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令和8年10月5日発行 第3616号 掲載

ピックアップ企業:フジシタ 2条植え「ジャガールダブル」/長崎県特集

 ㈱フジシタ(藤下實一社長・長崎県雲仙市愛野町乙5285の1)は今年で創業80年を迎えた。1946年の創業当初は「藤下機械店」として農業機械の小売や修理を手がけていた。現在はジャガイモ農機などを製造・販売するメーカーで、継続して他社製品の小売や修理、レンタルも行っている。

 転機は2010年。生産者の高齢化が進み、顧客から機械化を望む声が寄せられたのがきっかけだ。ものづくり好きの藤下社長がすぐに試作機を製作し、顧客の圃場で試運転を始めた。必要な資材は、その顧客が提供したという。

 こうして誕生したのが、自走式ジャガイモ種芋植付機「ジャガール」だ。ベルトコンベアを使った半自動供給システムが特徴で、種芋をコンベアに載せる労力を大幅に軽減する。翌年に現在の法人名へ改め、メーカーとしての事業を本格化した。2016年には、2条植えに対応した「ジャガールダブル」を発売。種芋の植え付けと、土をかぶせる作業を1度に行える。オプションの肥料散布装置「ジャガボーイ」を付ければ、施肥まで一度で済む。顧客の声を反映し、省力化を突き詰めた結果だ。さらに、購入後は利用者が自ら整備できるよう、セルフメンテナンスの動画を公開している。

 顧客の大半は長崎県内の農家で、メーカーでは珍しく生産者への直接販売が中心だ。遠方の取引は販売会社に任せるが、それ以外は自社で販売から修理まで担い、修理は原則、即日対応を心掛けている。今後はジャガイモ以外の農機開発にも取り組みたいとし、畑の石を取り除く「ストーンピッカー」を開発中だ。ジャガールがもたらしたのは、省力化に留まらず、体の負担軽減に加え、孫と過ごす時間が持てるようになるなどのより豊かな暮らしだ。同社は農機の枠にとらわれず、こうした価値の創造に取り組み続ける。

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