農経しんぽう
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  農経しんぽう  
  令和6年10月21日発行 第3525号  
     
   
     
   
  環境負荷低減を検討/農林水産省 食料・農業・農村政策審議会企画部会  
     
   農林水産省は16日、東京・霞が関の農林水産省講堂で、食料・農業・農村政策審議会企画部会を開き、食料・農業・農村基本計画の策定に向け、環境と調和のとれた食料システムの確立、多面的機能の発揮、農村の振興について検討した。
 農林水産省からは、農業生産活動における環境負荷の低減に向けて、農業機械の電化について、更なる開発や導入支援が必要で、大型農機では電化・水素化技術等の導入が課題であると指摘。委員からは、当面の技術として高純度バイオディーゼル燃料の利用に重点を置くべきとの意見が出された。
 農林水産省が提出した資料によると、「農業生産活動における環境負荷の低減」の現状分析として、燃料燃焼によるCO2排出削減に向け、補助事業に省エネ転換枠を設けることで省エネ設備・機器等の導入が進捗したこと等により、2022年には、施設園芸では加温面積に占めるハイブリッド型施設等の割合が10・7%、高精度作業により燃料や肥料の投入量を削減する自動操舵システムの普及率が6・1%、電動草刈機の普及率が19・6%となっている。
 2050年までのカーボンニュートラル実現に向けて、農業機械に関しては、小型農機では実用化された電化技術は一部に留まるため、更なる開発や導入支援が必要であり、大型農機では電化・水素化技術等の導入が課題であると指摘。検討の視点として、農業機械については、自動操舵システムや電動草刈機等の導入支援を図るとともに、小型農機の電化機種の拡大に向けた技術開発・実証や、大型農機での電化・水素化技術の利用拡大等に向けて、他産業で開発・実用化された技術の応用検討を推進することが必要ではないか、と提示した。
 これについて農業者委員からは、「農機の電化は計画期間の5年間では実現できない。その間は、高純度バイオディーゼル燃料に重点を置き、農機メーカーとの連携を強めて研究していくべき」との意見が出された。
 園芸施設に関しては、省エネ機器・省エネ型施設の導入支援に加え、ハイブリッド型施設モデルの作成、優良事例の横展開等を行うとともに、ゼロエミッション型園芸施設実現に向けた技術開発・実証が必要とした。
 また、温室効果ガスの排出量が多い水稲栽培や畜産を中心に排出削減対策を進めるとともに、農地土壌での吸収源対策を進める必要があり、水稲栽培の中干し期間の延長、土壌診断や局所施肥等を通じた過剰施肥の抑制、家畜排せつ物の管理方法の変更や温室効果ガスの排出量を抑制する飼料などの開発・利用等を進めることで農地や畜産に由来する温室効果ガスの排出削減を進めるとともに、堆肥や緑肥、バイオ炭の施用等の土づくりを推進して土壌炭素貯留を進めることが必要だと示唆した。

 
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  作況指数102の「やや良」/農林水産省  
     
   農林水産省がこのほど公表した令和6年産水稲の作付面積及び9月25日現在の予想収穫量によると、全国の作況指数は102の「やや良」と見込まれる。
 9月25日現在における全国の10アール当たり予想収量は544キロ。これは、一部地域で5月下旬から6月上旬にかけての低温や6月下旬から7月中旬にかけての断続的な日照不足等の影響があったものの、多くの地域で総じて天候に恵まれ、作柄は平年並み以上と見込まれるため。
 北海道、東北及び関東・東山においては、5月以降、おおむね天候に恵まれ、全籾数が平年以上に確保されたこと等から、北海道は586キロ(平年に比べ+15キロ)、東北は584キロ(同+13キロ)、関東・東山は549キロ(同+10キロ)。
 北陸、東海、近畿、中国、四国及び九州においては、一部地域で5月下旬から6月上旬にかけての低温や6月下旬から7月中旬にかけての断続的な日照不足等の影響があったものの、多くの地域で総じて天候に恵まれ、北陸は536キロ(同-2キロ)、東海は494キロ(同-6キロ)、近畿は510キロ(同+1キロ)、中国は521キロ(同+2キロ)、四国は484キロ(同+2キロ)、九州は501キロ(同+1キロ)となった。
 沖縄県は、台風の影響もなく、おおむね天候も恵まれたことから、322キロ(同+10キロ)が見込まれる。 

 
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  長ネギ根葉切り皮むき機/マツモトが発表  
     
   (株)マツモト(松本穣社長・群馬県高崎市倉賀野町2454の3)は17日、本社で「長ネギ自動根葉切り皮むき機 MBZ―1型」(愛称・ベストロボ オートマZ)を開発したことを明らかにするとともに、実機を稼働し、その機能を披露した。根葉切り後の皮むき作業を自動化したもので、従来は根葉切りと皮むきに各々1人ずつの作業者が必要だったものが、同機を導入すれば1人で処理できる。現場の省力化・省人化ニーズに応える製品としての価値に加え、技術的に熟達していない者でも長ネギの調製作業を適切にこなせるメリットをもたらす。販売開始は来年の春の予定。
 同社が1996年に発売し好評を得てきた根葉切り+皮むき作業ができる「ベストロボ」では、根葉切り後の皮むきに人手が関わっており(エアを吹き付けながら長ネギを手で引き皮をむく作業)、そこに作業者1人を必要としたが、新製品の「ベストロボ オートマZ」は人手に代わってアームが葉側をはさんで引き出す方式とし、皮を吹き飛ばされた長ネギはそのままベルトで機体側面に送り出されるため、皮むきの作業に関わる作業者は不要となる。
 また、皮むき作業では、エアコンプレッサーの騒音や長ネギの汁が飛ぶことによる臭いなど、従事者の作業環境の問題が指摘される場合があったが、自動化によりそうした点も解消、様々な面で長ネギ調製作業の現場に福音をもたらす製品となる。
 他方、根葉切りの部分については、今年5月に根葉切り作業を従来のように勘に頼ることなく適切に進められる「スマート切り子 MSNC―1」を発表しており、その根切り機構と同じものを「ベストロボ オートマZ」に搭載している。
 同切り子は、技術習熟がないと難しいといわれるネギの根葉切り作業について、レーザー光線が示すラインに根の生え際を置くだけで、機械が適正な根切り位置を判断し、それに合わせてカッターが瞬時に移動、ちょうどいい位置で根切りする機構とした。作業者は、根の生え際という分かりやすい場所を目安に、順次ネギを置いていくだけでよく、経験の浅い人、初めて作業に従事する人でも高い精度で根切りをこなせる。
 ネギの根葉切り作業については、とくに根切りの部分で、深く切りすぎた場合はネギの芯が飛び出る、ネギの汁がにじみ出て鮮度が落ちるといった問題を生じ商品価値を損なう。逆に浅切りは次の工程の皮むき作業を手間取らせ、調製作業の能率を落とすことになる。同機は、これらの問題を解消し、根部分のコルク状のところを適切に残す切り方を実現した。
 このように「ベストロボ オートマZ」は、長ネギの根葉切りと皮むきの作業の省力化を追求し開発を進めてきた同社にとって集大成ともなる製品で、11月1〜5日の間に秋田県鹿角市で開かれる種苗交換会・農業機械化ショーの同社ブースで同機を初披露し、その特徴と省力・省人化効果、作業能率の向上効果などを広くアピールする。
 〈同機の主な仕様〉
 ▽全高=本体1510ミリ(パトライト込み2050ミリ)▽全長=2810ミリ▽全幅=3272ミリ(皮むき残渣排出ダクト含む)▽総重量=330キロ▽能率=毎時約550〜670本(ネギの状態により変わる)▽モーター=AC100ボルト150ワットモーター×1、120ワットモーター×1、60ワットギアモーター×1、15ワットモーター×1▽切断寸法=53〜58センチ▽使用コンプレッサー=レシプロ7・5キロワット(10馬力)、吐出量毎分840リットル相当▽付属品=エアホース15メートル、エアガン(清掃用)、カールホース、ネギネット
 また、秋田県種苗交換会・農業機械化ショーの会場では、同機のほか、エダマメの選別作業を上下2台のカメラで高精度に行い、変色、虫食い、濁点などがある不適合品を瞬時に識別する「枝豆用色彩選別機」、チェーンポット専用の簡易移植器・ひっぱりくんをトラクタで引っ張るネギ用の定植器TDS―K―0型を出展する予定。枝豆用色彩選別機については、今年のモデルから「面積判定機能」を追加、選別性能が格段に上がっており、栽培面積が増えている秋田県内での実績増にも期待を寄せている。

 
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  ウィングハローWRZ10シリーズを新発売/松山  
     
   松山(株)(松山信久社長・長野県上田市塩川5155)は、好評のウィングハローWRZシリーズをモデルチェンジし、11月から新発売する。対応馬力、作業幅ラインアップは現行モデルを引き継ぎ、30〜60馬力で3・2/3・4/3・6/3・9/4・2メートルの5種類を用意。同社では「オペレータが思った通りの代かきを実現し、効率よく作業を行うための新機能を詰め込んだ」としている。
 11月から新発売するのは「ニプロウィングハローWRZ10シリーズ」5型式。適応トラクタは30〜60馬力。
 新機能である「SOIL PRESSURE」(ソイルプレッシャー、均平板加圧)と、新型の「SOIL SLIDER」(ソイルスライダー)を搭載したのが特徴。
 ソイルプレッシャーは砕土の良い土質の圃場や、横吐きを抑えて通過後の田面に水を乗せたい時は加圧をOFF、草や雑物が多い圃場や、砕土が悪い土質の圃場では加圧をONにし、圃場の状態に合わせて使い分けることができるので、様々な圃場条件に即時に対応できるオペレーションを実現する。
 同社では、「加圧」OFFは仕上げ代かき、砕土の良い土質、通過後の田面に水を乗せたい、水が多い・横吐きを抑えたい時とし、反対に「加圧」ONは荒代かき、草や雑物を埋め込みたい、高い場所の土を動かしたい、タイヤ跡が気になる、水が少ない場合―と例をあげている。
 新型ソイルスライダーは、従来のソイルスライダーの配置と形状を改良し、雑物が絡まりにくく、タイヤ跡へとスムーズに土を流す。また、外側ソイルスライダーと内側ソイルスライダーを前後に配置。内外が時間差で作用することで、それぞれが流した土が干渉することなくスムーズに流れる。外側と内側が並列に並んでいる場合よりも土の流れが良くなり、雑物がたまるのを防ぐとともに、タイヤ跡をきれいに埋め戻す。
 そのほか、直感的で使いやすいデザインの「ユニフィットリモコン」はウィング部の開閉、VGレーキの開閉、土引きと代かきの切り替えなどの基本的な操作はもちろん、作業機の状態が確認できる液晶画面、電動加圧の切り替え、作業深さの表示、ワンプッシュで開閉できるオートプロモードなど、様々な新機能を盛り込んでいる。
 希望小売価格は、WRZ321ON(作業幅320センチ)=140万8000円〜、WRZ341ON(同340センチ)=145万2000円〜、WRZ361ON(同360センチ)=154万円〜、WRZ391ON(同390センチ)=167万2000円〜、WRZ421ON(同420センチ)=180万4000円〜など。

 
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  コンパクトトラクタ4型式発売/三菱マヒンドラ農機  
     
   三菱マヒンドラ農機(株)(齋藤徹社長・島根県松江市東出雲町揖屋667の1)は、11月11日にフルモデルチェンジした新型コンパクトトラクタ「XS18・20・23・25」を発売する。頼もしい作業性能と心地よい操作性を追求し、生まれ変わったコンパクトトラクタ。細部にこだわり使いやすさに磨きをかけた各種装備、均平耕うんシステムを全モデルに標準装備。きれいな仕上がりとフィットする使いやすさで心地よい作業性を届ける。
 販売型式は、XS18(18・2馬力)/XS20(20・3馬力)/XS23(23・4馬力)/XS25(25馬力)の4型式。
 主な特徴は、(1)新デザイン‥Xシリーズの頼もしさを表現=X(クロス)シリーズの新しいデザインを採用。力強く、しっかりと仕事をこなす頼もしさと、きびきびと働く応答性の良さを表現し、精悍かつ躍動的なデザインに仕上げた。
 (2)パワフルエンジン搭載‥馬力、排気量アップで踏破性が向上=三菱重工製1・318リットルの3気筒エンジンを搭載。エンジン出力を高馬力化(25馬力帯を除く)し、18/20馬力クラスは排気量もアップした。高い踏破性で粘り強い作業をサポートする。
 (3)フィットするインテリアデザイン‥身体に馴染んで心地よく、直観的に操作できるデザイン=操作頻度の高い主変速レバーは握りやすいグリップにこだわり、直線的な操作でスムーズに変速操作ができるようにした。また、前後進切り替え時に使用するシャトルレバーも、ハンドル操作に合わせて操作しやすいよう円弧状の動きにしたので、楽に操作が行える。さらに、体格や姿勢に合わせて無段階で調整できるチルトステアリングやクッション性を高めたシートで作業者と機体のフィット感を高めたことで、心地よい居住性と思い通りの作業を実現する。
 (4)自動制御できれいな仕上がり‥だれでも、かんたん均平耕うんシステムを全モデルに標準装備=ジャイロセンサーを搭載し、本機が傾くスピードに応じてロータリの傾くスピードも制御。枕地など凹凸の多い所でも高い均平性を保つ。また、傾斜感度が高いため微細な角度変化にも反応でき、通常耕うん時のねじれ現象も抑える。加えて、圃場条件に合わせて、耕深制御内容も自動で最適化。畑など凹凸の少ない耕盤ではロータリの上下動を抑え、畦際や枕地など凸凹が多い場所では積極的にロータリを上げ下げすることで、均平性を高める。
 (5)取り回しの良いコンパクト‥小回り性能抜群で高い作業性を実現=倍速旋回時における前輪の倍速比率を高く設定し、小回り性能を高めたことで、よりコンパクトな旋回を可能にした。枕地作業時の切り返しを減らすことができ、楽に作業ができる。
 (6)シンプル、簡単‥情報表示と設定操作がシンプルでわかりやすい=各種情報を表示するパネルには見やすい液晶モニターを搭載。操作スイッチは直観的に操作ができるダイヤルスイッチを搭載。また、作業・走行モードの切り替えやバックアップ、オートブレーキのスイッチもパネル周辺に配置したことで、操作しやすく、ひと目で状況を把握できる。
 (7)安心・安全が充実‥PTO安全装置機能=シートベルトリマインダーなどの安全機能も充実。ロータリなどへの巻き込まれ事故を防止するため、PTO作業時に座席から降りると自動的にエンジンが停止し、PTOが停止。また、シートベルトの締め忘れを知らせするリマインダーや容易に後方確認できる両側大型バックミラーなど、安心して安全な作業ができる機能を搭載している。 〈発売時期〉
 11月11日発売
 〈メーカー希望小売価格(税込み)〉
 ▽XS18=206万8000円〜254万5400円▽XS20=217万8000円〜284万2400円▽XS23=228万8000円〜295万2400円▽XS25=250万8000円〜387万6400円
 〈仕様〉
 ▽名称=XS25▽区分=M▽駆動方式=機体寸法=全長2810×全幅1190×全高1980ミリ▽軸距=1465ミリ▽前輪トレッド=930ミリ▽後輪トレッド=950ミリ▽最低地上高=360ミリ▽質量=925キロ▽エンジン=MVS3L2▽種類=水冷4サイクル3気筒ディーゼル▽総排気量=1・318リットル▽出力/回転数=18・4キロワット(25PS)/2500rpm▽燃料タンク容量=23リットル▽バッテリー=55B24R(S)12ボルト/36Ah▽前輪タイヤ=7―14―4PR▽後輪タイヤ=9・5―24―8PR▽クラッチ形式=乾式単板▽ブレーキ形式=湿式ディスク▽ステアリング形式=パワーステアリング(全油圧式)▽変速方式=常時噛合い+選択摺動式+シャトルシンクロ(GEAR)[EZドライブ(T仕様)油圧無段変速併用]▽変速段数=前進9・後進9▽走行速度=前進0・44〜14・87キロ/時、後進0・42〜14・27キロ/時▽最小旋回半径(2WD)=2・0メートル

 
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  小刃付きヘッジトリマー用ブレードの量産技術を開発/源平刃物工場  
     
   園芸や農業用機械刃物専門メーカーの(株)源平刃物工場(松尾勝彌社長・兵庫県三木市細川町脇川455の121)はこのほど、小刃(こば)付きヘッジトリマー用ブレードの量産技術を開発した。
 「小刃」とは、刃物製造の工程において、刃を2段階に削り、刃こぼれや潰れを防止し切れ味を増す技術のことで「糸刃」ともいう。日本だけでなく海外でも行われ、「セカンドベベル」や「セカンダリーベベル」などと呼ばれている。同社では、これをヘッジトリマー用のブレード(刃)に応用し、強度や切れ味を増した製品を量産する技術を開発。厚み0・5ミリ、角度30度の刃先に45度の小刃を付けた。同社の松尾社長は「ヘッジトリマー用ブレードは一般的に45度の角度で仕上げる。そこに小刃を付けるアイデアは元々あったが、10〜30数個の刃物が付いたブレードを2枚合わせるので、手作業で行うには手間とコストがかかりすぎた。そこで数年前から技術開発に取り組み、試行錯誤の末、製造コストを数%の増加に抑え、量産化に成功した」とその経緯を説明した。
 22年に、テーマパークやゴルフ場などで同製品のモニタリングを実施した。使用感は好評で、「切れ味がすごい」「刃を替えたら機械の重量が軽くなったように感じる」「剪定作業の進みが早い」などの声があがっているという。松尾社長は「国内外のトリマーなどを製造するメーカーに売り込みをかけ、更に販路を拡大したい」と意気込みを語った。
 同社は炭素工具鋼(SK鋼)や合金工具鋼(SKS鋼)をはじめとする特殊鋼の熱処理技術に定評があり、100年の歴史を持つ技術を活かし、各種刃物の性能改善に取り組んでいる。

 
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  パワーテクノロジーを分社化/ヤンマーホールディングス  
     
   ヤンマーホールディングス(株)(山岡健人社長)は、グループ会社であるヤンマーパワーテクノロジー(株)を、2025年10月をめどに分社化する計画を発表した。
 ヤンマーパワーテクノロジーは、2020年4月にヤンマー(株)から社名を変更し、産業用小形エンジン(小形事業)、大形舶用エンジン(特機事業)を中心にエンジンの開発・製造・販売を行ってきた。近年では脱炭素化の流れに対応するため、小形事業では電動化、特機事業では水素やアンモニアなどの新燃料に関する研究開発も進めている。
 この度、事業ごとの脱炭素に向けた技術の方向性、製品を提供する市場特性の違いなどに応じてスピード感のある事業活動が行えるよう両事業を分社化し、迅速な意思決定ができる体制作りを目指す。

 
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  誠和、クボタなど出展、最新の食製品発信/フードスタイル展  
     
   日本最大級の外食・中食・小売り業界を網羅する食の商談展示会「FOOD STYLE Japan 2024」が9〜10の2日間、都内有明の東京ビッグサイトで開催された。ラーメン業界の専門展示会「ラーメン産業展 in Japan」及び、外食業界における専門展示会「外食経営DX EXPO」も同時開催され、これには国内外から693社が出展し、最新の食品・飲料・設備・サービスなどをアピール。2日間合わせて約3万8000名の関係者が来場した。
 FOOD STYLE Japanは外食・中食・小売りにおける販路拡大をするための製品・サービスが集結する商談展示会。外食をはじめ、弁当・給食・宅配やスーパーマーケットなど幅広いフードスタイルを対象に、惣菜・弁当・生鮮品・アルコール飲料などの食品・飲料や、店舗機器、厨房機器、調理器具といった設備など、バラエティー豊かな商品・サービスが出品された。
 業界からも出展があり、その一部をみると、同展2回目の出展となる(株)誠和は、法人事業者向け(BtoB)産直マッチングプラットフォーム「DO MARCHE」をアピール。これは全国各地のこだわり生産者とプロ購入者をオンライン上でつなぐ産地直送サービスとなっており、誠和が持つ法人事業者向け農産品流通プラットフォーム「ブルーマーケット」を今年4月に改修したもの。新たに畜産・水産品等の販売も可能となったほか、日本航空(株)と協業し、JALの空輸ネットワークを活用した物流ソリューションにより産直品を最短朝どれ当日に配送するサービスなども合わせて展開。
 また、業務用の厨房機器を取り扱う(株)エム・アイ・ケーは、(株)クボタの業務用自動炊飯機「ライスロボ」の総販売元として同機をはじめ、クボタ製の業務用自動酢合わせ機「シャリロボ」、業務用自動洗米機「洗米ロボ」などといった米飯関連機器や、業務用調理機などを出品。水の使用量が少なく、スピーディーに美味しいご飯が炊ける「ライスロボ」に注目が集まり、多くの来場者が熱心に質問をしていた。

 
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  クボタ、ヤンマーHDなどが受賞/2024年度グッドデザイン賞  
     
   公益財団法人日本デザイン振興会(内藤廣会長)は16日、2024年度グッドデザイン賞の受賞結果を発表した(7面にも記事)。
 同賞は1957年に創設された、日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨を行う賞。今年度は「勇気と有機のあるデザイン」をテーマに掲げ、5773件の審査対象の中から受賞件数1579件(受賞企業1142社)を決定し、農機業界からも多数選出された。
 ケルヒャージャパン(株)のマルチクリーナー「OC 3 Foldable」及びコマツのモーターグレーダー「GD955―7」はグッドデザイン賞の特に優れた100件である「グッドデザイン・ベスト100」を受賞した。その他、業界関連のグッドデザイン賞受賞をみる(順不同)。
 (株)クボタは農業学習施設「KUBOTA AGRI FRONT」で受賞。ヤンマーホールディングス(株)は舶用水素燃料電池システム「GH240FC」で選出された。
 (株)アクティオは物流センター「アクティオ大阪DLセンター」で受賞。ケルヒャージャパンは家庭用カーペットリンスクリーナー「SE 3 Compact」、高圧洗浄機「K 2 Little」、業務用掃除機「T 11/1 Classic Re!Plast」で複数受賞。工機ホールディングス(株)は電動工具の「ハイコーキ コードレス卓上スライド丸のこ C3612DRA」及び「ハイコーキ コードレスミニチェンソー CS1810DD / CS1210DD」でそれぞれ受賞した。
 コマツは電動マイクロショベル「PC01E―2」で受賞。日本電気(株)(NEC)は露地栽培農業支援ソリューション「クロップスコープ」などで受賞。マックス(株)は「マックス ホッチキス Vaimo11 HD―11FNL」で選出された。

 
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  クボタ・飯田氏が特別講演/農業WEEKセミナー  
     
   「第14回農業WEEK」が9〜11の3日間、千葉県の幕張メッセで開催された。9日に実施された飯田聡氏((株)クボタ特別技術顧問工学博士)による特別講演「クボタのスマート農業の現状と将来展望」の概要をみる。
 飯田氏は「農業WEEKで講演を行うのは9年目になる」ことから、「前回からの違いに注目してほしい」と語った。まずクボタの概要について、2023年度の連結売上高が3兆207億円と過去最高額に達し、そのうち海外売上比率が約79%を占めるグローバルカンパニーであり、農機分野では世界2位を争うと説明。日本農業については農業者の高齢化・人口減により食料の安定供給と農村の維持が大きな課題になっており、この課題解決がクボタがスマート農業に取り組む1つの要因であると語った。
 そのうえで同社が進めるスマート農業の取り組みとして、▽データ活用による精密農業(KSAS)▽農機の自動・無人化による超省力農業の実現▽カーボンニュートラル(CN)の対応を紹介。そのうちKSASでは、クボタ営農支援システムKSASを中心としたデータ駆動型の稲・麦・大豆作のスマート農業一貫体系を構築し、儲かるPDCA型農業を実現してきたと説明。具体的なスマート農機として食味収量コンバインに触れ、これによりバラつきをデータ収集・見える化できることから、圃場ごとにきめ細かく翌年の施肥計画や改善対策を立てることが可能となり、各地の実証圃場では生育ムラが修正され、1〜3割の増収効果がみられたとした。
 KSASはさらに乾燥システムやドローン、水管理システムなど他の農機とも連動。仕分け乾燥や防除などにもデータが活用でき、営農戦略に役立てられるとし、今年10周年を迎えたKSASの加入者は約3万人、うち営農コース会員は1万人強になったなどと述べ、今後もさらに推進していく旨を強調した。
 また、飯田氏は今後の課題と市場戦略として(1)スマート農業一貫体系の拡大と技術進化(2)KSASの更なる進化(3)▽環境重視の持続可能な農業システム構築(4)スマート農業の普及促進‥新たな農業支援サービスの創出―を提示。(1)は水稲から畑作・野菜作・果樹作への展開とレベル3無人農機開発、機種拡大、対応作業機の拡大など、(2)はスーパーユーザーフレンドリー及び提案型のシステムへの進化など、(3)は環境保全型スマート農業一貫体系の構築などをあげ、(4)地域コミュニティに根差したスマート農業を推進するべく関係機関と連携し新しい価値創出と農村活性化を進めていきたいなどと述べた。
 最後にまとめとしてKSASやロボット農機の進化、センシング・データ解析力向上を進めて、無人農作業を可能とする未来農業システムの実現を目指すなどとスマート農業の方向性を示した。

 
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  北大教授・野口氏が特別講演/農業WEEKセミナー  
     
   既報の通り、9〜11日、千葉市美浜区の幕張メッセで開催された「第14回農業WEEK」では、業界の最新情報をテーマとした様々な講演が人気を集めた。
 10日午前に行われたセミナー「持続的な農業を可能にするスマート農業」では、北海道大学大学院農学研究院院長の野口伸氏が登壇。満席の会場で、スマート農業研究の現在とこれからについて解説した。
 野口氏は、スマート農業は、技術開発とともに普及が急速に進んでいるとし、デジタルツインを活用したバーチャルファームについて紹介。デジタルツインとは、現実世界(フィジカル空間)で収集した情報をもとに、仮想空間(サイバー空間)に同じ環境を再現する技術。多様な農業現場をサイバー空間に写像することで、高度なシミュレーションが可能になる。デジタルツインを活用したAIロボットの現場適応力の向上が、最適な農作業の実現につながり、様々なメリットがあることを示した。具体的には、開発・実用面では▽ロボット開発を効率化できる▽山間部にある樹園地の傾斜勾配や樹間幅などの点から、ロボットが導入可能かどうかの事前評価ができる。利用面では▽ロボットの作業経路・作業方法などの運用計画を立てることができる▽作業前にシミュレーションを行うことで、作業時間や消費エネルギーの点から作業計画の最適化を図ることができる―などをあげた。
 デジタルツインは既に様々な活用が進んでおり、例えばロボットトラクタの耕うん作業をバーチャルファームでシミュレーションすることで、ロボットトラクタによる圃場内のティーチング走行など作業前の準備が不要となるほか、ロボットトラクタの農道から圃場への進入や枕地旋回の安全性も事前確認できるとした。また、次世代農業支援サービス事業に不可欠な、複数のロボット農機を使った協調作業についても、サイバー空間でのシミュレーションによって、作業効率の向上や作業時間の最適化など、柔軟な運用を検討することが可能になるとした。
 続いて、農業者の減少が最大の食料問題であるとし、2050年には、農業者1人当たり、今の4倍の作業量をこなす必要があると指摘。そのためには、スマート農機を活用して、24時間作業やリモート操作で作業量を革新的に増加させ、「きつくて大変な作業はAIロボットに任せて、人は農作業を楽しめる」状況を目指したいなどと、スマート農業の将来像を示した。
 リモート農業については、現在、北海道大学とNTTグループが取り組んでいる研究について報告。▽小型マルチロボットによる超省力化▽AIロボットによる熟練技術の体得▽リモート農業の実現―などが進んでいるとし、これによる成果として▽人手不足が深刻な農業の新しいカタチ▽必要十分な量と質の食料を安定生産▽世界の食料をMade by Japan―などが期待できると力強く語った。

 
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  新テレビCMがオンエア/クボタ  
     
   (株)クボタ(北尾裕一社長)は、長澤まさみ出演の企業TV―CM最新作『クボタが支える インドトラクタ』篇(30秒)を12日からオンエア開始した。
 このTV―CMは、クボタが長期ビジョン「GMB2030」で掲げる『豊かな社会と自然の循環にコミットする命を支えるプラットフォーマー』を表現するCMシリーズの第5弾。
 長澤さんが目覚めると、そこは「○○」だったという設定のもと、その国の人々の暮らしを支えるクボタの姿を、現地の生活者の視点を通じて伝える。タイ、スペイン、カンボジア、アメリカに続いて今回の舞台はインド。
 多くの人で賑わい、エネルギーに満ち溢れた市場の様子に驚く長澤さん。自身が働く屋台で料理のオーダーを受け、インドならではの首を横に振る仕草(「了解」という意味)も自然と出きてしまう。同僚との会話の中で、インドにおける農産物の生産と物流を支えているのが、クボタのインド市場向け多目的トラクタであることに気づくストーリーとなっている。トラクタは一般的に田畑を耕す機械として使われるが、インドでは農作業だけでなく日々の移動や荷物を運搬する手段など、人々の生活を支えるものとして広く用いられており、世界最大のトラクタ市場になっている。

 
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  「KUBOTA AGRI FRONT」がグッドデザイン賞受賞/クボタ  
     
   (株)クボタ(北尾裕一社長)の農業学習施設「KUBOTA AGRI FRONT」(北海道北広島市、北海道ボールパークFビレッジ内)が、2024年度グッドデザイン賞(主催‥公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞した。
 同施設は、クボタが食と農業の未来を楽しくおいしく学ぶ農業学習施設として、2023年3月に北海道ボールパークFビレッジに開設した。食と農業の未来を志向する仲間づくりの場をコンセプトとし、あらゆる人が食と農業に向き合い、未来のためにできることをともに学び、考える場所を目指し、農業経営シミュレーションゲーム「AGRI QUEST」の体験や、先端農業を用いた作物栽培の様子を見学できる「TECH LAB」など、コミュニケーターと共に施設を巡るツアープログラムを提供している。
 また、施設には「KUBOTA AGRI FRONT CAFE」を併設しており、お米や農作物、フルーツなど、こだわりの食材をふんだんに使ったメニューを用意し、食と農業を自分事として感じてもらうきっかけを提供している。
 審査委員の評価(コメント)は次の通り。
 「農業を単なる食料生産活動として捉えるのではなく、生活の重要な要素である『食』から紐解き、食の生産や流通、さらには未来の食生活全体を見据えた多角的なアプローチで農業への理解を深めようとする試みは、生活者にとって農業の課題をより身近に感じる貴重な機会となるだろう。食の課題が世界的に重要性を増す中、このような農業に触れ、学び、つながることができる開かれた場が誕生したことは、非常に明るいニュースである。これから、気候変動や技術革新により食に関する常識が急速に変わっていくことが予想されるが、この施設が常に最新の食への関わり方をバージョンアップし、発信し続けていくことを期待したい」
 なお、同施設は「2024年度ディスプレイ産業賞」(一般社団法人日本ディスプレイ業団体連合会主催)、「第18回キッズデザイン賞」(特定非営利活動法人キッズデザイン協議会主催)などを受賞している。

 
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  最新農業技術の魅力伝える/第14回農業WEEK フォトニュース  
     
   日本最大級の農業・畜産の総合展示会「第14回農業WEEK」(通称:J―AGRI)が9〜11の3日間、千葉市美浜区の幕張メッセで開催された。農業資材、スマート農業関連製品、畜産資材、6次産業化製品、脱炭素・SDGs製品が世界中から集まり、各社が実機の展示や実演を交えながら製品やサービスの魅力・特徴をPRした。
 今回は国内外の関連企業約900社が出展し、約3万6000人が来場。3日間通して活発な商談や情報交換が行われた。(3・9面にも記事)
 「スマート農業EXPO」では、ロボット草刈機やラジコン作業機、農薬散布用ドローンといった最新の農業機械がずらり。人の動きをセンサーで感知する自動追従運搬車や、農業用ハウスを利用した完全人工光型植物工場などこれからの農業の未来をつなぐ技術の展示が多く見られた。
 このほか、水耕栽培システムや圃場の水管理システム、営農管理支援アプリを紹介する企業などもあった。
 「農業資材EXPO」では、近年増加傾向にあるシカやイノシシなどの害獣を寄せ付けない防護柵や環境にやさしい除草剤・肥料などが並んだ。
 また、快適な農作業のために欠かせない空調装置や空調服なども関心が高いようだった。
 連日、無料のセミナー講演を開催。行政や民間企業のキーマンが講師となり、みどりの食料システム戦略や持続的農業、異業種参入など様々なテーマで情報発信し、来場者が熱心に聴講していた。
 同会場内では、このほかに道工具が集まる「第14回TOOL JAPAN」とアウトドア・園芸・空間デザインに関する商材が出展される「第18回GARDEX」も同時開催された。
 先端技術を取り入れた最新農機から、細かな作業に必要不可欠な道工具まで農業に関するあらゆる製品が一堂に会するイベントとして盛り上がった。

 
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  秋田農機展で超耕速をアピール/ササキコーポレーション  
     
   (株)ササキコーポレーション(佐々木一仁社長・青森県十和田市里ノ沢1の259)は、11月1〜5の5日間、秋田県鹿角市で開かれる秋田県種苗交換会・農業機械化ショーに出展、米の生産コスト削減に貢献する「超耕速シリーズ」のアクティブロータリー、畦塗機カドヌールエース、マックスハローエースを揃え、従来の常識を覆すスピーディーな作業で作業時間の短縮を図るなど、有用性をアピールする。
 同イベントは鹿角市総合運動公園を会場に、国内で販売されている大方の農業機械が出揃う我が国でも最大級の農機展示会。同社は、超耕速と銘打ち、他社に先駆けて代かき、耕うん、畦塗り作業の高速化による生産コストや燃費の低減、規模拡大対応、あるいは作業時間・回数の短縮による余剰時間の有効活用などを農業者に訴求し、秋田農機展では新製品を紹介しつつ、より広い需要層の獲得に力を入れてきた。
 そのほか、グリースアップが5年間(200時間)不要のノーメンテナンス密閉型ミッションで安心して作業できるブロードキャスタのCF(フリッカー)モデルも展示。同機はオプションの車速連動キットで高精度な車速連動ブロードキャスタとしても使用できる。

 
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  J―クレジットの収入試算を発表/井関農機  
     
   井関農機(株)(冨安司郎社長・東京都荒川区西日暮里5の3の14)はこのほど、環境保全型農業の発展を支援するISEKIのソリューションとして、新たに「J―クレジットかんたん収入シミュレーション」を発表するとともに、23日に「環境保全型農業を提案するオンラインセミナー」を開催することを明らかにした。
 近年の地球温暖化や気候変動などへの対策として、農業においても、環境への負荷を最小限に抑える取り組みが始まっている。また、世界的な食料安定供給への需要が大幅に高まる中、長期的に安定して農業生産を行う持続可能な農業への関心も高まりをみせている。 J―クレジット制度は、企業や個人が温室効果ガス削減の取り組みを通じて創出された削減量をクレジットとして取り引きできる仕組みで、環境負荷低減と新たな収入源の創出を両立するアプローチとして注目を集めている。
 同社グループでは、2024年より生産者へこの制度の「水稲栽培における中干し期間の延長」を提案するとともに、創出されたクレジット申請作業の支援に取り組んでいる。
 「水稲栽培における中干し期間の延長」に取り組むことよる温室効果ガスの削減量は、栽培地域や圃場の排水性・有機物施用の有無などにより大きく変動するが、このシミュレーションでは、地域・圃場条件・面積の簡単な情報を入力するだけで、利用者の条件での概算金額を試算できる。
 同社では、「J―クレジット」への取り組みを検討する生産者の一助となる本ツールの提供を通じて、生産者の収益拡大と環境負荷低減に資する環境保全型農業の取り組み拡大を図っていく、としている(なお、利用には同社が運営する営農ソリューション・ポータルサイト「Amoni」のアカウント登録が必要。登録料は無料)。
 一方、環境保全型農業に関するオンラインセミナーは、「Amoni」にて、「大豆栽培と水稲輪作」及び「自動抑草ロボット『アイガモロボ』」を開催し、先端農業技術の研究・実証を行う同社夢ある農業総合研究所の研究員より、最新情報を紹介する。
 第1部は「大豆栽培と水稲輪作について」。
 大豆の自給率は食品用に限っても2割程度であり、需要の多くを輸入に依存している。食料安全保障の観点から自給率の向上は喫緊の課題であり、国としても積極的に各種施策を展開している。
 しかしながら、安定的な生産量の確保が大きな課題となっており、新たな多収品種や、効率的な栽培技術への注目が高まっている。
 また、水稲との輪作体系は、雑草の繁殖や病害虫の発生を抑制する効果も期待でき、化学農薬に頼らない持続性の高い農法として「みどりの食料システム戦略」においても推進されている。
 このセミナーでは、市場の動向や安定生産・普及に向けたポイントなどを総合的に紹介する。
 第2部は自動抑草ロボット「新型アイガモロボ」最新情報の紹介。
 水稲有機栽培における全く新しい雑草対策技術として2023年の販売開始以来好評のアイガモロボが更さらに進化。「水のにごりで雑草抑制」というコンセプトはそのままに、利用者の声を反映した次世代のアイガモロボとして開発された。
 第11回ロボット大賞で「農林水産大臣賞」を受賞するなど注目を集める新型モデルの最新情報を、セミナー参加者にいち早く紹介する。
 〈日時〉10月23日14時〜16時
 〈講師〉井関農機(株)夢ある農業総合研究所研究員
 〈参加費〉無料
 〈申込方法〉Amoniの「開催案内」より申し込む
 URL:https://amoni.iseki.co.jp/event/4366

 
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  第49回角鳩会総会を開催/ツムラ  
     
   (株)ツムラ(津村慎吾社長・兵庫県三木市別所町巴46)は16日、「第49回ツムラ角鳩会総会」をANAクラウンプラザホテル神戸(神戸市中央区)で開催した。総会では24年度の事業報告および役員改選、25年度の事業計画案などが協議され、異議なく可決承認された。また刈払機用チップソー・刈刃など、ツムラ製品(角鳩印)の販売について今年度の概況、新製品などが発表された。会の後半には「SNS型投資詐欺など特殊詐欺にだまされないために」と題した弁護士による講演があり、参加者は興味深く聴講した。
 ツムラ角鳩会の長谷川雅光会長((株)長谷川熊吉商店社長)は冒頭の挨拶で、「農業界に目を向けると、昨今の天災の影響で生産が振るわず、収入が不安定になるなど、農家の皆様は大変苦労されている。このような状況のもと、業界に身を置く我々としては、今まで以上に情報を共有し、ともに成長せねばならない。そして情報共有の場がこの角鳩会であればと思う。引き続き屈託のない意見を皆様が出し合い、ともに飛躍できる提案を出し合おう」と参加者に力強く呼びかけた。
 続いて津村社長が登壇し、「日本農業を取り巻く厳しい現状の中、頑張っている農家に対し、私達はこれからも良質な製品の供給をし続けていくことはもちろんのこと、これからの日本農業が持つ課題に対し、企業として他に何ができるのか、どのようにアプローチするのかをもっと考えたい。今後もツムラ・津村鋼業および弊社の角鳩製品が必要とされる企業・商品として期待に応えられるよう、社員一同、より一層頑張ってまいります」と挨拶した。
 次に今年度のツムラ製品の販売概況をツムラの津村貴士専務取締役が説明した。説明によると、23年度の売上げ6%アップ(前年比)に対し、24年度は2%ダウンとなった。これは23年度の連続的な猛暑の影響もあり、昨夏から荷動きが鈍る中、今年2月に一時的な回復があるも減少分を取り返すまでには至らなかったことによる。
 一方、このような状況下で角鳩会員をはじめ、得意先は地域密着、量販店での棚の拡張、インターネット通販をする販売店への流通、JAの拡販キャンペーンに採用されるなどの営業努力により、売上げ実績を伸ばすところもあった。
 今秋に米農家へ支払われる概算金の向上、昨今の日本食ブームによる米の海外輸出の増加といった潮流に乗り、各種原料の高騰のため減退気味だったツムラ商品に対する農家の購入意欲は、これから上向きになるとみる。また、国から都道府県・市町村に譲与される森林環境譲与税は植林や間伐、人材育成に使われ、そこからツムラ商品の受注につながると見込む。
 新製品は、替刃と取り付けボルトセットを箱に詰めたフルセット製品をフリー替刃のラインアップに追加。11月21日から発売する。具体的にはスパイダーモア用「フリー替刃260取付ボルトセット」およびウイングモア用「フリー替刃355同」の2セット。
 また、刈払機用刈刃「ツル草三枚刃」を2025年春頃に発売する予定。同刃は絡んで巻きつくツル草など、頑固に絡まる長い草や硬い草茎を切砕するのにうってつけの刃である。
 【フリー替刃260取付ボルトセットの内容】フリー替刃260=8枚▽ハイパーフリー刃用取付ボルト=4本▽M10袋ナット=6個▽M10バネ座金=2個▽平座金=2個
 【フリー替刃355取付ボルトセットの内容】フリー替刃355=8枚▽ハイパーフリー刃用取付ボルト=4本▽M10袋ナット=4個▽ウイングモア用取付ボルト=4本▽M8バネ座金=4個▽平座金=4個

 
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  ユーザー限定交流サイト「スマート農業横丁」開設/ニコン・トリンブル  
     
   (株)ニコン・トリンブル(丹澤孝社長・東京都大田区南蒲田2の1の16テクノポート大樹生命ビル4階)は、同社のスマート農業向け製品ユーザー限定のコミュニティサイト「スマート農業横丁」(通称‥スマ横)を開設し、15日に正式オープンした。スマ横では同社製品のユーザー同士で交流することで、農作業現場におけるGNSSガイダンス・自動操舵システムなどのスマート農業技術の活用ノウハウを共有し合い、農業経営へのスマート農業技術導入の喜びを実感できる場を目指しており、同社のスマート農業向け製品の利用者であれば誰でも参加できる。
 同社が販売してきたGNSSガイダンス・自動操舵システムをはじめとしたスマート農業向け製品は、累計1万台以上となり、多くの生産者に利用されている。自動操舵システムは1度購入すると7〜8年使用するため、競合製品が増えている中で、いかに購入者に継続的に利用してもらうかが課題。これまで同社はユーザー向けにサポートサイトや各種SNSを用いて製品の設定方法をはじめとした情報発信を行ってきたが、取材や展示会・勉強会においてユーザーの話を聞く中で、せっかく買ったスマート農業製品をうまく活用できていないという実態があった。同時に、解決方法は「同社で発信できる設定方法に加え、ユーザー同士での現場で活用するためのノウハウ共有」であることを感じていた。  これらの課題を解決し、ブランドロイヤリティを高めるために、同社はコミュニティサイト「スマート農業横丁」を開設。農作業現場での活用ノウハウを共有し合うことで、スマート農業機器の導入がうまくいった喜びやスマ横を利用することで生まれた他の生産者とのつながりなど、様々な農業に関する情報を共有することが、新たな挑戦へつながる。
 今回、コミュニティサイトを開設することで、全国の同社スマート農業向け製品ユーザー同士の積極的な交流をサポートしていく。 【主なコンテンツ】
 (1)みんなの語らい場=同社製品を農作業現場で使う際に困ったことや、活用方法で悩んでいることを共有・解決し、新たにノウハウを発見した利用者が情報発信を行う場
 (2)みんなの愛機紹介=普段の農作業で欠かすことのできない農業機械や農作業機には、ユーザーのこだわりが詰まっている。そのこだわりを紹介し合うことで、周りの生産者はどんな作業でどんな機械を使っているのかを知り、取り入れるきっかけとなる
 (3)日々の農業トーク=スマート農業に限らず、自己紹介や日々の農作業での発見、農作業の合間に食べるご当地ならではの昼食や地域の農業、ユーザー自身のことを仲間に知ってもらうことで、ユーザー同士の輪を広げるためのコンテンツ

 
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  松山記念館第30回文化講演会を開催/松山  
     
   松山(株)(松山信久社長・長野県上田市塩川5155)の創業者である松山原造氏と2代目松山篤氏の業績を記念・顕彰する公益財団法人松山記念館(松山久理事長・長野県上田市塩川2874の1)は11日、松山(株)の本社で第30回文化講演会を開催した(後援は上田市、上田市教育委員会)。
 同記念館は、1985(昭和60)年に設立され、原造氏の偉業の数々と、のちに松山犂として全国に普及した、創業時の双用犂の開発に至るまでの資料を展示しているほか、創業者の次世代育成の想いを実現するために、広く「食育」の活動を支援している。
 文化講演会は重要行事の1つで、これまで29回開催され、大学教授、試験場関係者など学識経験者、農機メーカーのOBなどが講演している。新型コロナウイルスの感染防止対策のため2019年以降中止していたが、新型コロナの5類移行に合わせ昨年、4年ぶりに開催した。
 今回は、メルシャン(株)(山梨県甲州市勝沼町下岩崎1425の1)のシャトー・メルシャン事業本部副本部長ゼネラルマネージャー(GM)で、工学博士の小林弘憲氏が「上田ワイン産業振興および地域の活性化に向けた椀子(まりこ)ワイナリーの役割」と題し講演した。
 冒頭挨拶した松山理事長は、5年前の文化講演会における馬耕伝習者とメルシャンとの出会いに触れ、フランスのワイン産地・ブルゴーニュでは耕作地が狭いのでブドウ栽培はうね幅を狭くしてたくさんの苗木を植え、トラクタでは重くて入れないので、馬耕によって栽培管理することなどを紹介。上田ワインのさらなる振興に向け講演会が有意義なものになるよう期待した。
 続いて後援者を代表して、上田市丸子地域自治センターの中村尚文センター長が挨拶に立ち、気候変動など農業を取り巻く環境は厳しいものがあるが、気候、風土など様々な地域特性を活かした農業の振興が必要であると訴えた。
 講演に立った小林GMは、メルシャンワインの歴史、日本ワインの現在の立ち位置(消費量は40年で8倍など)などを説明したあと、どういうビジョンでワインづくりに取り組んでいるかについて、「歩留まりのいい品質のいいブドウを作りたい。目標は日本を世界の銘醸地にしたいという大きなスローガンがあります。海外からはまだ、日本はワインって作っているのか、という見方もあるので、我々の活動を世界に知ってもらって、日本ワインの良さを広めたい」と強調した。
 そして、椀子ワイナリーが掲げる3つのキーワードとして、(1)地域との共生(2)自然との共生(3)未来との共生―を紹介。
 (1)では椀子ヴィンヤードの開園当時から植樹、除葉、収穫など年間を通じた栽培作業に多大な支援、またワイナリー建設に対する熱い想いもいただいたと謝意を表するとともに、2019年にそれらの要望にやっとお応えできたと熱く語った。
 (2)では、2000年当時、一部遊休荒廃地化していた陣場台地が椀子ヴィンヤードとして生まれ変わったことで年間を通じた栽培管理が行われるようになり、農研機構が毎年行っている生態調査によると、年を経るごとに多種類の植物・昆虫・鳥類の存在が確認され、在来植物の保護及び生態系の維持につながっているとの報告がされているとし、今後もこの景観を守るべく日々の栽培管理、ひいては日本の里山を守る活動に励みたいと述べた。
 (3)では、現在、地域住民と協働し、地元の小学生に向けた食育活動(ジャガイモ栽培)を椀子ヴィンヤードの一部で実施し、またブドウ栽培作業を通じた職場体験および社会科総合学習の場として、地元の中学校および高校に活用されているとした。そして、今後もブドウ畑およびワイナリーのすべてを活用し、ワインを楽しむことができる次世代を育てる取り組みをより強化していきたい、と述べた。
     ◇
 講師の小林氏は1999年メルシャン入社。ワイン研究の道に進み、ボルドー大学やオーストラリアほか、世界で醸造技術を学ぶ。2003年の仕込み時期に甲州ブドウから今まで感じることができなかった柑橘系のアロマを感じるキュヴェを発見。そこから生み出された『甲州きいろ香』の生みの親の1人。甲州ワインの特微香の研究で博士号を取得。2017年から2年間、本社生産部を経験し、桔梗ヶ原ワイナリー、椀子ワイナリーの計画・建設に携わる。2023年GM就任。栽培から醸造まで一貫したワインづくりを探求している。

 
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  草刈りロボット、農業WEEKでアピール/和同産業  
     
   和同産業(株)(三國卓郎社長・岩手県花巻市実相寺410)は、先に千葉市の幕張メッセで開かれた農業WEEKに出展、ロボット草刈機「クロノス」をはじめ乗用草刈機BM21S、除雪機SXC1070を並べ、新技術の開発に積極的な同社の姿勢をアピールするとともに、従来から同社の基軸商品として市場に浸透している製品を紹介し、これまでの技術蓄積の上に同社の現在があることを改めて印象づけた。
 「クロノス」については、新製品MR―400Hを7月29日から発売しており、従来機のMR―301Hの作業領域が3000平方メートルだったのに対し、GPS搭載のMR―400Hは、最大作業領域を4000平方メートルに拡大、またエリア内に帰還ポイントを自動で設定し、そこに効率的に向かうことで全体的な作業効率を上げている。同機の流通網は全国的に整備されてきており、会場では新しく手掛けたいとの要望も聞かれたとのこと。メーン市場となる果樹園だけでなく、様々な草刈りの現場から関心が寄せられている。
 片方孝志営業部長は「今回は和同産業の事業活動を知ってもらう目的で、クロノスのほか我が社のメーン機種となる除雪機や草刈機も並べた。この数年は寡雪の冬が続いたが、今冬は例年並みという観測も聞かれ、シーズンに向けた除雪機の動きに期待したい。クロノスについては、新製品を含めしっかりとした取り扱い体制をバックに、これからの市場拡大に対応していきたい」と、拡販に意欲を示した。

 
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  技術フォーラム2024を開催/日本陸用内燃機関協会  
     
   一般社団法人日本陸用内燃機関協会(田尾知久会長)は16日、東京都世田谷区尾山台の東京都市大学で第24回技術フォーラム2024をWeb併用で開催し、これからエンジンなどの内燃機関にとって対応を迫られるカーボンニュートラル(CN)対策に向けて、エンジン開発、燃料問題に焦点を当てて、現在の動向を共有するとともに、課題などを掘り下げた。これには満席の会場と200回線の応募があったWebとを合わせて200名以上が参加した。フォーラム前に行われた東京都市大学・三原研究室の見学と、CN対応技術の1つとして注目される水素エンジン関連の話題が提供されたことから、強い関心を集めた。
 技術フォーラムは、エンジン関係者である会員企業のエンジニア等に向けて最新の技術動向を発信し、共有、掘り下げる機会を作るため2001年に始まった、協会が「3大イベントの1つ」と位置付け、力を入れている行事だ。
 開会に当たって同協会の東専務理事が挨拶したのに続いて、(株)丸山製作所の安田輝毅氏が「2ストロークサイクルエンジンへの水素燃料の適用」、三菱重工エンジン&ターボチャージャ(株)の古川雄太氏が「陸用内燃機関のCN燃料対応への取り組み」、(株)橋本屋の友金卓也氏が「英国および欧州のCN燃料動向」をテーマにそれぞれ講演し、発表後の質疑応答で問題を掘り下げた。
 丸山製作所の安田氏は、刈払機やチェンソーといった手持ち式作業機に搭載される2ストロークエンジンで試作した水素運転について可能性を紹介。水素エンジン開発の背景から、水素燃料の適用、特性などをまとめるとともに、試作機のコンセプト、エンジン行程や構成などを示し、取り組みの現状、概要を明らかにした。
 安田氏は、小型、軽量、高出力を特徴とする2ストロークエンジンのメリットを損なわないためには水素燃料が適していると指摘。試験の結果、安定性、出力、エミッション、耐久性等で良い結果が得られており、今後、屋外での作業が可能な試作機を作成する予定であると語った。
 また、三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)のCNに向けた取り組みとしてハイブリッド発電、カーボンニュートラル燃料、CO2回収の3つのレベルがあると語った古川氏は、特に水素専焼エンジンについての課題や対応する技術などを紹介した。
 さらに橋本屋の友金氏は、提携先である英国Corytonからの情報をもとに、現在検討されているCN燃料の可能性や欧州の政策動向などを解説した。
 講演の後、慶應義塾大学名誉教授の飯田訓正氏を司会に、柴田元(北海道大学准教授)、小酒英範(東京科学大学教授)、森吉泰生(千葉大学教授)、三原雄司(東京都市大学教授)の4氏と講演者3名の計7名をパネラーとして全体討論会を開催。
 講演で提起された水素エンジンやCN対応の燃料について意見を交わし、今後の課題や展望などを話し合った。

 
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  加工野菜の価値と変化をテーマにセミナー/野菜流通カット協議会  
     
   野菜流通カット協議会(木村幸雄会長)は10日、都内有明の東京ビッグサイトで開催されたFOOD展のセミナー会場にて、令和6年度加工・業務用野菜の情報交換会セミナーを開催した。今回は「加工・業務用野菜の価値と変化」をテーマに掲げ、生産から流通、小売りまで加工野菜の最新話題を提供した。
 開会に当たり挨拶した木村会長は、昨今の加工・業務用野菜は、高温が続いたことを受け、生産・販売ともに大きく変わってきていると指摘。変化が速すぎる状況に対して、そうしたリスク対策を含めて皆で共有して考えていきたいなどと趣旨を語った。
 セミナーでは4講演とパネルディスカッションが行われた。JA全農CO・戸井和久氏(元(株)イトーヨーカ堂代表取締役)は「小売業の変化に対応した業務用野菜の生産振興と商品開発」を講演。国内の食市場は共働き世帯の増加などにより簡便・即食のニーズが高まり、コロナ禍を経て業態も変化し、Eコマースや中食、ドラッグストアなどが伸びていると説明。売り場も変化がみられ、惣菜売場の拡大やセントラルキッチン化が進み、それに合わせて食材提供の形も変化が求められるとした。さらに自然災害や気候変動など環境変化により農と食のリスクが顕在化しており、こうした課題への対応として▽県域・民間域を越えた共同輸送の展開▽中継物流事業▽外国野菜の国産化▽生鮮のロングライフ化(長期保存)▽新しい付加価値をつける商品開発▽GAP推進―などを提示。一次卸の役割を担うJA・全農として、これらを進めるほか、今の変化をチャンスと捉えて新しいことに挑戦していくなどと語った。

 
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  機種別部会長を選任/日本農業機械工業会  
     
   一般社団法人日本農業機械工業会(増田長盛会長)は17日、機種別部会長の交代を発表した。
 新任の部会長は次の通り。
 ▽トラクタ部会長=鶴田慎哉((株)クボタ)▽田植機部会長=石本徳秋(井関農機(株))▽収穫機部会長=小野寺誠(ヤンマーアグリ(株))▽管理機部会長=佐藤修(三菱マヒンドラ農機(株))▽調製・米選機部会長=川島廣大((株)タイガーカワシマ)
 (敬称略)
 また、カッター部会については休止することになり、部会長の選任は行わなかった。

 
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  キャベツ栽培自動化コンソーシアムが自動収穫の成果実演/ヤンマー、オサダ農機など  
     
   ヤンマーアグリ(株)(所司ケマル社長・岡山市中区江並428)やオサダ農機(株)(鎌田和晃社長・北海道富良野市字扇山873番地3)などが参画するキャベツ栽培自動化コンソーシアムの研究成果報告と実演が9月27日、北海道河東郡の鹿追町民ホールと同町内の圃場で行われ、午前、午後の2部合計で約50名が参加した。内容はキャベツ栽培の自動化一貫体系の確立に向けた研究開発(2022〜24年度)で開発中の耕起、畝立て、定植、除草、防除、収穫の自動化に関する技術説明および耕起(プラウとロータリの同時作業)、定植、防除、収穫の自動化に関する実演。コンソーシアムは前述の2社の他、東京大学、帯広畜産大学、鹿追町農業協同組合で構成されている。
 技術説明に先立ち、JA鹿追町の澤野直満専務理事が挨拶し、鹿追町でキャベツ栽培を行ってきた経緯や取り組みなどを説明し、「今回の自動収穫機を含めた一貫体系の自動化によって、キャベツが鹿追町にとっての主要作物になることを期待したい」などと述べた。 次にヤンマーアグリ開発統括部先行開発部先行技術グループの村山昌章グループリーダーがコンソーシアムの取り組み、耕起から管理までの自動化、収穫作業の自動化について説明した。まず、作業する圃場の諸条件を入力することで各作業の最適な自動運転経路を作成。栽培作物や圃場ごとに最適化された一連の作業経路を蓄積することが可能になる。耕起や防除においてはプラウ反転、スプレヤー操作を自動化し、自動走行と連携する作業部を自動化。定植や収穫では、環境認識センサによって畝のセンターを認識しての精密定植、自動刈り高さ機能による適切な収穫を行う。加えて収穫時の外葉除去機構の開発で外葉除去の省力化も図られた。最終的には、各種作業を自動化させることで、労働力を30%以上削減や栽培面積の増加によって所得を5%増加させることを目標とする。開発した自動農機は令和7年に開発地区での実装を予定。
 この技術の中で、東京大学は精密定植と自動刈り高さ機能を、ヤンマーアグリは各作業に適した経路作成と自動走行制御および自動運転技術を、帯広畜産大学は自動走行と連携する作業部の自動化技術を、JA鹿追町は耕起から管理作業までの自動化に関する評価と収穫作業の自動化に関する評価をそれぞれ行った。
 試験圃場に移動し、各技術説明とともに実演が行われた。技術説明は帯広畜産大学の佐藤禎稔特任教授や東京大学の深尾隆則教授、オサダ農機の鎌田社長らが行った。自走式キャベツ収穫ロボット前方にある刈取部には、左右に倒れたキャベツを補正するデバイザを搭載。キャベツを引き起こしやすいようになっている。AIカメラでキャベツを画像認識し、キャベツが畝に対してどれだけずれているか検出し、ずれに応じてベアリングを補正し、収穫する。抜き上げたキャベツの茎をカッターで落とし、機械後方に乗った選別者にベルトコンベアで送っていく。
 その際に外葉を除去し、収穫したキャベツは選別者によってコンテナへ入れられる。除去された外葉は機械から圃場へと落下し、最終的には鋤き込んでいくことになる。刈取部の位置は地面からの高さをセンサーによって検知し、一定になるように機械が自動調整することで安定して収穫できる。運転もGPSの位置情報により自動化されている。障害物を検知するなどの非常時には車両が自動停止する。
 収穫機の実演では、参加者が圃場に立ち入り、間近で収穫作業を視察。外葉除去や選別作業の様子を注視した。

 
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  国際貢献する農学をテーマにシンポジウム開催/日本農学会  
     
   日本農学会(大杉立会長)は5日、都内の東京大学弥生講堂及びWebにて、2024年度シンポジウム「国際貢献する日本の農学」を開催した。
 開会挨拶した大杉会長は、「ロシアのウクライナ侵攻で顕在化したように国際的なサプライチェーンが脆弱化している中、日本の食料自給率はカロリーベースで37%と低く、国際的な協調が安全保障面でも極めて重要だ。こうした中で日本の農学研究者が国際的に貢献していくことが強く求められている。今回は国際的な貢献に関する情報や成果を共有していただき今後の農学が目指す具体的な貢献について議論したい」などと語った。
 続いて講演に移り、▽イネの分子育種を用いた食料問題緩和へのチャレンジ(名古屋大学生物機能開発利用研究センター・芦苅基行氏)▽サブサハラアフリカの食料危機に立ち向かう作物科学(国際農林水産業研究センター生産環境・畜産領域・辻本泰弘氏)▽脱炭素世界での糖獲得戦略―世界と協調して糖を利用していくためには―(東京大学大学院農学生命科学研究科・五十嵐圭日子氏)▽モンゴル遊牧民伝承に基づく家畜の健康維持と荒廃草原の回復(東京大学大学院農学生命科学研究科・浅見忠男氏)▽農地における温室効果ガスの発生量推定と発生削減技術(農研機構農業環境研究部門・秋山博子氏)―などの8講演及び総合討論が行われた。
 そのうち芦苅氏は、東南アジアなど長期降雨による洪水が定期的に発生する地域に適応した稲として、浮イネを紹介。これは水位の上昇とともに茎を伸長させて、葉先を水面から出すことで酸素を摂取して生育できるもので、浮稲の冠水依存的な茎伸長を制御する遺伝子を同定できれば、これらの遺伝子を用いて一般的な水稲を浮イネに改良できるなどと語った。
 また、秋山氏は農地におけるGHG発生量について、世界の人為的なGHG発生量のうちメタン(CH4)の1割が水田由来、一酸化二窒素(N2O)の約半分が農業由来だと説明。水田から発生するメタン排出量を削減する方法として中干し期間の延長や稲わらの秋の鋤き込みをあげ、中干し期間を地域の慣行より約1週間延長するとメタン発生量を平均3割程度、稲わらを秋に鋤き込むと同5割程度削減できることなどを解説した。

 
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  IT・メカトロニクス部会セミナー開催/農業食料工学会  
     
   一般社団法人農業食料工学会(飯田訓久会長)IT・メカトロニクス部会(帖佐直部会長)は7日、「IT・メカトロニクス部会セミナー」をWeb開催した。「農業食料工学分野における海外での活動を学ぶ」と題して、田中正浩氏(農研機構農業機械研究部門)による「ISO13482のサービスロボットの安全に関する国際動向」、梅田大樹氏(日本大学)による「オランダ農学研究の魅力」、安永円理子氏(東京農工大学)による「ベトナム農業の現状と課題」―の3講演及び総合討論が行われた。
 田中氏は、ISO13482について、生活支援ロボットの安全要求事項を規定する国際規格であり、対象の1つに身体アシストロボットであるアシストスーツも含まれると説明。同規格は2014年に発行され、今年改訂が行われたが、その際に日本は、身体アシストロボットを含む3つの特定機種ごとに安全要求事項を規定した「JIS B 8446」を提案した。ISOやJISが対象とするアシストスーツはパワーアシストスーツと呼ばれるアクティブタイプが主であり、体に装着して持ち上げ・運搬の動作や姿勢を補助するもの。安全要求事項では人間の力を超えないことが重要とし、危険なアシストからの保護や、人間の力で戻せるバックドライバビリティなどパワーアシストスーツ特有のリスク評価などを定めていると紹介した。
 一方、梅田氏は自身のオランダ・ワーヘニンゲン大学における農学研究滞在の経験と、オランダ農業について紹介。オランダは人口1800万人弱、国土面積は4・2万ヘクタール弱と小規模ながら農産物・食品輸出額が1441億ドル(2023年)を誇る農業大国であり、特にトマトの平均収量は10アール当たり50トン超と高収量を実現。梅田氏は日本とオランダの農業の違いとして、オランダ独自のEER―triptychと呼ばれる農業教育・普及・研究が連携した研究開発システムを示し、これにより、(1)トマト・キュウリ・パプリカへの品目の選択と集中(2)高生産性・コスト低減を目指す技術開発目的の明確化(3)農家の企業化に向けた支援を行う技術開発政策―を推進して施設園芸を発展させたと説明。オランダ研究滞在を経て、自身の研究の立ち位置を再確認したと述べ、日本は同国の模倣をする必要はないとしつつも、今後の日本農業研究の選択と集中の重要性を強調した。

 
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  プロ向けブロワの新機種/ハスクバーナ・ゼノアが発売  
     
   ハスクバーナ・ゼノア(株)(パウリーン・ニルソン代表取締役・埼玉県川越市南台1の9)は11日、右スロットルレバー仕様の背負式ブロワ「ゼノアEBZ7500RH」の発売を開始した。右手で風向と風量の調整が可能で、右手スロットルになれたユーザーに推奨している。
 同機は、大風量と軽量を両立させるハーフクローズドファンを搭載し、クッション性の高い背負パットが疲労感を軽減、公園や河川敷、ゴルフ場などでの広範囲な清掃作業に活躍するパワフルなプロ向けブロワ。圧倒的なパワーでこびりついたゴミや落ち葉を豪快に吹き飛ばす。
 また、静電防止機能付きスロットルレバーは、作業者を静電気から守り、大風量でも安定した姿勢で作業できる。風の抵抗をより少なくするスパイラルフレキホースを採用したほか、落ち葉の詰まりによる性能低下やエンジンの焼付きを防止するためのフリーフローネットも装備。2重構造フィルターの大型エアクリーナは、エンジン性能を長時間維持し、ホコリの多い現場でも安心して使用できる。
 メーカー希望小売価格は税込みで13万8600円。
 主要諸元は次の通り。
 ▽エンジン排気量=65・6立方センチ▽本体乾燥質量=10・5キロ▽機体寸法=長354×幅492×高499ミリ▽燃料タンク容量=2・1リットル▽最大風速=106メートル/秒▽風量=22立方メートル/分

 
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  森林のボランタリークレジット創出実証事業/ヤマハ発動機  
     
   ヤマハ発動機(株)(渡部克明社長・静岡県磐田市新貝2500)は17日、アイフォレスト(株)(以下iforest)などの企業・研究機関5者と共同で、東京都多摩地域の森林を対象に、森林におけるボランタリークレジット創出に向けた実証事業を行う、と発表した。
 超高精度なCO2吸収量、および生物多様性の定量的価値の算定方法を開発するのが狙い。これにより、「東京を舞台に、世界に先駆けた、新たな吸収・除去系カーボンクレジットの創出」(同社)を目指すとしている。
 この実証事業に参画するのは、iforestを中心に、ヤマハ発動機、(株)バイオーム、東京建物(株)、一般社団法人ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアムと国立大学法人九州大学都市研究センターの6者。産学連携の取り組みとなる。このたび東京都が推進する「吸収・除去系カーボンクレジット創出促進事業」における実証事業を行うスタートアップにiforestが採択されたため、都の支援を受けて実施していくこととなった。
 実証事業では、生物多様性にも考慮した超高精度な森林価値の可視化モデルとそれに基づいたカーボンクレジットの新しい方法論を構築。その上で国内のレジストリー機関がカーボンクレジットの認証を発行するという、日本初の取り組みを進める。

 
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  電動ショベル3機種、特設サイトでアピール/日立建機日本  
     
   日立建機日本(株)(埼玉県草加市弁天5の33の25)はこのほど、電動ショベルの特設サイトの公開を開始した。エンジンと同等の性能を保持した電動ショベルを広くアピールする。特設サイトでは、9月12日に発売を開始した電動ショベルである「ZX55U―6EB」「ZE85」「ZE135」3機種のラインアップ、特徴、カタログなどを掲載している。
 特に同ショベルの特徴である(1)エンジン機と変わらぬ出力(2)排出ガスゼロ(3)静音性―をPR。

 
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  代表者大会でグリーン成長を推進/全国森林組合連合会  
     
   JForest全国森林組合連合会(中崎和久代表理事会長)は16日、都内中央区の銀座ブロッサム中央会館で、令和6年度JForest全国森林組合代表者大会を開催した。今回は副題として「『林業のグリーン成長』と『JForestビジョン2030』の積極展開による森林資源の適切な管理・循環利用の推進」を掲げた。全国から約700名の森林組合関係者が集結し、森林整備事業や花粉発生源対策をはじめとした必要予算の安定確保を強く訴えた。
 最初に主催者挨拶に立った中崎会長は、森林環境譲与税の譲与配分の見直しや技能検定の職種に林業が追加されたことなどに触れ、「森林・林業によるグリーン成長を成し遂げるためには、今まで以上に政策面での支援が必要だ」と述べ、参加者の賛同を求めた。
 続く来賓挨拶では、農林水産大臣政務官の舞立昇治氏や一般社団法人日本林業協会会長の島田泰助氏らが登壇。舞立政務官は、農林水産省では、森林資源の適正な管理・利用、木材の生産流通の効率化、都市部における木材利用の促進など、川上から川下までの各種施策を総合的に推進しているとし、「こうした施策を進め、国民からの期待に応えるためには、各地域の森林管理の中心的担い手である森林組合系統の皆様の活躍が必要不可欠だ」と述べ、今後のさらなる取り組みに期待を寄せた。
 その後、系統の発展に功績があった408名を表彰。これを受け、受賞者代表として謝辞に立った山口県東部森林組合代表理事組合長の兼近政士氏は、「全国150万人の組合員とともに、『JForestビジョン2030』に取り組み、持続可能な林業経営を実現していかなければならないと考えている。受賞者一同、それぞれの立場から、引き続き力を尽くしていく」と決意を述べた。
 続いて、「森林整備のための財源確保について」(静岡県・森林組合おおいがわ代表理事組合長・杉山嘉英氏)、「JForestビジョン2030の推進について」(秋田県森林組合連合会代表理事会長・小松佳和氏)の2題で意見表明がなされた。これを受け、大会決議として、(1)カーボンニュートラル・国土強靭化に向けた森林整備・保全と適切な管理の推進(2)人材の確保・育成と労働安全対策推進強化(3)生産性向上と需要拡大による国産材の供給・利用促進等(4)能登半島地震や大雨災害など激甚な災害からの復旧・復興(5)林業及び山村振興等に必要な林業税制の改正―を発表し、満場一致で採択された。最後は参加者全員で「がんばろう」三唱し、閉幕となった。

 
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  外国人の技能実習に林業職種が加わる/林業技能向上センターがHP更新  
     
   法務省と厚生労働省はこのたび、9月30日付で「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則(平成28年法務省・厚生労働省令第3号)」を改正、外国人技能実習の対象に育林や素材生産作業の「林業職種」を追加した。
 国家検定である技能検定の試験機関として指定されている一般社団法人林業技能向上センター(中崎和久代表理事理事長)では、今年度中に技能実習生向けの随時級試験を実施するため、関連作業を進めていく。令和6年度は基礎級のみ行う。
 また、同センターでは、ホームページ(https://ringyou-gino.org/)に外国人技能実習生対象の「林業職種」の技能検定基礎等級及び林業分野の特定技能制度のページを更新した。
 それぞれのURLは次の通り。
 ▽外国人技能実習生対象(技能検定基礎等級)=https://ringyou-gino.org/foreign/index.php 
 ▽林業分野特定技能制度=https://ringyou-gino.org/specific/index.php
 林業分野特定技能制度とは、深刻化する人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れていく新たな在留資格。また、同センターでは、外国人技能実習生を対象とした林業職種の検定として基礎級、随時3級、随時2級の試験を行っている。

 
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  施業の効率化進める/令和5年度の国有林野事業  
     
   農林水産省が9月末にまとめた、令和5年度の「国有林野の管理経営に関する基本計画の実施状況」。トピックスとして(1)新たな「国有林野管理経営に関する基本計画」の策定(2)令和6年能登半島地震への対応(3)立木販売結果の公表を取り上げている。今回の基本計画の実施状況では、事例として各森林管理局が進めた31の取り組み内容の紹介と併せ、ホームページへの9つの掲載事例も取り上げ、国有林で進めている現在の事業の概要をアピールしている。
 国有林野は国土の約2割、森林の約3割を占める。その多くが奥地の急峻な山脈や水源地域に広く分布しており、良質な水の供給、土砂災害の防止・軽減をはじめ、様々な公益的な機能を発揮している。
 国有林野を巡るデータをまとめてみると、全国に7つの森林管理局を配し、流域(森林計画区)を単位として98の森林管理署を設置。国土の約2割といわれる国有林野は、面積にして758万ヘクタール、森林面積は2502万ヘクタールのうち30%で、人工林に限ると1009万ヘクタールのうち22%に当たる。
 また、国有林は多様な自然や世界自然遺産とも深く関わっている。国有林野の91%が保安林に指定されている他、13%は保護林、29%が自然公園など、原生的な天然林が広く分布、野生生物の生育・生息地として重要な森林が多いのが特徴だ。
 世界自然遺産(陸域)に国有林野が占める割合は、令和5年度末現在で知床94%、白神山地100%、小笠原諸島81%、屋久島95%、奄美・沖縄68%となっている。
 このため、昨年12月22日に策定された新たな計画では、(1)公益重視の管理経営の一層の推進(2)森林・林業施策全体の推進への貢献(3)国民の森林(もり)としての管理経営、地域振興への寄与等を柱として打ち出しており、実現に向けて各種の取り組みを展開。特に公益重視の管理経営の一層の推進とともに、「新しい林業」の実現に向けた技術開発・普及や組織・技術力・資源を活用した森林・林業施策全体の推進を図っているのも最近のトレンドだ。
 中でも林業の成長産業化に向けた技術開発・実証と普及に関しては、「国有林の組織・技術力・資源を活用し、民有林への普及を念頭に置いた技術開発や林業事業体の育成に取り組む」との姿勢で臨んでおり、▽民有林への普及を念頭に置いた林業の低コスト化等に向けた技術開発を産学官連携の下で実施▽事業での実用化を図りつつ、現地検討会の開催等による民有林における普及・定着を推進―を実践。
 具体的には、「特定苗木を用いた再造林による成長の旺盛な若い森林の造成」(天竜森林管理署)、「集約化試験団地における造林事業の省力化・低コスト化に資する取組」(四国森林管理局)、「ICT技術と新たな地拵え機械の導入による施業の効率化」(石狩森林管理署内)などの取り組みが進められており、作業時間の大幅な短縮や、翌年度の下刈りの省略、シカ食害の防止など様々な成果が表れている。
 石狩森林管理署管内で進められている施業の効率化では、国内の林業ではあまり事例のないコンパクトトラックローダや「衛生コンステレーション」による通信サービスなどを導入、造林作業全体の効率化・省力化を図ることができたという。

 
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  「令和5年木材流通構造調査結果」を公表/農林水産省  
     
   農林水産省は8日、木材流通統計調査「令和5年木材流通構造調査結果」を公表した。木材流通構造の現状をとらえることを目的とし概ね5年に一度実施しているもので、木材の入荷先別入荷量及び入金額、出荷先別出荷量及び販売金額などを把握している。
 このほどまとまった調査結果によると、素材の出荷先別出荷量割合は、「製材工場等へ」が38・5%を占め、この他「木材市売市場等へ」30・8%、「木材販売業者へ」30・7%となっている。平成30年に実施した前回調査に比べると、「製材工場等へ」と「木材販売業者へ」はそれぞれ0・7ポイント、2・3ポイント上昇したのに対し、「木材市売市場等へ」は0・3ポイント低下した。
 このうち国産材については、「製材工場等へ」が33・4%で前回調査に比べ2・8ポイント低下した。また、「木材市売市場等へ」は35・3%で同8・1ポイント低下。これに対し「木材販売業者へ」は31・3%で同11・0ポイント上昇した。
 一方、素材供給者(国産材は素材生産者、輸入材は総合商社及びその他)における素材の出荷量は、3004万1000立方メートルで前回調査に比べ11・8%減少した。素材の販売金額は4593億6000万円で、販売先別販売金額割合は、「製材工場等へ」38・3%、「木材市売市場等へ」26・9%、「木材販売業者へ」34・8%となった。

 
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  市場盛り上げる農機新技術/山口県特集  
     
   山口県は三方が海に面し、瀬戸内海沿岸地域、内陸山間地域、日本海沿岸地域の3つに分けられる。東西には中国山地が横たわり、気候は温暖であり、風水害や地震といった自然災害が比較的少ない。このような恵まれた状況下で田が耕地面積の約8割、米が農業産出額の約3割を占めている。主な品種はコシヒカリ、ひとめぼれ、ヒノヒカリ。従って農機市場は米の生産に係る農機の需要が高い。そんな県農機市場を盛り上げる各社を取材した。
 
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  市場の概況/山口県特集  
     
   山口県農業の概要をみると、米は県内全域で生産されており、野菜は県中西部の指定産地を中心にキャベツ、大根、タマネギ、トマトなどが生産され、県オリジナル野菜の「はなっこりー」の需要が高まっている。中国野菜のサイシンとブロッコリーを掛け合わせて作られた「はなっこりー」は、県オリジナルの野菜。花だけでなく、葉も茎も食べられるため、「天ぷらに最適」などと人気があるという。
 山陽新幹線「新山口駅」から東へ約900メートルの位置に流れる椹野川の東側に面する名田島地域(山口市)にて、はなっこりーは県内最大規模で生産されている。その他、はだか麦「トヨノカゼ」は山口市の中山間地域を中心に、美祢市でも盛んに生産されており、味噌の原料として大いに活用されている。
 農機市場に関わる状況をみると、山口県内における集落営農法人は20ヘクタール未満の法人が約半数を占め、高齢化問題や新規就業者の確保といった課題を抱えている。そのため山口県地域農業戦略推進協議会によると、複数の法人が連携し、雇用や所得の拡大に取り組む「集落営農法人連合体(以下、連合体)」の育成を県独自の取り組みとして進めている。
 営農の実施および農地の管理を行い「農地を守る」各集落営農法人が中核法人に出資。これにより1つの集落営農法人連合体を形成し、前述の「農地を守る」と「所得と雇用の拡大」を図る。同協議会によると、2023年5月の時点で県下に17の連合体が形成済である。ちなみに県内には約300の集落営農法人が存在する。
 各連合体は生産資材の一括購入や施設機械の共同利用によるコスト低減を実行している。またドローン防除などの共同事業の実施による、新たな雇用者の確保などの取り組みを始めている。
 一方、県内の離農は著しく進む。一部の兼業・小規模農家からは「農機を更新してまで農業を続ける必要があるのか」という声もある。作物の生産というより、田畑を維持するためだけに機械を導入する農家が増えているようだ。そのため使わなくなった農機の買い取り依頼が増えており、田畑の維持に必要な草刈り関連製品の荷動きが活発である。
 このような状況から、各販売会社は、前述の連合体やその他の大規模法人に向けた農機の提案に注力している。大型農機の荷動きが主であるため、販売実績において、台数ベースで伸び悩んでも金額ベースで伸長するといった傾向である。農業を続けたいが、農機の更新が難しい農家に対して、各社ともに点検・整備・アフターサービスを徹底し、できる限り長く農業を続けてもらう提案を続けている。

 
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  各社の対応/山口県特集  
     
   (株)中四国クボタ(江草徹社長)の山口営業部は、県下を取り巻く著しい離農の動きの中、1〜8月の販売について前年同時期と比べると、トラクタは微減、コンバインおよび田植機は横ばいで推移した(台数・金額ベース)。
 営業部長の道源徳美氏は「農機の更新は様々な要因が絡み合い、足踏み状態といったところ。しかしコンバインは故障して修理すると高額になるため、思い切って更新しようという動きがトラクタと田植機に比べてあるように思う」と話す。
 トラクタは10月に発売する新製品「TERAST(テラスト)」の25馬力が受注件数を伸ばしており、手応えがあるという。新製品以外では「JB18X SP(18馬力)」、「NB21SP(21馬力)」が一般農家に人気がある。田植機は「PASWEL(4条植え)」、「ASWEL(同)」が人気の機種で主流となっている。大規模担い手には6、8条植えがボリュームゾーンとなる。
 コンバインは「KALWAY(2条刈)」の217、220、323が主流。全農が供給する共同購入コンバインの対抗機種としては「ER448N Limited(4条刈・48馬力)」をあげる。同機はがんばろう!日本農業応援機!をコンセプトに、価格を抑えつつ高出力エンジンで高い能率を誇る。また自動脱こく制御により、ワラくずやロスの少ない綺麗な選別を行う。
 スマート農業関連では、今年8月、嘉川営業所(山口市)にRTK固定基地局を設置した。その結果、後付け自動操舵システムをトラクタや田植機に取り付けた実演依頼が増え、この実演が好評を博している。基地局の設置は今後も増やす方向で検討している。
 営業面については「売上げはもちろん粗利の向上を意識して注力している。特に整備・修理に重点を置くこと。これは新規獲得にもつながるが、整備・修理の徹底という切り口から新たなお客様を囲んでいくというイメージで、しっかり取り組みたい」と道源部長は力を込める。
 ヤンマーアグリジャパン(株)中四国支社(上原茂樹支社長)山口事務所の管内は、離農が進む中、農地の集積は一定の動きで進んでいる。このような状況下で、離農する農家から小型農機(トラ・コン・田)を中心とした買い取りを要望するケースが年々増えつつあるという。また昨今は農機1台を10年以上にわたって使うケースが多いため、点検・修理の仕事量は増加傾向にある。
 県を統括する山口事務所の阿部薫エリアマネージャーは「市場は引き続き厳しい状況にある。一方、4〜8月までのトラ・コン・田の販売実績は、昨年同時期と比べて横ばいで推移した(台数ベース)」と話す。
 米価上昇の機運も高まり、これを追い風とみる一部の大規模農家による実演依頼が例年に比べて増加している。阿部マネージャーは「米の流通も戻っており、今年の米価上昇は一過性のものと推察する。一方、米価上昇は農家の収入に多少なりとも影響すると思う。収入増となった分を来期の計画で農機に投資するという話も聞く」と話す。
 トラ・コン・田の荷動きの他には、管理機も安定的な動きをみせる。管理機はいわゆるホビー農家層に引き続き人気がある。山口事務所前に管理機を展示している効果もあり、都市部のホビー農家の取引につながっている。
 スマート農業関連ではジョンディアの自動操舵システムも台数を伸ばしている。これはトラクタ「YT1、2」シリーズの直進アシスト仕様とともに、畦づくりにこだわる一部のタマネギおよびキャベツの生産者から「直進の精度が高い」と好評を博していることにもよる。
 今後の動きについて阿部マネージャーは「開催自体が目的のイベントでなく、お客様の負担とならずかつお客様の要望を的確に捉えた、地域密着のものを各拠点単位で開催していきたい」と力を込める。
 三菱農機販売(株)西日本支社(長島史治支社長)の西中国支店(都田力也支店長)はこれまで、農業の経営継続を支援する「山口市がんばる農業者支援事業」を事業対象者(個人・法人農家)が活発に利用し、その結果、ハンマーナイフモアを中心とする草刈り関連製品の受注を多く受けるなどの動きがあった。
 同社の担当地域では特に岩国市で離農が進み、営業面での苦戦が続く。一方で、新規就農者の獲得・維持のために、山口県は各種の補助金制度を設けている。そのため新規就農者は少しずつ増える傾向にあるという。新規とは、祖父母から水田を受け継ぐ事例と、一から農業を始める事例があり、後者はハウス内でのイチゴ生産や畑作が多いようだ。
 そうした状況下で今年4〜9月の3機種の荷動きを前年同時期と比べると、台数ベースでトラクタは微増、田植機は微減、コンバインは増となった。県下の農地集積に合わせる流れで、トラクタは30〜35馬力の「GAシリーズ」が好調な荷動きをみせた。
 コストダウンの観点から田植機は「LE50(5条植え)、60(6条植え)」のディーゼルタイプに人気が集まった。また、田植えのシーズンに各営業所で大規模法人向けに実演を繰り返したことが奏功し、新製品「XPS(クロスピーエス)6」の問い合わせや受注が増え、同品の拡販に手応えを感じている。除草剤の価格も上がる中、紙マルチ田植機の実演依頼も増えている。
 3機種以外では三菱ディスクハロー「KUSANAGI」も堅調な荷動きをみせる。同社ホームページ経由の実演依頼が多く、「今日も防府市内の農家から実演依頼があった」と都田支店長は話す。
 今後の動きとしては12〜1月に各営業所で展示会を開催する予定。18〜25馬力トラクタ「GSシリーズ」のフルモデルチェンジトラクタ「XS(クロスエス)」が来る11月に発売予定のため、XSを軸とした農機の拡販活動に注力していく。

 
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  全農山口農機事務所の動向/山口県特集  
     
   JA全農(山口農機事務所)の農機の供給活動は、県内における個人・法人の農業従事者の高齢化が著しく進む中、苦戦を強いられている。米の生産が約8割を占める山口県だが、輸入畜産飼料の高騰から飼料用米・麦のほか、飼料用トウモロコシを生産する動きも進んでいるという。
 今年4〜8月の供給実績は、前年同時期と比べてトラクタが80%、田植機が60%、コンバインが50%だった(台数ベース)。金額ベースでは伸長したが、それでも前年同時期と比べ下回った。トラクタは小型のクラスが減少し、25〜40馬力未満が主流となっている。田植機は6、8条植えの需要が高く、コンバインは4条刈以上での荷動きが活発化している。
 トラクタは生産が終了した共同購入トラクタ「SL33L(クボタ)」を確保し推進を継続、田植機は大規模法人に向けて6、8条植えの直進仕様を推進していく。
 コンバインは共同購入の第3弾となる「YH448AEJU(ヤンマーアグリ)」が注目を集めるが、同所の大中雅之所長は「供給については現時点で厳しい状況。共同購入トラクタは実演によるPRを年中できた。しかしコンバインは刈取時期が集中するため、アピールのタイミングが難しい。受注から納品まで4カ月を要することもあり、本格的な荷動きは来年秋頃とみている」と話す。
 推進面では特にバッテリー関連商品を商談の取っ掛かりとして組合員に提案している。そのほかは、時期前の点検・整備を徹底し、時期中の作業におけるマシンダウン防止を図っている。8月には大規模法人に向けて、コンバインのセルフメンテナンスの講習会を同所の敷地内で実施。オペレータが1人で実施できる保守点検の作業手順を提案した。
 11、12月はトラクタおよび作業機の実演会、農機センターで展示会を随時開催する予定。大中所長は「コロナ禍で大きなイベントは自粛しており現在に至る。しかし、小規模でも的を絞った催事を開催すれば反響はある」と話す。

 
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  山口県の動き/山口県特集  
     
   既述の通り、離農が著しく進む山口県だが、県内における基幹的農業従事者の平均年齢は、72・3歳と全国で第1位である(2020年農林業センサス)。これを受け、新規就農者数を早々にも伸ばしたいと考える山口県はどのような手を打っているのか。
 県は「令和6年度 農林水産部予算の概要」に「施策体系と新規・重点事業等」を設け、以下の4つの柱で構成する施策体系により、各種の施策を展開している。 (1)成長を支える多様な人材や中核経営体の確保・育成(2)県産農林水産物のさらなる需要拡大(3)需要の変化に対応した持続可能な生産供給体制の確立(4)産地の維持・拡大に向けた基盤整備と防災力強化―である。
 (1)では新規を含めて様々な事業を展開する。その中の1つ「地域農業資源リノベーション促進事業(農業振興課)」は6340万円の予算を使い展開している。遊休資産を利活用できる仕組みを新たに構築し、営農を始める際、初期投資のハードルを下げることで新規就農者等の確保を促進すること。これを同事業のポイントにあげる。
 同事業は「地域農業資源継承促進事業」と「地域農業資源リノベーション事業」の2本柱で構成されている。前者は県が実施主体となり、広域情報推進員を設置。県内の遊休資産の情報を集約したWebサイトを構築する。また、モデルコーディネーターを設置し、遊休資産を改修して継承するモデル的な取り組みを行う地域を支援し、継承支援人材を育成する。
 後者は市町が実施主体となり、新規就農者等が中古農機や施設を改修し、営農を始めるモデル的な取り組みの実証経費を支援する。対象となる経費は中古農機および施設の改修経費である。補助割合は3分の1以内とする。
 県は、農林水産業の次代を担う新規就業者について「県内外での就業希望者の掘り起こし活動に引き続き取り組むなど、発掘・募集から技術研修、就業、定着までの一貫した支援体制により、新規就業者の安定的な確保と就業後の定着を図る」とアピールする。

 
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  環境と調和のとれた農業へ/土づくり特集  
     
   みどりの食料システム戦略や改正食料・農業・農村基本法における重要施策のひとつに位置づけられているのが環境と調和のとれた食料システムの確立と農業生産活動における環境負荷の低減。これらの実現には、農薬、化学肥料などの削減が求められ、堆肥による土づくりが有効な手段となる。堆肥の利用は、散布労力や肥効調整など難しい面もあり、更なる技術の普及が期待される一方、ブロードキャスタやライムソワーなどで散布できるペレット堆肥への関心が高まっている。土づくり関連の話題を集めた。
 農林水産省がこのほど開催した食料・農業・農村政策審議会企画部会に提出した資料によると、化学肥料使用量は、原料の輸入依存を低減するため、堆肥や下水汚泥資源等の国内資源の利用拡大とともに、局所施肥技術やリモートセンシングデータを活用した施肥低減技術の導入、土壌診断に基づく適正施肥等の取り組みの拡大等により、2022年は基準年(2016年)の90万3000トンから80万5000トンと約11%低減している。2030年の目標は20%で、現在の進捗率は55%。5年後(令和12年)のすう勢としては、17%程度と試算している。
 有機農業の取組面積は年々増加しており、特に2022年度はみどりの食料システム戦略の策定や、みどり交付金による支援が始まったことにより、約3700ヘクタール増加し、3万ヘクタールまで拡大(2030年度目標:6・3万ヘクタール、進捗率48%)している。
 化学肥料の原料の輸入依存を低減していく観点から国内資源の肥料利用を推進するとともに、環境負荷低減や持続可能な窒素管理の観点からも化学肥料の更なる低減を図る必要がある。
 今後、AI等を活用した土壌診断の高度化等による施肥の効率化や、国内資源を利用した堆肥化・ペレット化施設の整備や化学肥料低減に資するスマート農業技術の開発・普及等を推進することが必要とされている。

 
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  6年度畜産環境シンポジウムから/土づくり特集  
     
   このほど開催された令和6年度畜産環境シンポジウム(主催・農林水産省、一般財団法人畜産環境整備機構)では、堆肥の利用拡大を進めるためのペレット堆肥の製造及び販売方法等が検討された。ここでは、「堆肥ペレットの効率的な生産技術」(畜産環境アドバイザー・薬師堂謙一氏)、「養豚農家におけるペレット堆肥の製造から販売までの道のり」((有)ブライトピック〈千葉県〉代表取締役社長・志澤輝彦氏)の講演の概要をみる。
 〈堆肥ペレットの効率的な生産技術・薬師堂謙一氏〉
 家畜ふん堆肥の利用上の問題点は▽畜産農家でのふん尿過剰、環境汚染▽耕種農家の堆肥利用の減少▽良質堆肥が手に入らない▽化学肥料の利用に比べ散布労力がかかる(堆肥散布労力がない)▽肥効の予測が困難で管理が大変▽コストがかかる―など。
 堆肥ペレットの特徴は、▽乾燥し圧縮成型されているので施用量が少ない▽輸送コストが安い▽耕種農家の所有する散布機(石灰散布機、ブロードキャスター等)で施用できる。
 堆肥ペレットの形状は、直径3ミリ、5ミリ、8ミリなどがあり、8ミリまでであれば石灰散布機で散布可能。実際の利用希望は5ミリが多い。
 牛ふん堆肥ペレットの製造工程は(1)原料受け入れ↓(2)1次発酵(1カ月)↓(3)2次発酵(2〜3カ月)↓(4)ハウス予乾(水分30%以下)↓(5)粉砕↓(6)成分調整混合↓(7)成形↓仕上げ乾燥↓(8)ふるい選別↓(9)袋詰め↓(10)貯蔵↓(11)出荷。仕上げ乾燥で水分15%以下まで下げるのが最大の課題だという。堆肥の前処理で、金属、石、砂など異物を除去することも重要で、異物があると、成形機部品(ダイスなど)の消耗・交換でコスト高になる。
 成分調整成型(ペレット)堆肥と従来型堆肥のコスト比較については、小袋入り堆肥(40リットル)では、成分調整成型堆肥の方が安価。フレコン入り堆肥(1立方メートル)ではほぼ同等の金額。バラ堆肥では、輸送距離が100キロ以上でペレットが有利。
 ペレット堆肥の適応例をみると、ホウレンソウでは、牛ふん堆肥と豚ぷん堆肥の混合、葉の厚いものができる(熊本の市場で1、2番の品質)。ネギでは、とう立ちが遅くなり収穫期間が1週間延長。その他、慣行栽培と同等以上の品質、収穫量のものはメロン、イチゴ、トマト、キャベツ、大豆、麦、米、ニンジン、カボチャ、カンショなどの例がある。
 〈養豚農家におけるペレット堆肥の製造から販売までの道のり・志澤輝彦氏〉
 ブライトピックは、15年前から、千葉県旭市を中心とした水田で生産した飼料用米を豚の飼料として給与し、排出された糞尿を堆肥として還元する「循環型の耕畜連携プロジェクト」を立ち上げ、海外に依存しない畜産経営を行ってきた。
 2022年3月末に、銚子農場にペレット製造機1号機を設置した。
 導入したのは、(株)垣内(高知県南国市)が製造するペレット製造機「造粒くん」。
 銚子農場でのペレット化の流れをみると、(1)豚舎から出た糞や浄化槽の汚泥(2)コンポストで堆肥化(3)スクリュー式堆肥舎で2次発酵&水分調整(4)ペレット製造機でペレット化(5)乾燥(6)梱包(7)出荷。「造粒くん」でのペレット化の仕組みは、(1)投入口に原料を準備(2)原料ベルコンを経由し振動ふるいへ(3)振動ふるいにてゴミなどの異物を除去(4)原料が「造粒くん」に投入される(5)造粒くん内で原料がペレット化(6)ペレット化されたものは冷却設備へ。
 製造工程(1)水分調整
 コンポストにて生産された堆肥の水分調整を行う。目標の水分含量は22〜23%ほど。水分量が多いとペレットが柔らかくなりすぎ、低すぎるとペレット化できなくなる。
 製造工程(2)造粒機
 ペレット製造機に投入された堆肥はふるいにかけられてから造粒機を通りペレット状に。造粒機の「ダイス」には無数の穴が開いているタイヤのような部品があり、そのダイスの穴を通ることでペレット状になる。
 製造工程(3)冷却装置
 圧縮されペレット状になったばかりの物は熱を持っており、そのままだと崩れてしまうので、冷却装置で風を当てて冷やす。
 製造工程(4)乾燥↓梱包
 冷却されたペレットは状態をみて必要であれば乾燥させる。出荷は主にトランスバックに梱包して出荷している。必要に応じてバラでトラックに積み出荷を行っている。 ペレット堆肥の販売は富士見工業(株)(静岡県静岡市)が行っている。取引内容は▽1袋500キロのフレコンでの取引▽ペレットの水分含量は18〜20%以下を目標にしている▽月に3台(1台21トンのペレット堆肥の出荷)、年間で756トンのペレットを出荷している。
 この間のペレット堆肥の生産量と販売量の推移は、令和3年度は生産8・5トン、販売なし。4年度は生産1007・7トン、販売519トン。5年度は生産1373トン、販売937トン。目標は生産1250トン、販売1250トンとしている。
 志澤氏は、大量に発生する堆肥の対策としてペレット化を試行。現在ペレット担当人員2名で、1日3〜4トンのペレット堆肥を生産している。今期は8月までに4300万円の売上げとなっている。売上げは、まだまだだが、「千葉県旭市周辺では、堆肥は産廃業者に有料で処理してもらうような地域なので、収益に貢献している」と、今後の普及に期待を寄せている。

 
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  日本土壌肥料学会が創立100周年シンポジウム/土づくり特集  
     
   一般社団法人日本土壌肥料学会(藤原徹会長)は7月、学会創立100周年記念事業公開シンポジウムシリーズ「サステイナブルな未来を創る土壌・植物科学」の第2回「持続的食糧生産」をオンラインで開催した。
 今回はCO2を吸収して生長する作物の研究開発に焦点を当て、土壌微生物と植物の関係を利用した食料生産や、作物生産に不可欠かつ温室効果ガス(GHG)発生を引き起こす肥料の利用を少なくしたり作物増収を実現する研究開発の現状、土壌汚染に対する作物改良についての研究と応用例などを第一線の研究者が紹介した。
 シンポジウムでは、▽土壌微生物を利用した持続的食糧生産(大津直子氏・東京農工大学大学院農学研究院教授)▽栄養の利用効率を高めた植物の作出(三輪京子氏・北海道大学大学院地球環境科学研究院教授)▽ポスト緑の革命・イネの増収をめざして(牧野周氏・東北大学名誉教授、東北大学高度教養教育機構・特定教授)▽肥料を少なく与えても生育するイネの開発と特徴(大森良弘氏・東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)▽汚染物質を吸収しない作物の作出と利用(石川覚氏・農研機構農業環境研究部門化学物質リスク研究領域無機化学物質グループ長)―の5講演が行われた。
 大津氏は持続的な農業に求められる肥料削減に役に立つ土壌微生物について紹介。大津氏らはヨーロッパの土壌に存在する冷涼・乾燥に強い根粒菌を単離のうえ培養して微生物資材として開発することで、大豆栽培を改善させる研究を進めているとした。また、肥料3大要素である窒素・リン酸・カリウムのうち、施肥したリンの多くが土壌中の成分と結合して沈澱してしまい、植物が使えない状態になっていることから、これには有機酸などを分泌して土壌に固定されたリンを溶かし出す「リン溶解菌」が有用と説明。稲や大豆の根の付近からリン溶解菌を単離して微生物資材とする研究を進めており、これによりリン肥料を減らすことができるのでは、などと期待を寄せた。
 一方、牧野氏らは窒素肥料を効率よく利用できる超多収イネの開発を目指して、光合成やバイオマス生産の改善などについて研究。光合成能力の律速要因が光合成の炭酸固定酵素であるルビスコであることを見出し、遺伝子組み換えによりルビスコの量を増やすことを試みた。その結果、約30%増やすことに成功し、葉の最大光合成速度も約10%向上したという。さらに、ルビスコ量を減らした稲の作出も行い、減少に応じて光合成速度が下がることも確認したなどと説明した。

 
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  多彩な現場へ提案営業/埼玉県特集  
     
   埼玉県は1都6県に囲まれた内陸県で、全域が都心から100キロ圏内にある。大消費地である首都圏の中央部に位置する生産地であることや、温暖で比較的災害が少ない自然条件に恵まれた地の利を活かし、米、麦、野菜、花き、果樹、畜産など多彩な農業生産を行っている。生産現場では担い手の減少や高齢化が進み、熟練農家の引退が増加している一方で、農地集積化などによる1経営体当たりの耕地面積の拡大も目立ち、農家の二極化が進展中だ。首都圏の重要な食料供給基地である、埼玉県の農機流通動向を取材した。
 
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  市場の概況/埼玉県特集  
     
   埼玉県の令和4年の農業産出額は1542億円で全国21位。中でも野菜の産出額が全国9位、花きおよび茶、麦類が7位と高い。野菜のうちサトイモが産出額全国1位、ネギ、ホウレンソウ、コマツナ、カブが2位で、全国有数の生産地となっている。
 米の産出額は全国18位。県東部の早期栽培、中央・西部の普通栽培、北部の米麦二毛作など、地域条件を活かした様々な稲作を展開する。
 同じ県内でも地域によって栽培する農産物が大きく異なるのも特徴で、春日部や久喜などの東部は米が、本庄や深谷などの北部は野菜畑作が、それぞれ盛ん。北部、西部では酪農が行われており、流通する農機の種類も幅広い。
 令和2年時点の県内の総農家戸数は4万6463戸で、減少傾向が続いている。元々は中小規模の農家が多かったが、高齢化や後継者の不在などにより離農が進み、農地集積で大型化する農家との二極化が進展している。担い手の中には経営規模より大きな設備投資をしている農家も多く、新技術の導入や設備投資への意欲は高いという。
 新規就農者数は近年、300人を上回る水準で推移。このうち7割近くが野菜農家となっている。
 多彩な経営類型を背景に、各販売店とも地域に合わせた農機をそろえ、展示会や個別実演会を展開する一方で、地道な訪問活動も続け、修理・整備提案などを積極的に行う。顧客との対話によりニーズや課題を探り、きめ細やかな営業展開で、首都圏の食料供給基地をサポートし続ける。

 
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  各社の対応/埼玉県特集  
     
   (株)関東甲信クボタ(冠康夫社長)の横田真吾執行役員・関東営業事業部副事業部長は今年の状況について「7月の価格改定前はトラクタが好調で、特に中型トラクタが絶好調だった。GSなどスマート農機の販売台数も増加した」と振り返った。逆に田植機、コンバインの伸びはやや低迷している。価格改定後の8月以降も、計画達成率は好調を維持している。この要因について横田副事業部長は「若い営業マンが一生懸命、訪問活動をしている成果だ」と述べた。以前は展示会などのイベントが新規客獲得の契機となっていたが、コロナ禍以降は個別の訪問活動へとシフトしている。関連商品も含めた農機に関する質問に丁寧に回答するなどの対応が、新規客の獲得につながっているという。客層拡大の場から、見込み客への訴求の場へとイベントの役割が変化する中、同社では昨年、栃木県で「クボタスマート施設園芸展」を初開催した。横田副事業部長は「県にはハウス農家もある。今後は、施設園芸を視野に入れた領域拡大のための活動も必要だ」と強調。開催意義の1つとして、施設園芸関係者との接点づくりができたことをあげた。
 冠社長の掛け声でもある「背暗向明(どんな状況下でも、明るい方向に向かおう)」を胸に、川越・鴻巣の2拠点1チームで、来年に向けて実演会などの山場づくりに臨みたいと、横田副事業部長は意欲的だ。
 ヤンマーアグリジャパン(株)関東甲信越支社(杉山靖彦支社長)関東営業部埼玉ブロックの右島保エリアマネージャーは、昨年度の売上げ実績について「7月の価格改定を受け、駆け込み需要はあったが、それ以降はその反動から苦戦した。最終的には、概ね前年並みで締まった」と述べた。
 今年度は、昨年の影響もあり計画からは少し遅れているが、イベントなどの成果もあって持ち直しつつある。また、力を入れているサービス事業が好調。「お客様へのさらなるサービス向上に努めていく」とした。
 9月に熊谷地域でトラクタを中心とした展示・実演会を開催。実際に機械を動かしての実演をメーンとし、直進アシスト仕様の試乗コーナーなどが人気を集めた。右島マネージャーは「一度スマート農機を体感すると、お客様の反応が変わってくる」と、実演の効果を強調する。
 埼玉ブロックでは今年5月から、営業社員ごとにトラクタの実演機を準備し、自由に活用できるようにした。「試乗、販売、貸出など、営業社員の活動に応じた取り組みを行っており、契約につながっている」と、手応えを感じている。
 「農家ごとの課題を認識・共有し、各人がその解決に向けた提案を行うことが重要になってくる」と右島マネージャー。営業社員が主体性をもち、それぞれが柔軟に対応することで、さらなる販売強化を図っていく。
 (株)ヰセキ関東甲信越(瀧澤雅彦社長)の広瀬三喜男執行役員埼玉営業部長は、昨年の状況について「トラクタ、田植機の春製品は前年並みだったが、台当たり単価の高いコンバインは3月の価格改定を前に駆け込み需要が旺盛で、前年比2ケタの伸びとなった。必要な機械に投資する経営意識の高まりを感じた」と振り返る。
 今年は年初よりトラクタが好調に推移し、T.JapanシリーズやBFシリーズの中〜大型機種が全体を牽引。また、大規模イベントとして2月・7月に展示会を開催し、いずれも1000人以上が来場した。会場ではBFトラクタや新型コンバインFMシリーズの試乗会も行った。「今まで使っていた農機との違いを体感した上で、購入を検討していただきたい」と広瀬部長は言う。
 イベント時以外に、個別実演会も積極的に開催。3月に実施した実演会では圃場にBFトラクタ5台を持ち込み、多くの来場者がその良さを体感した。また、実演会には同社社員も20人以上参加し、研修を兼ねたものとした。実演会は、社員にとっても製品知識を高める良い機会になっているという。
 広瀬部長は「米価が良い今、秋の商材をどれだけ受注できるかがポイント。これまで以上に個別実演をこなし、コンバインなどの販売につなげていければ」と営業戦略を語る。また、「下期はコンバインの推進がカギを握っている。好評を博しているFMシリーズと低コスト農業応援機『HFR4050』を全面に打ち出し、集合・個別実演を積極的に展開していく」と、今秋への意気込みを強く語った。
 三菱農機販売(株)関東甲信越支社(平木郁夫支社長)南関東支店の角田富穂支店長は、今年の状況について「トラクタとコンバインの販売台数は昨年並みだが、田植機はやや減った」と述べた。
 同支店がある熊谷周辺は米農家が中心で、離農する小規模農家と、集積化により大型化する農家とが、ますます明確になってきているという。「離農する農家が圧倒的に多いが、仲間とともに新規就農する若者もいる」と言い、彼らの購買意欲に訴えていく考えだ。
 今年度の大きな取り組みの1つに、幸手市オーガニックビレッジ推進事業への協力がある。幸手市は、稼げる農業の実現を目指して有機農業に力を入れており、今年度から同社の紙マルチ田植機の活用を推進することとなった。これに伴い同社は、有機栽培や紙マルチ田植機についての説明会などに協力。「まずは市が紙マルチ田植機を1台購入し、希望者に貸し出す取り組みから開始する。来年度以降の本格的な動きに期待したい」と角田支店長は言う。
 同社は昨年8月、販売管理システムを導入、今年9月から本格稼働を開始した。営業記録や顧客情報なども管理しており、同システムを活用することで、より効果的な販売戦略の立案が可能になると、今後の展開に期待をかける。
 (株)トミタモータース(桑波田信久社長)の昨年の状況は、トラクタが好調、コンバインは横ばい、田植機が微増となった。新車の販売台数が控えめだった代わりに中古機が好調で、前年より3割近く増加。主要3機種全てで、中古機の販売台数が新車を上回った。
 今年に入り、草刈機の動きが目立って良い。「昨年も好調だったが、今年はそれ以上。毎日1台ずつ売れている」と桑波田社長。主要3機種にはそれほどの動きはないが、秋に発売予定のクボタの新型トラクタ(TERAST ST25、ST31)に期待をかける。
 今年5月、自動操舵田植機や農薬散布ボート、ドローンなどのスマート農機に特化した実演会を実施した。このうち農薬散布ボートは県からの補助金を受けた自社開発商品。「開発まで行っている販売店は、全国的にもほとんどないのでは」と桑波田社長は自信をのぞかせる。展示会には予想以上に多くの人が来場し、スマート農機への関心の高さを感じたという。
 整備技術の高さも同社の強みだ。冨田英則会長が社長だった10年前に、大型機械対応の整備工場を建設。クボタの認定工場として万全のサービスを提供できることが、大きなアピールポイントとなっている。今後は高い整備技術を活かし、中古機の全国的な買取事業への本格参入を目論む。「優良中古機を仕入れ、きちんと整備し、ほしい人に届けていきたい」と、桑波田社長は新事業に向けて力を込めた。
 (株)ホソダ(河口淳子社長)の河口拓也専務取締役は、昨年の実績について「トラクタは平年並み。田植機とコンバインは伸び悩んだ」と述べた。その要因として、稲作農家の高齢化と離農をあげた。後継者不在のため、大規模農家に任せる傾向がますます進む。
 今年に入ってからは、全体的に順調な推移が続いている。法人経営の大規模農家が、補助金を活用して大型農機を購入するケースも目立つという。多くの制度が大規模農家を対象にしたものであることから、同社もそこへのアプローチを強化していく方針。米価上昇を背景に、「節税対策にもつながる農機の一括償却などを提案していく」と戦略を語る。
 社員全員が農業機械整備士1級を取得している同社にとって、整備・修理事業は大きな強み。「2016年から社内のDX化を推進している。情報の取得や共有を迅速に行うことで、スピーディーな課題解決を心がけている」と河口専務。高い技術力に加えICTを活用することで、素早く有効な提案ができ、サービス向上につながっているという。
 11月には、例年通り展示会を予定。近年はお祭り的な要素を減らし、本気で農機購入を考えている人が集まるイベントへの転換を進めている。河口専務は「農家の方々が役立つ情報を得られる場として、独自色を打ち出していきたい」と、さらなる変革に意欲的だ。今後の同社のイベントにも注目していきたい。

 
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  JA全農さいたまの動き/埼玉県特集  
     
   JA全農さいたま生産資材部農機課の昨年度の農機取扱高は、27億7300万円。計画の93・9%、前年比102・7%となった。これについて福田和幸課長は「厳しい状況が続いたが、コンバインは更新時期が重なり前年比130%。草刈機も好調で販売増となった。展示会などのイベントで見込み客は確保できたが、資材の高騰や米価の下落などの影響で、お客様の買い控えが非常に目立った」と所感を述べた。
 2024年1月27、28日に、JAグループさいたま恒例の「第62回農業機械大展示会」を開催し、約3000人が来場した。直前に第3弾共同購入コンバイン(ヤンマー・YH448AEJU)が発表されたことを受け、目玉商品として展示。イベント期間中に4台を受注した。全体の受注実績は8億2100万円で、計画9億5000万円の86・5%に留まった。実物を見たいという人が多く来場したものの、購買意欲は低調だったという。
 「埼玉農業は、中小農家に支えられてきた。最近は、農機の故障を機に離農する人が増えており、その影響からか、2条刈のコンバインがほとんど出なくなった」と福田課長。地域ごとに担い手農家が絞られ、集積化・大型化が進んできているという。新規就農者の圃場が、数年後には何ヘクタールにも広がっているケースも散見されるそうだ。
 今年度に入ってコンバインの受注は上向き。また、関東6県の共同購入トラクタ1台を所有し、農協に向けた実演会を行うことで注文につなげている。
 「これからは、小規模な実演会を増やしていくことが必要だ。細かく製品説明を行い、実際に乗っていただき、その機能を実感できると、お客様の購買意欲も刺激されるようだ」と手応えを感じている。
 生産資材部のある建物の隣には、実演用の圃場が整備されている。今後も、トラクタやラジコン草刈機などの実演を促進していく。
 JA全農さいたまは、農協への営業支援にも力を入れる。全農職員が農協農機センター職員と同行して外回りを行い、戸別推進活動をフォロー。イベントや農作業安全のチラシなどの配布を通じて、農協職員の外回りへの抵抗感をなくし、自主的な営業活動で販売力向上を目指す。
 また、昨年度下期から取り組んでいるトラクタの拡販対策においては、販売成績の良かった職員に電動ドライバーを進呈するなどのインセンティブ制度を採り入れた。
 「若者不足、人材不足が課題。今いる人材に十分な力を発揮してもらえるよう、労働環境の整備なども考えていきたい」と福田課長は言う。
 来年1月の「第63回農業機械大展示会」では、初めて土・日ではなく金・土開催を予定している。今後も継続的に開催していくため、関係者の負担軽減を検討した結果だ。時代の流れに対応し、これからも新しい取り組みを続けていく。

 
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  8年度にロボット開発拠点開設/埼玉県特集  
     
   埼玉県は現在、令和8年度の開所を目指して「SAITAMAロボティクスセンター(仮称)」の整備を進めている。
 今後、市場規模拡大が見込まれるロボット産業に、県内の中小企業が積極的に参入することで埼玉発のロボットを全国に広げ、県の産業振興と経済発展を図ることがねらい。農林水産、建設、物流、介護など6分野を対象に、社会的課題解決に役立つサービスロボットの開発を支援していく。
 約11ヘクタールの施設内には、ネット付きドローン飛行場、模擬市街地フィールドといった実証フィールドと、屋内ロボットの実証実験などが行えるロボット開発イノベーションセンターを備える。隣接地には企業5社を誘致。同センターと併せて先端産業の集積化を図り、効率的な技術開発を後押しする。
 また、同センターの開所に先立ち、令和5年7月に「埼玉県ロボティクスネットワーク」を設立。ロボット開発に関わる企業や団体、大学などが集まり、協働して技術開発や社会実装を促進しようという取り組みで、9月現在の会員数は856者にのぼる。
 同ネットワークでは分野別研究会を開催しており、8月の農業編では、農業ロボットの社会実装チャレンジや、異業種からのスマート農業参入の事例紹介が行われた(弊紙9月16日号既報)。講演後のグループ別ワークショップや名刺交換会では、参加者間のマッチングを促進し、新たなロボット開発プロジェクトの創出を目指す。

 
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  第77次欧州農機事情視察団決まる/農経新報社企画  
     
   (株)農経新報社企画による第77次欧州農業・農機事情視察団のメンバーがこのほど決定した。今回は17名が参加、11月9日から7日間の日程でイタリアのボローニャ、フランスのパリ2都市を歴訪する。
 一行は9日午前9時05分、羽田空港発エールフランス航空281便にてパリ経由でボローニャ入り。翌10日、同地で開催されるEIMA2024を視察する。
 
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