各社の対応:米価高騰の影響続く/宮城県特集

㈱五十嵐商会の昨年1~12月の実績は前年超えとなった。トラクタは40~50PS、コンバインは4条、田植機は6~8条が主流。㈱HOSACの後付け自動操舵システムが好調で、人気商品になっている。
独自の取り組みで県内農家の心をつかんで離さない。今年4月からはDate fm エフエム仙台の新ラジオ番組「Blaise Farm Life presented by 五十嵐商会」がスタート。宮城県で活動する4人組ロックバンド「MONKEY MAJIK」のメンバー・ブレイズがナビゲーターを担当し、県内農家を訪問。毎週水曜日の午前11時30分から同11時45分に放送されており、ブレイズと五十嵐善隆社長がかねてから親交があったことから実現に至った。
2018年5月から始めた「農姫米(のうひめまい)プロジェクト」ではセンダイガールズプロレスリングと、仙台市在住のシンガーソングライターのティーナ・カリーナ氏が地域の人と一緒に米づくりに挑戦。
2022年7月には野菜の産直型通販サービス「農家急行!ベジの助」を開始。おいしく食べられるのに傷が入っていたり、形が悪かったりするだけで廃棄されてしまうアウトレット野菜の流通を促すことで食品ロス削減を目指している。
昨年8月、五十嵐商会本社前に24時間無人で稼働するトレーラーショップをオープン。店内には農姫米や肉、カット野菜などがずらり。時間を気にせずいつでも商品を買える点が好評だ。
展示会の開催に力を入れている。今年に入ってからも▽初売り▽トラクタ実演会▽田植え実演会▽春の中古市―などを実施。業界では機械の供給不足が課題だが、「こういう時だからこそ展示会で積極的にアピールしなくては。重点機種は全ての機械。常にお客様の立場になり、何を求めているのかを考えることが大切」と五十嵐社長。
㈱宮城ヤンマー商会は前年を大幅に超える実績だった。主要3機種のみならず、様々な製品が満遍なく販売台数を伸ばしている。今年の初売りと春の展示会では会社設立以来で過去最高の売上げを達成した。
トラクタは70~80PSが主流、大型は100PSにも動きがある。田植機は6~8条がメーンで、ほぼすべてディーゼルエンジンに変わってきた。コンバインは共同購入コンバインYH448AEJU(4条刈、50PSクラス)が好調。小中規模農家にとって、機械更新のきっかけになっているようだ。
昨年11月、色麻町の加美農業高等学校で「加美農コンソーシアム最先端農業EXPO」を開いた。最新の農業機械約100台を並べ、乾田直播の機械化一貫体系もPR。展示・実演の他、実際に試乗してもらうことで、性能を体感できるようにした。
EXPOは宮城ヤンマー商会と加美農高の生徒が一緒になって企画・運営を進め、未来人材を育てる目的で開催。会場では生徒もスタッフとなり、受付で来場者を案内したり、宮城ヤンマー商会の従業員の説明を受けながら農業機械を運転したりした。
佐藤一馬社長は「来場者からの反響が良く、私たちも楽しいと思えた。素晴らしい財産となり、体験型イベントの大切さを実感した。EXPOで来場者にいろいろな機械を体験してもらったことが、実際の購入につながっている」と振り返った。
業界では機械の品薄状態が続く。宮城ヤンマー商会では予約販売を強化。田植えが終われば来年用の田植機を提案したり、秋が終われば乾燥機やコンバインの予約を呼びかけてきた。
佐藤社長は「常日頃から早期受注を心がけており、今のところ年内やりくりできるだけの在庫数を確保できている。今年は売り損じをしないように、タイミングをしっかりつかんで各製品の販促を進め、在庫管理も徹底していく」と意気込む。
㈱南東北クボタの昨年の実績は前年比・計画比ともに達成した。主要3機種、米関連機器、草刈機などの販売台数を伸ばしており、米価高騰の影響が現在も続く。
トラクタは70PS以上の大型が主流、105PSにも動きがある。コンバインは6条、田植機は8条がメーン。スマート農機の導入が進んでおり、GS(直進アシスト)機能付きトラクタや田植機が人気。自動操舵やドローンも好調だ。
昨年6月に福島県郡山市で南東北3県(宮城、福島、山形)合同の「クボタBIGサマーフェア2025」を開催。テーマは「RTKまみれ これからの農業は、センチメートル級」。最新のスマート農機を展示した他、営農支援システムKSASや乾田直播をPR。昨年は山形県と福島県で「未来を拓く 農業者サミット」を開いた。変革期にある農業の現状と今後の農業経営を展望し、スマート農業が拓く次世代農業を考えるイベントで有識者による講演や農業者ディスカッションで盛り上がった。第8ブロックの高野明士部長は「今年は宮城県内のお客様にもサミットへの参加を促したい」と話す。
KSASの登録者数が増えている。南東北クボタでは今年から「KSASミーティング」を実施。基礎編と応用編を用意し、使い方や機能、導入事例を知ってもらうことで、普及拡大を目指す。従業員教育を強化。今年からスマート農機や乾田直播のスペシャリストを養成。年間を通してアグリロボや自動操舵、乾田直播といった様々な研修を用意し、顧客に幅広く製品の提案ができるセールスを育てている。
乾田直播の実演を県内各地で開催。今年3月には角田市内でスリップローラーシーダーの実演を披露した。「乾田直播への注目度は年々高まっている。スマート農機の販促を進めるとともに、お客様の課題解決に向けた実演を積極的に行っていく」と高野部長。
ヤンマーアグリジャパン㈱南東北営業部の2025年度の実績と販売台数は堅調に推移しており、前年度比・計画比をクリアした。宮城ブロックの佐々木宏彰エリアマネージャーは「地域密着型の実演会を強化したことで、売上げの底上げ増につながった。大型機やスマート農機が普及しており、1台当たりの単価が高いことも要因だ」と振り返る。
トラクタは直進アシスト付きの70PS以上が主流で、115PSにも動きがある。田植機は8条の直進や自動操舵付きが浸透している。コンバインは5条のキャビンタイプが人気。現在は6条オートコンバインの普及に向け、実演を通してアピールを強化しているところだ。
野菜移植機も好調。ラジコン草刈機YW500RCは各地で実演会を開いてPRしている。
修理・メンテナンスは、農協や販売店からの依頼が増加。今年3月、登米市に県内で3カ所目となるサービスセンターを新設した。これまでは仙台市と大崎市にアグリサポートセンターを構えていたが、オーバーフロー状態になることがあった。新設により、これまで仙台と大崎の両センターに集中していた機械を分散でき、きめ細かいニーズに対応できるようになった。
また、乾田直播の栽培面積が拡大しており、播種機やドリルシーダーといった関連機械への関心が高まっている。3~4月にかけて実演を行い、周知を図っている。
昨年6月に福島県大玉村で開いた「2025 AGRI FAIR IN FUKUSHIMA」でも、乾田直播に関する講習会を開いた。昨年11月には仙台市内で「乾田直播研修会」を実施し、これから乾田直播にチャレンジしたい人や、すでに取り組んでいる人向けに各種作業機を提案。
「製品の供給状況によっては、今年は大規模な展示会は開催できないかもしれない。小規模展示会がメーンになってくるだろう。早めに受注を取り、先を見据えて行動することが大切」と佐々木エリアマネージャー。
㈱ISEKI Japan東北カンパニーの昨年の全体の実績は好調。主要3機種はトラクタと田植機が前年超えで、コンバインは前年並みだ。トラクタは75PSがメーンで、100PS以上の動きも旺盛。田植機は8条、コンバインは5~6条が主流になっている。HFR4050やFMシリーズが人気。プロ農家向けのHJシリーズの普及も進める。
さらに自動抑草ロボット「アイガモロボ(IGAM2)」の受注が増えている。アイガモロボは、ロボットが水田全体を縦横無尽に走り回って水を濁らせることで、雑草の光合成を妨げ、生育を抑制。従来の方法よりも機械除草の回数を削減でき、より効率的でスマートな雑草対策を実現する。
常務理事営業副本部長兼系統推進部長兼宮城営業部長の門屋毅氏は「アイガモロボは有機農家以外でも、除草効果やコスト削減に期待して導入するケースがある。幅広いユーザーに薦めたい」と意気込む。
自動操舵システム「CHCナビ」も順調に販売台数を伸ばす。東北カンパニーでは、今年2~3月に東北6県12カ所で「2026大規模担い手セミナー」を実施した。宮城営業部では2月10日に開催し、スマート農機やCHCナビの特徴や性能、導入メリットなどを幅広く紹介。乾田直播をメーンテーマに据え、東北大学大学院の大谷隆二教授が「水稲乾田直播の現状と今後」と題して講演。約60人の参加者が熱心に耳を傾けた。
今年はトラクタを重点機種に据え、BFやTJVシリーズを引き続きPRするとともに、今年6月からデビューする新型JAPANシリーズBJをアピールしていく。
昨年、㈱ISEKIアグリがCHERVON社(本社・中国南京市)とEGO製品の代理店契約を締結した。EGOの乗用芝刈機などの販促を強化。少しずつ動きがあり、浸透してきているようだ。






