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令和8年6月29日発行 第3603号 掲載

イチゴ栽培テーマに勉強会/植物工場研究会

 NPO法人植物工場研究会(林絵理理事長)は12日、第169回勉強会「植物工場・施設園芸におけるイチゴ栽培へのアプローチ」のライブオンラインセミナーを開催した。国内外におけるイチゴ栽培の動向を共有するとともに、先進的な研究から実践的な運営方法まで、イチゴ栽培への多様なアプローチについて理解を深めるべく、研究者ならびに生産者による講演が行われた。
 まず話題提供として、同研究会副理事長の丸尾達氏が「イチゴ栽培の近況」を紹介。イチゴは世界で非常に人気・需要が高く、世界イチゴ生産の約3分の1が中国となっているなど、日本はもちろん、各国で盛んに生産されている。イチゴ産業の持続的な拡大には品種開発が必要不可欠であり、植物工場や養液栽培、高設栽培、ロボット収穫等には専用品種の開発が重要。しかし、イチゴ栽培を変革すると期待される種子繁殖型品種も含めて高度な育種にはコストと時間が求められ、また、育成者権の保護や変異の制御、費用対効果などが問題となり、イチゴの種苗単価の低下などが重要になる─などと課題を提示した。
 次いで磯部祥子氏(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)が「オールジャパンで推進するゲノム情報を活用したイチゴ育種」を講演。磯部氏は日本がイチゴの生産大国であり、国や県など30以上の公的な育種機関が競って育種を行っているイチゴ戦国時代であると述べ、育種が盛んな背景にイチゴは栄養繁殖型品種で比較的シンプルな育種ができ、農家が自分でイチゴ生産のための苗増殖が可能なことを提示した。一方で、現在のイチゴ育種は、①欧州から導入した特定系統をもとに育種②比較的シンプルな育種法③似通った材料を育種に用いている─ことから遺伝変異が狭まっており、これ以上良い品種を出すのが難しくなってきたと指摘。そこで、磯部氏らはより短期間により良い育種素材を蓄積するべく、国内の主要なイチゴ育種機関と共同で、イチゴにおけるデータ駆動型ゲノム育種法を開発。DNA解析を用いて大規模データをもとに有望個体を選抜し、年に2回の選抜を4年間行い、新たな育種素材の誕生に成功した。
 一方、次世代のイチゴ産業の切り札として、種子繁殖型F1品種を紹介。従来の栄養繁殖型に比べ繁殖効率が高い、親個体からの病気の伝播がない、苗生産労力が少ない─などメリットが多いものの、育種体系の技術課題が多いと指摘。民間企業も含め産学官によるオールジャパン体制で気候変動対応F1イチゴ育種システムの開発に取り組んでいるなどと紹介した。
 他方、吉原陸氏(㈲大地グランベリー大地広報部部長)は「グランベリー大地 全国1のいちご観光農園を目指して」と題して、〝日本最大級の空中いちご園〟である、吊り下げ式高設栽培のイチゴ摘み取り観光農園のほか、直売所、カフェを運営している茨城県常総市のグランベリー大地の取り組みを紹介した。

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