各社の対応:大規模化で商戦変化/三重県特集

㈱東海近畿クボタ(森藤雅隆社長)は、三重県内の農機市場について、昨年の米価上昇に加え、2026年7月の価格改定を前に6月まで駆け込み需要がみられた。7~8月は一服し、「今はちょっと様子見になっている」と東海事業部長の神野栄治氏は話す。今年産米の概算金下落の影響はこれから現れるとみる。
2026年1~7月の販売台数は、トラクタが前年同期並み、田植機は前年を上回り、コンバインは前年を下回った。トラクタは30~60馬力帯の中型、田植機は6、8条植え、コンバインは6条刈など大型機が動いた。6、8条植えの田植機では直進アシストが多くなり、省力化を求める動きが定着している。
一方、農機や作業機は納期の長期化が課題となる。機種によっては3~4カ月を要し、作業機には来春に間に合うか見通せないものもある。「時期中に壊れても、『ありません』では困る。ちゃんとモノはきてほしい」と神野部長。早めの受注が欠かせない。
商談では、価格だけでなく「どうすれば効率が上がるか」「手間を省けるか」という相談が増えている。担い手への農地集積が進む中、作業能率を高める提案の重要性も増す。
関連商品では草刈機の需要が強く、除草、防除への関心も高い。
営業活動では点検・整備を重視する。神野部長は「機械の状態を維持し、止めずに動かすことが大事」と話す。
繁忙期前の計画的な入庫を促して不具合を防ぎ、更新提案につなげる。人材確保・育成が課題となる中、営業所では複数人で顧客を支える体制づくりも試行する。
また、上野営業所(伊賀市)では工場を改修しており、年末の完成を予定する。大型機に対応できる整備体制を強化し、機械を長く使うためのサービス力をさらに磨く。
年末市場は、米価下落で一般農家の慎重姿勢を見込む。同社では年末に向けて売上げだけを追わず、先行受注を積み上げ、次期需要の確保につなげる。
ヤンマーアグリジャパン㈱中部近畿支社(菱谷竜一支社長)は、三重県内の農機市場について、
受注は堅調に推移しており、順調な状況が続いている。2026年4月の価格改定前の2~3月は駆け込み需要がみられたが、改定後も受注は底堅い。昨年の米価上昇も農家の投資意欲を後押ししたとみる。
一方、主要3機種は需給がひっ迫した状況が続く。3月末までの受注分にも納品を待つ案件があり、「商品が入ってくれば、目標を上回る手応えがあります」と森崇エリアマネージャーは話す。販売現場では納期を見据えた早めの商談が一段と重要になっている。
2026年1~8月の販売台数は、トラクタ、田植機が前年同期並み、コンバインはやや下回った。トラクタは45~100馬力帯が動き、小型クラスは減少した。田植機は4、6、8条植えが中心。コンバインは6条刈など担い手向けが堅調で、大型機が販売金額を支える。
農機選びにも変化がみえる。「誰が作業しても同じようにできる機械が望まれている」と森エリアマネージャー。担い手の規模拡大や人手不足を背景に、経験の差を補う機能への関心が高く、直進アシストなどを備えた仕様を積極的に提案する。
主要3機種以外では、大型トラクタに装着する海外製作業機への関心が高い。草刈機も好調で、セルスタータ搭載のラジコン草刈機「YW500RC,AE」は伊賀地域を中心に県内各地で販売が進む。担い手には草刈りを含む管理作業の省力化も重要となる。
サービス事業も前年を上回る。昨年の米価上昇を背景に点検・整備の入庫が増えたが、2026年産米の概算金下落による小規模農家層の点検需要への影響を懸念する。更新を見送り、修理・整備で機械を長く使う需要も見込む。
年末に向けては全戸訪問を進め、簡易点検から修理、部品交換、更新提案へつなげる。森エリアマネージャーは「年末までに全戸訪問して、お客様の要望をしっかりとヒアリングしたい」と話す。農家との接点を増やし、次の需要を拾い上げる構えだ。
㈱ISEKI Japan関西中部カンパニー(南孝明社長)によると、県内農機市場について、昨年からの米価上昇や7月までの価格改定前需要を追い風に、堅調に推移した。
三重営業部の牛場伸吾部長は「営農を続ける上で必要な農機への投資は続いていると思う」と話す。
一方、個人農家の高齢化が進み、農機の故障を機に離農するケースもみられる。その農地を担い手が引き受け、規模を拡大する動きが強まっている。
2026年1~8月の販売状況はトラクタ、田植機、コンバインともに前年同期を上回った(台数ベース)。トラクタは60馬力前後が中心で、25馬力級も動いた。田植機は6条植え、コンバインは3、4条刈が中心となった。受注好調を背景に生産待ちとなる機種もあり、納期を見据えた早めの提案活動を進めている。
商談では、作業能率への関心が高い。トラクタはキャビン仕様が多く、田植機では直進アシストの装着が進む。牛場部長は「作業の効率化に対するニーズは確実に高まっている」と語り、ロータリやカルチなど作業機を組み合わせた提案にも力を入れる。
関連商品では草刈り関係の需要に期待する。ラジコン草刈機やバッテリー式刈払機の荷動きも活発だ。水田の雑草対策ではアイガモロボへの引き合いが増加しており、省力化への関心は主要3機種以外にも広がる。
サービス面では人材不足への対応と技術力向上が課題だ。スマート農機の普及で故障への対応も難しさを増しており、研修を重ねて現場の対応力を磨く。
秋以降はトラクタの提案と乾燥機の早期受注に力を入れる。中でも前面に出すのが新型トラクタ「BJシリーズ」。65~105馬力をそろえ、10月には鈴鹿営業所の近隣圃場で実演会を開く。作業機を装着して試乗してもらい、性能を訴求する。牛場部長は「BJシリーズを通じて、規模拡大を進める担い手層への提案を強化したい」と話す。
年末に向けて米価の動向を注視し、個人農家層では設備投資に慎重な動きも予想される。一方、規模拡大を進める担い手では計画的な機械更新が続く見通し。離農と農地集積が進む市場で、新型BJシリーズを武器に、次の需要を掘り起こしていく。





