人工内耳の開発と普及で2氏に本田賞/本田財団

公益財団法人本田財団(設立者は本田宗一郎氏と弟の弁二郎氏兄弟、石田寛人理事長)は、2026年の「第47回本田賞」を、多チャンネル型人工内耳の研究開発と臨床実用化、世界的な普及を先導した、グレアム・M・クラーク教授(Professor Graeme M・Clark AC、オーストラリアの医師・神経科学者、メルボルン大学名誉教授)と、インゲボルグ・ホフマイヤー博士(Dr.Ingeborg Hochmair、オーストリアの電気工学者、MED―EL〈メドエル〉共同創業者兼CEO)に贈呈することを決定した。
人工内耳は、補聴器を使用しても言葉を十分に聞き取ることが難しい高度・重度の難聴者のための医療機器。音を電気信号に変換し、内耳の「蝸牛(かぎゅう)」内に挿入した電極から聴神経を直接刺激することで音を脳へ伝える。
両氏は1970年代、オーストラリアとオーストリアでそれぞれ研究に取り組み、音の有無や強弱、リズムの把握に留まっていた従来の「単チャンネル型」人工内耳に対し、より複雑な音の情報を脳に届けることが可能な「多チャンネル型」人工内耳を開発した。
音を複数の周波数帯に分け、それぞれの情報を異なる電極から聴神経へ伝えることで、音を「言葉」として聞き取ることが可能となり、難聴者の音声によるコミュニケーションの実現に大きく貢献した。
人工内耳は、1980年代より製品として提供を開始し、これまでに世界で100万人を超える人々に使用され、乳幼児から高齢者まで幅広い世代の「聞こえ」を支えている。
子どもの言語習得や教育、成人の就労や社会参加、高齢者の生活の質(QOL)向上に至るまで、多くの人々に生活の新たな可能性をもたらしている。






