市場の概況:農業産出額3206億円/長野県特集

長野県は「日本の屋根」と呼ばれる標高3000㍍級の山々に囲まれている。豊かな森林と清流が織りなす四季折々の美しい自然が魅力だ。総土地面積は1万3562平方㌔と、全国4位の広い県土を有している。 東西120㌔、南北212㌔と南北に長いため、同じ県内でも気候風土が大きく異なる。北信・東信・中信・南信の4地域に分けられ、地域ごとに独自の食文化が育まれてきた。 県土の8割が山地で、海がない。耕地の8割が標高500~1500㍍に位置し、水田の3割は傾斜地に存在している。変化に富んだ自然条件や、三大都市圏に近い立地条件を活かして園芸作物、米、きのこ類などの生産が行われ、水稲の10㌃当たりの平年収量が高いのが特徴だ。 農林水産省の「2025年農林業センサス」によると、農業経営体数は3万4825経営体、総農家数8万2542戸、販売農家数3万2879戸とそれぞれ全国1位。 2024年の農業産出額は3206億円(全国11位)。そのうち果実1036億円、野菜1026億円、米635億円、畜産280億円、花き157億円。2024年の農産物の生産状況をみるとセルリー、レタスの収穫量、カーネーション、アルストロメリア、トルコギキョウの出荷量が全国1位。ハクサイ、ブドウ、リンゴの収穫量が全国2位となっている。「きのこ王国」としても知られ、ぶなしめじ、えのきたけ、エリンギ、松茸の生産量が全国1位。 県は「第4期長野県食と農業農村振興計画」(2023~2027年度)を策定。「人と地域が育む 未来につづく 信州の農業・農村と食」を基本目標に掲げ、長野県の食と農業・農村の目指す姿を明確にしている。 ①皆が憧れ、稼げる信州の農業②しあわせで豊かな暮らしを実現する信州の農村③魅力あふれる信州の食―を3本柱に据え、高い技術力と経営力で農業をさらに発展させ、住民にとって満足度の高い豊かな農村の実現に向けて取り組む。 スマート農業技術の推進についても詳しく明記。担い手不足や高齢化に対応すべく、ロボットやAI、ICTなどの先端技術を活用して農村のDXおよびスマート農機の導入を進め、労力不足の解消と生産性向上を図る。 各経営体に適したスマート農機を提案し、データ分析を含めた高度な利活用に向けた取り組みを支援。スマート農業技術に関する生産者からの相談体制を構築し、試験研究機関や民間企業と連携して、現場の課題に対応した新たな技術体系を確立させる。 スマート農機の能力を最大限に発揮させるため、農地の大区画化を進めて生産基盤を整備。中核的経営体への農地の利用集積・集約化を促進する。無線基地局などの情報通信環境を整え、支援していく。用水の日常管理の省力化を図る。豪雨時の迅速な水門操作と作業時の安全を確保するため、農業水利施設の水門操作の自動化・遠隔化を加速させていく。水田自動給水栓の導入を促し、用水節減にもつなげる。 2027年度までに10㌶以上の大規模水稲経営体におけるスマート農業技術導入率を50%にすることを目標に掲げた。2024年度は45%となっており、年々導入率は高まっている。 機種別にみると、水田センサー、自動給水栓、直進アシスト田植機、収量・食味コンバイン、ドローン、ラジコン草刈機、営農管理システムなど多種多様な製品・サービスが導入されている。 長野県農政部農業技術課の今井博一主査は、「スマート農機はなくてはならない存在だ。県内各地でスマート農機の実演会を開催し、PRを強化している。国や県の補助金を活用して、導入につなげてほしい」と呼びかけた。






