各社の対応:スマート農機で省力化提案/長崎県特集

㈱福岡九州クボタ(大橋健太郎社長/長崎県下テクノセンター含む16拠点・97人)の2025年度実績は前年比増で推移した。原田裕章取締役は、米価高騰を背景に米関連機の受注が伸びた1年だったと振り返った。コンバインや乾燥機、色彩選別機などへの注文が相次ぎ、納期は案件によって半年?1年待ちになったという。畜産では子牛価格の回復を背景にロールベーラ?や集草といった牧草作業機の需要も高まった。島原・雲仙地区では春秋2回の展示会を開催し、受注台数が過去最高を記録。
また、7月に実施した価格改定を前に、駆け込み需要が大きく膨らんだことが、25年度で最も印象的な出来事だったと同取締役は話した。
25年度の機種別の動向は、トラクタは25?35馬力帯の受注が非常に多かった。田植機は平年並みで推移し、4条植えが圧倒的な台数を占めた。コンバインは4条刈機の需要が伸びた半面、供給不足で本来見込めたはずの販売機会を取りこぼす場面もあったという。野菜関連ではタマネギやジャガイモ、キャベツなどの収穫機が伸長した。
26年度も8月までは堅調に推移している。1?3月、各営業所や島原・雲仙地区での展示会が盛況で、トラクタと田植機の受注が伸長した。今後は、自治体の補助金活用を法人や組合向けに積極的に提案する方針だという。推進機種はトラクタと自動操舵システム、ドローン、野菜関連機など。熱中症対策の需要からラジコン草刈機への関心も高まっており、実演の依頼が増加したという。
イベントについては、諫早市「干拓の里」での展示会が11月に控えている。
整備・修理サービスの動向は、故障や不具合の連絡を待つのではなく、こちらから点検の提案や訪問時の声かけを行う「攻めの整備」に力を入れる。また、基本料金の徴収を徹底し、顧客の理解を求めていく考えだ。
今年度のテーマは「まず安全」と同取締役は話し、今年から高所作業に関する資格取得も推進しているという。同社では様々な研修や講習を実施しているが、諫早で行った高所作業の講習会には約20人が参加したという。熱中症対策として倉庫の屋根内外に遮熱シートを施工し、倉庫内の温度を下げる対策も実施した。
ヤンマーアグリジャパン㈱九州支社(増田広次支社長)北部九州営業部・長崎ブロックの25年度の実績は、前年並みで着地した。前田賢幸エリアマネージャーによれば、米価の上昇を背景に生産者の購買意欲は高まったものの、実際に投資に動いたのは一部の大規模稲作担い手に留まったという。
今年3月には諫早支店で展示会を開催し、4月1日の価格改定を控えた駆け込み需要に対応した。
25年度の機種別動向では、トラクタは25?35馬力が主流だが、57馬力など大型機種への需要が目立った。田植機は4条植えが主流。コンバインは2条、3条刈が伸長した。また、フレールモアなどの作業機や、収穫機・選別機などの野菜関連の動きも良かった。ラジコン草刈機は、実演の依頼が増加し生産者の関心は高いが、地形的な制約から普及はまだ限定的だという。県北部で実際に、見た目はフラットな土地だが、イノシシが掘り返した跡による凹凸があり、場所によっては地面の状態が刈り取り作業に影響する場面もあったという。
26年度は8月まで前年並みで推移している。ただ、米の概算金が前年から大幅に下落しており、今後の動向次第では設備投資に慎重な生産者が増えることを懸念しているという。
前田マネージャーは「こういう時こそ機械の良さを実演でアピールし、投資に対する丁寧な説明を行って経営の手助けをしたい」としており、実演を積極的に行う方針を示した。トラクタ「YT4S/5S」や、田植機「YR06/08」など、新製品を中心に実演会を計画しているほか、12月ごろにもブロック展示会を予定している。
整備・修理サービスの動向としては、稲刈り後の点検整備を呼びかけ、故障の未然防止に努める。時間外や休日対応は縮小する方向にあり、顧客への理解を求める啓発活動を続けている。サービススタッフの人手不足や早期離職といった課題があり、働きやすい環境への転換が、人材の定着にもつながるとみている。また、スタッフのスキルアップ研修に力を入れているほか、安全確保も重要な課題とし、労働災害の防止を最優先課題に掲げ、過度な負担をかけない体制を整えている。
㈱ISEKI Japan 九州カンパニー(中谷淸社長)北部営業部長崎事務所(4拠点・20人)の25年度の実績は前年比で微増となった。黒田正彦エリアマネージャーによれば、米価の上昇により米関連機の需要が増加した一方、夏の異常気象で畑作の作付けに影響が出るなど、畑作農家は依然として厳しい環境に置かれた。離農も目立ったほか、経営不振による農業法人の廃業も一部でみられたという。
また、諫早市では農業資材高騰対策支援事業が同年度も継続され、作業機やスマート農機を中心に多数の取引が行われた。子牛価格の安定を背景に、特に作業機の販売が伸びたという。
25年度の機種別の動向をみると、トラクタは25?35馬力帯がメーンとなり、田植機は4条、5条植えが主流。コンバインは2条、3条刈が中心で、4条刈の動きもみられたが、全体的に品薄状態が続いた。
26年度は、各事業への申請対応や、肥料などの値上がり前の受注対応、事前点検による部品交換の促進などを進めている。
8月の製品の価格改定前に、北部・中部合同展示会を、新型トラクタ「BJ」シリーズの発表も兼ねてグランメッセ熊本で開催した。若年層の担い手中心に来場し、BJシリーズの試乗コーナーでは、来場者から外観や内装、機能面で好評を得たという。
今年度のスマート農機の推進機種は、直進アシストトラクタ・田植機、自動操舵システム「CHCNAV」、新型田植機「PJ8」、NTTドローン、自動抑草ロボット「アイガモロボ2」など。BJシリーズの販促を強化しており、今後は市町村単位での実演会も予定する。このほか、低コスト肥料の提案などにも取り組む。11月には展示会も予定している。
整備・修理サービスの動向は、田植機やコンバインなど、部品供給の遅延なども見据え、早めの点検を呼びかけているほか、訪問時の点検を通じて、修理・点検依頼の掘り起こしにもつなげている。
このほか、スタッフにファン付きベストを支給するなど、熱中症対策にも取り組んでいる。
全国農業協同組合連合会長崎県本部・生産資材部農業機械課(31拠点・94人)の25年度の実績は前年比110%、計画比96%となった。木戸豊課長は、上期は厳しい状況だったが、米価上昇の影響や価格改定前の駆け込み需要もあり、下期は持ち直したと振り返った。
一方で、価格改定による購買意欲の低下もみられたという。同10月、長崎空港の近くに新設された「JA全農ながさき 広域農機センター」内に農業機械課の拠点を移した。
25年度の主要機の動向は、トラクタは厳しい状況が続いた。主流は25?35馬力だが、大型機の需要も増えた。田植機は4条植えが主流で、事業関連で5条、6条植えの導入も増えた。コンバインはここ数年減少が続いていたが、計画比、前年比ともに大幅な増加となった。2条、3条刈が主流だが、共同購入コンバインが好調だった影響もあり、4条以上の引き合いも増えた。
そのほか、移植機や収穫機など野菜関連機が好調に推移した。また、乾燥機や保冷庫などの米関連機は発注増による生産遅延で、納品が次年度に繰り越したケースもあったという。
26年度は8月までの実績が堅調に推移している。共同購入コンバインをはじめとした低コスト機種の推進や、直進アシストトラクタ・田植機の普及に加え、ドローンやラジコン草刈機の推進にも取り組んでいる。
また、7~9月は「JA統一キャンペーン」と称し、トラクタや田植機など主要機の機種・型式を絞り、台数を限定した販促活動を展開している。買い替えや新規導入を検討する生産者からの関心も高く、販売は好調に推移しているという。
今後のイベントは、「JA統一農業機械大展示会」を27年1月に予定しており、来場者数が減少傾向にあることから、企画の充実と集客力の向上に注力したい考えを示した。
整備・修理サービスの動向は、重整備を広域農機センターで、その他の依頼を各拠点で引き受ける体制を敷く。木戸課長は同センターについて「農機事業の補完的役割を担う拠点として位置づけている。課題はあるが、手応えも感じている。今後は整備スタッフの増員と技術向上を早急に図りながら整備事業に注力していきたい」と語った。同センターは研修施設としての役割もあり、階層別の研修会を今年度中に開催予定で、準備を進めているという。





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