フルクローラトラクタ投入へ着々/諸岡

㈱諸岡(諸岡昇社長・茨城県龍ケ崎市庄兵衛新田町358)は21日、島根県松江市で、「松江サテライトオフィス」の開所式並びに報道関係者向け内覧会を開催した。同オフィスは、新型フルクローラトラクタの市場投入に向け設置した。かつて自社開発し、三菱農機側へ引き継いだ技術は、四半世紀余りを経て再び同社に戻った。同オフィスには旧三菱マヒンドラ農機の技術者を迎え、地元企業との部品調達体制の整備を進める。来年7月の新型機披露を目指し、海外市場も視野にフルクローラトラクタの生・販に再挑戦する。
開所式は、中島真二トラクタ開発準備室長の司会で進められ、まず同社の歴史を年代ごとの主要な出来事で振り返る映像を上映した。このあと、若井光浩常務取締役(トラクタ開発部門担当)が登壇。顧客の声を直接聞き、現場のニーズを事業に反映させる考えを示した。
続いて諸岡正美代表取締役会長が挨拶。1958年、創業者の諸岡一雄氏が農業の傍ら井戸掘りを始めたことに端を発する同社の歴史を振り返り、建設機械で培ったゴムクローラ技術を応用し、1990年にはフルクローラトラクタを開発。約2800台を送り出したが、2000年に事業から撤退し、三菱農機側へ引き継いだ―など、この間の経緯を説明。
諸岡会長は今回の事業承継について、三菱マヒンドラ農機の下で技術が進歩したことをあげ、「里子に出した息子が、すごく立派になって帰ってきてくれた」と喜びを表した。松江に拠点を設けた理由には、三菱マヒンドラ農機で開発に携わった人材の確保と、地域に存立する部品メーカーとの関係維持をあげた。
会場には、来賓として島根銀行の長岡一彦代表取締役頭取、島根県商工労働部の青砥貴司産業振興課長、松江市の髙田俊哉産業経済部政策監が参列し、それぞれ培われた技術や人材を活かす新拠点の開設を歓迎するとともに、地元企業との取引拡大や地域産業の活性化に期待を寄せ、連携・支援の意向を示した。
その後の質疑応答では、まず諸岡会長が事業の将来像を説明。現在はグループ売上高の約6割を海外が占めるとし、従来の国内農業中心の需要に加え、海外の建設・林業分野にも販路を広げる方針を示した。さらに機種のシリーズ化、大型化を進め、将来的には遠隔操作や無人走行の技術も取り入れたいと語った。
生産台数は初年度30~50台を目指し、需要に応じて100台規模への拡大を構想する。生産設備の増強が必要となった際には、島根県内への工場設置も選択肢になるとの見方を示した。一方、当面は茨城県内での生産を計画している。
続いて若井常務が具体的な事業化の方針を説明。松江サテライトオフィスでは設計および開発や部品調達を担い、茨城の本社と情報を共有する。同オフィスには旧三菱マヒンドラ農機の関係者4名を採用しており、図面だけでは引き継げない製造ノウハウを生かす。地元サプライヤーともすでに面談や協議を進めている。
新型機は142馬力級を計画。2027年春ごろに組み立てを始め、同年7月に北海道で開かれる国際農業機械展で披露する方針だ。販売は従来の農機ディーラーやサービス網に加え、同社の林業・建設分野の販路も活用し、ユーザーへの供給と整備対応を図る。
【松江サテライトオフィスの概要】住所=島根県松江市古志原3の17の11(島根銀行松江南支店2階)




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