オーレック:CMで認知度アップ/福岡県特集

㈱オーレック(今村健二社長・福岡県八女郡広川町日吉548の22)は、俳優の草刈民代氏を起用した新テレビCMの放映開始に合わせ、今年9月29日まで、電子マネーや草刈り作業グッズなどが当たるキャンペーンを実施している。草刈機や草刈り作業に対する「大変」という従来の印象を変え、「意外と楽しい」という新たな価値を広げることを狙った取り組みだ。こうした外部への発信は、企業認知度の向上にも寄与した。同社の国内営業本部・前田武志本部長は、同社に今年入社したスタッフの家族がCMを見て安心したという声を紹介し、「イントロダクションがいらない企業になることがCMの狙いの1つ」と語る。同本部長は、広告の役割が「製品を売る」から「企業を理解してもらう」へ変化している点に触れた。かつては製品を買う人にだけ届けばよかったが、現在はその周囲の人々の認知が重要だと指摘。企業の認知度が高まることで、説明の手間が減り、価格への理解も得やすくなる。そして「モノを売って終わりではない」と述べた。
その背景には、同社が進めるサービス体制の強化がある。今年、全国36店(5月7日現在)の販売代理店を「サービス指定店」として同社Webサイトで公開。修理やメンテナンスを受けやすい環境を整えることで、ユーザーは安心して製品を選べる。「指定店」では製品の研修会を通じてアフターサービスの質を底上げし、連携を深めている。同本部長は「メーカーの弱さはアフターサービスだった」と述べ、販売代理店任せにしない体制づくりが顧客満足につながると強調した。さらにDXにも取り組み、勘や経験に頼らない製造の仕組みづくりなど社内ナレッジの共有を進めている。データを活用した業務の標準化により、属人的な負担を減らし、スタッフが働きやすく、長く活躍できる環境づくりを目指す。「デジタル化が目的ではなく、ビジネスの方法を変えることが目的」と語り、内部改革と外部連携を同時に進める姿勢を示した。
同社は2030年へ向けたビジョンとして「グリーンイノベーションカンパニー」を掲げ、有機農産物普及とグリーンメンテナンス部門の強化を進めている。有機農産物普及では、稲を傷つけずに条間・株間の双方を除草できる水田除草機「WEED MAN(ウィードマン)」を14年かけて開発し、無農薬・減農薬栽培に取り組む生産者の要望に応えた。
一方、グリーンメンテナンス分野では、猛暑や人手不足といった現場の課題に応えるラジコン草刈機「スパイダーモアー RCSP540」を展開。最大45度の傾斜に対応し、中山間地域だけでなく、ソーラーパネル下など人が入りにくい場所でも安全に作業ができる。操作性も向上し、「誰が使っても安定して動かせるようになった」と同本部長は説明する。過負荷を検知して速度を自動調整するAMS(アンチ・ミスファイヤー・システム)を改良し、長い草や密集した草地でもエンジンストップを抑える。
外部との連携強化でサービス体制を整え、内部改革でビジネスの方法を転換し、CMで認知度を高める。これらの一連の取り組みは、同社が掲げるビジョンを製品とサービスの両面で体現するものだ。同本部長は「戦略の実態は昔から変わっていない」と語る。「草と共に生きる」をスローガンに掲げる企業としての軸をぶらさず、時代に合わせて手法を進化させる姿勢が、同社の歩みを支えている。
〈スパイダーモアー RCSP540 製品仕様〉▽寸法=全長970×全幅915×全高580㍉▽総重量=145㌔▽車速=時速0-2・7㌔▽能率(1時間)=1・47反▽刈幅=540㍉▽刈高=30-100㍉(5段階調整)






