市場の動向:農畜産物取扱高が過去最高、酪畜に回復の兆し/北海道畑作・酪農特集

十勝総合振興局などが発表した2025年(令和7年)産農畜産物に係る十勝管内23農協の取扱見込額は3846億円で前年比102%となり、昨年を上回って過去最高を記録した。耕種部門取扱高は1373億円で対前年比93%。6月から8月に高温と干ばつが続いたことで総じて作物の生育が平年より早く進み、一部の作物で収量や品質に影響が生じた。
小麦は、輸入小麦の価格動向等に伴う落札価格の低下や、登熟期間における高温少雨の影響で製品歩留まりが低下したことなどから、前年比16%減。豆類は、需給緩和により大豆の価格が低下している一方で、小豆、インゲンについては高温少雨の影響で収量が減少したものの価格が堅調に推移したことから、全体では前年並み。バレイショは、高温少雨の影響で小玉や二次成長が生じたことにより製品歩留まりが低下したことや低ライマン価(=低デンプン含有量)となったことなどから前年比4%減。テンサイは、作付面積や根中糖分が前年をやや下回ったほか、高温少雨の影響等で収量が低下したことから前年比16%減。野菜は、一部で作付面積の減少や高温少雨による影響が見られたものの、価格が堅調に推移したことなどから前年比4%増となった。
十勝周辺の畑作農家にとっては、コスト高が続く中で、天候不順によって作物の収量、品質が悪化する結果となり、農機への投資意欲減退、先行き不安からの買い控えにつながっている。そのため、各農機取扱販売会社の実績は踊り場状態が続く要因となった。
畜産部門取扱高は2473億円で対前年比108%。酪農は、前年を上回る生乳生産を維持するとともに、2度にわたり乳価が上昇したことなどから、前年比6%増。肉用牛は、枝肉価格や素牛取引価格が持ち直しつつあることから、前年比11%増と復調が数字となって表れてきている。
また、令和7年度の補正予算から、畜産クラスター事業で要件が緩和され、中小規模生産者や新規就農者、経営継承者が活用しやすくなった。そのため酪農畜産関連の機械需要が出始めている。今回の事業見直しのポイントは、従来の収益力の強化への支援に加え、新たに持続性向上タイプ(農業構造転換集中対策)の追加や酪農への支援を再開(搾乳牛舎の再開、機械の頭数制限撤廃)。中でも持続性向上タイプではトラクタ導入に係る知事特認が不要となったことで、農機取扱販社としては酪畜農家からの引き合い増加へつながる可能性が広がった。
新車需要が下がっている中、中古市場やアフターメンテナンスは好調で、右肩上がりの傾向が続く。農機は償還が終われば更新というのがこれまでの流れだったところから、天候不順による作物の収量・品質の低下や営農コストの高止まり、為替の弱含み、農機納入までのリードタイム延長の常態化等から、農機の投資意欲の減退や先行き不安からの買い控え、故障時の高リスク化などによって、農家マインドとして、所有する農機をできるだけ長く、壊れないように使いたいとの思いが強まっている。そのため、販売会社や輸入商社はアフターの受け入れ体制の充実を図ると共に、作業前後の格納整備や点検整備に力を入れ、時期中の故障を減らす努力をしながら、年間を通じた作業の平準化も図り、また、働き方改革による労働環境や作業環境の改善にも気を配っている。
昨年の米価高騰の影響から、陸稲の栽培に乗り出す農家も出始めている。試験的に小さく栽培をスタートさせている生産者がちらほらいる程度ではあるが、一部農家ではすでに売り先を確保し、外食や加工品による輸出を手掛けるところもある。十勝では乾燥調製設備が整ってないため、陸稲の普及拡大方向への流れが強まれば、新規の機械需要が見込まれることから、注目の作物となっている。
さらに、ホルムズ海峡問題による影響も出始めている。今すぐに枯渇するというわけではないものの、オイルやプラスチック容器、マルチなど原油由来の製品が不足する事態に。メーカーでは塗装に使用するシンナーに不安が出ており、塗装ができずに製品出荷できなくなることを心配する声もあった。






