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令和8年5月18日発行 第3598号 掲載

農産物輸出制限が価格の上昇を誘発/農林水産省農林水産政策研究所・成果報告会

 農林水産省農林水産政策研究所は12日、都内千代田区の同研究所セミナー室及びオンラインで研究成果報告会を開催し、60名以上が参加した。
 同研究所連携研究スキーム「農産物の輸出制限的措置による世界の食料需給・貿易構造及びフードセキュリティへの影響に関する研究」(2023~2025年度)の成果として、食料の輸出制限的措置が世界の食料需給・貿易構造及びフードセキュリティに与えるリスクや影響評価、食料輸出規制の国際規律の強化、食料価格と栄養問題などについて報告が行われた。
 会では、▽食料輸出制限的措置が世界の食料需給・フードセキュリティに与える影響(発表:小泉達治氏・農林水産政策研究所政策研究調整官)▽食料輸出規制の規律強化に向けて―WTO協定に関する考察と提言―(作山巧氏・明治大学農学部教授)▽食料の輸出制限的措置が食料輸出入国の需給構造に与えた影響評価(柏木健一氏・筑波大学国際総合学類長)―などの5報告と質疑応答、結語が行われた。
 食料輸出制限的措置が世界の食料需給・フードセキュリティに与える影響について報告した小泉氏は、研究背景として、2022年に約30カ国が農産物・食品の輸出制限措置を発動したことを受け、世界の食料価格が上昇・不安定化し、途上国を中心とする世界のフードセキュリティに大きな影響を与える懸念が出たと説明。FAO等による従来の指標ではこうしたリスクが考慮されていないことから、政策研の課題ではインド・ロシア等における農産物・食品の輸出制限的措置による経済的・政策的効果の評価を行い、世界のフードセキュリティに与える影響及び新たな展開を考察。例えば世界最大の米輸出国インドの2023/2024年度における米輸出規制について、部分均衡需給予測モデルでシナリオ予測したところ、同年度の国際インディカ米を22・7%上昇させ、代替関係を通じて国際ジャポニカ米価格も2・4%上昇する結果になった。
 結論として、輸出制限的措置は他国の価格上昇を誘発し、連鎖的な輸出制限的措置の発動を引き起こすリスクがあり、世界全体のフードセキュリティを損なう可能性があると指摘。国際社会としては輸出制限的措置に代わる国内政策手段の検討や農業市場情報の透明性向上、GATT及びWTO農業協定の遵守などが必要であり、さらに食料不足や食料価格上昇に脆弱な人々に対するセーフティーネットの強化も必要などと述べた。

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