各社の対応:主要3機種が順調/長野県特集

㈱関東甲信クボタ(冠康夫社長)の2025年の実績は、過去最高を達成した。米価高騰の追い風を受けて、水稲農家を中心に購買意欲の高まりが顕著にみられたことが要因だ。 長野県内では、主要3機種はそれぞれ順調に推移している。大型で単価の高い製品に動きがあり、売上げの底上げ増につながっている。満遍なく様々な機械が好調。トラクタは25PS前後が主流、田植機とコンバインは4条以上が増えてきた。 草刈機は年間を通して販売台数を伸ばしている。水稲、畑作、果樹などで幅広く活用できるため、法面草刈機を中心に、ラジコン式や乗用など多種多様な製品が普及している。 スマート農機は、GS(直進アシスト)仕様機が人気。直感的な操作ができる自動操舵機能を搭載しており、作業者の熟練度に関係なく、難しい作業を楽に行えるようになった。作業効率化によって人手不足を解消し、持続可能な農業経営の実現に寄与する。 また、営農支援システム「KSAS(ケーサス)」の登録者数が増えている。グーグルマップを利用して圃場の場所、面積、所有者情報などを一元管理。いつでもどこにいても日々の農作業記録をつけることができるようになり、データはパソコンやスマホで確認可能だ。 執行役員中部営業事業部副事業部長兼第7営業部長の横田真吾氏は「これまで農業者の経験や勘に頼っていたものをデータとして見える化し、後継者や若手の育成につなげていく。今後さらに普及を進めて、県内農業を支えていきたい」と展望を語った。 乾田直播に注目が集まっており、各地で実演を開催している。最近は、標高が高い寒冷地での導入事例もあるようだ。各地域での普及拡大にますます期待が高まる。 横田氏は「今年は昨年同様に前半勝負だ。先行受注を強化し、関東甲信スペシャル機の拡販などを進める。いまお客様に提供できる製品を積極的にPRしていく」と意気込む。 昨年6月、安曇野市の信州安曇野スイス村で「クボタサマーフェア価格改定直前大展示会」とスーパー担い手向けの「PREMIUM FAIR」を開催。主要機やスマート農機といった最新機種を幅広く提案したほか、営農相談コーナーを設置。多くの来場者の興味を引き付けた。 また、飯山市の飯山営業所を昨年12月にリニューアルオープンした。営業拠点の環境改善と業務の効率化を図り、より一層充実したサービスを提供していく。今年3月には同所で「オープン展示会」を開き、関連メーカー25社が出展し、盛況だった。 アフターサービスも好調だ。「時期中の順調な稼働を支えるために、声掛けや訪問を徹底している」と横田氏。 ヤンマーアグリジャパン㈱関東甲信越支社(杉山靖彦支社長)の長野県内の2025年度実績は、計画比をクリアした。米価高騰による投資意欲の向上で、特に中核農家や生産法人といった大規模経営体が機械の更新、増車に積極的だという。 コンバインは4条が主流。共同購入コンバインの動きが旺盛で、売上げ増に大きく貢献している。乗用田植機も好調。直進アシストの装着率が高く、当たり前の存在になってきた。6条、8条クラスがメーンだ。 トラクタの販売台数は前年並みで60PSが主流になっている。主変速レバーで思い通りの作業速度が実現できるI―HMTを搭載したYT357RJ(57PS)が県内農家にマッチしている。 草刈機は年間を通して需要が高い。ラジコン草刈機YW500RC、AEが人気。最大対応傾斜角45度で、送信機からの遠隔操作とコンパクトボディーで狭い場所や高さが制限される場所にぴったり。草刈り作業の軽労化に貢献する。 自走式のコンパクトハンマーモアYW450H、490Hも好調。新商品のミニ耕うん機YK600CRは、コンパクトで操作しやすい設計で、初心者でも本格的な野菜づくりが楽しめる。主要3機種の新型機とともに販促を強化していく方針だ。 折り畳み式のハローやロータリー、畦塗機、肥料散布機といった作業機の販売台数が伸びている。 また、昨年7月、乾田直播に関する勉強会を山形村と上田市内で開いたところ、乾田直播関連機械の実演依頼が増えた。関東甲信越支社系統推進部(長野県・山梨県担当)の渡邉哲也課長は「長野県内でも乾田直播への注目度は高い。秋に収穫状況を確認するのが楽しみだ」と笑顔。 点検整備の需要が高まる中、伊那市と山形村に整備工場を構え、充実したアフターサービス体制を整えている。機械の大型化・高性能化に伴って整備内容が高度化しており、1台ごとの整備に時間を要するケースが増加。 整備士の増員も進め、顧客が安心して機械を使用できる環境づくりに力を入れている。 機械を長く大切に使いたいというニーズの高まりとともに、点検整備の重要性への理解が広がっており、特に大規模農家を中心に点検整備が定着しつつある。 業界全体で機械の品薄状態が続く。製品によっては、来年以降の納品になるものもあるという。渡邉課長は「とにかく早めの営業提案をしていかなければ。現状や在庫状況に関して正しい情報を伝えることが大切。これからもヤンマー製品を選んでもらえるように、お客様への丁寧な説明を心がけていきたい」と強調した。 ㈱ISEKI Japan関東甲信越カンパニー(瀧澤雅彦社長)甲信事務所の2025年の売上げは2桁増の伸びで、前年比と計画比ともに超えた。主要3機種は大幅増で田植機は4条、コンバインは4条以上が好調だ。 トラクタの販売台数は前年並みで推移しており、20~30PSが主流になっている。 昨年7月の価格改定前の推進活動により、4条以上のコンバインの受注が多くとれた。昨秋以降は品薄となり、先行受注を強化している。 メンテナンスの依頼が増えており、米価高騰による農家の収入増で「普段よりも念入りに点検してほしい」という要望が多い。業界全体で、機械の供給不足が課題となっている。納品が遅れている製品については、年内は手持ちの機械の点検整備を徹底することで、乗り切ってもらうケースもあるそうだ。 自動抑草ロボット「アイガモロボ(IGAM2)」が人気を博している。ロボットが水田全体を縦横無尽に走り回って水を濁らせることで、雑草の光合成を妨げて生育を抑制する。従来の方法よりも機械除草の回数を削減し、より効率的な雑草対策を実現している。昨年3月にフルモデルチェンジし、従来機よりも大幅に軽量小型化、価格も半額とした。 甲信営業部の松坂進一部長は「アイガモロボを試しに導入してみたいという新規のお客様だけでなく、2台目、3台目を購入するリピーターも多くなってきた。リーズナブルで手が届きやすいため、提案しやすい製品だ」と説明。 スマート農機の普及拡大を目指しており、今年の重点機種としてアイガモロボ、自動操舵システムCHCナビ、ドローンを据えた。 今年3月6、7の両日、伊那営業所と箕輪営業所で「春の展示即売会」を開催した。主要機や管理機、スマート農機、農業用資材などを幅広く提案。特に50PS以上のBFや、TJVトラクタの受注が好調で、全体の実績は昨年越えと、抜群の手応えを得ることができた。 看板商品のBFトラクタは県内各地での実演を強化しており、順調に販売台数を伸ばしている。HSTと遊星ギアを組み合わせた無段変速ミッションや、乗り心地・デザイン性の良さなどが支持されており、馬力帯も県内の圃場にマッチしている。 今年6月、フルモデルチェンジした大規模農家向け「JAPANシリーズ」のトラクタ、田植機、コンバインの〝三銃士〟を発表した。7月17、18日に長野市のエムウェーブで開かれる「JA農機&資材フェスタ2026」で展示する予定で、県内でも販促を強化していく方針だ。 松坂部長は「8月1日から価格改定を実施する。農機フェスタでは駆け込み需要を期待したい。お客様に丁寧に説明し、ISEKI製品の魅力を伝えていく」と意気込んだ。






