、設計を担当しています。開発してきた製品群は、耕うん機、除雪機、刈払機、水ポンプ、芝刈機などです。その中で、主に除雪機の開発に携わってきました。そのご縁で今回、除雪機安全協議会の代表幹事を拝命しました。 ――入社以来開発部門におられるのですか。 小東 入社して最初に担当したのは耕うん機でしたが、2年目からは様々な機種を担当しながら、除雪機の開発に携わりました。現在、弊社が販売している除雪機には、ほぼ全てに関わっております。 ――昨シーズンの除雪機による事故の実態は。 小東 除安協として把握している事故は8件。会員からの報告やニュースなどから集めたものです。基本的には事故の傾向にこれまでと違いはないと捉えていますが、今まで多数あった巻き込まれ関連の事故は減っていると感じています。 ――これは、これまでの安全キャンペーンが浸透した結果だと思ってよろしいですか。 小東 昨年の8件の事故の中には、例年多かった除雪機にひかれたとか挟まれたという事故は起きていません。これまで行ってきたデッドマンクラッチの普及や安全装備を無効化しないようにという、安全啓発活動の成果の一端が出てきていると思います。2004年から始まったデットマンクラッチの装着規格化から20年が経ち、使用されている除雪機も入れ替えが進んでいるのだと思います。 ――事故の内容は。 小東 8件中3件は、作業部に手を突っ込んで怪我をした事故。その他については火災が1件で、残りの4件は除雪作業と直接関係のない、移動中に交通事故に遭ったなどというものでした。実際、除雪機を稼働して起こった事故は4件、死亡事故はゼロでした。 ――昨年が1つの転換点になるといいですね。 小東 そうですね。この傾向が今後も続くことを願っています。 ――安全作業への具体的な取り組みとしては、啓発活動が基本になりますか。 小東 はい。やはり安全への意識や安全作業の大切さというものは、継続的にしっかり啓発していくことが大切だと感じています。安全規格の採用後に、皆さんが使用する農機が新規格搭載のものに置き換わる期間を必要とするように、お客様の安全意識というものも浸透していくのに時間がかかると思います。継続的な啓発活動、安全のPR活動が大切だと考えています。今後もこれまで行われてきた活動をしっかりと継続していきたいと思います。 ――除雪機に限らず、最近農作業事故が多いですが。 小東 除雪や除草などの作業を目的にしている機械は、作業ができることが大前提です。そのため作業部がどうしても外に出ているため、意図せぬ事故、たとえば作業中に誰かが飛び出して来た時だとか、足場が悪く転んでしまった時など、事故に遭いやすくなってしまいます。作業機の使い勝手と、安全を両立させることが課題となっています。 ――使用者の意識も重要ですね。 小東 実際に機械が完全に安全ですとは言えません。除雪機でいいますと、作業部に雪が詰まることがありますが、当然取り除かなくてはいけません。手で取り除くことは大変危険ですので、除安協としても除雪機に雪かき棒を標準装備することを、ルールとして決めております。 実は、この雪かき棒の装着規格というのは世界的に見ても日本だけが取り組んでいる安全規格です。アメリカやヨーロッパにも当然、除雪機の安全規格が存在し、基本的には日本と同じような規格になっていますが、雪かき棒の装備規格はありません。業界団体全体できちんと規格していることに大きな意味があります。 ――デッドマンクラッチはよくガムテープなどで巻いて、無効化して使用する例もありますが。 小東 デッドマンクラッチに代表される安全装備を無効化して起こる事故は、これまでよく報告されていました。我々も安全装置を無効化しないように啓発してきましたし、製品に注意喚起のラベルを貼りつけるなどPRもしています。昨年は雪が少なかった影響もあったのか、そういった挟まれ等の事故報告はなかったのでよかったなと思っておりますが、今後も我々が行っている安全規格の効果をしっかりと見極めていきたいと考えています。 ――ユーザーの高齢化も課題となっておりますが。 小東 高齢者の方々は、昔から継続して使用している方がほとんどです。古い機械から新しい機械に買い替えた時に、操作を戸惑わないようにすることが大切です。これまでと全く違う操作が必要な機械を開発した場合、操作に戸惑い、かえって事故を増やしてしまうかもしれない。これまでの技術を踏襲しつつ、新しい技術で操作性、安全性などを高めていくことが必要であると、一開発者として私は思います。 ――啓発の方法は。 小東 例年行っているチラシやポスターでの安全啓発を降雪地域中心に継続的に行っていきます。除安協会員メーカーの販売店、展示会等でのポスター掲示、チラシの配布をしていきます。また、各自治体にも協力いただけるよう働きかけていきます。 ――近年の除雪機の傾向は。 小東 近年発売される除雪機は、搭載しているエンジンの出力がだんだん上がってきており、少しずつ馬力がアップしています。除雪機自体の進化が進むにつれ、安全対策も進化させなくてはならないと思います。 ――電動化についてはどうですか。 小東 将来的には除雪機も二輪・四輪同様、電動化が進むと思います。しかし基本的にはパワーユニットが変わるだけであって、安全な使い方をしてもらわなくてはいけません。電動化になったとしても、安全思想は変わりません。 ――安全規格については。 小東 3年前に規格の改訂があり、昨年度出荷分から350キロ以上のすべての機械に新規格が適用されました。新規格導入による安全性の効果が今後どう出るかを注視していきたい。その後、どういった安全対策が必要となるのかの見極めを行っていくことになるのだろうと思います。 ――ネット販売やアウトサイダーについては。 小東 除雪機は使用するシーズンが限定されているためシーズン前のメンテナンスが重要です。ネット販売という観点で言いますと、購入後の定期的なメンテナンスが課題となります。メンテナンスの重要性を伝え、しっかりと実施してもらい、安全に使ってもらえるようにしたいと思います。また、海外からの輸入については業者やメーカーなど色々あると思いますが、日本で除雪機を販売している方々であれば、一緒に安全啓発を出来ればと考えています。基本的には、一緒にやりませんかという声掛けをさせてもらっています。実際に、ここ数年新しく会員に入られた企業様もおられます。 ――最後にこれからの意気込みを。 小東 これまで諸先輩方がやってこられたことを引き継いでやっていきたいと思います。安全啓発、安全への意識をユーザーにしっかり持ってもらい、安全に使用してもらうためには、継続的な安全啓発活動が重要だと考えています。これまで先輩方がやってこられた安全啓発というところは逃さず、継続的にしっかりやっていけたらと考えております。またそれと同時に、除雪機の安全規格についても今後の進化が必要だと考えており、開発者として必要な進化が実現できればいいなと思います。我々は名前の通り安全協議会ですので、除雪機を安全に使っていただくためにどうすればよいかという考え方はブレずにやっていきたいと考えています。 ――我々も微力ながら応援させていただきます。協議会の今後の活発な活動と成果を期待しております。本日はありがとうございました。 【除雪安全協議会会員企業】 井関農機(株)、(株)Willbe、(株)オーレックR&D、(株)クボタ、(株)コンマ製作所、(株)ササキコーポレーション、ハイガー(株)、フジイコーポレーション(株)、本田技研工業(株)、ヤナセ産業機器販売(株)、ヤマハモーターパワープロダクツ(株)、ヤンマーアグリ(株)、八鹿鉄工(株)、和同産業(株)。(五十音順)
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北広島市で除雪機展示・実演/2024ふゆトピア・フェア |
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「2024ふゆトピア・フェアin北広島」が1月10、11の両日、北海道北広島市にて開催された(実行委員会主催)。 「雪との共創、新時代、広げよう北広島から」をテーマに掲げ、雪国北海道において、雪との共存・克雪のために新たな技術や価値を生み出し、新時代に向けて発信していくことをコンセプトに、シンポジウムや研究発表会、展示会、除雪機械展示・実演会などが行われた。ここでは、北広島市イベント広場にて2日間にわたり開催された除雪機械展示・実演会のもようを振り返る。 同展示・実演会は一般社団法人日本建設機械施工協会の主催。高度化された最新の除雪技術や除雪機械を紹介するとともに、冬期の道路交通確保で除雪機械が果たしている役割を広く理解してもらうことを趣旨としている。今回は、官公庁・自治体・除雪機械メーカーなど併せて13団体が大型から小型の除雪機械、凍結防止剤散布装置ほか30機種を展示・実演した。開催期間中は2日間とも天候に恵まれ、両日あわせて約1800名が来場し、官民の除雪関係者をはじめ、一般市民も多く訪れ、除雪機械の展示・実演を熱心に眺めていた。 出展者は以下の通り。▽(株)カナモト▽(株)協和機械製作所▽(株)タイショー▽名古屋電機工業(株)▽新潟トランシス(株)▽ニシオレントオール北海道(株)▽(株)NICHIJO▽範多機械(株)▽フォレストテクニック(株)▽メルコモビリティーソリューションズ(株)(旧(株)菱和)▽UDトラックス(株)▽北海道開発局▽北広島市 各社のブースでは作業の省力化や軽労化をはじめ、排出ガス規制や電動化、接触防止や注意喚起等に関する最新の機械・技術の紹介が行われた。 会場中央の雪山では、来場者が見守る中、6社が迫力あるデモンストレーションを実施した。実演概要をみると、カナモトは接触防止センサー付きタイヤショベルを実演。新潟トランシスやNICHIJO、北海道開発局はロータリ除雪車のデモンストレーションをそれぞれ実演した。ニシオレントオール北海道は電動式ホイールローダー、フォレストテクニックはオイルクイッククイックカプラーの実演を行い、各機種の力強い作業が注目を浴びた。 また、休憩所では「北海道除雪機械の歴史」のビデオ上映が行われ、多くの人が視聴していた。同ビデオは除雪トラック、除雪グレーダ、ロータリ除雪車、除雪ドーザ、小型除雪車、凍結防止剤散布車の6機種について各除雪機や施工形態の変遷を紹介したもので、同協会北海道支部のホームページで公表中。
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ゆきみらい2025が1月末、新潟で開催 |
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「ゆきみらい2025in上越」が来年1月30、31の2日間、新潟県上越市のリージョンプラザ上越で開催される。両日にわたり、除雪機械展示・実演会も行われる。 ゆきみらいは克雪・利雪技術の現状や課題、雪に強いまちづくりなど、様々な取り組みに対する意見交換や情報交換を通じて、雪国の未来を展望し、地域の活性化を図ることを目的に毎年開催されているイベント。今回のテーマは「未来を紡ぐ雪国文化」。雪がもたらす恩恵を再認識し、これからの「雪との関わり」について議論し、雪国の風土や生活文化を未来へと継承するとともに、雪国文化を背景とした上越市や新潟県の魅力などを世界へ発信する。 内容は、30日にオープニングセレモニー及びゆきみらいシンポジウム、31日にゆきみらい研究発表会、両日にわたり除雪機械展示・実演会及びゆきみらい見本市が開催される予定。
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各地で除雪講習会/建機施工協 |
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一般社団法人日本建設機械施工協会は、各支部において令和6年度における除雪機の講習会を行う予定としている。それぞれ、主に降雪期における道路除雪作業に使用する除雪機械を運転するにあたって、除雪作業の安全確保・円滑な除雪作業遂行を進めるべく行う。 北海道支部は6〜10月にかけて、旭川・札幌・小樽・函館・釧路・稚内において除雪機械技術講習会を全9回開催。内容は、▽冬期道路交通と除雪計画▽除雪機械の種類・構造・取り扱い等▽除雪の安全施工▽冬の交通安全▽除雪の施工方法と作業ポイント―など。9月以降は9月に旭川で1回、10月に函館・釧路・稚内・小樽・札幌にて計5回行う予定。 一方、東北支部は9〜10月に岩手・青森・秋田・山形・福島・宮城の各県にて除雪講習会を19回開催。内容は、▽国及び県の除雪の取り組みについて▽施行方法と作業のポイントについて▽除雪作業の安全について(事故とヒヤリ・ハットの事例について)▽冬の交通安全▽除雪機械の取り扱いについて(共通編及び各機械編)―を予定。 北陸支部は10月に新潟・富山・石川の3県で除雪機械安全施工技術講習会を10回開催。主な内容は、▽除雪への取組について▽冬期における交通事故防止について▽除雪ドーザ及び除雪グレーダの点検、取扱上の留意点▽除雪施工法について▽除雪作業における安全管理他について―など。 中部支部は10〜11月に、岐阜高山及び名古屋にて令和6年度道路除雪講習会を2回開催する。主な内容は、▽冬期道路における交通確保について▽交通事故防止について(高山会場)・気象について(名古屋会場)▽除雪施工のポイント▽作業の安全と事故・ヒヤリハット▽除雪機械の取扱い―など。申し込みや問い合わせは同協会または同協会の各支部まで。
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オ・スーノで楽々作業/ササキコーポレーション |
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(株)ササキコーポレーション(青森県十和田市里ノ沢1の259)が電動ラッセル除雪機「オ・スーノ ER―800」を発売したのが2013年7月。この製品分野に先鞭をつけ、さらに2016年5月には使いやすさをアップした新型機ER―801DXを発表している。 除雪作業は一般的に日常活動がスタートする前、朝早くもしくは夜間に行われることが多いが、特に住宅地では騒音で隣家への気兼ねがあったり、雪下ろしで隣の道を塞いだりと、雪を巡るトラブルはまま聞かれる。そうした中「オ・スーノ」は、電動の静粛性、簡単な使い心地、自宅で充電できる手軽さ、雪を押して除雪するため雪を飛ばせない狭い場所などでの便利さ―などが受け、一般家庭や商店街等々で人気を博してきた。 同社独自のダイレクトツインモーター駆動(250ワット×2)とパワフルクローラで、力を入れなくてもラクに除雪でき、(1)キーを挿して、電源スイッチをON(2)前進・後進レバーを「前進」位置に倒す(3)走行レバーを握るだけ―で作業スタートと操作は簡単。初めての人でも家電感覚で使える。走行スタート時はマイコン制御でゆっくり動き始め、だんだん早くなり一定の速度で走行。後進時は前進より遅い(前進速度比70%)ので安心して使用できる。また、バッテリーはワンタッチ着脱で、そのまま照明やアウトドアライフあるいは防災用品としても使える。
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高効率スノーラッセル/熊谷農機 |
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(株)熊谷農機(新潟県燕市熊ノ森1077の1)が供給するロングセラー商品「スノーラッセル」(ハイポジションマッチング仕様)は、適応トラクタ20〜30PSのSQRA―1500と、同30〜45PSのSQRA―1700の2型式。ボリュームゾーンのトラクタを所有する雪国の農家で重宝されている。 雪国・新潟で産み出された同機は、投雪距離と性能を徹底して追求、作業の効率アップ、使いやすい優れた機能が盛り込まれている。本体駆動部にはチェーンケースを採用し、ラッセル本体の入力軸の位置を高くする(ハイポジションマッチング仕様)ことで、トラクタマッチング時の角度差を緩和、ワンタッチ取り付けができるトラクタの機種を増やすことで需要先も増加した。 また、リモコンを従来型からジョイコンに変更、1つのレバーでシューターの上下、左右の操作を可能にし、操作性アップを図った。さらにオーガの形状を改良、雪の掻きこみ時の抵抗を減らし、オーガ突起部の磨耗減りを改善。のぞき窓により、除雪時にオーガの空転の視認が可能になった。ブロワーは、それ自体の重量を軽くし、ブロワーへの抵抗を減少、回転速度が落ちにくく投雪能力も向上した。そのほか、作業で消耗しやすいソリプレート、本体の刃先を交換式に変更、より長く使える、シューターの首振り機構をより安定した動きに改良、シューターの回転速度を上げ、シューター自体の振れを解消、防水性も高めている―などの特徴がある。
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利便性誇る小型除雪機/和同産業 |
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和同産業(株)(岩手県花巻市実相寺410)が今シーズン一押しの除雪機は、小型ガソリンエンジン搭載のSXC1070H。 エンジン最大出力は10PSで、ブロワ周速は22・1メートル/秒、除雪幅は71センチ。新雪やしまった雪に向き、約30分で駐車スペース50台分の除雪能力を発揮する。軽いレバー操作、皿型オーガでラクにスムーズに旋回、「電動オーガ高さ調整」を装備し、クラス最高の使いやすさを誇る。同社は、小型除雪機で迷ったらSXC1070Hとアピールしている。 足回りは無段変速装備によりスムーズに移動し、前・後進の切り替え、速度調整はレバーで簡単操作。リフティング機構、シューターは電動でスムーズに動く。 また、同社の除雪機には全機種にデッドマンクラッチを装備し安全性を確保している。オフシーズンの機体保管に役立つシートカバー付き。色は標準がオレンジ、オプションがシルバー。 同社は、雪を寄せて駐車スペースを空けるなどの作業に用いるスノーブレードをはじめ、小型ガソリンエンジン搭載機7型式、小型ディーセルエンジン搭載機2型式、中型型ガソリンエンジン搭載機3型式、中型ディーゼルエンジン搭載機4型式、大型ディーゼルエンジン搭載機7型式を揃えている。これにより、一般家庭の用途からスキー場の除雪や除雪業を営む事業体まで、幅広いニーズに応えられる製品ラインでシーズンに備えている。
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新鋭機駆使し魅力ある現場/林業機械特集 |
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林業機械の果たす役割が年々高まってきている。効率化、省力化を実現し、生産コストを低減させていく上での鍵を握っているからだ。このため、林業事業体から寄せられる機械化への期待は強く、大きい。作業現場では、車両系、架線系のいずれに関わらず、地域に適した作業体系の確立、最適な機種の導入を図るなど、一段と対応力を高めている。一方で機械開発の面では、より安全で、より能率のあがる先進的な林業機械開発にも力が注がれており、事業体の要請に応えている。今週は林業の現場を革新し、魅力ある現場をつくる上で不可欠となっている機械化林業に焦点を当てて、国の対応、進捗状況などの最新の話題を集めた。
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12月に石川で現地見学会/森林利用学会 |
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森林利用学会(岩岡正博会長・東京農工大学)は12月1、2の両日、石川県下で第31回学術研究発表会・現地見学会を開催する。初日の12月1日に石川県金沢市高岡町の金沢文化ホールで学術研究発表会を開催。翌2日に、石川県小松市のコマツ粟津工場で現地見学会を行う。 申し込み締め切りは、9月30日、定員に達した時点で申し込みを締め切る。 また、同学会は10月20、21の両日、福井県勝山市のスキージャム勝山で開催される「2024森林・林業・環境機械展示実演会」に出展し、学会として取り組んでいる研究成果の発信などを進めていく。 会場では、出展ブースを設けて、学会のPRをはじめ、研究成果の紹介、新規会員の入会案内、出版物の展示などを実施していく。 現在、会員に向けて研究成果の出展を募っており、(1)研究成果による製品・試作品を出展したい(2)研究成果の実用化を目指し、機械メーカー等にアピールしたい(3)共同研究など産学官の連携について提案、または成果を公表したい(4)その他、研究成果等の取り組みの成果を広く知ってもらいたい―などの応募を呼び掛けている。 窓口、問い合わせは、岩手大学農学部 森林科学科(〒020―8550 盛岡市上田)の齋藤仁志氏(森林利用学会広報担当常務理事)、渡部優氏(森林利用学会広報担当主事)、TEL019・621・6214まで。
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製材工場は3749に/令和5年の木材統計をみる |
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農林水産省大臣官房統計部が7月に公表した令和5年木材統計。既報の通り、素材需要量は2366万6000立方メートルで前年に比べ228万8000立方メートル(8・8%)減少する中、素材供給量に占める国産材の割合は87・2%で前年に比べ2・1ポイント上昇したことなどが主なポイントだが、この令和5年木材統計では、素材需給の動向とともに、製材の動向、合単板及びLVLの動向、木材チップの動向、集成材及びCLTの動向なども取りまとめている。素材需給以外の動向をみてみた。 【製材の動向】 製材工場数は3749工場で、前年に比べ55工場(1・4%)減少した。製材用動力の出力階層別でみると、75・0〜300・0kWの階層は前年と同数、1000kW以上の階層は増加しているが、それ以外の階層は減少。 製材用動力の総出力数は62万7087・8kWで前年に比べて1・2%減少した。1工場当たりの出力数は167・3kWで前年に比べ0・4kW(0・2%)増加した。 製材用素材消費量は1513万5000立方メートルで前年に比べ87万7000立方メートル(5・5%)減少した。 製材用出荷量は796万2000立方メートルで前年に比べ63万8000(7・4%)減少した。用途別では、8割強を占める建築用材は648万7000立方メートルで前年に比べ6・8%減となった。 【合単板及びLVLの動向】 合単板の工場数は164工場で前年に比べ9工場(5・8%)増加した。「単板のみ」生産している工場は6工場、「普通合板のみ」生産している工場は同1工場、「普通合板と特殊合板」を生産している工場は2工場と増加したのに対し、「特殊合板のみ」生産している工場は前年と同数であった。 普通合板生産量は253万2000立方メートルで、前年に比べ52万7000立方メートル(17・2%)減少した。 LVL工場数は15工場で前年に比べ3工場増加した。同生産量は22万8000立方メートルで前年に比べ2万2000立方(8・8%)減少した。 【木材チップの動向】 木材チップ工場数は1119工場で、前年に比べ9工場(0・8%)増加した。木材チップ専門工場は327工場で7工場、製材または合単板工場等との兼営工場は792工場で2工場それぞれ増加している。 木材チップ生産量は526万3000トンで前年に比べ1万5000トン(0・3%)減少した。原材料別では、素材(原木)が241万2000トンで前年に比べ3万4000トン、解体材・廃材が72万2000トンで同2万4000トン増加したのに対し、工場残材は208万4000トンで同7万2000トン、林地残材は4万5000トンで同1000トン減っている。 【集成材及びCLTの動向】 集成材工場数は143工場で前年に比べ3工場、CLT工場数は10工場で同1工場それぞれ増えている。 集成材生産量は167万5000立方メートルで前年に比べ1万6000立方メートル、CLT生産量は1万8000立方で同3000立方メートルそれぞれ増加した。
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盛況の第77回岩手県全国農機展/フォトニュース |
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岩手県農業機械協会(松田和秀会長)主催による第77回岩手県全国農業機械実演展示会が8月22〜24の3日間、滝沢市の岩手産業文化センター「ツガワ未来館アピオ」で開かれた(8月26日付既報)。会期中は、最新のトラクタ、田植機、コンバインのほか管理機、作業機、ドローン、輸入の大型機械など多様な農業機械の実演、展示が行われた。ここでは、盛況だった岩手全国展の様子を写真とともに振り返る。 今年のテーマは、昨年同様に「チャレンジ農業で新時代を拓く希望郷いわて」で、3日間で約2万1000人の来場者があった。 開会式であいさつした松田会長は、「高齢化や資材費の高騰など、農業は厳しい状況にあるが、大規模経営を目指す若者や農業法人などが着実に増えている」と、農業の明るい兆しを指摘し、こうした意欲的な農業経営に対し「この展示会で、効率的なスマート農業機械をアピールしていくことが重要だ」と、展示会の意義を語った。 来賓としてあいさつした佐藤法之・岩手県農林水産部長は、「食料自給率100%を超す岩手県は、その強味を一層発揮して、我が国の食料供給基地としての役割を果たしていくことが重要だ」とし、さらなるスマート農業の推進などに力を入れていくことを述べた。 展示会場では、各社の展示のほか、鈴木農機、ヰセキ東北、みちのくクボタ、やまびこジャパンによる新製品デモンストレーションが行われ、ロボットトラクタ、自動直進田植機、新型コンバインなどが紹介された。 また、輸入機など大型トラクタ、作業機の展示も充実し、クボタM7など国内の大型機のほか、ジョンディア、マッセイファーガソンなどの輸入トラクタや、畜産向けの大型作業機、牧草用機械などが参観者の目を引いていた。 実演圃場では、終日、ランダムに各種の機械が実演されており、来場者が自由に見学できる。トラクタと新型の作業機による耕うん作業などで、実際に土の状態や作業スピードなどを確認することができ、試乗も行われた。 今回、初の試みとして導入したスタンプラリーも好評で、抽選会場には長蛇の列ができた。 出展社に、今回の展示会の感触を聞いた。依然として「財布のヒモは固い」との見方があるものの、米価の値上がり機運が高まっていることで、購買意欲が盛り上がってくれることを期待する声が多かった。また、「インターネットやカタログだけでは分からない、最新の農業機械を見たいという熱心なお客様が来場してくれている」と、リアルな展示会開催の意義を評価する意見も聞かれた。 会期中の8月23日には、岩手県主催による「令和6年度データ駆動型農業推進事業現地技術交流会」が開かれ、ドローンの多目的利用に関する講演会と、圃場でのドローンの実演が行われた。
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農作業安全の確立に向けて/第9回農作業安全検討会から |
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農林水産省は、農業における労働安全が十分に確保されていないとし、令和3年2月、農業者・農業者団体、労働安全に係る有識者、農機関係団体などを委員とする「農作業安全検討会」を設置。同年5月に「農作業安全対策の強化に向けた中間とりまとめ」を策定した。以降、その取り組みの進捗確認とともに、効果的な対策の方向性などについて議論を重ねている。8月22日に9回目となる検討会が開かれ、農作業の安全性強化の枠組みづくりに向けた協議が進められた。ここではその内容を軸に、取り組みの現状をみる。 ◆農作業死亡事故の現状 令和4年の農作業事故死亡者数は238人で、前年(令和3年)と同水準となった。一方、就業者10万人当たりの死亡事故者数は11・1人と増加傾向にあり、依然として他産業と比べて高い状態が続いている。 また、令和4年に発生した農作業死亡事故を要因別にみると、「農業機械作業に係る事故」が152人(全体の63・9%)と高い状態が継続しており、その要因としては「機械の転落・転倒」が72人(機械事故の47・4%)と約半数を占める。機械・施設以外の作業に係る事故では「熱中症」が29人(全体の12・2%)と最も多く、農作業死亡事故に占める割合も増加傾向にあることから、機械作業対策に加えて、熱中症対策の強化が必要であるとした。 ◆新しい安全性検査制度 農業機械の安全対策の強化として進められている新しい安全性検査制度については、乗用型トラクタ、歩行型トラクタ、自脱型コンバイン、乗用型田植機、乾燥機(穀物循環型)の5機種を対象に、令和7年度から新基準の適用が決まっている(図)。現在、第5回農作業安全検討会(令和3年12月開催)で確認された「新しい安全性検査制度の基本的な枠組み」に沿って、具体化に向けた検討を行っている。 そのうち、書面審査の適用範囲拡大・申請手続きの簡素化等については、農研機構および農機メーカーとの協議を経て、(1)書面と組み立て後の実機に差異が生じることが避けられない実情を踏まえ、引き続き実機検査を基本とせざるを得ないものの、実機検査省略の対象範囲の拡大や合格後の構造変更に係る手続きの簡略化、リモート確認手法の導入等を通じて、負担の軽減を図るとともに、(2)前記の対応を通じて、検査手数料および農業機械メーカーにおける関係コストの削減を図る―との方向性が示された。具体的な変更点は、次の通り。 ◎書面審査の適用拡大=代表型式と同等の構造・装備を有する型式は、実機確認を省略し、書面審査のみの実施とする。 ◎書面審査の簡略化=▽安全性検査(安全装備検査)合格機の構造変更において、安全装備確認項目以外の変更であれば、構造変更届出書の提出を求めない▽安全装備検査におけるタイヤ違いや色・装飾等のデザイン違い等の細かい仕様の変更点については、写真の提出を求めない▽安全装備検査における同一型式の区分違いや実機確認の省略が認められた型式は、CAD図等を写真に代えての書面審査も許容する。 ◎検査の簡略化・検査手数料の低減=▽安全キャブ・フレーム検査において、要件を満たした場合、企業内での立会い検査制度を導入する。これにより、機材運搬費等を低減▽安全性検査(安全装備検査)合格機の構造変更において、農研機構が可能と判断した場合、リモート確認(リアルタイム)を導入する。これにより、機材運搬費等を低減▽安全性検査(安全装備検査)合格機の構造変更において、OEM機や実機確認を省略した型式は、検査手数料を減額または無償とする。 ◎事後調査=農研機構が必要と認めた場合(主に、量産化前受検で合格した型式、書面審査により実機確認を省略した型式、構造変更のため書面審査とした型式等)、随時、事後調査を実施する。事後調査の費用はメーカーに求めず、農研機構の経費とする。 また、安全性検査対象となる5機種について、令和7年4月以降に新たに発売された型式を補助事業等により導入する場合は、安全性検査合格機から選択することを要件化し、購買行動対応の強化を図る。 ◆スピードスプレヤーの安全対策 転落・転倒事故や挟まれ事故が多く発生し、安全装備検査基準の十分な検討が必要なスピードスプレヤー(SS)については、農作業安全検討会の下に、安全性検査基準検討部会スピードスプレヤー分科会を設置し、安全対策骨子の具体化を議論してきた。 そこでの決定事項は、▽SS用ROPS(安全キャブ・フレーム)の強度試験について、令和7年度中の基準化を目指し、メーカーと農研機構で研究コンソーシアムを組み、速やかに検証試験等を行う▽運転者に危害が及ばない構造を、各メーカーで検討していく▽枝下空間条件の具体的な算出方法として、「座面から100センチ上方までの空間を座面幅にわたって確保する」との考えをもとに、パンフレット等に記載して現場に周知していく方向で検討―など。 また、「転落・転倒」安全対策骨子としては、トラクタのROPS強度試験をベースとした、SSのROPS強度試験に適合するROPSおよびシートベルト(シートベルトリマインダー含む)を装備するという考え方を、安全装備検査基準に盛り込む。「挟まれ」安全対策骨子としては、取扱説明書等で使用者に対して、作業道における安全に作業可能な枝下高や枝下の空間条件等を提示することと、当該型式が規定する枝下空間条件を満たさない位置にある枝等によって運転者に危害が及ばない構造であること―という考え方を、安全装備検査基準に盛り込む。 ◆道路運送車両法令(道路交通法令)関係 道路走行中の機体の転倒・転落を原因とする死亡事故のうち、66%が乗用型トラクタによるものであるとの調査結果等から、これまでの検討会で、乗用型トラクタへのシートベルトの装備と運転中の装着を義務化することが、死亡事故防止に有効であると整理された。その過程で参加委員からは、「低速の車両も含め、装備の義務化が必要ではないか」「乗用型トラクタの本来の目的である作業時に、運転者の動作を妨げることがないよう、2点式のシートベルトが望ましいのではないか」などの意見が出されており、これらを踏まえた検討を進めている。 これについて農林水産省は、農業機械メーカーおよび関係団体、並びに関係法令を所管する国土交通省および警察庁に相談を行い、それぞれの担当部局から概ね理解を得ており、対象機種や適切なシートベルトのタイプ、適用時期などについて、関係機関とさらなる調整を行い、次回以降の検討会で具体的に示すこととしている。 ◆研修体制の強化 農林水産省では、農業者の安全意識向上に向けて、「基礎研修」と「実践研修」の開催を推進している。基礎研修は、全ての農家を対象に、共通して身につけておくべきことを学ぶための研修で、同省が提示している研修コンテンツなどを活用した、現場の実状に即した農作業安全に係る知識を得るもの。 一方、実践研修では、基礎研修の受講者相当の知識を有する農業者を対象に、研修参加者が自発的に農作業安全目標を作成し取り組むように促す対話型研修に加え、農業機械の実技演習や圃場の危険箇所のマーキングなど、より実践的な知識や技能の習得を図る。 令和5年の基礎研修と実践研修を合わせた受講者数は約5万人で、基幹的農業従事者の4%程度に留まっている。また、令和6年2月現在、全国に約5300人の「農作業安全に関する指導者」が育成されているが、地域で実施されている研修の約55%でしか活動できていない状況である。 都道府県の農作業安全研修の実施状況と、過去の都道府県別の農作業事故死亡者数について分析すると、研修受講者が2000人以上の5道県では農作業事故死亡者数が2・6人減少、100〜500人の16県では1・1人減少となっている。このことから同省は、農作業死亡事故者数の減少には、農作業安全に関する研修の実施強化が重要であるとの認識を示した。 そこで、県内、地域内の研修等をリスト化した「研修会リスト」の作成と「農作業安全に関する指導者リスト」の整備を行い、関係機関での共有を進めることで、農作業安全に関する指導者の活用を促し、正しい知識の提供・より質の高い研修の実施を推進していくこととした。 ◆クロスコンプライアンスの導入 農林水産省では、令和6〜8年度の試行実施を経て、全ての補助事業等に対して、最低限行うべき環境負荷低減の取り組みの実践を義務化する「クロスコンプライアンス」を導入することとしている。これにより、同省の補助金等の交付を受ける場合には、環境負荷低減の取り組みの実践が必須となる。 具体的には、「農業経営体向け」のチェックシートの項目で「正しい知識に基づく作業安全に努める」ことを求め、その取り組み例として「農作業安全に関する指導者による研修の受講などを通じて正しい知識の習得に努めること」をあげている。 クロスコンプライアンスを通じて、研修受講の徹底を図っていくねらいだ。 ◆農作業安全推進協議会等の設置推進 農林水産省は、農業者を対象とした農作業安全に関する研修の開催など、県段階や地域段階において農作業安全対策を効果的に講じるためには、行政、生産者団体、農業資材販売店などの関係機関が事故情報や普及啓発方策を共有し、一体的に取り組んでいくことが重要であるとしたうえで、道県内全域で地域段階の農作業安全推進協議会等が設置されている都道府県の数は、令和4年10月時点では8道県であったが、令和5年11月の調査結果では、山梨県、長崎県、沖縄県で新設され、11道県に増加したことを報告した。一方で、死亡事故が多く発生しているにもかかわらず設置が遅れている県もあり、引き続き設置の促進を図る必要性を強調した。
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関東農機名誉顧問・稲葉誠一郎氏が逝去 |
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稲葉誠一郎氏(関東農機(株)取締役名誉顧問)は8月23日、療養中のところ薬効の甲斐なく逝去した。92歳だった。
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