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令和8年6月22日発行 第3602号 掲載

各社の対応②:米価高で投資再始動/北陸特集

 ㈱北陸近畿クボタ(久保力社長)は、北陸管内(富山、福井)における2025年度(1―12月)の販売実績について、前年比125%と大きく伸長し、過去最高水準だった2024年度をさらに上回る結果となった。
 トラクタ、コンバイン、田植機などの本機売上げが前年比132%と好調に推移し、全体を牽引した(金額ベース)。台数ベースでは113%の伸びに留まったが、これは農業経営のさらなる大規模化に伴う高馬力機や高性能機への更新が背景にある。
 昨今の米価上昇による農家所得の向上もあり、営業本部長の上田公一氏は、「稲作比率の高い北陸では、米価上昇の恩恵が大きかった。特に担い手や大規模経営体は収益改善の効果が大きく、機械投資に積極的だった」とし、「これまで、農機購入のきっかけは補助金や消費税の増税、希望小売価格の改定、機械故障などの他力要因が多かったが、収穫した農作物の販売利益で機械投資を考えられる環境になったことは大きい」と話した。
 この米価がいつまで続くのかという不安はあるものの、2025年も米価は上昇基調で推移したことから、今後も大幅な下落はないとの見方が広がり、同社管内では一般農家の更新需要も少しずつ高まっている。
 スマート農業分野では、自動操舵システムの普及が著しい。完全無人のアグリロボやGPS、RTKを活用した自動操舵機能への評価が非常に高く、高精度な直進作業や作業負担の軽減、時間短縮が大きなメリットだという。
 上田営業本部長は、「昨年末に、今年1年間で販売する予定の自動操舵システムを発注したが、今年の3月までに完売した」と手応えを語った。
 スマート農機については個別実演に重点を置き、カタログだけでは伝わらない機能面を顧客にPRしていく構えだ。
 一方、6月に高岡テクノドーム(富山)、7月に福井県産業会館にて展示会を開催し、幅広くそのラインアップを紹介していく。
 現在、RTK基地局は富山県に6基(北陸近畿クボタ設置)、福井県に5基(福井県設置)設置されており、スマート農機の性能をフルに発揮できる環境を整えるために、今後も需要に応じて増設を検討していく。
 今後について上田営業本部長は、「農産物の安定供給のためにも、地域農業を支える農家の方々をしっかりと支えていきたい。楽に快適に安全に農作業ができる機械を広めることで、若い方の農業参入への後押しにもなり、人手不足解消にもつながると思う。そこを手助けしていきたい」と力を込めた。
 クボタアグリサービス㈱(鶴田慎哉社長)金沢事務所は、北陸地域(石川、富山県)における系統ルートでの農機提案について、大規模担い手層を中心に、スマート農機の導入支援を強化している。
 両県ではトラクタ60馬力以上、コンバイン4条刈以上、田植機8条植え以上を大規模担い手向け機種と定義し、2025年度(1―12月)は全体の58%を大規模担い手層が占めた。
 金沢事務所長兼金沢系統推進部長の小島政敏氏は、「市場をみると、高齢化や後継者問題などから組織の解散や統合といった事情もあり、石川県は2015年、富山県は2018年をピークに、集落営農は減りつつある。その一方で、大規模担い手層は活発な動きがある印象だ」と話す。
 そんな大規模担い手に向けて、クボタアグリサービスが最も注力するのは、「KSAS」をプラットフォームとしたスマート農機の提案だ。一方、今日のスマート農機にみる急速な技術革新により、提案時における農機の知識はより高度なものが求められるようになった。
 そのためクボタのスマート農機に関する知識をJA職員へ確実に提供しつつ、自社職員にも研修を行うなど、社内教育を徹底している。
 小島所長は、「スマート農機のシステム、補正情報、整備などの知識に関しては、JAの皆さん、そして我々自身のレベルアップを常に意識している。ここを着実に進めなければ、スマート農機の導入には至らない。しかし、着実にこなせば質の高い提案ができ、ひいては他社との差別化を図れる」とし、「結局、スマート農機をどう使うか。これにしっかり回答できることが提案の肝だと思う」と力を込める。
 イベント(展示・実演会)関連は、県単位ではなく、市単位に落とし込み、地域の実情に合わせた提案活動を行っている。そのため、従来のような大人数を集客する大規模展示会型ではなく、「地域の農家に寄り添う」ことに重点を置き、「狭く深く」を意識したイベントに移行しているという。
 米価上昇の影響もみられるが、資機材や燃料価格の高騰が続く中、全ての農家が余裕を持って投資できる状況ではない。このような状況下では、機能性やコストを重視した農機投資をする農家が増えそうだ。
 小島所長は、「クボタグループとして、北陸地域は商系と系統の両輪を活かし、グループ一体で品質とサービスを提供できる。この状況が、お客様の満足度に貢献していると思う。今はNPS(顧客推奨度)を念頭に置き、お客様自身から、『クボタと付き合うと、こんなに有益だよ』と潜在顧客に伝えていただく環境を目指していく」と力を込める。
 ㈱ISEKI Japan 関西中部カンパニー(南孝明社長)は、2025年度(1―12月)の農機販売について、米価上昇を背景に、トラクタ、コンバイン、田植機ともに前年を上回る実績となった。米の生産に係る農機は、全体的に需要が高かった。
 営業本部副本部長の久保正聡氏は「これまで農機への投資を我慢されていた農家層も、爆発的に投資に向かったという印象」と話す。
 トラクタは小型―大型まで幅広く出荷したが、特にBFシリーズの60馬力が堅調な荷動きをみせた。
 田植機は8条植えの直進アシスト搭載機、コンバインは廉価ながら機能性を充実させた「HFR4050(5条刈)」といったクラスの荷動きが活発だった。
 北陸地域は全国有数の水田地帯であり、農機需要も稲作用が中心だ。近年は担い手への農地集積がますます進み、50町以上の大規模経営体が地域農業の中核を担うという構造が、一段と鮮明になっている。
 また、集落営農法人同士が統合し、大規模化する事例があるものの、これら組織は代替わりが難しいといった課題がある一方、個人経営の大規模法人は比較的代替わりしやすいという事情もある。
 JAルートでは、全農や各JAと連携した商談展示会を通じて提案活動を展開している。秋にはメーカー独自の大規模農家向け実演会「アグリジャパンフェスタ」を開催し、BJトラクタを中心にスマート農機の実演を通じて導入効果を訴求する。
 全農主催の展示会についても「農家が客観的に各社の農機を比較検討できる場として重要」と位置付けている。
 スマート農業分野では、自動操舵システム関連商品が高い人気を集めており、久保副本部長は「前年度の倍以上伸びている状況で、購入された方が2台、3台と追加導入するケースもある」とし、「中でもCHCNAV『NXシリーズ』が、廉価かつ高精度な直進機能に絞った商品として非常に好評だが、『X10R(田植機専用モデル)』により、田植機への装着も増加している」とする。
 また、IC100(レベリングシステム)も普及しつつあり、アイガモロボやドローンなど、スマート農業関連商品の需要は着実に高まっている。
 今後について久保副本部長は、「下期はトラクタの新商品『Japanシリーズ』の拡販に注力したい。おかげさまで既に多くのご注文をいただいている。水田農業を守るためには、担い手が継続して利益を確保できることが大前提。スマート農機やサービス体制を通じて、その支えになっていきたい」と力を込める。
 ヤンマーアグリジャパン㈱中部近畿支社(菱谷竜一支社長)中部営業部は、米価の高止まりを背景に、2025年度の農機市場が活況を呈した影響から、トラクタ、コンバイン、田植機など、農業関連製品全般の需要が供給を上回る状況が続いている。
 このような状況下で、2025年度(25年4月―26年3月)における同社の販売実績は、トラクタおよびコンバインが前年並み、田植機は前年度を上回った。
 廣川孝二部長は、「大規模担い手層や法人は作付面積が大きく、米価上昇がそのまま所得増につながる。利益が出れば更新を前倒しするという動きもある」と分析し、「個人農家は農機が壊れたら更新というケースが多い。しかし、関連資機材や燃料費の高騰が、更新意欲を抑制している」と話す。
 営農の継続に欠かせない様々な農機具が値上がりする中、大規模担い手による農地集積が進み、省力化のニーズは年々強まる。そこで注目されるのが湛水直播や乾田直播などの直播体系だ。育苗や田植え工程を省略できることから、これらに取り組む事例が増えつつある。中でも湛水直播は、北陸の水田体系に合っており、省力化の効果も高いという。
 湛水直播の工程では、ヤンマーが取り扱う無コーティング代かき同時湛水直播機や農業用ドローンを使い、乾田直播では自動操舵トラクタ(YTシリーズ)や、フルクローラトラクタおよびレーザーレベラーといった製品を提案する。北陸では湛水のほうが圧倒的に多いが、乾田も少しずつ増えているようだ。
 同社管内におけるスマート農機の関心も高い。直進アシスト機能付きトラクタやオートコンバインの導入、ドローンによる防除や施肥にも注目が集まっている。
 また、タマネギやブロッコリーの一貫体系に係る製品の荷動きも活発であり、ヤンマーの2軸整形ロータリー「BS140TH」は、排水性の高い畦を一発で作り、これがタマネギとブロッコリーの大量生産に貢献している。
 廣川部長は「北陸は7―8割が水稲だが、転作作物に必要な製品は一貫体系として機械化している。ここがヤンマーの強み。転作作物に関する農機では普通型コンバイン『YH700M』が堅調な荷動きをみせ、その後継機で新製品の『YH700MA(2026年2月発売)』も期待通りの売れ行きをみせる」と話す。
 今後については、「まずは農家が儲かること。そのために弊社が全力でお手伝いする。例えばマシンダウンによる突発的な費用の支出を抑える。これには修理や整備の徹底を計画的に促すことが必要。農家の経営に積極的に寄与していくことが重要」と力を込める。

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