各社の対応:米価高騰の勢い続く/新潟県特集

㈱新潟クボタ(吉田丈夫社長)の昨年実績は、前年比140%、計画比でも大幅超過しての達成となった。米穀事業も計画で2倍と、米価上昇の影響を強く受けた。「米穀売上げを除いても、過去最高の売上げ。特需をいただいた」と吉田社長。主要3機種では、台数ベースでトラクタが前年比130%、田植機、コンバインが120%といずれも好調。スマート化、大型化への対応を打ち出し、トラクタMシリーズは過去最高を記録。例年の2~3倍の動きをみせた。 実演は営業所に配備された実演機を使った現場実演とアグリロボに絞った本部実演の2タイプに分けて実施。特に本部実演は顧客の経営課題解決につながるかを「みどりの食料システム戦略貢献部」で判断し、実演するべき案件かを精査することで、成約率も高まっている。「昨年まででアグリロボの累計受注台数が40台。年内で累計100台を突破する勢い。田植機が半分弱を占める。田植機は個人でも規模が大きなところは購入していただける」と吉田社長。 今年も5月までの時点で、受注、売上げともに前年の2桁増で推移している。アグリロボの勢いも衰えていない。一方で米価上昇の反動がどの程度出るか注視している。 コンバインを筆頭に需要に対して供給不足気味の状況が続く。「これまでのような当月受注、当月売上げや在庫からの売上げは一切できなくなっている」(吉田社長)。 今期の方針としては、来年への受注残の確保と今あるニーズへどう対応していくか、それぞれに目を配りながら進めていく。また、スマート化、大型化への対応は継続し、注力していく。今年5月からNTTe─ドローンの取り扱いを開始。国内製へのニーズにも対応していく。 今年KSAS営農コースが累計で1000軒を突破。県内の栽培面積50㌶以上のスーパー担い手の約半分がKSASに入会している。RTK基地局は2基を新設し、累計15基としている。引き続きKSASに入会すれば無料で基地局が使える。 アフターメンテナンスでは、整備工場のエアコン設置を進めており、今年全工場で設置が完了する予定。拡大する点検整備の要望に応える体制を強めていく。また、工賃の標準化、タブレット端末の活用による効率化なども進めて、さらなる収益向上を目指す。 また、県内で三菱を専売していた個人販売店の7割程度は、同社が受け皿となってサポート。新たなビジネスパートナーを迎え入れてさらに県内農業を盛り上げていく。 ヤンマーアグリジャパン㈱関東甲信越支社(杉山靖彦支社長)甲信越営業部(渡辺健二部長)の昨年度は出だしこそ緩やかだったが、米高騰を反映し受注ベースで前年を上回る注文を得た。渡辺部長は「近年は大規模農家の購買意欲が堅調だったが、米価高騰の中で中小の農家の需要も高まった。壊れたらやめると言っていた農家の方の更新も増えている」と振り返った。主要3機種とも好調で、特にトラクタが伸長した。馬力帯はトラクタなら25~30PSクラス、田植機は8条、コンバインは4条以上が中心となり、YH448Aの共同購入コンバインが求めやすい価格で好調。また、代かき用のハローをはじめとした作業機全般、色彩選別機など乾燥調製機器も好調だった。 今期は4月1日の価格改定の反動が心配されたが、今年に入ってからも好調を維持しており、影響はほとんど感じないとのこと。時期中の田植機がモデルチェンジの影響で供給に苦労したが、来期に向け新型機の受注に切り替えた。農家も『物が直ぐには間に合わない』ことを理解しており、来期に向けた提案活動の追い風となっている。コンバインについても同様で、「今、注文を入れておかないと、いつ納品になるかわからない。とにかく物の確保を急ぐよう呼びかけている」(渡辺部長)。 昨年は集落実演をメーンに主要機のほか、ラジコン草刈機、スリップローラーシーダーなどを実施。各セールス集落実演回数の目標を達成できたが、春の時期から年間を通して本機の納品が増え、お客の引き合いによる持ち込み実演は件数を減らした。渡辺部長は「集落実演は普段なかなかうかがえない他社ユーザーに、ヤンマーの取り組みを知っていただく良い機会。特にスリップローラーシーダーなどは貯えてきた知見があるので、お客様への良い提案になっている」と話した。 そんな状況から営業方針も転換した。「これまでのように実演機を準備し、壊れたらすぐに使っていただくことで購入につなげるスタイルはできなくなった。壊れる前に早めの提案を行うことで、お客様がお使いいただく時期に商品を間に合わせるよう勧める」という。時期を迎えるコンバインを中心に、今期は田植機のYR06~08と大型トラクタのYT4~5Sシリーズがモデルチェンジ、小型トラクタのNKシリーズが新たに投入された。下期は全方位で営業を展開していく。 直進アシスト機能や自動操舵、ドローンなどICT農機も当たり前になってきた一方、ロボットトラクタやオートコンバインの導入は、まだまだ補助事業頼みとなっている。今後の動向を見極めていく。 中東の影響でオイルの入荷が読めなくなってきている。米価高騰を背景に大型・担い手農家だけでなく、中規模農家からのコンバインの点検整備依頼が増加している。県内の大型ASCの活用や、時期の異なる拠点と協力して収穫時期までに整備を完了できるよう取り組んでいく。 ㈱ISEKI Japan関東甲信越カンパニー新潟営業部(樋口英樹部長)の昨年実績は目標に対し1・2倍、前年に対して1・3倍で好調な業績となった。「米価の上昇により、これまで購入を控えていた顧客層の需要が顕在化した。また昨年7月の価格改定で駆け込み需要もあった」と樋口部長。価格改定前の6月には新潟事務所で大展示会を開催し、需要を取り込んだ。通常の展示会に比べて高額製品を購入するユーザーが多く、客単価が上昇。10月に開催した展示会と同様の傾向となった。一方で「通年で製品の供給不足が続き、受注が先行する傾向だった」とも述べた。 主要3機種をみると、トラクタ、コンバインは計画、前年比ともに達成。特にトラクタは50~60PSが中心でかつ直進アシスト付きの高額なものが、コンバインは4条刈以上の大型機が伸長した。また、トラクタは小型も堅調で、RTSシリーズのセミクローラーを中心に動いた。さらにシンプル性能のNTシリーズより、高機能なBFタイプが良好だった。田植機はモデルチェンジが発表されたことによる買い控えもありながら、好調だった前年を維持する形となった。その他、アイガモロボ、CHC―NAVの自動操舵、ハローなどの関連商品も前年以上に伸長。実演はトラクタ、田植機は製品があったため実施できたが、コンバインは実演機を豊富におろせる状況になく、回数は昨年より減少傾向。それでも受注は確保し影響は些少だった。ドローンや草刈り関連製品の実演も実施した。 今年の春需も好調で、5月までは前年を超えて推移している。「春頃、秋製品に動きが出ていた。前もって予約しておかないと買えないという意識が浸透している。我々もそういうアナウンスをしながら活動している」と樋口部長。 今期の方針としては、国産でアフター面も充実しているNTTe─ドローンや人気のアイガモロボ、CHC―NAVの自動操舵など、スマート農業関連製品とともに草刈り関係の製品を中心に推進する。また、大規模農家への推進も強化し、大規模農家向けに乾田直播やフルモデルチェンジした新製品の紹介、今後の補助事業の傾向などのセミナーも開催していく。「大規模農家向けのセミナーは昨年から行っている。単発で終わらせず、今期も継続してやっていきたい」と意気込みを語っている。 アフターサービスは、増加の一途。コンバインの供給不足が懸念されることから、整備や事前点検を促していく。特に格納整備は目標を立てて働きかける。「米価上昇を受け、この2年はアフターの依頼が本当に多い」と述べている。






