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令和8年3月9日発行 第3590号 掲載

コートジボワール訪問/JICA専門家が活躍・アフリカ農業への道①

米食が広がり、米の増産とともに関連農業機械のニーズが高まっているアフリカ市場。アフリカはまさにこれから本格的な農業機械化が始まるところであり、ポテンシャルが大きく、注目が集まっている市場である。弊紙ではそのうちコートジボワールの状況について、この2月まで12回にわたりAFICAT(日・アフリカ農業イノベーションセンター)コートジボワール視察の連載にて伝えてきた。同連載に続いて、本号からはアフリカにて活躍するJICAの農業機械化専門家・大石常夫氏による寄稿にて、現地事情を紹介する(不定期連載)。 ◇ 広域担当の持続的農業機械化促進アドバイザーはガーナを拠点に活動しているが、担当国の1つであるコートジボワールを2月末に訪問したので、その活動について報告をする。 今回の出張では、JICAのコートジボワールに対する農業機械化支援の一環である無償資金協力事業「農業機械サービス向上のための機材整備計画」(総事業費7・6億円)の実施状況を確認した。この事業は、国内産米振興に資する農業機械を同国農業省コメセクター開発機構(ADERIZ)に対して供与するものである。供与された機械は、耕うん機23台、大・中型トラクタ37台、汎用式コンバイン15台などで、これらはADERIZから耕起や収穫サービスを提供する企業(農機サービスプロバイダー、あるいはコントラクターと呼ばれる)に貸し出され、主にコートジボワール中部地区の稲作農家に対するサービスに活用されることになっている。同国で稲作に従事する農家は小規模農家が多く、かつ同国の経済状況から個々の農家が農業機械を所有することは容易ではないため、農機サービスプロバイダーの果たす役割は大変大きい。JICAは、2030年までにアフリカの米生産量を倍増させるCARD(アフリカ稲作振興のための共同体)の目標に沿った戦略的な取り組みを進めており、技術協力プロジェクトのPRORIL2(コートジボワール国産米振興プロジェクト2 2021年2月~2026年2月)では種子生産、金融アクセス、収穫後処理、米バリューチェーン等の強化を進め、農業機械関連では農機サービスプロバイダーの能力強化を行ってきており、今回の機材供与は満を持して行われたものといえよう。 2月9日に機材の引き渡し式が既にコートジボワール首都ヤムスクロで行われており、約40人が参加して機材の供与を祝福した。(参考‥https://www.facebook.com/JICA.Cote.dIvoire/) 今回のコートジボワール出張では、機材供与後の運営管理に関するADERIZ職員研修の様子を視察した。これは無償資金協力におけるソフトコンポーネントと呼ばれるもので、機材供与に不可欠な技術研修や運営管理のシステム導入支援などで構成されている。この業務に従事するのは㈱アンジェロセックの安島氏で、日本で自動車運送会社での整備士経験、自らの整備会社の設立を経て、ルワンダにて2年間、海外協力隊として職業訓練校で自動車整備を教えた経験の持ち主である。2023年にルワンダから帰国して、昨年からは同社にて農業機械化の国際協力事業に携わっている。 安島氏らソフトコンポーネント担当チームによる研修はヤムスクロのADERIZ種子センターで15日間開催されており、視察時には供与機材の操作・整備方法に加え、修理サービス用トラックの装備や使用法についての実習が行われていた。 安島氏はADERIZが過去に自ら購入・使用した農機の中には使用記録が適切につけられていないものがあることや、電装系部品に対するより丁寧な扱いの必要性を指摘していたが、一方でADERIZによる農機維持管理で中心的な役割を担う修理サービス用トラックの担当整備士は、農機販売会社の勤務経験を基にした修理の知識があり、サービストラックのクレーンの操作も慣れていて、有効に活用されていくことが期待されているという。指導者による説明に対して参加者たちが真剣に耳を傾けながら実習をしていたことが印象的であった。 安島氏は、日本での整備士と協力隊での経験をもとに、今後は引き続き農業機械のみならず、建設機械関連の国際協力事業にも携わっていきたいと目を輝かせながら語っていた。農業機械の維持管理が頻繁に課題となる中で、機械整備知識の豊富な人材の活躍に期待したい。 若手人材が国際協力に従事できる機会として海外協力隊がある。昨年9月に案内をしたコートジボワール熱帯技術公社(アビジャン自治区ポールブエ市)への協力隊を現在再募集している。想定されている活動内容は簡易な農業機械の製作や、現地の技術者と共に機械のメンテナンスを行うことで、資格要件は20~45歳、実務経験(3年以上)でカイゼンの知識・経験があるとなおよい。詳細は海外協力隊サイト(https://www.jica.go.jp/volunteer/)まで。 次回以降はガーナにおける農業機械化事情を紹介していく。 ◇ 大石常夫氏=日本国内で自動車整備士、作業機メーカー・㈱佐野アタッチ研究所(現・㈱アグリアタッチ研究所)での製品開発を経験。国際協力分野ではモロッコでの青年海外協力隊経験(平成2年3月より2年間)を皮切りに、日本のNGOや複数国に及ぶJICA専門家として20数年の経験を有する国際協力のベテラン。 JICA経済開発部で国際協力専門員として主に農業機械化の分野を担当、2026年1月から西アフリカのガーナ共和国を拠点に「持続的農業機械化促進アドバイザー」としてAFICAT重点国であるガーナ、ナイジェリア、コートジボワールにおいてAFICAT活動を含む各国の農業機械化支援に従事。

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