各社の対応:市場の変化に対応/愛知県特集

㈱東海近畿クボタ(森藤雅隆社長)の昨年度の実績は前年比増、計画も達成した。「野菜の価格が良かったことで、野菜が主となる地区の実績が好調だった。また、価格改定の7月以降、反動があるかと不安だったが、米価の高騰が追い風となり、これを機にいろいろ買っておこうという方も多くいて、反動はみられなかった」と、神野栄治東海事業部長は振り返った。それは今年に入っても同じで、7月の価格改定前も駆け込みはみられず、落ち着いた感がある。「今年は米価の低下が噂され、慎重になっているように思える。野菜の価格が今年に入り下がっていることも影響している」とみる。愛知県の場合、野菜農家が多いため、野菜の価格が農機の販売にも影響を及ぼす。 トラクタ・コンバイン・田植機の動きをみると、トラクタは野菜価格が影響し、販売台数が伸びていない。一方、田植機は昨年動きが鈍かったが、今年に入って台数・金額とも増加した。コンバインは、台数は下がっているが中型クラスの動きが良く、金額は上がっている。「売上げは増加しているが、全体的に勢いは感じられない」というように、今年販売した製品はいずれも昨年から今年の3月くらいまでに受注した分が納品されたものだ。現在は、受注し続けて随時納品していくことが、営業活動のカギとなっている。現状、受注してもいつ納品できるかはっきりと分からない。そのため計画的な提案が重要になっている。 また、これまでは機械が故障した場合、修理に出していた人が、更新を考えるようになってきた。米価の高騰で、農家の選択肢も広がっている。農家の要望、考え方の変化を見極めながら、製品を提案しなくてはならない。これまでの、〝今あるモノ〟を売ることから、〝未来に必要なモノ〟を提案するという営業活動にシフトしている。 ここ1、2年で営業方法が変化してきているが、「まだ今年の米価は出ていないが、決まった時にどの程度購買意欲に影響するかが注目される」というように、今後も臨機応変に営業スタイルを変えていかなければならない。そのためには、体制強化が必要となる。同社では「チーム営業」をテーマに営業活動の改革を目指している。現状、営業スタッフ1人に顧客からの問い合わせなどが集中している。 「個人の負担が大きいため、皆で顧客情報を共有し、関わってサポートしていけるような体制づくりをしていかなくてはならない」という考えから、モデル拠点を決めチーム営業の取り組みを始めている。 神野部長は「どんなことをやっていけば良いか、お客様にとって何が一番良い取り組みなのかを検証しているところ。人手不足、働き方改革などで、これまでの働き方ができなくなってくる。しかし、我々が効率化を進めていくことで、お客様が不便になってはならない」と語り、限られた時間の中でどう対応していくかを模索し、来年度から全地域での実施を目指す。 ㈱ISEKI Japan関西中部カンパニー(南孝明社長)愛知営業部(鈴木辰行部長)の昨年の実績は、計画・前年比とも増加した。「私が部長になって過去最高の実績だった。米価高騰の影響は大きい。また、大型のコンバインが数多く動いたことも実績を牽引した」と、鈴木部長は振り返った。 現在は、受注してから納品までの期間が長くなる傾向で、納期も〝いつまで〟と明確に伝えることができない。しかし発注しなければ製品が届かないため、顧客には〝今〟決断してもらわなくてはならない。「このような営業は我々も初めてのこと。最初は戸惑ったが、お客様の理解もあり現在は落ち着いてきた。しかし、これまでにない提案力が必要とされている」と、今後は顧客に寄り添った提案力の向上が求められている。 今年に入ってこれまでの実績は前年並みで推移している。「昨年発注した製品が今年に入って納品されたこと、また、関連商品の販売、整備・修理の件数も増えていることにより、上半期は昨年並みの実績を作ることができた」という。 同社は8月から価格改定を行う。「価格改定前の発注は6月で締め切り、7月からは在庫のみを販売。営業スタッフは在庫を常に確認し、ある製品を顧客に提案しているため、在庫もほとんどなくなっている」と、駆け込みでの受注が数多くあったという。 新製品「BJトラクタ」「田植機PJ8」「コンバインHJシリーズ」には、顧客・社員から関心が寄せられている。先日開催された展示会「AGTSin愛知」の同社のセミナーでも紹介され、「関心のある方が多くいて、反応も良かった」と、期待が高まる。 特にBJトラクタは、下半期の目玉となる製品だ。同機は同社開発の無段変速トランスミッション「IAVT」を搭載し、力強い作業性となめらかな操作性を実現。「社内でもかなり評価が高い。注目度も上がっている。まずは乗ってもらうことが重要」と、愛知でも各地区・各営業所で個別に実演試乗会を積極的に行う予定だ。「その場で受注できるかは難しいが、来年に向けてしっかりとアピールしていきたい」と、鈴木部長は力を込めた。 「農家の間では、今年の米価の話題が出始めている。まだ購買意欲には影響していないが、今後各地で価格が決まると変わってくるかもしれない」と、今後について不安要素もある。しかし「BJ、PJ、HJと新製品が出揃い、営業スタッフの期待が高まっており、モチベーションも上がっている。知恵と工夫を凝らしてお客様に喜ばれるサービスを心がけサポートし、計画を達成していく」と鈴木部長は力強く語った。 ヤンマーアグリジャパン㈱中部近畿支社(菱谷竜一支社長)中部営業部(愛知ブロック)の昨年度の実績は、前年比・計画とも堅調に推移した。 「地域によってばらつきがある。米価の高騰により、米農家からの農機の注文が多い。米農家、特に大型の担い手農家が多い拠点の実績は大きく伸びた」と、和田幸晴愛知ブロックエリアマネージャーは語った。また、野菜の価格も良かったが、米価ほどの伸びはみられなかったという。 今年度に入ってからも順調に製品を納品することができ、実績につながっている。4月に価格改定を行ったが、これまでのような駆け込み需要はみられなかった。「昨今様々なものが値上げしているため、価格改定に対してご理解をいただくケースが増えている。値上げするから今のうちに買おうという人も少なく、以前の価格改定時のように駆け込み需要はなくなった」と、欲しい時に欲しい製品を買う人が増えている。 農機の動きをみると、トラクタの動きが活発で、特に大型クラスが実績を牽引。「担い手農家を中心に、フルクローラトラクタの販売が伸びている。SNSでユーザーが同機の動画をあげていて、それを見て問い合わせてくる人がいる。SNSの影響は大きい」と実感している。土壌条件にかかわらず、沈まずにまっすぐ進むことが評価されている。フルクローラトラクタは現在同社にしかないため、新規顧客獲得のカギとなる。 田植機は自動直進機能付きが主流となりつつある。「皆、省力化を求めている。自動直進機能については、今後さらなる進化によって畑作農家での活用も広がるのではないか。ヤンマーは稲作から畑作まで幅広い機械・技術を展開しており、その強みを活かしたさらなる拡販に期待している」と和田マネージャーは今後に期待する。 作業機についてはディスクロータリー「YDPシリーズ」の販売が好調だ。圃場の条件を選ばず、田んぼに水分が残っていてもきれいに反転作業ができることが評価されている。ユーザーは効率を求めており、作業スピードが早く、力強く土を掘り起こすことができる同機には、実演依頼が増えている。8月には滋賀で実演展示会を開催。実演会ではトラクタ+作業機を中心に、数多くの農機を取り揃える。その場で様々な作業機を比べることができるため、実働している現場の人の来場が多い。 今後については「営業は会話の中で顧客が何を求めているかを知り、それに合わせた提案をしていくことが重要。こちらの売りたいものではなく、本当に必要なものを提案していく。そのためには、顧客と信頼関係を築かなければならない」と、販売が好調の今だからこそ、顧客との会話を増やし良好な関係を構築していくチャンスであると語った。 和田マネージャーは、「愛知ブロックの担当になって2年が経ち、市場・社員のことが分かってきた。社員も私のことを理解してくれている。今年度はこれまでの受注をベースに進めていけるが、来年度は農業事情がどう変わるか注視する必要がある。今後も目指す指針を伝え、皆で同じ方向を見ながら進んでいきたい」と、3年目に向けた意気込みを語った。






