農経しんぽう
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  農経しんぽう  
  令和7年1月27日発行 第3537号  
     
   
     
   
  食料・農業・農村基本計画の骨子検討/農政審議会企画部会  
     
   農林水産省は22日、東京・霞が関の農林水産省講堂で、食料・農業・農村政策審議会企画部会を開き、食料・農業・農村基本計画の骨子を検討した。それによると、(1)我が国の食料供給(2)輸出の促進(輸出拡大等による「海外から稼ぐ力」の強化)(3)国民一人一人の食料安全保障・持続可能な食料システム(4)環境と調和のとれた食料システムの確立・多面的機能の発揮(5)農村の振興―を主要5テーマとして掲げ、それぞれに目標とKPI(重要業績評価指標)を設定することとした。この中で、スマート農業技術の開発・導入や技術に適した生産方式への転換が位置づけられ、スマート農業技術を活用した面積の割合の目標や、スマート農業技術活用促進法の目標に掲げる技術の実用化割合のKPIなどを設定することが盛り込まれた。
 会議で農林水産省から示された骨子(案)によると、基本計画の位置づけとして、改正基本法で掲げる基本理念に基づき基本的な施策の方向性を具体化する基本計画は、初動5年間で農業の構造転換を集中的に推し進めるため、計画期間は5年間として定める。基本計画の実効性を高めるため、食料安全保障の確保に関する目標や施策の有効性を示すKPIを定めることとし、少なくとも年1回、その目標の達成状況を調査・公表、KPIの検証により、PDCAサイクルによる施策の見直しを行うとした。
 主要テーマ1の「我が国の食料供給」は、国内の農業生産の増大のための施策として、▽将来にわたって安定運営できる水田政策の確立▽需要に応じた麦・大豆等の本作化▽加工・業務用野菜の供給体制の構築▽果樹の省力樹形等の導入▽生産性向上のための多収品種等の育成・導入▽国産飼料への転換▽国内肥料資源への転換、防除ニーズに対応した農薬登録・再評価の円滑な実施▽種苗の安定供給、肥料原料の備蓄体制の強化など。
 食料供給能力の確保のための施策として、▽地域計画に基づく担い手(離農する経営の農地の受け皿となる経営体や付加価値向上を目指す経営体)への農地集積・集約化、規模拡大や事業多角化のための経営基盤の強化、新規就農・新規参入の推進、雇用労働力確保の環境整備▽共同利用施設等の再編集約・合理化、家畜市場・食肉処理施設の再編集約・機能強化▽地域計画と連携した農地の大区画化、情報通信環境の整備、水田の汎用化・畑地化、農業水利施設の保全管理・防災減災対策▽スマート農業技術の開発・導入や技術に適した生産方式への転換、スタートアップやサービス事業者の育成・確保▽付加価値向上のための、高い品質を有する品種の開発・導入、農産物を活用した新たな事業の創出、知的財産の保護・活用、付加価値の高い産品の輸出▽家畜伝染病の発生・まん延防止、病害虫等の総合防除の普及―を盛り込んだ。
 主要テーマ4の「環境と調和のとれた食料システムの確立・多面的機能の発揮」については、環境と調和のとれた食料システムの確立のための施策として▽食料・農林水産業における気候変動対策や関連産業の育成、投資促進も含めた「みどりGX推進プラン(仮称)」の推進▽新たな環境直接支払交付金やクロスコンプライアンスの実施を通じた取り組み促進▽オーガニックビレッジの拡大等による有機農業の推進▽バイオマス・再生可能エネルギー利用等の農林漁業循環経済の取り組み促進▽食品産業の製造工程の脱炭素化や環境負荷低減に資する技術導入等の促進、事業系食品ロス削減に向けた商慣習の見直し▽環境負荷低減の見える化やJ―クレジットの取り組み拡大。多面的機能の発揮のための施策として▽共同活動を行う組織の広域化や多様な者の参画等の体制強化による農業生産活動の継続をあげた。
 目標・KPIの検討案をみると、食料供給のテーマについては、▽食料自給率▽肥料資源の国内資源利用割合▽肥料原料の備蓄の確保(リン安・塩化カリ)▽種苗の安定供給の確保▽輸入の安定化食料の備蓄の確保(米・麦・大豆)▽飼料の備蓄の確保(飼料穀物)▽担い手への農地集積率▽農地面積の確保▽農業の成長産業化や国土強靭化に資する農業生産基盤の強化▽スマート農業技術を活用した面積の割合について目標を設定する。

 
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  播種面積2倍以上に/埼玉県がスマート農業オンラインセミナー開催  
     
   埼玉県は20日、「埼玉県スマート農業オンラインセミナー」を開催した。埼玉県スマート農業普及推進プラットフォームの会員向け事業で、農業者、農機メーカー、農機販売店などが対象。
 1回目の今回は、石川県との連携企画で主穀をテーマとし、「大麦の生産拡大と低コスト化を目指したデータ駆動型水田収益向上モデルについて」(石川県農林総合研究センター農業試験場中央普及支援センター主任技師・植松繁氏)、「ICTブルドーザの農業への活用と今後の取組について」(公益財団法人いしかわ農業総合支援機構アドバイザー・永畠秀樹氏)、「ドローンによるリモートセンシング技術を活用した水稲の適正施肥の推進について」(埼玉県農業技術研究センター水田高度利用担当技師・荒川直也氏ら4名)の3講演が行われた。
 最初に登壇した植松氏は、大麦の作付面積拡大と低コスト化に向け、(1)無人トラクタ等の活用によるスマート播種体系(2)センシング・収量データ等に基づいたデータ駆動型スマート施肥システム―の実証結果を報告した。(1)については、1日当たりの播種面積が慣行比2・2倍になったことや、1・6ヘクタール区画の圃場において作業時間が約28%削減できたことなどを示し、大区画化による作業効率の向上効果が特に高いなどとした。(2)については、ザルビオとKSASを使ったスマート追肥と可変堆肥散布の実証成果を説明した。スマート追肥では、作業時間を56%削減、追肥での投下窒素量を10アール当たり520グラム削減。可変堆肥散布では、化学由来窒素の年間使用量15・5%削減を実現。さらに、これらの実証で、1日当たりの播種面積が倍増したことにより適期播種が可能となり、令和6年産大麦の単収が約4割増加したなどとした。
 ドローンによる水稲の適正施肥についての講演では、荒川氏がリモートセンシングによる追肥診断の研究について解説した。ドローンを活用した空撮は、生育診断や圃場の全体把握が簡単にできるようになるなどメリットが大きいが、空撮用マルチスペクトルカメラは高価であることが課題となっていた。通常の生育診断では、マルチスペクトルカメラを用いて生育の指標となるNDVIを算出するが、埼玉県農業技術研究センターでは、通常のデジタルカメラでも算出可能なVARIによる診断方法を開発。同県東松山農林振興センターの稲村隆治氏らが、この技術を用いた現地事例を報告した。勘に頼ることなく穂肥を実施できる、生育に応じてきめ細かい散布が可能、基準のない品種でも追肥の判断の参考になるなど、リモートセンシングの有効性が地域生産者にも理解されたとし、今後の普及拡大に期待を寄せた。
 なお、同セミナーは2月13日に第2回施設園芸編を予定しており、2月10日まで参加申し込みを受け付けている。詳しくは、埼玉県HPまで。

 
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  種籾消毒装置を新発売/サタケ  
     
   (株)サタケ(松本和久社長・広島県東広島市西条西本町2の30)は23日から、種籾消毒処理装置「SASTEMA(サスティマ)」を発売した。蒸気で水稲種子の表面を加熱消毒し、冷却・乾燥まで自動で行うもので、農研機構との共同研究を通じて開発した。5〜10秒という短時間での消毒を可能にしつつ、温湯消毒と同等の効果があり、種籾の水分がわずかな上昇で収まるため、脱水工程と乾燥機を必要としないなどのメリットがある。種子センターなどを中心に販売を進める。
 イネばか苗病などの種子伝染性の病害を防ぐため、これまでは主に薬剤や温湯による種籾の消毒が行われてきたが、薬剤では廃液処理の問題、温湯では水槽や乾燥を行うためのスペースの確保、また、作業や工数が多いことも課題になっていた。こうした問題点を解消する装置として、同社は農研機構と共同で研究を進め、「SASTEMA」が誕生した。
 同機は熱源に蒸気を用い、高温・短時間で消毒。発芽率は90%を維持し、特に糸状菌、線虫由来の病害に効果を発揮する。イネばか苗病については、温湯消毒と同等程度の発症率に抑える。
 消毒から冷却、乾燥まで連続してできる高能率装置で、蒸気消毒のため水槽、脱水機、乾燥機が不要となり、清掃やメンテナンスにかかる時間、費用が削減できる。また、薬液消毒の際の廃液処理、温湯消毒の際の排水などがなくなるため、設置面積は大幅に削減でき、既存施設にスムーズに導入できる。
 運転は投入から排出までタッチパネル操作による自動運転で、原料を投入し、品種を設定すると最適な運転条件で自動運転。冷却後の脱水・乾燥工程がないため、操作や調整に関わる作業時間の短縮も図れる―などの特徴がある。
 同機の主な仕様は次の通り。
 ▽能力=500キロ/時▽消毒熱媒体=蒸気と高温空気の混合気体▽原料通過時間=5〜10秒▽最大蒸気温度=280度C▽装置内総動力=39・8キロワット
 ▽機体質量=3000キロ▽標準装備=稼働データロギング装置▽構成=(1)消毒ユニット:消毒処理部・蒸気生成部・冷却部(2)仕上げユニット:最終冷却部・搬送工程(3)蒸気ユニット
 価格はオープン。

 
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  プロも唸る「炒感」、二刀流拡販で本格中華/中井機械工業  
     
   中井機械工業(株)(中井節社長・大阪府四條畷市岡山4の17の20)は、IH式大型炒め機「炒感(チャーカン)」を製造。2023年6月に同機の発売を始めて以来、飲食業界で耳目を集めている。同機は作る品目に合わせてあおり撹拌もしくはかきまぜ撹拌が選べ、IHの高火力で本格的な炒めを実現する。品目により、この2つの撹拌機能を同時に使うこともできる。
 同機にはタッチパネルが標準搭載されており、20品目までプログラムの登録が可能。タッチパネルで撹拌速度、火力、温度を自動的に制御するため、材料を入れていくだけでいつも通りの仕上がりを再現できる。
 熱源はIHのみで、ガス直火に負けない均一な高火力を実現。鍋形状に合わせた最適なIHコイル形状を開発し、鍋表面の温度分布均一化を達成した。これにより鍋底温度、品温を自由自在にコントロールできる。IH式のため作業環境も大幅に改善できる。
 同機を使えばチャーハンをはじめ、焼きそば、麻婆豆腐といった品目を1人で大量に作れる上、プロも唸る味に仕上げる。例えばチャーハンづくりでは米のパラパラ感、いわゆる炒感(チャーカン)をしっかりと出す。チャーハン、焼きそば共に100人前が作れ、プロ並みの味を引き出す。同機による食品作りは同社のHPにて閲覧できる。
 問い合わせは同社(TEL072・824・1551)まで。

 
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  整形マルチシリーズモデルチェンジ/アグリタッチ研究所  
     
   (株)アグリアタッチ研究所(笹岡弘和社長・静岡県富士市北松野1204)はこのほど、トラクタ整形マルチシリーズをモデルチェンジした。同シリーズには、グレーを基調にした新しいカラーリングを採用。「ロータリ2・3畦整形器」は、2畦または3畦を同時整形でき、移植機にも最適な製品で、小馬力で小さな台形畝整形が可能となる。「台形うね整形マルチ」は、小馬力で平高うね整形と確実なマルチ作業を実現。その他、角度自在ヒッチでリアカバーを付けたまま標準ロータリに装着可能な「平うねマルチ」など、作業効率アップを実現する製品群に期待が高まっている。
 トラクタロータリ後付け用「ロータリ2・3畦整形器」は、整形器を標準ロータリに取り付け、「Uの字取付ヒッチ」で爪に接近させることができるため、小馬力で小さな台形畝整形が可能。
 中央部のハンドルレバーで作業姿勢を変えることができ、標準ロータリの深耕レバーで土量調整が簡単に行える。畝高さは整形器中央部のボルト1本の調整で楽に変更可能。キャベツ向けに最適で、移植機にも活用できる。
 【概要】〈ロータリ2畦整形器〉▽品番=CR2N2▽適応ロータリ耕幅=1200〜1300ミリ▽適応トラクタ=15〜23PS。
〈ロータリ3畦整形器〉▽品番=CR3N2▽適応ロータリ耕幅=1700〜1900ミリ▽適応トラクタ=24〜30PS。
 一方、「台形うね整形マルチ」は、整形でもマルチでも的確に作業が可能。整形器を標準ロータリに取り付け、「Uの字取付ヒッチ」で爪に接近させることができるため、小馬力で平高畝整形及び確実なマルチ作業ができる。推奨ロータリ幅が1300〜1600ミリの「DV15N2―RM」と、1600〜2000ミリの「DV20N2―RM」をラインアップしている。
 【概要】〈DV15N2―RM〉=整形器DV15N2―Rと、マルチDV15N2―Mによる平高畝作業機▽推奨ロータリ幅=1300〜1600ミリ▽全長×全高×全幅=1200×1350×1400ミリ▽適応シート幅=1100〜1800ミリ▽機体重量=94キロ▽適応馬力=16〜30PS程度
 「平うねマルチ」は、角度自在ヒッチでリアカバーを付けたまま標準ロータリに装着可能。作業姿勢は平畝マルチ側のハンドルで調整ができ、土量調整は標準ロータリの深耕レバーを回すだけで行うことができる。
 【特徴】▽FM18M2 平うねマルチ=尾輪とロータリ整地板による約10センチのうね高さの平うねマルチ。
 ▽FM18RM2 平うねリッジャーマルチ=リッジャーとロータリ整地板による15センチの畝高さの平うねマルチ(リッジャーを外して約10センチの畝高さも可能)
 ツールバーが上下前後に稼働し、中央部ヒッチが60ミリ角、ヒッチ部ピン穴の芯が100ミリ幅の標準ロータリに装着可能。
 その他、リッジャー(20センチ高)とロータリ整地板による20センチの畝高さのシートガイド付き平うねマルチ、FM18RMB2も取り揃えている。
 同社は管理機用・2点リンクトラクタ用(18〜26PS)・3点リンクトラクタ用(18〜32PS)と幅広いラインアップを準備し、多種多様な要望に対応している。
 問い合わせは同社(TEL0545・85・321)まで。

 
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  ダイドー製上腕アシストスーツのレンタル開始/アクティオ  
     
   (株)アクティオ(小沼直人社長・東京都中央区日本橋3の12の2)は、電力を使わずに腕上げ作業の負担を軽減する(株)ダイドー(追田尚幸社長・大阪府河内長野市上原町250の2)の軽量型上腕アシストスーツ「TASK AR Type3」のレンタルを1月20日から開始した。
 現在、働く高齢者の数は年々増えており、60歳以上の就業者は2003年段階では雇用者全体の10%を下回っていたが、2022年には18・4%と、ほぼ5人に1人となっている。こうした現状を受けて厚生労働省は、2020年3月に高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン「エイジフレンドリーガイドライン」を公表し、その中でパワーアシストスーツ等の導入を推奨している。
 今回レンタルを開始する上腕アシストスーツ「TASK AR Type3」は、本体重量が1・6キロと軽量で、ワンタッチで装着が可能とシンプルな構造のため、高齢者でも扱いやすいモデルとなっている。ショックコード(ゴム)を活用し、着用者が腕を上げる動作をすると上腕が自然に上がるようにアシストする。電力を使用していないため、時間や場所にとらわれずに使用でき、建設現場や製造業、物流、林業、農業等の様々な分野で作業の負担を軽減する。また、高齢者だけではなく、労働災害の中で報告事例の多い「上肢障害」の予防にも適している。
 【主な特徴】▽ワンタッチで装着可能▽3段階のアシスト角度調整(90、120、150度)▽つまみでアシスト力を無段階調整可能(最大アシスト力3・0Kgf)▽シンプルな構造かつ軽量のため、装着時の負担を軽減▽ショックコード(ゴム)を活用しているため、電力不要。
 問い合わせは同社(TEL03・6666・2548)まで。

 
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  3月12日に若者文化シンポジウム開催/山岡記念財団  
     
   一般財団法人山岡記念財団(山岡健人理事長)は3月12日に京都府のゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川にて「第9回若者文化シンポジウム」を開催する。
 このシンポジウムは、同財団が主催する学術イベント。山岡記念財団が助成している研究者による研究発表の場であり、本年度は「歴史が紡ぐ日独の文化」というテーマで開く。
 会場とオンライン同時開催で、今年もシンポジウム終了後に交流会を行う予定。シンポジウムのみの参加も可能。詳細および申し込みは、同財団のHP内のイベント情報で確認できる。
 【開催概要】
 ▽日時=3月12日(水)、午後3時〜5時50分(受付開始は午後2時30分から)。交流会は午後6時〜7時30分▽場所=ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川(京都市左京区吉田河原町19の3)。オンライン(Zoom)同時開催▽テーマ=歴史が紡ぐ日独の文化▽定員=会場30名、オンライン500名▽参加費=無料▽その他=日英同時通訳あり
 【発表者とテーマ】
 櫃割仁平(ヘルムートシュミット大学ポスドク研究員/日本学術振興会海外特別研究員)、テーマ=日本舞楽鑑賞時の感情的反応に関する日独文化比較研究▽スティーブン・アイビンス(京都大学准教授)、テーマ=ドイツと日本における戦後移民の文化的記憶▽劉カイウェン(東京大学大学院学際情報学府博士課程)、テーマ=アートと政治の境界をめぐる交渉:日独比較▽ベン・メラー(オックスフォード大学博士課程)、テーマ=日本とドイツの士官学校における反軍国主義と再軍備の共存▽ジャスミン・ルッカート(デュッセルドルフ・ハインリッヒ・ハイネ大学講師、博士課程)、テーマ=対立から理解へ:日本とドイツの博物館が子どもたちに戦争を教える戦略              (敬称略)

 
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  アグリキッズサミット、小学生100人募集開始/クボタ  
     
   (株)クボタ(北尾裕一社長)は、小学生が全国から集まった100人の仲間とともに、「食と農業」の未来の課題を考える、体験学習+ワークショップ型のイベント「クボタ アグリキッズサミット」を開催する。
 同社は、未来を担う子どもたちに、自然の恵みの豊かさや地球環境の大切さを学んでもらうため、2007年より毎年夏に「食と農業」をテーマにしたキャンプ型体験学習「クボタ アグリキッズキャンプ」を実施してきた。農業体験や野外調理体験、生産者との交流など、これまで約400人近くの子どもたちが参加してきた。
 この度、この取り組みをさらに発展させ、子どもたちが全国から集まった100人の仲間とともに、「食と農業」の未来の課題を考える、体験学習+ワークショップ型の5日間ものイベント「クボタ アグリキッズサミット」を開催する。
 このイベントでは子どもたちに、クボタが北海道に設立した農業学習施設「KUBOTA AGRIFRONT」で農業経営シミュレーションゲームAGRIQUESTに挑戦したり、ロボット農機や植物工場など最新テクノロジーに触れたり、さらにはフードシステムの現場を仲間たちと取材したり、食と農業の未来のための具体的なアクションを考案する、といったプログラムに取り組む。
 子どもたちの遊び場を提供するべく、食料システムに関わる、多様な農家や大学、企業に協力してもらう。イベントのゴールとして「食と農業」の豊かな未来をつくるために、100人の知恵と思いの詰まった「アグリキッズアクション宣言」を、大阪・関西万博会場で発表する。
 〈開催概要〉
 ▽イベント名:クボタアグリキッズサミット2025
 ▽開催日程・場所
 第一部:3月27日〜29日、2泊3日in北海道 第二部:6月21日午後オンライン開催
 第三部:7月25日オンライン開催&大阪・万博会場
 ▽対象者:全国から集まる小学3〜5年生(2025年4月度新4〜6年生)
 ▽募集人数:100名(選考)
 ▽選考方法:左記のアンケート提出
 (1)おいしいものを安心して食べられる未来をつくるために、これから出会う仲間と一緒にチャレンジしてみたいこと(2)そう思った一番のきっかけ ▽募集期間:1月23日〜2月24日
 ▽結果発表:2月28日メールにて当落通知
 ▽URL:https://www.kubota.co.jp/agrikids/experience/summit2025/

 
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  持続的な農業と社会実現に不可欠なパートナーへ/2025年ヤンマーアグリグローバル大会  
     
   ヤンマーアグリ(株)(所司ケマル社長)は22日午後、兵庫県神戸市内のホテルで「2025年ヤンマーアグリグローバル大会」を開催した。今回のスローガンは「持続的な農業と社会の実現に不可欠なパートナーへ」を掲げた。これには、厳しい市場環境にもかかわらず、商品・サービスを通して市場競争を勝ち抜いた国内トップディーラー、優秀経営店はじめ、中国、韓国、インドネシア、ベトナム、タイ、フィリピン、ミャンマー、インド、ブラジルの9カ国から現地法人、ディストリビューターの代表など、合わせて約600名が参集したほか、オンラインで国内特約店約1400名が参加した。所司社長は、世界の農業を取り巻く環境、事業を取り巻く環境に触れながら、米国新政権の誕生、グローバルサウスの台頭、世界的な物価上昇の継続など、政治・経済・環境・テクノロジーのどれもが急速に変化し、「不確実性がさらに高まる世界=未知の領域にある」と指摘したうえで、ヤンマーはその未知の可能性を応援し、「未来をワクワクできるものに変えていく。創業当時から受け継がれるヤンマーの文化であるHANASAKAで、新しい価値やソリューションを提供していく」と決意を述べた。
 
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  HANASAKAの価値観共有、「未知の可能性」応援/2025年ヤンマーアグリグローバル大会  
     
   大会は晴天に恵まれ、式典会場の入口には、昨年11月に発表した原寸大のデザインコンセプトトラクタを展示、参加者はそのデザインに驚き、スマホで記念撮影に臨み、その「ワクワク感」を国内はもとより海外にも発信していた。
 大会の冒頭あいさつに立った山本哲也代表取締役副社長COOは、大会が今年で49回目を迎えたことに謝意を表した後、2024年は原材料高騰による物価高、円安の加速、農業においては気候変動、人口増加による食料需要の増大など、市場環境は厳しく、多くの課題に直面した1年であったとし、「このような不安定な状況にもかかわらず、お客様の抱えている課題に寄り添い解決に向け尽力をいただいていることに改めてお礼を申し上げる」と述べた後、環境へのソリューションは多様化し、解決しなければならない領域がますます広がっていると指摘し、これまでのやり方にとらわれない新しい技術・知見・発想を掛け合わせ、「お客様も私たち自身も心躍るようなソリューションを生み出せるよう挑戦を続けていく。これらの挑戦を支えるのは創業以来変わらない『HANASAKA』の価値観であり、共にチャレンジしてまいりましょう」と訴えた(挨拶要旨は別掲)。 続いて、長屋明浩取締役CBOブランド部長が挨拶。ヤンマーが考える新しいブランディング、デザインの考え方について説明。長屋部長はコンセプトトラクタについて、本来の機能的な価値・意味を重視する「本質デザイン」に基づき、次世代ヤンマーデザインのありたき姿を視覚化したと説明した。
 次いで、所司社長が登壇。参加者にお礼を述べたあと、加速度的な変化が複雑に絡み合い、世界の不確実性は年々高まっているとしながら、「未知は不安なものである一方で、可能性でもある」とし、未知の可能性を応援し、みんなで未来をワクワクできるものに変えていく述べたあと、環境負荷低減に向けたカーボンクレジットの創出、大規模ハウスなど先進的な栽培技術の実証実験を紹介しながら、最後に、「皆様は私たちのかけがえのない、不可欠なパートナーである。皆様方一人ひとりとともに、ヤンマーアグリは、不確実な時代を勝ち抜き成長していく」と強調した(挨拶要旨は別掲)。
 ここで、国内、海外の代表が日頃のヤンマー商品への取り組みぶりを活動報告。国内は広島県東広島市の(有)迫農機商会(迫眞治社長)の祐次氏、洋氏兄弟。海外はトルコのヤンマートルコマシネリー社のアリ・オズボラット氏(要旨は別掲)。
 続いて、取締役DX担当(CDO)AI戦略推進部長の奥山博史氏がヤンマーのデジタルについての考え方、ヤンマーのデジタル戦略、AI・デジタルの進化を踏まえた将来の方向性と題して講演した。
 このあと表彰式に移り、国内は所司社長とヤンマーアグリジャパン(株)の小野寺誠社長が、海外は所司社長と上田啓介副社長がそれぞれ受賞者に賞状とトロフィーを手渡した。
 最後に西坂農機(株)(滋賀県高島市)の西坂良一社長が謝辞を述べ、グローバル大会は終了した。

 
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  農業現場の課題解決へヒント示す/クボタ新春オンラインイベント「GROUNDBREAKERS」開催  
     
   (株)クボタ(北尾裕一社長)は17日、オンラインにて「クボタ2025新商品発表」及び「GROUNDBREAKERS」を開催し、過去を大きく上回る2万人超が登録・視聴した。「GROUNDBREAKERS」は、農業経営者や関係者とともに日本農業の現状とこれからを考える機会の1つとして積み重ねてきたオンライン配信イベントで、2021年1月以降、過去5回の開催で延べ4万人超が参加し、大きな反響を呼んでいる。万博イヤーを踏まえ、6回目を迎えた今回は、先進的な農業経営者3者への密着インタビュー(合同会社source・山崎哲也氏、ゆきぐに農場・尾崎実氏、(株)アグリストリート・大坂宇津実氏)をはじめ、2050年の農業・農村を考える討論会、農業マーケティング最前線、女性農業者座談会など、11のプログラム(選択セッション含む)を提供し、農業現場における課題解決のヒントを示した。また、新商品発表会では、2025年注目の新商品を同社社員が紹介したほか、研究開発現場の潜入映像なども発信した。その主な内容を紹介する。
 
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  スマート農業技術アピール/クボタ2025新商品発表  
     
   クボタ新商品オンライン発表会は農業者が抱える課題の解決に貢献するクボタの思いを形にした各機種の特徴などを担当者が説明する形式で進められ、特にスマート農業関連の機械化をリードする同社の取り組みを強調。また、データ駆動型農業を推進するインターネットクラウドを利用した営農・サービス支援システム「KSAS」の有用性をアピールした。
 まずスマート農業関連商品として紹介したのは自動運転機能搭載の「アグリロボ」シリーズ。新しくなったアグリロボ田植機NW80SAは、圃場をマッピングした上で、自動で最適な植え付けルートを計算し、無駄のない植え付け作業を自動で進める「全面匠植え」をさらに進化させ、従来の2周回り植えに加えて、8条植えの慣行方式を実現した1周回り植え、マップ作成と同時に植え付けを行う無人自動植え付け同時マッピングの2つを追加、圃場条件に合わせて植え付け方法を選べるようにした。2年目以降はマップを利用できるため、さらなる能率アップが期待できる。
 トラクタでは、SLシリーズ、MRシリーズを購入したユーザーの半数がGS仕様を選択しているとし、今年はGSトラクタのラインアップをさらに拡充、従来の21〜70馬力の品揃えを105馬力まで拡大し、28〜60馬力帯のSLシリーズに関してはGS機能がより進化した。ポイント(1)は、直進作業に必要な基準線の登録方法を増やし、これまでのA―B点登録に加え、過去に登録した基準線をトラクタに記憶しそれを呼び出すメモリ機能、基準方位を直接モニター入力できる機能、進行方向に合わせて自動的に基準線を作成する「らく直アシスト」、KSAS営農コースを利用中の場合は圃場ごと、作業ごとの基準方位を自動でKSASに紐づけし翌年の作業で同じ基準方位を使える「GSリンク」―の5つとした。
 ポイント(2)は、操作が減らせる「簡単スタート」。GS開始条件が整ってから直進3秒後に自動的にGS制御がONになる機構。また、(3)高精度な位置情報が受け取れるRTK・GNSS対応。RTKに対応することで、折り返した時の隣接合わせのズレを通知・サポートする「条間アシスト機能」が利用できる。さらに(4)操作に不慣れな人でも簡単に操作できるよう音声ガイダンス、GS専用モニタ、ジョグダイヤルなどを装備し、高精度な直進作業をシンプルな操作で実現した。
 簡単に田植えができる、身体への負担が少ないなど、好評を得ているGS仕様田植機は、基準線の設定方法が増え、A―B点登録の従来方法に加え、基準方位を直接モニタに入力できる「基準線入力モード」を搭載。KSAS営農コース利用者の場合は「GSリンク」が使える。また「かんたんスタート」や通信状態が悪くても衛星を変更してダウンタイムを極小化する「新GNSSアンテナユニット」、オプションのRTKアンテナを利用すれば「条間アシスト」が使える―機能を盛り込んだ。
 自脱型コンバインのフラッグシップモデルの「DIONITH」シリーズでは、5条刈DR595、6条刈同6130にGS仕様を追加。目標物のない中割作業、倒伏作物の刈り取り作業でも曲がることなくまっすぐ楽に作業できる。GS機能を使うのに欠かせない基準線の登録方法は、A―B点登録のほか、直進キープ方位角入力、「らく直キープ」があり、圃場により使い分けながら効率よくGS機能を活用できる。
 乗用全自動野菜移植機「SKP―200H」は、クボタ初のGS機能搭載野菜移植機で、業界最高速の植え付け速度0・65メートル/秒、現行機種の約20%アップを実現。直進時はノンストップで植え付けできるので、作業能率がさらに上がり作業時間を短縮できる。40アール作業では、現行機よりも1時間早く作業を終えることができる。後方予備苗台を標準装備とし、ワイドステップの追加、リアステップの拡大で苗の補給が楽にできる。空トレイ抑えを後方予備苗台の下方に設置することで、座ったままトレイを回収・収納できるようにした。GS機能は、RTKアンテナを搭載することで高精度な直進走行を実現した。
 さらに今年は、経営規模を拡大したい、収益を最大化したい、草刈りや管理作業を楽にしたいなどの農家要望に応えられる新商品として、▽大型トラクタ「GENEST PLUS」=エンジンが進化し環境に優しく、人気のオプションである後方作業灯などを標準装備。KSASとの直接通信ユニットも標準装備▽クバンランド・パワーハロー=耐久性に優れ、厳しい土壌条件でも最適なパフォーマンスを発揮する。ラインアップは3シリーズ9モデル▽米の品質や等級が心配な稲作農家に色彩選別機「選別王」。3、4インチ籾すり機対応のKGS―40X3=不良品混入率が10%までの玄米であれば、スケジュール通りに選別が可能。
 ▽多大な労力が必要なエダマメの選別作業を楽にするえだまめ粗選別機KEDS―1R、えだまめ色彩選別機KEDS―1Cをクボタとして初めて発売=風力選別と形状選別を1台で行う(1R)、2台のカメラで莢両面を同時判別(1C)▽草刈り作業を省力化・軽労化するスイング式法面草刈機「KalMax」がモデルチェンジ=エンジン過負荷アラート機能を搭載。エアクリーナの防塵性を高めた。刈高さを従来機より10ミリ上げた設定にした▽ミニ耕うん機「菜園倶楽部シリーズ」で農家にも推奨する「Midy Smile Pro TMS400」=後進時にエンジン回転数を自動的に低下させる機能を追加、高速での後進を防ぐ。QRコードからの取扱説明書の確認が可能。

 
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  NTTドローンと提携、空から可変施肥/井関農機  
     
   井関農機(株)(愛媛県松山市馬木町700)はこのほど、(株)NTTe―Drone Technology(瀧澤正宏社長・埼玉県朝霞市北原2の4の23)が開発・製造した農業用国産ドローンの取り扱いを開始する。
 同社ドローンは今後、BASFデジタルファーミング社・BASFジャパン(株)が国内で提供する栽培管理支援システム「xarvio FIELD MANAGER(ザルビオフィールドマネージャー)」の地力マップ等とのデータ連携により、送信機に可変施肥を支援する圃場マップを表示し、自動で可変施肥制御する機能等の提供を予定している。同社のドローンは、過剰施肥やムダな農薬散布を防ぎ、コスト削減、環境負荷軽減が期待できる商品。
 〈取引開始の背景〉
 井関農機はこれまで田植機をはじめマップ連動型可変施肥に対応した機械の開発・製造を行い、さらにマップ連動可変施肥に対応したトラクタ作業機を取り扱いのラインアップに揃えてきた。
 このほど、これら商品ラインアップに空からの施肥や農薬散布を可変で行うことができる(株)NTTe―Drone Technology製のドローンを追加した。
 このドローンは国産機のため、日本の圃場に合わせた軽量・コンパクトな機体で、日本の法規制に適応した設計がなされている。導入がスムーズであり、法規制の変化に柔軟に対応できるなど安心して使用できる。
 なお、同社は昨年12月12日に茨城県つくばみらい市のつくばみらい事業所で行った2025年度上期新商品発表会で同機を披露した(写真はNTTグループが開発したドローンについて説明するNTTe―Drone Technologyの瀧澤社長=中央)。

 
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  油圧ショベル内装パッケージを発表/日立建機日本  
     
   日立建機日本(株)(廣瀬雅章社長・埼玉県草加市弁天5の33の25)はこのほど、油圧ショベル専用の内装カスタムパーツ第1弾を発表し、運転席をスタイリッシュに変えてはいかが―とカスタム事業の推進に力を込めている。社内の新事業アイデアコンテストから生まれたもので、プロジェクトの中で試作を重ね、第1弾の(1)ラグジュアリー・パッケージと(2)スポーティー・パッケージが完成した。
 (1)は、アクセントカラーのオレンジがきいた艶のあるブラック、(2)はシルバーとカーボンの組み合わせで都会的でクールな印象。サイドパネル、ドリンクホルダー、モニターパネル、リアコンソール、スイッチパネルに統一したカラーリング、デザインを施し、オペレータが気持ちよく仕事ができる空間とした。
 シートカバーは、▽オレンジ=10ミリスポンジを内蔵したダブルステッチによるキルティングデザイン▽シルバー=背もたれと座面センター部分に縦ラインが入ったスタイリッシュなデザイン▽ブラック=オレンジステッチのみを使用したシンプルなデザイン―の3種がある。ヘッドレスト、背もたれ、座席の3分割型で、シートが機械についているままでカバーの取り付けができる。適合するシートタイプは、固定式、メカサス式、エアサス式。
 フロアマットは、(1)は黒×オレンジ、(2)は黒×シルバーステッチと各パッケージに合わせたカラーを施し、別売り。裏地を含め厚さは17ミリ。材質はポリプロピレン。価格は税別で3万8000円。
 パッケージ価格はともに税別で120万円となっている。

 
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  スマホで稼働機情報、無料アプリを提供/コベルコ建機  
     
   コベルコ建機(株)(山本明社長・東京都品川区北品川5の5の15大崎ブライトコア5階)は15日から、油圧ショベルの稼働管理システム「MERiT」(メリット)の機能をスマートフォンからも利用できるようにしたアプリ「稼働機管理アプリ」を公開した。これにより、「MERiT」への登録があれば誰でも無料で同アプリを利用できる。
 「MERiT」は、稼働機から発信される情報を分析し、稼働状況、燃費の状態、メンテナンス情報、トラブル時の警報などをパソコン上で確認できるシステム。
 顧客からは、いつでもどこでも情報にアクセスしたいという要望があり、これを受け同社はスマートフォン向け「稼働機管理アプリ」を開発。ユーザーは、保有機に関する情報をプッシュ通知でいち早く入手できるようになる。
 提供場所はGoogle Play/App Store。対応OSはiOS15・0以降/Android9・0以降。提供する機能は次の通り。
 ▽稼働機情報=保有機の状態を常時把握。最新の位置から過去の動きまでマップで確認できる▽稼働機レポート=保有機の稼働状況をグラフ化、ひと目でわかる集計レポートを提供▽エラー検知=稼働機に異常が生じた場合にプッシュ通知▽メンテナンス通知=部品交換などのメンテナンスの必要が生じた際にプッシュ通知

 
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  4月から製品価格10%以上アップ/バンドー化学  
     
   バンドー化学(株)(植野富夫社長・兵庫県神戸市中央区港島南町4の6の6)は、同社製品について価格改定を実施する。価格改定は2025年4月1日受注分から適用となる。対象製品と価格改定率は次の通り。
 伝動ベルト(摩擦伝動ベルト、歯付ベルト)=10%以上アップ。プーリおよび金属製品=同。その他ゴム製品等=同。搬送用樹脂ベルト=同。コンベヤベルト=同。
 価格改定の背景として、近年、原材料価格に加え、物流・人件費などあらゆる価格の高騰が続いており、これに対して同社は顧客への製品の安定供給を第一に、原材料の調達に努め、価格上昇分を生産性の向上およびコスト削減などにより吸収し、価格の維持に取り組んできた。
 しかし、企業努力だけで吸収できる水準を超える厳しい状況と判断。価格改定に踏み切った。

 
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  新社長に玉置茂喜氏/ISEKIトータルライフサービス・1月1日付で就任  
     
   (株)ISEKIトータルライフサービス(東京都荒川区西日暮里5の3の14)は1月1日付で社長人事があり、新社長には常務取締役の玉置茂喜氏が昇任した。前社長の喜安貞行氏は井関農機(株)の理事総合企画部SCM推進室担当に就いた。
 玉置氏は1962年12月生まれの62歳。1996年4月に同社に入社。一貫して経理・財務畑を歩み、2010年7月財務部長、2012年6月執行役員、2013年5月取締役(兼)執行役員、2018年12月常務取締役(兼)常務執行役員を歴任し、今回代表取締役社長(兼)社長執行役員に就任した。
 同氏は、社業発展のため一層の努力をと、同社のかじ取りに意欲をみせている。

 
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  テレビ東京で取り組み紹介/スズテック  
     
   (株)スズテック(栃木県宇都宮市平出工業団地44の3)の鈴木直人社長は、17日午後10時54分からテレビ東京で放映された「アルバレスの空〜未来に羽ばたく企業たち〜」に出演、同社の新しい取り組みについて説明した。
 この番組は中小企業を対象に、様々な課題を乗り越えてきた成功事例を紹介するもので、今回は「製造こそ顧客に向き合え」をタイトルに、ナビゲーターの入山章栄氏(経営学者)は、人材不足の時代、社員の力を引き出すことが何より重要であり、面白い仕組みでこれに成功している会社がスズテックだ―と解説した。
 画面では、播種機で高いシェアをもつ同社の概要を紹介しつつ、営業活動に欠かせない展示会に対し、社員対応が十分にできていなかった同社の現状を鈴木社長が説明。その解決策に製造部門に携わる社員を活用する方策を打ち出すが、渋る社員があったり、営業活動に出ることで本来の製造部門の人手に懸念が生まれたりといった問題点が浮上した。
 これを克服する手段として同社長は、製造部門の社員に対する月1回の営業研修会を実施し、営業の面白さ、製品のセールスポイントの理解促進に充てる一方、製造部門の人手対策としては、単一工程ではなく複数の工程に関われるように担当社員の多能化を図り、平準化生産をしようと取り組んだ。
 これらの結果、展示会に参加した製造部の社員は、直接農家からの要望などを受け、それがモチベーションアップにもつながっていると感想を述べ、鈴木社長は「よりバトンを渡しやすくなるようなものづくりに、少しずつなってきている」とコメント。また、入山氏は「社員がいろんな部署を試せたら、自分の向き不向きもわかる」とし、同社では営業社員の半分以上が製造部門出身者だと、その成果を評価した。

 
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  本社で感謝フェア、実績伸長へ各種対策/スガノ農機  
     
   スガノ農機(株)(渡邊信夫社長・茨城県稲敷郡美浦村間野天神台300)は18日、茨城県の本社で、地域住民との交流を図る恒例イベント・感謝フェアを開催し、家族連れなど過去最高の671人の参加者で賑わった。渡邊社長は、「我が社が何をやっている企業なのかを知ってもらう機会」と同フェアの狙いを話し、ようやく認知されてきたと成果を示しつつ、2027年に迎える110周年にはグループ売上げ80億円超の実績とすべく、内外で新たな取り組みを進めていく意欲を示した。
 フェア会場では、同社新製品(浅耕プラウ、スタブルカルチ、バーチカルハロー、直装式レベラー、ケンブリッジローラー)を入口近くに置き、オークション提供用中古機、正規中古機を並べたほか、グループ企業SIR(株)(吉川貴夫社長)が取り扱う中古機のショールームをこの日にオープンした。また、超大型トラクタ同乗体験、本物の馬が引く馬車の乗車体験、時空戦士イバライガーショー、工場見学会、大抽選会などの市民お楽しみ企画も盛り込まれ、穏やかな天候の中、参加者の笑顔が広がった。
 農機業界メディアに事業概要を説明した渡邊社長は、昨年3〜5月は道内市場が厳しかったが、米価格上昇により、9月以降動きが良くなり新製品が寄与。特にレーザーレベラーは計画の倍の実績となるなど、増収増益で締めることができたと述べ、さらに中国からの強いオファーへの対応、パプアニューギニアでの直播による米づくり機械化農法への協力など、海外での事業展開がより重要となってきたため、1月1日付で国際事業部を立ち上げたことを紹介。
 こうした国内外での事業推進により、同社およびSIR、圃場整備の施工企業であるスガノ創新(株)を合わせて今年は64億円、来年は70億円、そして110周年を迎える2027年は80億円を超える実績を目標にしていると前進の意欲を表した。その実現を支える対策としては、優秀な人材確保のための初任給アップ、女性社員の活用・登用、工場内設備の拡充、これからの農業に合致する新製品の開発・市場投入などをあげ、また、大規模化する農業への対応強化(一環として乾田直播技術の習熟=月1回の社内勉強会実施など)が重要と指摘した。
 フェア会場でショールームをオープンしたSIRの吉川社長は、スガノのメーン製品であるプラウ、スタブルカルチ、レベラーが出ればそれに伴い中古機も出てくると話し、ショールームはそれらの魅力を直に知らしめる場であり、HPにおける情報の拡充を図る一方、しっかりと加修・フォローを進め、新規に同社製品を使う農家ユーザーなどに割安の中古機を活用してもらいたいと、これからの常設展示に期待を向けた。
 関東甲信越支店で営業職を務める飯村千春氏にも話を聞いた。2022年4月に入社、1年余の研修後、群馬県からスタートし、現在は千葉・埼玉を担当。土壌の違いで以前は排水系の機械は扱わなかったが、今はそうした機械も出ていると。農業とは縁のない大学を卒業し分からないことが多かったが、まめな社内研修とともに、農家回りで学ぶことも多いと話す。「製品がいいので、ファンが多いのがありがたい。自分自身動くのが好きだし、機械に慣れるとともに面白味を感じている。年々規模が拡大する中、プラウをかけた圃場は高温障害が出なかったなどの農家の話を吸収しながら、仕事に活かしたい」と笑顔をみせた。
 オークションには、サブソイラ、プラソイラ、スタブルカルチなど5機種を出品。機種により5万円、10万円の値付けでスタートし、最高落札額はリバーシブルプラウの25万円だった。溝掘機を落札した栃木県の稲作農家は、「スガノの機械はほかにも持っているけど、購入機はソバの栽培で使おうと参加した」と話し、落札の競争相手が少なかったためか、もっと安い金額提示でもよかったかなと言いつつ、これからの機械稼働を楽しみにしている様子をうかがわせた。オークションの売上げは全額地元の美浦村に応援寄付金として納める。

 
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  コンマの播種機部品事業を引き継ぐ/石井製作所  
     
   (株)石井製作所(石井智久社長・山形県酒田市京田4の1の13)は1月17日付で、昨年9月に経営環境の悪化のため事業を閉鎖した(株)コンマ製作所(山形県鶴岡市)より、「播種機部品に関する供給事業」を引き継ぐことを発表した。
 コンマ製作所の事業閉鎖により、製品を使用中のユーザーや販売店に対する部品供給を含むアフターフォローが課題として残されていた。このような状況の中、長年の協力関係を背景に、同社が播種機部品の供給事業を引き継ぐことで合意に至った。
 同社とコンマ製作所は、昭和30年代から長きにわたり協力関係を築き、共に山形県庄内地域で農業機械の開発・製造に取り組んできた。またこれまでにも同社は、コンマ製作所製播種機の販売を手がけてきた。今回の事業引き継ぎは、コンマ製作所製品を使用中のユーザーが今後も安心して製品を利用できるよう、両社の思いが一致して実現したもの。
 石井製作所の石井社長は「同じ山形県の地に根ざし、長年ご支援いただいたコンマ製作所様の播種機部品事業を引き継げることを光栄に思います。これを機に、業界のさらなる発展とお客様への安定したサービス提供に尽力してまいります」とコメントしている。
 部品供給については2月1日より対応を開始し、従来通り販売店を通じて注文することができる。
 問い合わせは同社営業部企画課(TEL0234・28・8239)まで。

 
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  グループ一丸で邁進/三ツ星ベルトが新年賀詞交歓会  
     
   三ツ星ベルト(株)(池田浩社長・兵庫県神戸市長田区浜添通4の1の21)は16日、ホテルオークラ神戸(神戸市中央区)でグループの新年賀詞交歓会を開催した。販売代理店や取引先など関係者約300人が会に参加し賑わいをみせた。
 会の冒頭、登壇した池田社長は新年挨拶に先がけ、販売代理店、金融・保険、報道、法律事務所、仕入れ先、学校ほか、関係者に日頃の事業活動の支援に対する謝意を述べ、一層の協力を熱願した。
 続けて不安定な海外情勢や異常気象の問題などに触れ、経済を取り巻く状況は厳しいとしつつ、「弊社社員の頑張りもあり、今期上半期の売上高は対前年比でプラス8・1%、営業利益はプラス9・9%という結果を残せました。また、この結果は本日ご出席の販売代理店の皆様のご協力あってのことです。改めて御礼申し上げます」と力強く挨拶した。
 また「2021年度から取り組んできた国内外における生産拠点の再編活動の効果も表れ始め、これも上半期の結果につながった」と報告し、「今後に大きな経済変化がなければ、通期も開示通りの数字を確保できると予測します。今後も社員一丸となりガッツあるチャレンジを合言葉に全力で邁進します」と意気込みを示した。
 次に取締役専務執行役員の又場敬司氏が登壇。同社の基本理念、経営基本方針、そして2023年度に新たに掲げた「目指す姿(カガクのチカラで人々の快適な暮らしを支える会社)」といった理念体系を紹介した。また今年の干支である巳(み=へび)にちなんで「我々も皆様と共に脱皮し成長できる年にしたい」と話し、乾杯の音頭をとった。

 
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  本質的な安全推進/北海道農業機械工業会が新年交礼会  
     
   北海道農業機械工業会(本田雅義副会長)は23日、札幌市内のANAクラウンプラザホテル札幌で、令和7年農業機械業界新年交礼会を開催した。
 交礼会の冒頭、主催者あいさつを行った本田副会長は、「昨年7月に施行されたみどりの食料システム法は、省力化に加え環境負荷低減に役立つとされるスマート農業技術活用促進事業などによって積極的に推進されている。当会は各関係団体や組織と連携し、会員企業による農機のスマート化に加え、会員企業を引き続き支援していくとともに、公道走行を前提とした本質的に安全な農業機械の製造を推進していく」などと意気込みを語った。
 来賓あいさつには、経済産業省北海道経済産業局製造情報産業課の佐々木信之課長、北海道経済部産業振興局産業振興課の石川孝範課長が登壇し、食料供給基地としての北海道農業のさらなる発展やスマート農業へのサポート等についてそれぞれが触れ、同会並びに会員企業とともに、北海道のポテンシャル発揮へつなげたいなどとして協力を呼びかけた。
 乾杯を十勝農業機械協議会の山田政功会長が行い、農家減少に対する危機感やそれを踏まえた北海道のスマート農業で描く展望、具体的にはISOBUSによるトラクタと作業機の連携や農業データ活用などに言及しながら、会員企業に対してスマート農業の方向性の統一や一層の開発の注力を促しつつ、持続的農業を堅守すると力強く述べ、杯を掲げた。
 歓談が進む中、竹中秀行専務理事が新たな参加者を中心に紹介し、各人よりスピーチがなされた。(株)ショーシンの中島雄司取締役、サークル機工(株)の今村城久社長、(株)キューホーの永井章博常務、(株)アトム農機の寺崎雅史社長、農研機構北海道農業研究センター研究推進部事業化推進室の根本英子室長、北海道大学大学院農学研究院の石井一暢准教授、(株)福地工業の福地貴弘社長が登壇した。
 閉会のあいさつをした本田副会長は、昨年末の仕事納めに若手社員の発案で企画された懇親ゲーム大会が盛り上がったことから、若者が活躍できる環境づくりの大切さを述べて、会を結んだ。

 
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  2027年の国際農機展準備へ/十勝農業機械協議会が総会・新年交礼会  
     
   十勝農業機械協議会(山田政功会長)は22日、北海道帯広市の北海道ホテルで、2025年度定期総会並びに新年交礼会を開催し、本年の事業推進に意欲を示した。
 総会では2024年度事業報告・収支決算、2025年度事業計画・収支予算、役員変更などの議案を審議し、いずれも事務局原案通り可決した。
 昨年度は、スマート農業や土作りの研修の他、50周年記念誌を刊行し、各関係先に配布した。今年度は、先進地研修視察や農作業安全に関わる事業などを実施していく。
 役員変更については、副会長に、勝見貴広氏(ヤンマーアグリジャパン(株))の後任として平山秀憲氏(十勝農機(株))、副幹事長の平山氏の後任に細谷富貴氏((株)タカキタ)、幹事の安居克真氏(ISEKI Japan(株))の後任に菅原拓氏(同)へそれぞれ変更となった。
 引き続き行われた交礼会では、山田会長があいさつし、18日に93歳で逝去した十勝地区農協組合長会の有塚利宣会長に対して、これまでの十勝農業への尽力と国際農機展の開催委員長などを務めてきた功績に感謝しながら哀悼の意を表した。
 また、ISOBUSや準天頂衛星システムみちびきなどの話題に触れ、スマート農業のさらなる進展に期待を寄せながら、2027年開催予定の国際農機展の準備へ着手する旨を伝えた。
 その後、北海道十勝総合振興局の野口正浩局長、帯広市の池原佳一副市長、十勝地区農業協同組合長会の國井浩樹副会長がそれぞれ来賓挨拶し、有塚会長逝去へ哀悼の意を表した上で、同会活動へ激励の言葉を送った。
 続いて帯広商工会の梶原雅仁副会頭の発声で乾杯。恒例のビンゴ大会を交えながら和やかに歓談が続き、ホクレン帯広支所の清澤博明支所長による挨拶で会を結んだ。

 
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  累計出荷3790億6000万円/日農工2024年部会統計  
     
   一般社団法人日本農業機械工業会(増田長盛会長)は23日、2024年12月の生産出荷実績(日農工部会統計)を取りまとめた(表は次号)。
 それによると、2024年累計における生産実績は3486億3000万円となり、前年同期比85・4%に減少した。そのうち国内向けは2009億5000万円で同82・9%、輸出向けは1476億8000万円で同89・0%だった。
 一方、累計出荷実績は3790億6200万円となり、同90・4%に減少した。国内向けは2229億6700万円で同91・5%、輸出向けは1560億9500万円で同88・9%となり、生産・出荷とも国内外問わず全体的に減少した。
 2024年1〜12月の通年出荷実績を機種別にみると、トラクタは20PS未満の金額が74億9000万円(前年同期比101・0%)、20〜30PSが同351億4300万円(同102・7%)に増加したものの、その他は大型を中心に伸び悩んだ。
 トラクタ全体の出荷は国内向けが2万4086台(同73・9%)、輸出向けが6万4898台(同81・3%)となり、全体の出荷台数は8万8984台(79・2%)。金額は2045億6600万円(同84・8%)となった。
 耕うん機は7万7913台(同87・1%)で117億5900万円(同91・1%)に減少した。売り先は国内向けが7万625台(同88・3%)、輸出向けが7288台(同77・3%)。
 田植機は1万4516台(同83・7%)、297億1400万円(同88・2%)に落ち込んだ。国内向け1万1592台(同82・7%)のうち、乗用型は1万1462台(同83・0%)だった。
 防除機は11万2979台(同93・9%)、143億8100万円(同102・0%)となり、台数は減ったものの金額が増加した。
 刈払機は数量68万4981台(同100・9%)、金額191億5600万円(同108・1%)となり、数量・金額とも増加した。
 コンバインは1万1353台(同95・8%)と数量は減ったものの、高価格化・大型化などを背景として、金額は723億9900万円(同101・4%)に増加した。このうち、国内向けの自脱型は9050台(同96・2%)となり、普通型は989台(同94・3%)。
 精米機は5918台(同100・3%)、8億1500万円(同109・6%)に増加した。

 
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  50周年へ結束/日本内燃力発電設備協会が賀詞交歓会  
     
   一般社団法人日本内燃力発電設備協会(平野正樹会長)は16日、東京都目黒区のホテル雅叙園東京において、「令和7年新年賀詞交歓会」を開催。式には約430名の会員、関係者などが出席した。
 会の冒頭、挨拶に立った平野会長は「昨年は国内外を問わず、各地で大きな災害が発生しました。日本においては、能登半島で大きな地震があり、多くの方が被災され、現時点も復旧復興の途上と聞いておりますが、全ての皆様方が、1日も早く安心して生活できる日常を取り戻していただけることを強く願っております。このような災害に備えが必要なことはいうまでもありませんが、その中でも特に電気、これはあらゆる分野において1日も欠くことのできない重要なインフラです。非常用自家発電設備は災害時をはじめ、外部からの電気が途絶えた先に電気の安定供給を図る重要な役割を果たしています。エネルギーの安定供給や防災は世界に共通する極めて重要な課題です。我々は真摯にこの問題に取り組み、非常用の自家発電設備の普及や信頼性の向上に、気を引き締めてしっかりと取り組んでまいります。来年、内発協は50周年を迎えます。引き続き皆様のご理解やご協力を得ながら、50周年を迎えていきたいと思います」と語った。
 続いて来賓を代表して経済産業省大臣官房産業保安担当の殿木文明審議官、総務省消防庁予防課整備専門官の明田大悟理事官、国土交通省住宅局の前田亮参事官が挨拶。その後、三好朋宏副会長の乾杯の音頭で歓談に移った。

 
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  春の農作業啓発用ポスターを作成/日本農業機械化協会  
     
   一般社団法人日本農業機械化協会(菱沼義久会長)はこのほど、令和7年春の農作業安全啓発用ポスターを作成した。
 同ポスターは農林水産省による昨年の農作業安全ポスターデザインコンテストの入賞作品を使用して作成した。同協会では、このポスターを地域における春の農作業安全の啓発活動に広く活用してほしいとしている。
 ポスターサイズはB2判(728×515ミリ)、価格は1枚160円(消費税、送料別)、購入枚数に応じて値引きあり。ポスター下部の空白部分に実施機関名等を印刷可能。印刷費用はモノクロで300枚以下は1万5000円(税別)、300枚を超える場合は1枚につき14円を加算。1000枚以上は2万4800円(税別)。カラー印刷は別料金。
 購入申し込みは申込み書に必要事項を記入の上、同協会までFAXまたはメールで送付(FAX03・3297・5639、メールkikaika-info@nitinoki.or.jp)。ポスター発送は2月上旬からの予定となっている。

 
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  バッテリー剪定ばさみを発売/スチール  
     
   (株)スチール(中山健太郎社長・栃木県河内郡上三川町多功2570の1)は2月上旬から、剪定ばさみ「ASA20」の発売を開始する。STIHL ASバッテリーシリーズを拡充する製品で、共用できるASバッテリーを駆動源に、軽量(1キロ以下)ながらパワフルに最大25ミリの太さの枝まで切断する。右利き・左利きとも同様に簡単に操作でき、手指や腕に重い負担がかかっていた剪定作業を快適に気持ちよく進めることができる。
 同社が昨年、パワーツールの所有者に調査した結果によれば、庭木や低木の剪定作業を負担の少ないバッテリータイプで行っている人の割合はわずか20%。また、今後1年以内にバッテリータイプの剪定バサミの購入を検討している人は25%となった。今回新発売する「ASA20」は、そうした需要層をターゲットに置いたもので、バッテリーを含め1キロ以下の軽量ながら直径25ミリまでの枝をラクに切断、一般家庭の庭木や低木の剪定作業に最適の機種。
 ブレードの開き幅は2段階に調整でき、レベル1では最大切断径25ミリ、レベル2では19ミリまでの設定が可能。より細い枝の剪定ではレベル2に設定しブレードの開きを小さくすることで、同時に切断スピード速度を上げることができる。ブレードの動きは指の圧力に追随する技術が施されており、正確な切断を実現している。
 また、バッテリー残量、選択したブレード開きモード、総切断回数を示す有機ELディスプレーを搭載。ブレードクリアランスを調整するツールは機器内にあるため紛失する心配がないなど、操作性、利便性に優れている。
 バッテリーは10・8ボルトリチウムイオンバッテリーで、28Whのエネルギー容量をもち、AL1充電器使用により80分でフル充電する。充電後は最大4時間、最大2000回の切断作業をこなす。 ASバッテリーシリーズには同機のほか、低木用バリカン、ガーデンカッター、刈払機などを揃えており、1つのバッテリーと充電器を複数の機種に共用して使える便利さがある。
 そのほか、剪定バサミ、斧、手斧、家庭用ハサミなどの研磨に使えるシャープニングツールを用意している。
 同機の主な仕様は次の通り。
 ▽質量=0・98キロ(バッテリー含む)▽全長=32センチ▽無負荷時の切削速度/全負荷時の切削速度=230/400メートル/秒▽充電器AL1による充電時間=80%・60分、100%・80分
 希望小売価格(税込み)は、ASA20本体のみで3万5200円。バッテリーAS2は5500円。充電器AL1は5610円。シャープニングツールは4290円。替え刃(上下セット)は4620円。

 
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  低コスト再造林プロジェクトで最終報告会/全国森林組合連合会と農林中央金庫  
     
   林業の成長産業化と持続可能な循環型の森林・林業経営の実現に向け、令和2年度に「低コスト再造林プロジェクト」を立ち上げた全国森林組合連合会(中崎和久代表理事会長)と農林中央金庫(奥和登代表理事理事長)は23日、東京都千代田区の富士ソフトアキバプラザ5階アキバホールで同プロジェクトの最終報告会をWeb併用で開催、この5年間取り組んできたプロジェクトの成果を共有し、主伐・再造林を進める意義を確認した。長野県、広島県、宮崎県の全国3カ所に設けたモデル施業地で行ってきた早生樹「コウヨウザン」のコンテナ苗を使っての伐採と造林の一体作業や活用などの実証実験の成果を発表し、地拵え、下刈りなしの造林技術の可能性を示した。
 平成2年から5年間にわたり行ってきた「低コスト再造林プロジェクト」の集大成として開催された最終報告会は、最初に主催者を代表して全森連の富山洋・代表理事専務、来賓を代表して林野庁造林間伐対策室の天田慎一室長がそれぞれあいさつ。富山代表理事専務は、会場とオンラインとで参加した400名に謝辞を述べた上で、同プロジェクトの概要を示しながら「3組合にご理解、ご協力をいただきながら進めてまいりました各試験地では大変有意義な検証成果が得られたと聞いています。この最終報告会が今後皆様の取り組みの一助になれば幸いと考えております」と呼び掛けた。
 また林野庁の天田室長は再造林を取り巻く厳しい情勢などを語った上で「林野庁においても省力低コスト造林はまったなし。プロジェクトの取り組みは各地で進めていく上でも時宜を得たものとして参考になるのではないか。我々としても各種メニューで支援することと合わせ技術の普及を進めなければならない」と成果に期待を寄せた。
 この後、着実な再造林の推進のために林野庁造林間伐企画班課長補佐の田ノ上真司氏による情報提供、プロジェクトリーダーである物林(株)顧問の大貫肇氏が背景や目的などを説明したのに続いて、3カ所のモデル施業地である長野県の根羽村森林組合専務理事の鈴木吉明氏、広島県の三次地方森林組合参事の貞廣和則氏、宮崎県の都城森林組合事業部長の徳丸康博氏がそれぞれプロジェクトで得られ、確認した成果を発表した。
 自立的かつ持続可能な林業経営の確立を目標とした今回の「低コスト再造林プロジェクト」では、そのファーストステップとして早生樹種であるコウヨウザンのコンテナ大苗を活用した主伐・再造林の一体作業を課題に取り組んだ。
 そして成果報告を受けて、同プロジェクトの専門家チームのリーダーを務めた大貫肇氏をはじめ、近藤禎二氏(森林総合研究所林木育種センター元育種部長)、田中賢治氏(国土防災技術(株)技術アドバイザー)、仲尾浩氏((有)愛美林代表取締役)がプロジェクトに取り組んだ意義を発信した。
 この後、実施組合、専門家チーム、林野庁の3者によるパネルディスカッションでプロジェクトで得られた「地拵え、下刈りなし」の造林技術の成果を今後にどう活かしていくかなどを探った。

 
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  創立55周年を祝う/日本植木協会が全国大会開催  
     
   一般社団法人日本植木協会(佐久定規会長)は21日、東京都千代田区の都市センターホテルで創立55周年記念全国大会を開催、緑化樹木生産業の今後の躍進を誓った。
 会の冒頭で佐久会長が挨拶に立ち、「多くの皆様のおかげで55周年を迎えることができた。困難な状況の中で、経費削減や収益事業の強化を図りながら、健全な協会運営に力を入れている。協会として今後の目玉となる2027横浜国際園芸博覧会では、植物の育成管理に携わる調達パートナーとして認定され、花博に向けて一歩前進した。これからも各省庁や各行政団体の人たちと手を携えて、業界発展のためにより一層の努力をしていく所存だ。植木の力を存分に発揮できるように国民にPRできるような事業発展を目指す」と意気込んだ。
 この後、林野庁長官の青山豊久氏、農産局花き産業・施設園芸振興室長の大塚裕一氏、環境省自然環境局長の植田明浩氏らが祝辞を述べた。
 続いて従業員永年勤続表彰、卓越技術者(名人)認定証授与、優秀技能者認定証授与、特別庭園樹木(名木)認定証授与があり、受賞者らが佐久会長から表彰状を受け取った。
 創立55周年記念講演会では、元農林水産事務次官の皆川芳嗣氏が「農福連携の可能性と花や緑への展開」、一般社団法人公園からの健康づくりネット業務執行理事の小野隆氏が「身近なみどりと私たち」と題して話した。

 
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  北森カレッジの人材育成、実習重視し実践力つける/躍進2025林業機械3  
     
   北海道大学産学・地域協働推進機構・スタートアップ創出本部(本部長=土屋努・北海道大学副理事、特任教授)が主催し、都内を会場として月1回、折々のテーマを持ち寄り、北海道の農林水産業が秘めるポテンシャルと可能性を発信している「新しい日本型農林水産業の創出」の勉強会。20日に開かれた第8回勉強会では、「将来の林業を支える人材育成に取り組む北森カレッジ」をテーマに同カレッジが進める新たな人材育成のあり方を発信、チャレンジしていく姿勢を示した。
 「大学の研究シーズ」と「テクノロジー」を組み合わせた農林水産業の新産業化に向けて、を標榜し昨年4月にスタートした「新しい日本型農林水産業の創出」の勉強会。大都市に向けての情報発信を目的に「とにかくやっていることを理解してもらう」(北海道大学・土屋努氏)ため開いている。第8回の勉強会は、北森カレッジにおける人材育成をテーマに取り上げて、その延長線上に生まれてくる北海道林業の未来、可能性の大きさを発信した。
 「森を育て、人を育てる学び舎。」である北海道立北の森づくり専門学院(略称:北森カレッジ)の学院長である土屋禎治氏が講義にあたり、その後、勉強会参加者との質疑応答で現状を掘り下げるとともに、今後の展望、問題点などの共有化を図った。特に同カレッジが目指している林業の姿を示し、そのためにも欠かせない人材育成の重要性をアピールした。
 北海道の真ん中、旭川市内にある同カレッジは、修学2年間の専修学校。学年定員40人、道内の林業関係企業等への就業を希望する者で、(1)高校卒業程度の学力を有する(2)入学時に40歳以下を就学要件としている。令和2年度に開校しており、道内外から様々な年代や経歴を持つ生徒が入学している、という。
 北海道は資源量、面積ともに恵まれた林業地だ。森林面積は全国ナンバー1、日本全土の22%を占める。丸太の生産量も全国第1位。森林の蓄積も人工林を主体に充実しており、成長産業化が見込まれている。
 このため同カレッジは、地形が緩やか、事業の規模が大きい、高性能林業機械の導入という北海道の特徴を活かし、「安全性」「生産性」「ICT技術」で快適、格好いい林業を目指す方向に設定。条件が似て、研修などで交流、提携を進めているフィンランドを目標に掲げる。
 カリキュラムでも、これからの時代に求められるオペレータについて(1)選木や伐倒、植林など林業の知識を有する(2)作業を正確かつ効率的に行うスキルを有する(3)効率的な作業計画を立てることができる(4)マシンのメンテナンスを適切にできる(5)ICT技術を活用できることなどをあげ、徹底して実習を重視した教育を実践。フィンランドとの教育連携による授業をはじめ、シミュレーターを活用したオペレータ養成など現場を最優先にした学びを展開している。
 土屋学院長は「段階的・体系的なカリキュラムで実践力のある人材の育成を進めている。これまでの講義重視の教育から実習を重視し、実践理論を備えた人材の輩出を」と人づくりに意欲を示す。教育課程における実習の割合は約8割、最大15の資格の取得が可能。こうした人材をポテンシャルの大きい北海道の林業に送り出していく。

 
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  環境保全型農業の実現目指す/作業機・土づくり特集  
     
   国は現在、改正基本法やスマート農業技術活用促進法、みどりの食料システム戦略などによって、環境保全型農業の推進に力を入れている。環境保全型農業とは、農業のもつ物質循環機能を活かし、生産性との調和に留意しながら環境負荷の軽減に配慮し、持続的な農業を行うこと。その実践のために土づくりが果たす役割は大きく、併せて作業機の活用も欠かせない。ここでは土づくりをキーワードに、関連する話題を集めた。
 
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  7年度予算・データ駆動型土づくり/作業機・土づくり特集  
     
   農政の動向を反映し、農林水産省の令和7年度予算概算決定の概要等には、環境保全型農業に関連した項目が多く含まれている。その中から、特に土づくりに関わる項目をみる。
 ◆肥料の国産化・安定供給(令和7年度予算概算決定額3400万円):肥料の国産化に向けて、畜産業由来の堆肥や下水汚泥資源などの国内資源の肥料利用を推進するため、肥料の原料供給事業者、肥料製造事業者、肥料利用者の連携づくりや施設整備等を支援するとともに、肥料小売価格の急騰が見込まれる場合に実施する影響緩和対策に関する調査等を実施。また、化学肥料原料の備蓄及びこれに要する保管施設の整備を支援する。
 令和12年度までに、肥料の使用量(リンベース)に占める国内資源の利用割合を40%に拡大することを目標とする。
 ◆産地生産基盤パワーアップ事業(令和6年度補正予算額110億円):収益力強化に計画的に取り組む産地に対し、農業者らが行う高性能な機械・施設の導入や栽培体系の転換等に対して総合的に支援。また、輸出事業者等と農業者が協働で行う取り組みの促進などにより、海外や加工・業務用などの新市場を安定的に獲得していくための拠点整備、需要の変化に対応する園芸作物などの先導的取り組み、全国産地の生産基盤の強化・継承、土づくりの展開等を支援。このうち、全国的な土づくりの展開を図るための具体策としては、堆肥や緑肥等を実証的に活用する取り組みを支援する。
 ◆データ駆動型土づくり推進(令和7年度予算概算決定額1億800万円):堆肥の施用量の減少等により、農地土壌の劣化がみられる中、簡便な処方箋サービスの創出に向けたAIによる土壌診断技術の開発、実証等を支援し、科学的データに基づく土づくりを推進する環境を整備。
 令和12年までに、スマート農業技術の活用割合を50%に向上することを目標とする。
 AIによる土壌診断技術の開発については、収量向上等に向けた土壌診断を通じた土づくりの取り組み拡大を図るため、土壌分析・診断の実施と改善効果の検証を行い、これらの土壌診断結果を土壌診断データベースへ蓄積するとともに、簡便な処方箋サービスを創出するためのAIによる土壌診断技術の開発、実証等の取り組みを支援。
 診断結果・処方箋に基づく土づくりによって、収量など農業生産性の向上を目指す。
 ◆環境保全型農業直接支払交付金(令和7年度予算概算決定額28億400万円):農業の持続的な発展と農業の有する多面的機能の発揮を図るとともに、みどりの食料システム戦略の実現に向けて、化学肥料、化学合成農薬を原則5割以上低減する取り組みと合わせて行う地球温暖化防止や生物多様性保全等に効果の高い農業生産活動を支援する。また、取組拡大加算として、有機農業の新規取組者の受け入れ・定着に向けた活動を支援。対象となるのは、農業者の組織する団体、一定の条件を満たす農業者等。
 第3期対策(令和7年度)から、支援対象取り組みを一部見直し、有機農業の移行期への重点支援や、水田からのメタン排出を抑制するための仕組みの導入などを行う。

 
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  国内肥料資源利用拡大アワード、朝日アグリアなど16件受賞/作業機・土づくり特集  
     
   一般社団法人日本有機資源協会(芋生憲司会長)は昨年12月23日、第1回「令和6年度国内肥料資源利用拡大アワード」の受賞者を発表した。
 同アワードは、堆肥や下水汚泥資源などの国内資源を活用した肥料へ積極的に転換を図る取り組みや、地域で効率的に資源循環を推進する取り組みを通して、顕著な実績をあげている肥料原料供給事業者、肥料製造事業者、肥料利用者らを広く表彰し、国内資源肥料の全国普及や生産性の向上につなげようというもの。
 初回となる今回は、59件の応募の中から、16件の受賞者が選ばれた。主な受賞者は次の通り。
 ▽農林水産省農産局長賞:朝日アグリア(株)、全国農業協同組合連合会福岡県本部・福岡
 ▽農林水産省畜産局長賞:アークグループ、南国興産(株)
 ▽国土交通省上下水道審議官賞:鶴岡市・鶴岡市農業協同組合、富士見工業(株)
 31日に都内の大田区産業プラザPiOで開催される「国内肥料資源の利用拡大に向けたマッチングフォーラムin東京」内にて、表彰式及び主な受賞者からの取り組み事例発表が行われる予定になっている。

 
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  開発進み新たな局面/林業機械特集  
     
   林業現場を牽引する各種林業機械。生産性の向上はもとより、労働安全の実現、重筋労働からの解放、作業負担の軽減と多くの役割を担っており、林業事業体も熱い視線を注いでいる。今年も現場をリードする推進役としての立場は変わらずというより、むしろ高まっており、機械をいかに有効活用していくかは事業体にとって最も重視する優先課題、取り組みテーマとなっている。今週はそうした新しい局面に一歩踏み出す高性能な林業機械に焦点を当てて、現在の開発・実証の主要テーマでもある自動化・遠隔操作化の現状や、今後の課題として浮上してくる電動化に向けての対応、さらには林野庁の令和7年度予算など、機械化に関連する話題をいくつか取り上げて特集した。
 
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  自動化や遠隔操作化を重視、まだ課題多い電動/林業機械特集  
     
   現在、林業機械に寄せられる期待は大きく、強い。林業の現場を革新していく役割を担っているからだ。
 国が進めている開発事業では、自動化・遠隔操作化を採り入れた課題が着々と成果をあげている。昨年7月に林野庁が立ち上げた「林業機械の自動運転・遠隔操作に関する安全対策検討会」(座長=陣川雅樹・森林総合研究所主任研究員)が年度内にこれまで協議してきた内容をガイドラインとしてまとめる。自動化・遠隔操作化に向けても新たな段階を迎えることとなる。
 現状はどのようになっているのかみてみよう。林野庁がイノベーションを進め、加速させるために設置した森ハブ(林業イノベーションハブセンター)が昨年まとめた「林業機械の自動化・遠隔操作化に向けて」では次のように示している。
 現状を(1)我が国の林業機械開発においては、労働人口減少対策、労働安全性向上といった目的から、自動化・遠隔操作化に関する林業機械開発が進められている(2)林業機械の自動化・遠隔操作化については、その将来像を「林業イノベーション現場実装推進プログラム」等において提示しており、毎年それらの実現に向けた機械開発・実証事業が展開されている―としながら、目的として次の2点をあげ確認している。
 (1)イノベーションプログラムにおいては、林業イノベーションにより、自動化機械等の普及により省力化・軽労化、生産性・労働安全性の向上、国内林業全体のコストダウン・労災事故数低減の実現、および3K林業(きつい、危険、高コスト)からの脱却が目的とされており、林業機械の自動化・遠隔操作化はまさにその目的達成の重要な要素として位置付けられる。
 (2)日本国内の林業施業地の中には傾斜・地質等の諸条件により林道・作業道の開設が容易ではないなど条件が厳しいエリアが多い。主に素材生産事業の生産性を高めるためのハーベスタの大型化も進展しているが、そのような道が細い林業施業地ではそもそも機械の大型化が困難であるという課題がある。このようなエリアにおいても、自動化・遠隔操作化技術が活用され、生産性・労働安全性の向上が可能になることが目指される。
 こうした目的に向かって開発が進んでおり、既に実用機として市販されている製品も登場。また、AI搭載の架線集材用機械や自動走行式のフォワーダ、さらには再造林の広がりとともに注目されている自動下刈機などは、林業機械化協会が主催する「森林・林業・環境機械展示実演会」に出展、デモンストレーションが繰り広げられるまでになっている。機械としてより身近な存在になりつつある。
 一方、各産業機械分野で2050カーボンニュートラルの実現に向けて取り組みが進んでいる電動化について、林業分野の対応はどのようになっているのだろうか。
 先のレポート「林業機械の自動化・遠隔操作化に向けて」では、日本における林業機械のベースマシンの多くが建設機械であることから、建設業界における電動化の状況と、森林と同様にインフラがない環境下で稼働する海運業界における状況とを取りまとめ、参考として示している。
 共通の課題として、(1)バッテリーが非常に高価なため、機体の価格が従来機の数倍になる(2)バッテリーの稼働時間及びパワーの確保(3)過酷な現場条件下(振動・衝撃・粉塵)での安定した稼働を示し、林業においても特にコストが課題であると指摘。
 さらに日本の林業機械が建機をベースマシンとしているものが多いため、建設業界の動向に左右されてしまうことから「今後建機の電動化が標準した際に林業業界としてのコスト面での対応が厳しくなる」と懸念し、ダウンサイジング技術や林業用の機械を別途開発することを検討する必要があると要請している。
 まだまだ電動化の実現に向けては克服すべき課題は多いようだ。

 
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  7年度予算にみる技術開発/林業機械特集  
     
   林野庁の令和7年度予算関連で林業機械との関わり、接点が多いのが「カーボンニュートラルの実現・花粉症解決に向けた森林・林業・木材産業総合対策」だ。当初予算で144億円を計上している「森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策」では次のような事業、対策を展開する。
 (1)森林の集約化モデル地域実証事業(市町村、都道府県、森林所有者、森林組合、林業経営体、川中・川下事業者等の関係者が、所有者不明森林を含め、循環利用に取り組む経営体へ森林の集積・集約化を進めるための、地域の森林の将来像の作成・共有、境界確定、関係者間でのデジタル森林情報の共有等を支援)=5億円。
 (2)林業・木材産業循環成長対策(路網の整備・機能強化、搬出間伐の実施、再造林の低コスト化、エリートツリーの安定供給、高性能林業機械の導入とともに、木材加工流通施設の整備や木造公共建築物の整備、森林由来J―クレジット等森林価値の活用等を支援)=62億円。
 (3)林業デジタル・イノベーション総合対策(林業機械の自動化・遠隔操作化技術や森林内の通信技術・木質系新素材の開発・実証、先進技術を活用する技術者の育成、地域一体で林業活動にデジタル技術をフル活用する戦略拠点の構築等を支援)=3億円。
 この他、「建築用木材供給・利用強化対策」(10億円)、「木材需要の創出・輸出力強化対策」(3億円)、「森林・林業担い手育成総合対策」(47億円)、「林業・木材産業金融対策」(4億円)、「森林・山村地域活性化振興対策」(10億円)などを進めることとなっている。
 このうち林業機械の開発・実証と関わりの深い「林業デジタル・イノベーション総合対策」では、イノベーションの推進に向けた支援プラットフォームの構築・運営などを支援する「林業イノベーションハブ構築事業」(3900万円)をはじめ、林業機械の自動化・遠隔操作化技術、森林内通信技術、木質系新素材等の開発・実証を支援する「戦略的技術開発・実証事業」(7000万円)、ICT等先進技術を活用して資源分析や路網設計ができる技術者の育成などを実施する「ICT活用技術者育成事業」(4554万1000円)とICTを活用して資源調査や生産管理などの効率化・省力化を図るソフト等の導入支援を行う「ICT活用環境整備事業」(4329万9000円)とから成るICT活用推進対策、6年度の林業イノベーション現場実装シンポジウムでも事業報告が行われる「デジタル林業戦略拠点構築推進事業」の4つを展開。
 林業機械の開発・実証では、(1)伐倒・集材等の素材生産や造林作業の自動化・遠隔操作化等に向けた林業機械の開発・実証、事業規模での実証・改良(2)森林作業の安全性・生産性の向上に資するソフトウエア・機器の開発・実証(3)森林内の通信環境の確保に向けた通信技術・機器等の開発・実証に取り組んでいく。
 令和6年度の補助事業では、伐倒作業の自走化・遠隔操作化、路網集材作業の自動化、架線集材作業の自動化、下刈り作業自動化を開発課題とした取り組みが進んでいる。7年度は実用化に向けた1年となる。

 
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  山下農園視察/欧州視察から―伊仏の農業に浸る6  
     
   フランスの農機販売会社ル・ゴフ&ジルを後にした視察団一行は、昨年に続きパリ近郊のイヴリン県シャペ村にある山下農園を訪問した。
 農園主である山下朝史氏は、1953年東京生まれ東京育ちの71歳。「今年のフランスの気候は寒冷で雨も多かった。春野菜が1カ月遅れ、秋野菜も1カ月早まり厳しい年だった」と語った。その上、オリンピックの影響もあり、売上げが立たない時期もあったという。
 山下氏は89年にシャペ村で盆栽業を始め、あっという間にフランスでの知名度を獲得。しかし、有名になるうち、手塩に掛けた盆栽が盗難に遭うなどして、ほどなく廃業してしまう。
 その後、盆栽のレンタルをしていた旧ニッコーホテルの料理長から、土地が余っているなら日本野菜を作ってみないかと言われて、右も左もわからないままに農業を始めることになった。日本野菜を栽培するうち、日本の食文化を海外で展開する意味を考えるようになり、フランス料理の中で日本の野菜を活かすことを意識するようになる。
 伝手をたどって手土産で持っていったカブをグランシェフに食べさせたところ、シェフの顔色が変わる。それが今につながる突破口となり、3つ星レストランのシェフとの取引が始まった。
 今は6軒の限られたグランシェフに対し、「(山下氏の)好きな時に、好きな野菜を、好きなだけ、好きな値段で」という取引条件のもと年間50種類ほどの野菜を提供している。その野菜の価格は市場の10倍にものぼる。例えばトマトならキロ当たり3500円とのことだった。新たな作物では、山下ブランドの下仁田ならぬシモネタネギや、ブランド鶏のブレス鶏の卵などもある。
 山下農園の圃場は1000坪ほど。粘土質で北向きの斜面で条件は良くない。そこに温室なども立て、農機はホンダの耕うん機1台で作業に当たる。農業はすべて独学。盆栽で得た剪定の技術と己で構築したロジックだけで、日々野菜と向き合い続けている。農薬も肥料も必要であれば使う。 山下氏は「化学性のものは石油からできている。由来は植物。植物も外敵から守るために毒を作る。それが石油に溶け込んでいるのではないか。それを抽出した物が化学性農薬だと私は理解している」と述べる。太古の地球とコミュニケーションするつもりで向き合うとも。「うちの野菜は気立ての良い子に育ってほしい。外敵やストレスはガードして育てる」とも話す。圃場ではミニトマトやカリフラワーの花を試食させていただいたが、味の良さに視察団員からは驚きの声があがっていた。
 山下氏は現在、農業生産者や料理人を育成する「山下アカデミー」の設立に向け、シャペ村とともに準備を進めている。
 この記事を持って第77次欧州視察の連載記事を終え、筆を置くこととする。

 
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  今週の本:モータファン別冊/陸内協が協力  
     
   エンジン好きにとってはたまらない一冊が上梓された。一般社団法人日本陸用内燃機関協会(田尾知久会長)が「モーターファン」の発行元である(株)三栄(東京都新宿区西新宿6の22の1)社にタイアップし発刊したMFi特別編集「ワールド・エンジン・データブック2024・2025」がそれだ。国内外の自動車メーカーに加えて、汎用機カタログとして、掲載順にカミンズ、ダイハツディーゼル、本田技研工業、ハスクバーナ・ゼノア、いすゞ自動車、カワサキモータース、クボタ、丸山製作所、三菱重工エンジン&ターボチャージャ、スカニア、トーハツ、UDトラックス、Willbe、やまびこ、ヤンマーパワーテクノロジーの各社製品をカバーし、排ガス規制やカーボンニュートラル対策やらで肩身の狭い立場に置かれ気味のエンジンにスポットを当てている。
 「『エンジンにしかできないこと』を果たしてもらうために」をコンセプトに編集された同書。エンジンで発生した回転エネルギーを効率よく駆動輪に伝えるための装置類の総称である「パワートレーン」のあり方をもう一度正しく見直そう、とエンジンのポテンシャルや可能性に改めて注目した1冊だ。
 このため、主要各社の取り扱い製品を特徴はもとより、スペックや構造などのデータを掲載するとともに、製品写真を有効に活かしてエンジンのテクノロジーを丸裸にして、全体像が分かるよう工夫し、表示されている。エンジンに関わるエンジニア諸氏必見、お勧めの書という所以でもある。
 ページを開けば、紙面からは軽やかなガソリンエンジンの音からディーゼルな重厚な音色まで飛び出してきそうな、エンジンファンを虜にするような構成となっている。
 定価は税込みで3850円。問い合わせは、同社受注センター(TEL048・988・6011)まで。

 
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  今週の本:物作り人生の記録/元静岡製機常務・宮武氏が出版  
     
   1人の卓越した農業機械技術者による、物作り人生を振り返る本が刊行された。元静岡製機(株)常務取締役であり、同社を定年退職後も様々な企業にて製品開発に携わってきた宮武義邦氏がこのほど、私家版として出版した「充実した物作り人生の記録―多くの出会に感謝して―」である。目次をみると、(1)はじめに(2)生い立ち(3)静岡製機に入社(4)技術部での製品開発スタート(5)新規事業として保冷庫事業の立ち上げ(6)精米・選別機事業の立ち上げ(7)海外企業との連携(8)開発事業参加と社外団体活動(9)未知の世界を経験(10)家庭と趣味の両立(11)定年後の取り組み(12)あとがき(13)年譜(14)参考資料―と盛り沢山。流石は同社技術部で40年余り製品開発に従事し、さらに日農工乾燥機部会・技術委員長を務めるなど社外活動も行い、定年後も精力的に製品開発に携わっている宮武氏である。社内外で多くの物作りの仕事に携わった経験を詳細に記しており、帯のコピー「物作りは楽しい」が貫かれた内容となっている。物作りの一部をみると、技術部配属直後のスロワー開発に始まり、同社初の循環型乾燥機SPD―24、業界初の全自動型乾燥機SUC、新規事業である保冷庫や精米・選別機の開発と成功など。同社の基軸となる製品や事業に携わり、開拓していった軌跡がみてとれる。さらに「主力製品として取り組んだものよりも、製品化に至らなかった、ほとんどの人に認知されていないものにも焦点を当てた」としており、その製品群の豊富さは目を見張るものがある。時に失敗もしつつ、多くの出会いを活かしながら製品開発を進めた道のりは読んでいるだけで楽しく、業界関係者にとって大いに参考になる。折々に挟み込まれたメモやコラムも、氏の誠実で温かい人柄が伝わってくる。
 
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